9月のバラ作業を日録風に。
エンドレス剪定9月4日 福岡魁誠高校
福岡県立福岡魁誠高校で生徒さんが栽培しているイングリッシュローズです。総合学習の一環として自分たちが栽培したバラを使ってバラジャムなどを作ります。
品種の選定と植付けは、デービッド・サンダーソンさんの指導によるものです。私はバラの栽培に関する授業と実習指導、栽培管理を担当しています。私の他にもバーバラや地域のバラ愛好者のみなさんが、植付けや大剪定などのお手伝い(ボランティア)をしています。
福岡魁誠高校のこのユニークなバラ栽培の取り組みは、地元・粕屋町商工会(福田賢輔会長)との連携によるもので、すでに立派な成果が出ています。それについては別項目で紹介する予定です。
2015年5月15日
食用なので化学農薬はもちろん、化学肥料も使わないオーガニック栽培*で育てて、今年で3年目になります。
春の1・2番花は豊作で充分な収穫があったので、3番花は(夏休み期間とも重なり)収穫や摘蕾をしないまま放任でした。
2015年9月4日
今咲いているのは3番花の名残りです。
すべての枝の長さ1/3程度を一斉に切り捨てる、いわゆる 秋の剪定 はしません。
遅れて出た3番の蕾も、良い花が咲くと思われる開花間近のものは残し、収穫後に切り戻す予定です。
3番花が完全に終わった枝は2番の枝で切り戻します。有島 薫スタイルに似た「エンドレス剪定」です。
赤いカゴは収穫した花を入れる花かごです。今日は20輪ほどでした。やはり夏の花はやや小さく、香りも優しいようです。今日収穫したものは食用ではなくポプリにします。
ブロックの上に並んでいるのは消毒した剪定鋏です。殺菌消毒にはベンザルコニウム塩化物水溶液(商品名:オスバンS)を使い、さらに日光消毒をしています。背後に見えている支柱は隣の野菜畝のものです。
7月中旬からの50日間で、いっぱい花が咲き散っていきました。もったいないけど、食用に保存するには手間がかかるし冷凍庫も満杯。栽培方法も利用の仕方も、もっと工夫が必要なのですが。。
4日の放課後、生徒さんたちが鋏を入れました。彼女たちは明るく素直で屈託がありません。物怖じしないし、剪定鋏の扱いにも慣れてきて手際よく(男子より大胆に)切って、どんどん作業が進みました。
10月には近くの小学校の児童さん百数十名がバラの見学に来る予定だそうです。
こことは別に50株ほどのバラがあるのですが、「食べられるバラもあるんだよ」というのをテーマにしようかという話もあり、見学日に咲いてないと拙いので、私としては責任重大。すべてを、「秋の剪定」ではなく「エンドレス剪定」でやるつもりです。
小学生が大勢見学に来るのはとても楽しみ。でも、私の孫娘も小学2年生ですが、バラにはさほど興味を示しません。小学生への対応は高校生がして私は裏方なんですが、小学生が喜ぶように準備するにはどうしたらいいのでしょう? 私の役割はその日にできるだけ多くのバラを咲かせることかな。バラを喜んでくれるのかちょっと心配なので、ピーターラビットでも置きましょうか(笑)。
食用バラの栽培 安全へのこだわり
*註:化学農薬や化学肥料は使いませんが、有機JAS(日本農林規格)に適合する「重曹」と「エコピタ」が成分の「デービッド丸 そら型」は使います。食用ですから「ニームオイル」は使いません。今年はこれまでに3回、1番花の前後と2番花の終わり頃に撒布しました。一時期、部分的にウドンコ病が出て、黒点病も夏はかなり出ましたが、有機JAS適合資材でも、できるだけ(特に開花期は)使わないようにしています。
使用している肥料は、100%天然有機素材(動物の糞尿はいっさい使用せず)から、「超高熱発酵製法」で作られた「土の薬膳」です。これは九州大学農学部・大学院の金澤教授が研究・開発されたHT菌によって約90度で高温発酵しているので、大腸菌などの病原菌が消滅しています。「土の薬膳」には、残留農薬やダイオキシンなどの有害物質を軽減する効果も確認されており、その検証データも入手しています。
