2012年7月11日水曜日

イラガの幼虫と「デービッド丸」

バラの水挿しの容器を入れているケースの底に害虫のフンらしきモノが。 なんとイラガの幼虫が葉裏に潜んでいました。それも、集団行動をする赤ちゃんではなく、かなり大きく成長したヤツです。刺されなくてよかった。危ない所でした。

イラガの幼虫がいかに恐いか、刺された経験のある人は(私もそうですが)よくご存知ですね。

数日前に作った「デービッド丸 そら型」が噴霧器の底に残っていたので、ハンドスプレーに移して吹きかけてみました。イラガの幼虫にも効果があるのか確認するのが目的です。以下「イラガの幼虫」を単にイラガと略記します。カメラで覗いてその美しい配色に驚きました。

10:02 AM これがバラの葉を喰うイラガです。柔らかい新葉ではなく、水挿しの穂木にしているやや硬くなった葉裏に付いていました。画面左上が食痕で、直線的に齧っています。左が頭部で、頭部と尾部を毒針で武装しています。

今回使用したデービッド丸にはニームオイルが入っていません。重曹、エコピタ、そして神協液肥です。実際に使用する場合と同じような量が降り掛かるように、やや離れた位置からハンドスプレーで2回シュッシュッしました。イラガは驚いて動き始めました。

チュウレンジハバチの場合もそうですが、デービッド丸を吹きかけると急に大きくのたうち始めます。ビックリしているからだけじゃなく、何かをすごく嫌がっているような動作です。でもこれで、見落としがちな幼虫も容易に発見できます。

10:03 AM さて問題は、イラガの全身にあるトゲや体毛が邪魔をしてエコピタが気門を塞げないのではないか?ということです。

しかしこうして写真で見ればそれは心配なかったようですね。エコピタに入っている界面活性剤の効果でしょうか、イラガの全身の表面にかかったように見えます。その量まではわかりませんが。

10:04 AM 葉の表面に付着したデービッド丸が乾き始めました。同時にイラガの動きにも変化が。動く速度が遅くなり、止まって頭を持ち上げる動作が出始めました。

10:15 AM 15分経過。さらに動きが鈍くなり、尾部はほとんど動かなくなりました。体をのけぞらして頭部を左右に激しく振り続けます。口らしきのもが見えています。

かなり苦しんでおり、もはや絶命寸前かのように思えますが、じつはここからイラガの強い生命力を見せつけられました。

頭を振りながらこの状態で1時間が経過。しぶといヤツですね。この日は晴天で、私の方が先にダウンしそうなので室内に持ち込みました。

仕事をしながらも、机の脇に置いているイラガが気になって仕方がありません(笑)。直射光から逃げられたからか、イラガは少し元気を取り戻したかのように見えます。

2:13 PM 4時間経過。気がつくと、イラガは体液を吐き出して力尽きたようにダウンしていました。もはや体をのけぞらせる力は無さそうですが、まだ生きています。回復する可能性は無いと思えたので、この時点で殺しました。

今回使用した「デービッド丸 そら型」には害虫の神経系を壊す毒は入っていません。殺虫効果は、エコピタのデンプンが気門を塞いで窒息させることによると思うのですが、口から体液を吐き出したのにはちょっと驚きました。もしかしたら、それは重曹の水溶液(アルカリ性)の効果なのでしょうか?

ノックダウン効果は無いものの、デービッド丸がイラガの幼虫に対しても有効なのが確認できました。「確認」と言っても僅か一例ではありますが。

7月12日追記
この穂木を採取した株(CLアイスバーグの2年生)をチェックする必要があります。数日前に、この株の混み過ぎたベーサルシュートを整枝したばかりなんですが、迂闊にも異常に気がつきませんでした。

チュウレンジハバチも含めて、これらの幼虫は羽化する前に繭を作ったり蛹(サナギ)になったりするのでしょうか? イラガは蛾ですからそうだろうと思うのですが、それらしきものを見たことがない(知らない)です。

検索してみました。「K's Natural Living ~花のある暮らし~」から「イラガの変身

なるほどね。吐き出した黄色の液体は繭作りの材料だったんですね。悶絶する間際に最後の手段として繭を作ろうとしたのでしょうね。繭を作る「終齢幼虫」になるまではもう1回は脱皮が必要なように見えますが。。そうと知ればなんだか哀れに思えてきます。ナムアミダブツ