化学肥料を使ってももちろん危険性などありませんが、無農薬・有機栽培で野菜を作ると「味」がまるで違います。これは確信を持ってそう言えます。バラも同じではと思っていますが比較対象がありません。
6月上旬にデービッドさんが来校されたとき、この花壇の生育具合を見て『とてもいいね!』と感心していました。その頃はまだ黒点病が出ていなかったので(笑)。現状では有機JASに適合する黒点病対策や害虫対策が必要なんですが、「食用バラ」となるとどういう人が口にされるかわからないし、迂闊なことはできません。 収穫量より何より、安全が最優先 の栽培です。
知り合いの「切りバラ」栽培農家さんに『食用バラのオーガニック栽培はとても難しいんでしょうね』と尋ねられます。プロの栽培者にそう言われて私はいつもクスッと笑ってしまいます。実際は 逆 なんです。切りバラと食用バラ、それぞれに求められる「品質」を考えると、逆 という意味がわかります。
切りバラ栽培では花にも葉にもひとつの汚点も許されませんが、私(たち)が栽培している食用バラに求められる品質は、「安全 清潔 新鮮 色(発色) 香り 味(雑味がないこと)」です。これらの条件を満たせば、例えば葉に少し害虫の食害痕があったとしても、それはさほど問題ではありません。私には(農薬を使用せざるをえない)切りバラ栽培のほうがよほど難しそうに思われます。
「デービッド丸 そら型」を定期的に撒布すれば黒点病の発生も軽微ですんだのかもしれません。私の悪いクセで、例えばデービッドさんにほめてもらうと、もうそれで安心してしまって、その後は一度撒布しただけ。倦むこと無く続けることが栽培のキモだとしたら、私は不適なのかも。そんな自分はどうやったらリセットできる?
HT 秋の剪定9月5日
今日も最高気温が30℃を下回り、今年は秋が早く来るのでしょうか。午前中に昨日とは別の場所にある花壇の剪定をしました。私はここの栽培を担当していますが、あまり手のかからない("手抜き" しているとも言える)花壇です。午前11時の気温は25℃で、さほど暑くもなく助かりました。
この花壇は幅60cm長さ15mで、120cm間隔に15株を植えています。南東に面し西日と強い風を避けられるので、生育は順調です。ここは駐車スペースとバス停があるので前にはあまり張り出せないし、後は壁面という難しい条件があります。
バス停の前なので、ここもオーガニック栽培です。肥料は「土の薬膳」で、今年の「デービッド丸 そら型」の撒布回数は2回です。ということは、黒点病もハダニもそれなりに発生しているのですが、化学農薬を散布するよりはいいと思っています。
品種はCLもFLもありますが、多くはHTです。これらを剪定しました。HTの剪定は簡単なので楽しいです。ポリアンサの剪定は面倒で嫌い(笑)
要らない枝を間引き、屋内から秋の花が楽しめる高さを意識して、春2番の開花枝を中間よりやや上で切ります。通りがかりの人が『そんなに短くするんですか』と心配げに声をかけてきます。
今日は私一人の作業です。途中で「栄養ドリンク」(笑/私のことをよくご存知で)と冷えたお茶の差し入れがありました。ありがとうございました。3時間ほどで作業終了。写真は2枚とも作業終了後です。
間引いた3番の開花枝を「水挿し」にしました。このブログでは、「水挿し」に関するページ へのアクセスが少なからずあります。HTの水挿しをもう一度試してみたくなりました。
庭づくりは 表現行為
この花壇にバラを植えたのは2013年の春ですが、その頃の私はまったく未熟で、配色や樹形・樹高は意識したものの、特徴の無い平凡な花壇になってしまいました。ここを良い花壇にリセットするためのポイントは、植える品種が持っている雰囲気と花の色、それらのハーモニー、そして何より ガーデナーの「意図」でしょうか。
上の写真を眺めていると花壇が「ステージ」に見えてきます。ガーデナーはバラの美しさを引き出す演出家でもあるんですね。奥行きが無く無彩色の背景のステージですが、それを活かす植栽もあるのかも。剪定後のこの殺風景な花壇をなんとかするとしたら、宿根草などの混植でしょうか、それとも。。