チュウレンジハバチも繭を作るのだそうです。情報源:「幼虫図鑑」から「チュウレンジバチ

イラガの繭は見た記憶がありませんが、チュウレンジハバチの繭は見たことがあるような気がします。貴重な情報ありがとうございます。これで2種類の害虫の<>がわかりました。今後は繭退治にも留意します。イラガの繭は見てみたいです。まるで「スズメのたまご」ですね。あの駄菓子の「スズメのたまご」。

2012年7月1日日曜日

バラの 水挿し −3

6月3日に投稿した「バラの 水挿し −2」で書いたように、バラサークルのMさんから預かったHT品種の枝を6月1日に水挿しにしました。それから1ヶ月が経過しました。その様子をレポートします。

バラの水挿しの発根

バラの 水挿し1ヶ月後

左の写真は6月1日に投稿した写真と同じ挿し穂です。

今日7月1日では、どの挿し穂も1枚の葉も枯れることなく(変色すらせず)、カルスの一部が「根」になり始めています。しかし「芽」が動き始めたのは1本の挿し穂のみです。

この他にも幾つかの品種を水挿しにしています。そのほとんどが不要なベーサルシュートなど、未熟な枝を挿し穂にしたものですが、葉が黄変し落ちたものもあります。でも、それでもしっかりカルスができているものもあって、一概に『こうだ』とは言い切れない状況です。

葉の黄変は気にしない

以下は想像ですが、バラ(植物)は賢くて、自分の今の状況(環境や内部に蓄えている養分)を判断して、もし養分が不足すると思ったら積極的に葉の養分を茎に移して、それを発根や発芽の材料やエネルギーにするのではないでしょうか。その結果、葉は黄変して落ちますがカルスの形成は(むしろ)早いような気がします。

中には、葉が黄変して落ちてもカルスができない(同じ品種の)挿し穂もあります。これは、基部の調整ミスや雑菌のせいでなければ、それだけ枝が未熟だったのでしょう。

Mさんの枝のような、私の枝よりも比較的しっかりした挿し穂は、葉の養分までも使う必要はないのだろうと思います。カルスの形成はややスロー(10日遅れて水挿ししたモスローズのカルスはこれより大きい。でも葉は枯れて落ちた)ですが、でもたぶんこれからの成長は早いのではと思います。

成否は穂木の品種と充実度

左の写真2枚目の茎の断面を見ると木質部が未発達ですね。緑枝挿しの場合、成否は穂木の充実度(木質部の有無という意味ではない)にかかっていると思うので、穂木の採取時期とその部位を慎重に選んだ方が良さそうです。

何度も紹介していますが、"The Difference Between Own Root and Grafted Roses" (YouTubeビデオ)の4:20から始まるシーンで、ポールさんは実に簡単に挿し穂を調整しているんですけどね。適切な充実度の穂木なんでしょう。私みたいに「不要なベーサルシュート」ではこうはいかないようです(笑)。

ポールさんの場合は水挿しではありません。挿し穂は2節で調整、残す葉柄は1本、葉は2枚程度のようですね。1ヶ月経過した2つの事例の大きな違いは「根」です。ポールさんの場合はすでにしっかりした "root ball" ができています。やはり水挿しは発根まで時間がかかるのでしょうか。

2013年2月追記
この水挿しのその後の経過は、2013年2月8日の記事「バラの 水挿し −4」をご覧ください。

ミリオンAにも注意

ところで。
今シーズンの全ての水挿しには「 "ミリオンA" を使っていますが、厳寒期とは異なりこの時期は水の腐敗に注意が必要なようです。僅かにでも水の透明度が落ちたら要注意。挿し穂の基部を触って「ヌメッ」としたら雑菌が蔓延っているのでしょう。この場合、そのままにしておくと挿し穂の基部から艶のある黒褐色に変わっていきます。表皮よりも内部の「髄(ずい)」で、より急速に雑菌が繁殖していきます。

「水挿し」なのに水が上がらず枯れる原因は2つあって、ひとつは導管内に空気が入った場合。もうひとつは雑菌が導管内に繁殖して塞いでしまう場合です。これらの場合は茎が黄変して挿し穂がゆっくり枯れていきます。
導管内に空気が入るのを防ぐには、採穂後すぐに水に入れ、「水切り」をします。

挿し穂に雑菌が付いていたり(例えば、切った枝を一時的にでも汚れた水に挿していたり)、土などが入ったりすると水質が悪化しやすいようです。ミリオンAを入れているからと油断できません。ミリオンAは水を浄化する効能はあるものの、殺菌剤ではない(メーカーによれば "静菌作用" )ですからね。水質悪化に気づかず、それで数本枯らしてしまいました。私の環境では1週間から10日ごとに水を交換する(同時にミリオンAを追加投入する)のが良さそうに思えます。

追記:その後の水挿しの経験から「1週間から10日ごとに水を交換する」では交換の頻度が少な過ぎます。ミリオンAの有無にかかわらず、できるだけ頻繁に水を交換する方がベターでしょう。その理由は水の「溶存酸素量」です。具体的なデータを持っていないので推測の域を出ませんが、水挿しの観察から今はそう考えています。

オスバンSも忘れずに

挿し穂の基部ではなく上部から枯れ(腐敗)が進んだものも少しありました。たぶん剪定鋏から雑菌(腐敗菌)が伝染したのでしょう。"オスバンS(逆性せっけん/ベンザルコニュウム塩化物液)" を使っての剪定鋏の消毒はけっこう頻繁にやってるつもりなんですが、こういう肝心なところでドジをします(笑)。
より重要なのは作業全体にわたって「清潔」を保つことですね。

ALGOFLASHも使ってみる

7月4日追記:もし穂木が未熟で葉が落ちるのなら、養分を補給するために「切り花活性剤」を入れてみたらどうなんなんだろう?と思いつき、 "ALGOFLASH" を入れてみました。それには水の腐敗防止の他に養分補給の効能もあります。

ミリオンAとの混用です。ところが15分過ぎても水が白濁したまま。
『あれっ、ALGOFLASHはミリオンAと相性が悪いのかな?』
・・なんとALGOFLASHと液体せっけんを取り違えて入れていました。容器の形状が似ているので、寝ぼけ頭には区別がつきませんでした。ドジ X ドジ。

開花枝を挿し穂に

今後は未熟なベーサルシュートではなく、夏剪定で切るであろう開花枝を挿し穂にして、幾つかの品種を試してみようと考えています。
バラの緑枝挿しはポールさんのようにちょいちょいと簡単にやってのけたいものですが、幾つドジを重ねるとそうなれるでしょうか。

2012年6月30日土曜日

バラの交配 初めの一歩

かのやバラ園で開催されているデービッドさんのガーデニング講座(1泊2日で来年3月まで全7回) "2012 Gardening with David" で、私が最も楽しみにしているのは「バラの交配について」というカリキュラムです。

デービッド・サンダーソン

『交配の技術は難しいことではありません。大切なのは、作りたいバラの交配親の系譜を調べることです』というアドバイスと、その参考になる書籍の紹介がありました。右下の2冊がそれです。どちらも充実した内容です。

バラ大百科」は内容豊富で楽しめます。これには、河合伸志さんの「夢のバラを思い描いて 交配とタネまき」という3ページにわたるコラムがあって、バラの交配のおおよその手順がわかります。

右の「オールドローズと現代バラの系譜」は労作。オールドローズ・ファンや交配をめざす人には必携の一冊でしょうか。

デービッド・サンダーソン

デービッド・バークレイ・サンダーソンさん

「バラ大百科」と「オールドローズと現代バラの系譜」

デービッドさんが右手に持っている本は「ナチュラルガーデンを作る宿根草」(別冊NHK趣味の園芸)です。かのやバラ園のイングリッシュローズ ガーデンでは、かなり大規模に宿根草の植え付けが進んでいて、これが出来上がるのがとても楽しみです。宿根草の植栽もこの講座の大きなテーマですから、いずれご紹介できると思います。

交配のテーマをきめる

さて、バラの交配で私が選んだテーマは;

高温多湿に弱いERの「サマーソング」を(あの色を持つバラを)九州でもきれいに咲かせたい。そのために、交配の相手は暑さにも強い、同じくERの「メアリーローズ」を選ぶ

というものです。でも、私はメアリーローズを持っておらず、鹿屋にはサマーソングが無いので、花粉親になるサマーソングを鹿屋まで運ばなければなりません。次回の講座は9月上旬なので、交配の時期としては遅すぎる?と思うし、たぶんその時期に私のサマーソングは咲いていないだろうと思います。

今2番花が咲き始めたのですが、それを届けるためだけに鹿屋まで片道6時間のドライブはちょっとつらいものがあります。

あるいは花粉を採集してビンに詰め「クール便」で送ればいいのでしょうか。いや、誰かにやってもらうのではなく自分で交配させたいんですよね。

種子親を「メアリーローズ」にこだわらず、暑さに強い他の品種に変更すれば、なんとかなるかもしれません。

ここで前掲の2冊の本の出番です。自分が栽培しているバラの中で、サマーソングと時期を同じくして咲く元気なバラを見つけ、その系譜(交配親)を調べて、特性を知る。

手持ちの品種が多いわけではないので、その条件に合うものを見つけるのは容易ではないかもしれませんが、楽しい作業になりそうです。サマーソング X メアリーローズ という一見もっともらしい組み合わせではなく、そのときに咲いているいろんな品種に花粉をくっつけてみるのもおもしろいかも。でも、これは完全に「系譜」無視ですが(笑)