これまでは生育状態だけを気にしていましたが、今後は少し時間をかけてリセットしていきます。
あわてんぼうのバーバラさんもリセット 9月9日
1週間ほど前の未明、自宅の天井に設置している煙感知器が、けたたましい警告音とともに『火事です!火事です!』と叫びました。
誤動作だったんですが、孫娘たちに恐い思いをさせまいと慌てたバーバラが(寝ぼけ眼で)煙感知器をリセットしようとして転倒。骨折し入院、手術。
手術は無事に終わり、順調に回復に向かっています。今日、バラの栽培を手伝わせてもらっている福岡魁誠高校の生徒さんや先生方から、思いがけない、嬉しいお見舞いが届きました。
お見舞いの寄せ書きのバラのひとつひとつに、この授業に参加している生徒さん31名のメッセージが書いてあります。嬉しいね、バーバラさん。
とんでもないできごとでしたが、みなさんからの心のこもったお見舞いを頂いて、気持ちもリセットできたようです。早く回復してまたバラ畑でみんなに会えるのを楽しみにしています。みなさん、ほんとうにありがとう。
ついでに? そらも リセット
バーバラと私は幸せ者です。 みなさんのおかげです。
それに少しでもご恩返しができるように、私も「リセット」することにしました。 来週から月末までの2週間ほど 別荘に行って、そこできれいで優しい人たちにリセットしてもらってきます。
急なことなのでバラの管理をどうするか心配ですが、出発まであと数日あるので、是非やらねばならないこと(下で紹介する花壇の手入れなど)は片付けておこうと思っています。幸いなことに天候も回復しそうですし。
でも、バーバラがいないと旅支度もままならない。しょうがないから今夜はこのブログを書いています(笑)。
この2年間で私が造園に関わった2つのバラ花壇を、秋の管理作業をしながら見直そうと考えています。この時期に何か植栽作業をするというのではなく、今後より良いものに作りかえていくための「見直し」です。
イングリッシュ・ガーデンを紹介するTV番組を見ていたら、あるガーデナーが『ガーデニングの良いところはやり直しができること』と言っていました。そうですね。すべてが自分の思いのままになるわけではないのですが、やり直しができるのはいいですね。ガーデンは、そのように時間をかけて作っていくものなのかも。
続きは "リセット" をキーワードに、「追記」で展開していく予定です。
四季の花モデル花壇
福岡魁誠高校 イングリッシュローズ・ガーデン
Rose List
- A Shropshire Lad
- Ambridge Rose
- Windermere
- Graham Thomas
- Claire Austin
- Grace
- Comte de Champagne
- The Lark Ascending
- The Alnwick® Rose
- Jubilee Celebration
- Skylark
- Scepter'd Isle
- Teasing Georgia
- Thomas à Becket
- Heathcliff
- Benjamin Britten
- Molineux
- Lady Emma Hamilton
- Lady of Megginch
- Olivia Rose Austin
- Winchester Cathedral
- Glamis Castle
- The Lady of the Lake
- Charlotte Austin
- Susan Williams-Ellis
- Tranquillity
- James Galway
- Crocus Rose
- Lichfield Angel
- Royal Jubilee
- Wollerton Old Hall
- Golden Celebration
- Sakurajima
- 24 Eyes