バラの栽培でいちばん楽しいこと

デービッドさんに、『バラの栽培でもっとも楽しいことはなんですか?』と質問したら、「交配してできたタネを播種し、それが発芽して育っていくのを見守る時です」という答えが、見守る様子の再現(少年みたいでかわいかった)とともに返ってきました。わかるような気がします。

バラのシベ

シベを観察するために試しに花弁を取り除いたHTの「ダーク・ベルベット」。3年程前に野瀬農園さんで育った苗で、上の写真とは関係ありません。
きれいですね。しかもメシベとオシベの区別が明確なので交配作業がしやすそうです。私は知らなかったのですが、シベの形は品種によって様々なようですね。

デービッドさんはシベを指で触ってその「粘り気」で成熟度を確かめているようでした。

バラの実生苗の定植

先日、栽培品種の実生苗を100本ほど畝に定植しました。T芽接ぎのためのノイバラ台木の実生苗も200本定植しました。いずれも植え痛みが出てちょっと心配しましたが。

でも(実生苗作りで幾つか反省点はあるものの)、ローズヒップの採取から播種そして育苗と一通り経験したので、おぼろげながらもバラの交配手順の全体像が見えてきました。新品種の作出(その過程)を楽しむことはビニールハウスが無くてもできそうな気がしています。

2012年6月10日日曜日

デービッド丸 3型

有機JAS適合資材で作るバラの殺菌・殺虫剤「デービッド丸3型」の処方と、それを自分なりにアレンジした「デービッド丸そら型」を紹介します。3型はそれまでの「マシン油乳剤」に替えて有機JAS適合の殺虫・殺菌剤「エコピタ 液剤」を使います。

「マシン油乳剤」には、原材料になるマシン油に不純物(添加剤)が含まれていることがあり、それが薬害を引き起こすきっかけになるという記事を読んだことがあります。実際に、デービッド丸 1型を使ってマシン油乳剤が原因と思われる薬害(葉焼け)が出たという報告がありました。私もそうでした。私の場合は古いマシン油乳剤を使ったのが悪かったと思います。

そのような予想外のケースや希釈倍率のミスによる事故を避けるために「 デービッド丸3型」処方になったそうです。

デービッド丸3型を説明するデービッドさん

マシン油乳剤を使うこれまでの処方や効果・薬害などについては2012年6月1日の記事:「デービッド丸 2型」をご覧ください。

エコピタ 液剤

エコピタ 液剤」は還元澱粉糖化物(食品)が有効成分で、有機JAS適合資材です。見た目は無色透明の "液体糊" あるいは "水飴" そっくりで、舐めてみると水飴のように甘い味がします。薄い水飴と言ってもいいのでしょうか、界面活性剤は入っていますが。

関連情報

還元澱粉糖化物液剤の製品特性と施設園芸作物での使用場面」 農畜産業振興機構

エコピタ 液剤の作用や特徴が、「総合的病害虫管理(Integrated Pest Management)」と関連づけて、わかりやすく具体的に説明されています。

デービッド丸 処方

デービッド丸 3型

水 1000cc
重曹 10グラム 下記の「重要:重曹の濃度」を読んでください。
エコピタ液剤 10cc(100倍)
ニームオイル 2cc(500倍)

尿素 5〜10グラム

デービッド丸 2型

水 1000cc
重曹 10グラム
マシン油乳剤 5〜10cc(200〜100倍)
ニームオイル 2cc

尿素 5〜10グラム

デービッド丸 1型

水 1000cc
重曹 10グラム
マシン油乳剤 5〜10cc(200〜100倍)
ニームオイル 2cc

製品安全データシート

使用するにあたっての留意点

以下はデービッドさんの指導・指摘そのものではなく、それを基に私が経験したことがらに、バラサークルメンバーの使用結果を加えたものです。

  • 使用する時期や天候あるいは時間帯、散布方法と量、そしてバラの生育状況、前回も使用していればその結果に応じて、希釈率を変更してください。
  • バラは品種によって、あるいはその生育ステージによって、薬剤に体する感受性が異なることを忘れないようにします。
  • 予防のための散布は、細かな霧が葉の両面にくまなく付着するように撒布します。
  • ウドンコ病の発生初期には、洗い流すようなつもりでやや多めに散布するとすぐに消えますが、翌日には再発します。1回の撒布だけでは不十分です。使用回数の制限はないので繰り返しの使用で、徐々に菌密度を下げていきます。
    ただし(当然のことながら)ウドンコ病が進行して葉色が灰色になった病変部位の治癒はできません。
  • ウドンコ病や灰色カビ病の病原菌に対する殺菌効果は、ホームセンターなどで販売している化学農薬と同じく、さほど顕著ではありません。病原菌の菌糸の伸長や胞子の拡散を押さえる程度です。黒点病に対しても同様です。
  • 尿素入りの処方は株が弱ったときに使用するためのものです。これの多用と尿素の高濃度(10グラム/リットルはやや高濃度)には注意。株が元気ならば、尿素(や液肥)を混ぜる必要はありません。
  • 黒点病が発生している場合の「有機液肥」の葉面撒布は菌の活性を助長するようです。液肥の葉面撒布はやむを得ない場合に限定すべきでしょうね。
  • アブラムシ、ハダニ、チュウレンジハバチとイラガの幼虫の駆除は重曹とエコピタの併用で可能ですが、スリップスの駆除は難しいというのが実感です。撒布の方法や回数が問題なのかもしれません。
  • デービッドさんによれば、この処方は成分が安定しているので必ずしも当日に使いきる必要はなく、翌日でもOKとのことです。

処方を公開することはデービッドさんのご了解を頂いていますが、ご使用にあたっては「自己責任」でお願いします。

2014年追記:重要:重曹の濃度

重曹(炭酸水素ナトリウム)を使った有機JAS適合農薬に「ハーモメイト水溶剤」があります。これはバラの「ウドンコ病」と「灰色カビ病」に適用があるのですが、指定の希釈倍数は800倍です。ハーモメイト水溶剤は、重曹80% +トリポリ燐酸ナトリウム10%に、10%の油脂・界面活性剤を加えたものですから、成分はほぼ同じと考えて差し支えないと思われます。これに較べデービッド丸の希釈倍数は100倍なので、高濃度による薬害が心配されます。

この2年間、私は家庭用の重曹やハーモメイト水溶剤を希釈倍数約300倍(3グラム/リットル)で使用しています。
300倍ではどのバラの品種・時期でも薬害が出たことはありません。所定濃度800~1000倍を厳守する、あるいは使用しない注意が必要なのは、例えば「ニガウリのある特定の品種」だそうです。バラも品種や生育ステージ、気温によって「感受性」が異なりますので、まずは安全と思われる800倍程度で使用して様子をみてください。
情報源:ハーモメイト水溶剤のチラシ

2015年4月追記:重要な変更「ハーモメイト水溶剤は、300倍ではどのバラの品種・時期でも薬害が出たことはありません」と書いていますが、発芽したばかりの接ぎ木の新芽に薬害が出たのでは?と疑わしい事例がありました。これはそのような新芽に撒布したのではなく、隣にあった成株にアブラムシが発生したのでその防除のためにエコピタ液剤と混ぜて撒布したハーモメイト水溶剤がかかってしまったという事例です。

これだけで薬害とは断定できませんが、このような予期せぬ事態に備えて、ハーモメイト水溶剤の希釈倍数はやはり800倍にすべきかと思います。もしかしたら、300倍でも800倍でもその効果はさほどの差はないのかも?しれません。

デービッド丸 そら型

私は現在「デービッド丸3型」の基本はそのままで、重曹の希釈倍率を300倍(800倍に変更)に、尿素を液肥に替えた「デービッド丸 そら型」を使っています。

デービッド丸 そら型

水 1000cc
重曹 または ハーモメイト水溶剤 3グラム(約300倍) 変更ーー>1.25グラム(約800倍)
エコピタ液剤 10cc(100倍)

アビオン - E 2cc(500倍)

ニームオイル 2cc(500倍)
液肥(神協液肥N4号) 2cc(500倍)*ニームオイルと液肥は状況に応じて使用

界面活性剤を含む「ハーモメイト水溶剤」ではなく、家庭用の重曹を使うときには「アビオン - E」を加えています。
これはパラフィンを主成分とし日本農林規格(有機JAS)に適合した展着剤です。デービッド丸 3型の「エコピタ液剤」には展着剤が含まれていますから家庭用の重曹でも展着剤を加える必要はないのですが、雨の多い時期には重曹の効果を守るのではと期待しています。実際はどうなのか、これは比較テストをしていないのでよくわかりません。

「デービッド丸 そら型」の効果

ハンコが必要な化学合成農薬を使うか、有機JAS適合農薬にするか、あるいはいっさいの農薬を使わないか、それは栽培者の判断ですね。私は花壇の一部に「食用バラ」を栽培しているので、「デービッド丸 そら型」以外の農薬をほとんど使いません。したがって自分の栽培事例で「デービッド丸 そら型」の効果を他と比較することができません。

重曹・ハーモメイト水溶剤・エコピタ液剤・アビオン−Eは いずれも有機JAS適合ですが、有機JAS適合といえども「農薬」の使用はできるだけ避けたくて、撒布(噴霧)は不定期に年間7〜8回程度、いわゆる「予防的な定期撒布」ではなく、アブラムシの発生が見られるときなどに被害株とその周辺に使用しています。年間を通してまったく撒布しない株も多数あります。

福岡県内外のバラ園では病虫害がほとんど出ていないところもありますが、管理者のお話を聞いてみると週一回の予防的撒布が欠かせないようで、ローテーションに組み込む薬剤の中にはハンコが必要なものも含まれるそうです。そのようなバラ園で使用されている薬剤と「結果」を比較すると、「デービッド丸 そら型」の効果は低いと言えます。特に「黒点病」に対しては(もともと適用対象ではないのですが)この処方では限界を感じています。しかし『秋には葉が落ちてしまって丸裸』といったほどではなので、病原菌の拡散を押さえるそれなりの効果はあるのでしょう。

「デービッド丸 そら型」の 秋の実例

2015年10月26日 追記 これは福岡県立 福岡魁誠高校の花壇です。バラジャムなどを作るための栽培なので、収穫期を避けて4月・6月・7月に各1回の計3回「デービッド丸 そら型」を撒布した花壇の、10月26日の状況です。

夏は黒点病も出て、現在はチュウレンジハバチの幼虫もナナホシテントウもカマキリもいます。ほぼ毎日、満開前の花の収穫をしているので写真に写っている花数は多くはありませんが、作柄は「並」です。関連記事は「リセットの9月」および「美しい10月」をご覧ください。

バラの病気の「治療薬」は無い

あるとき、知人の雨避けハウス内で栽培されている大量のバラにウドンコ病が激発してしまい、その防除作業の応援に2週間ほど通ったことがあります。「デービッド丸 そら型」や「カリグリーン水溶剤」、あるいは「サンヨール」、「パンチョTF顆粒水和剤」などの化学農薬をローテーションで撒布したのですが、その時の印象は『デービッド丸も他の薬剤も同じ。ほとんど効かない』というものでした。

最終的には(季節の変化もあって)目立つウドンコ病は消えたのですが、何が効いたのかよくわかりませんでした。たぶんどれも(それなりに)効いたのでしょうね。

『ホームセンターで販売しているような農薬はバラの病気には効かない』という話は何度か聞いたことがありますが、たぶん「デービッド丸 そら型」も似たようなものでしょう。アブラムシやチュウレンジハバチの幼虫に効果があるのも他と同じようなものです。

私のバラ花壇には黒点病もあるし(ウドンコ病は、風通しの悪い密植畝に出るか購入苗に付いてくる程度でほとんど無い)、チュウレンジハバチの幼虫もその時期にはいますが、撒布しながら『まぁ、こんなものか』と納得しています。「デービッド丸」の最大の効果(特徴)は 使用にあたっての安心感 でしょうか。

撒布回数は少ないものの「デービッド丸」の効果なのか、私のバラの病虫害は少しずつ減っていると感じています。

2012年6月3日日曜日

バラの 水挿し −2

少量のバラの挿し木をするには「水挿し」が手軽です。発根するまでに1ヶ月、場合によってはそれ以上かかります。水挿し成功のポイントは「溶存酸素量」なので、その間の水の交換を厭わなければまずまずの成功率になります。カルスの生成や根の成長を観察する楽しみもあります。

今年1月のバラの挿し木は、栽培品種で50%(120/240本)の活着率、台木用のノイバラ160本とスターダード用台木を作るための挿し木48本は、共に活着率100%を達成しました。

この6月の「緑枝挿し」シーズンは「水挿し」を試してみようと思っています。仕事と畑の作業で手一杯で、挿し木畝を立てるのが億劫なもので。実用目的ではないので「お手軽」優先です。

バーバラさんの「水挿し」 その後

写真左は2月8日に挿した「水挿し」の4月22日の様子です。
これは4月25日に投稿した バラの「水挿し」 ですでに紹介しました。

その後2週間が経過し、根が伸びて根量も増えています。鉢上げのタイミングですが、バーバラさんはなぜかあまり嬉しそうではありません。水挿しした品種はすでに何本も植えていて『もうこれ以上は要らないね』というものだし、別のものは『誰でも育てることのできるマチルダ』と言われたことがショックだったようです(笑)。

それで、挿し穂の太さが2mm程だった「ホットココア」と "とりあえず" の「マチルダ」だけが鉢上げされました。

6月3日現在、鉢上げした「マチルダ」は葉が枯れかかっています。
これはたぶん葉柄ごと落ちるでしょう。でも、私はそれでいいと思います。その後に新芽が出てくるはずです。

ほらね。よく見ると、新芽が見えるでしょう。
『"誰でも育てきるマチルダ" を私は育てきらんのかと思っていた』
とバーバラさん。だいじょうぶですよ。

「ホットココア」は、葉が落ちることなく なんとか頑張っています。この違いが何なのかわかりませんが、葉が枯れ落ちてもその後に新芽が出てくるのは、これまで何度も経験しました。畑の畝に挿してもそうですから、鉢上げの上手・下手は関係ないと思います。

そらの「ロックウール挿し」

ロサ・オドラータのロックウール挿し

4月21日に「ロサ・オドラータ」を4本 ロックウールに挿しました。
4月25日に投稿した ロックウールを使った バラの挿し木(2) をご覧ください。

ところが、5月3日にはそのうち1本が枯れ始めました。上の写真で、左から2本目の挿し穂です。

原因は特定できませんが、使い古しのブロックだったので 腐敗菌が侵入したのかもしれません。2週間でブロックの色が変わっています。
雑菌(あるいは藻類)がいる証拠ですね。

なんとか1本は成功させたいので、安全のため「水挿し」も始めました。「珪酸塩白土」(商品名:ミリオンA)を入れています。

バーバラさんの「味付たこ」の箱が空いたので、それを使っています。この上に、薄手のビニール袋をルーズに被せています。

ロサ・オドラータ水挿しの発根

「発根するまで時間がかかるかな』と思っていましたが、1ヶ月もかからず発根し始め、6月3日現在では根の長さが10cmを超えました。ロックウールに挿したものも同様ですが、水挿しの方がやや長いでしょうか。

1月の「休眠枝挿し」では 発根する前に発芽します。でも今回は逆ですね。芽が動く様子はまだ観察できませんが、これももう鉢上げの時期でしょうね。地に植えたら、もしかしたらバーバラさんの「マチルダ」のように、葉柄ごと葉が落ちるかもしれません。

HT品種の水挿し

HT品種の水挿し バラHTの水挿し

バラサークルのMさんから2本の枝を預かりました。良好な生育状態のHT品種です。2節あるいは3節で切り分けて、これも「水挿し」です。

ロックウール挿しも試したかったのですが、適当なものを入手できませんでした。「ロサ・オドラータ」が水挿しで好調なので、あえてロックウールに拘る必要もないかと思います。ミリオンAは入れていますが、今回の一連の水挿しはオキシベロンなどの発根促進剤は使用していません。

挿し穂は半透明プラスチックの箱に入れています。フタをややずらして、「密閉ではないけど、ある程度の湿度は保つ」という状態で、明るい窓辺に置いています。

葉がやや大きいかもしれませんが、切り花栽培農家が『挿し穂の葉は必ず付けておく』とされる理由を考えながらのテストです。

その他に、台芽が伸びた「ロサ ラクサ」も水に挿しました(写真はありません)。しかしこれは若い枝で、しかも2週間も水に浸けて放置(水質悪化)していたのでダメかも。

「水挿し」は "手軽さ" がいいですね。「ミリオンA」があれば手間要らずだし。オールドローズやイングリッシュローズをメインに、もう少し品種を増やして試してみようと思います。

2013年2月追記:この水挿しのその後の経過は以下の記事をご覧ください。
2012年7月1日「バラの 水挿し −3」  2013年2月8日「バラの 水挿し −4

2012年6月1日金曜日

デービッド丸 2型

2月4日のデービッドさんの講習会で紹介されたバラの病害虫予防のための「デービッド丸1型」(通称)は「重曹」を主成分とする処方で、粕屋町バラサークルのメンバーの多くが使用していて、好評です。かのやバラ園で開催されているデービッドさんのガーデニングセミナーで、尿素を入れた処方「デービッド丸2型」を作る実習がありました。

デービッド丸に使う農薬 ニームオイル

デービッド丸 2型

  • 水 1000cc
  • 重曹 10グラム
  • マシン油乳剤 5〜10cc(200〜100倍)
  • 尿素 5〜10グラム(200〜100倍)
  • ニームオイル 2cc ※使用量は製品(アザディラクチンの含有量)によって多少異なる

「デービッド丸」 や 「2型」などという名称は粕屋町バラサークル内の通称で、デービッドさんご自身はそういう名称は使用していません。
処方を公開することはデービッドさんのご了解を頂いていますが、ご使用にあたっては「自己責任」でお願いします。

注意点

  • この2型処方は何らかの理由で葉が痛んでいるときに使用します。使用するのは原則として6月以降、芽吹きの時期(4月)には使用しません。
  • 噴霧は日中を避け、作った日に使いきること。
  • 2リットルのペットボトルで1L作ると撹拌が容易ですが、その場合はペットボトルのラベルを外し注意を喚起する表示をしておくのが重要だとのこと。万が一、子どもが「カルピス」と間違えると大変です。デービッドさんが子どもの頃、コーラの空き瓶で何かの液を作ったら、そうとは知らないお父さんが誤飲してぶん殴られたと笑ってありました。

デービッド丸の効果

私のバラは過去3年間植えっぱなしの放任(無肥料・無農薬)だったので、黒点病とチュウレンジバチの被害で無惨な状態でした。今年はデービッド丸を使っているので被害はほとんどありません。

黒点病は、たぶん噴霧し忘れたのだろうと思われるごく一部(約200株のうち数枝、葉数で10~20枚くらい)に発生が見られる程度です。噴霧後には被害は拡大していません。

ウドンコ病は私のバラ園では発生していません。苗床の一部で出ましたので噴霧しましたが、効果はよくわかりません。被害の拡大はありませんが、白っぽくなった被害葉の色は回復していません。ウドンコ病の"治療効果"は無い?ように思えますが、菌は死んでいるのだろうと楽観的に思っています。

6月1日追記:台木用のノイバラの挿し木苗床に発生したウドンコ病は、楽観的な期待とは逆に残念ながら被害が拡大しています。あまりにも枝葉が茂りすぎて、噴霧が不充分だったのかもしれません。

6月4日追記:1日の夕刻、すっかり暗くなった畑で、ウドンコ病が出た挿し木苗床に「デービッド丸 そら型」(尿素の代わりに葉面散布型液肥を入れたもの)を散布しました。今日4日朝、状況を見に行くと『おっ!?』と思う程、被害が少なくなっていました。被害が拡大するのは止まりましたし、ウドンコ病の"治療効果"もあるのかもしれません。

チュウレンジハバチの幼虫は僅かに発生しましたが、デービッド丸を噴霧するとのたうち回り、翌朝には姿が消えていますので駆除効果もあるようです。これは「マシン油乳剤」の効果なんでしょうね。

アブラムシは新芽にくり返し発生しましたが、これも噴霧翌日には姿が消えています。どちらも少量ながら繰り返し発生しますので、この2種類への予防効果はさほど強くない(継続しない)ように思えます。

近所の、デービッド丸を使用していないバラサークルのメンバーのお庭も拝見しましたが、そこでは黒点病とチュウレンジハバチの被害が出ていて、あらためてデービッド丸の効果を実感しました。
今日はサークルのメンバーが畑に遊びに来られましたが、バラの葉の色つやの良さをほめてもらいました。肥料(EMボカシ・鈴木ボカシの鶏糞のカス・パワフルアミノ)の効果はもちろんあるでしょうが、デービッド丸も効いているのだと思います。

デービッド丸を使った場合の 薬害(葉焼け)

サークルのメンバー2名から相談がありました。でも、よく話を聞いてみるとその原因は希釈率の間違いと撹拌不足だったようです。特に「マシン油乳剤」が濃すぎると葉の周辺が焼けるようです。
私も失敗しました。それは柿の害虫退治のために何年も前に開封した古~いマシン油乳剤を使ったのが原因(古くて"乳剤"ではない状態になっていたから)です。容量5Lの電池式噴霧器を使ったのですが、分離して浮いていたマシン油に気づかず、タンクが空になる直前にそれが集中的に噴霧されてしまったのです。

葉面散布液肥と液体せっけん

デービッド丸2型は「尿素」を使います。これも濃いのはちょっと恐いですね。「4月には使うな」というのは、マシン油乳剤の影響と併せて、そういうことだと思います。でも、5月19日に2型を4L噴霧しましたが、新芽にも肥料焼けなどは起きませんでした。今回の視察会で私はスワ肥料店から「神協液肥N4号」という海藻エキス(多糖類・アミノ酸・ミネラル・ビタミンなど)入り葉面散布液肥を購入しました。「尿素」の代わりにこれを使おうと思います。

マシン油乳剤」は農薬ですから、これに代わって「液体せっけん」の使用を考えています。芽接ぎ勉強会の場でデモをした「重曹クリーナー」でもこれを使いましたよね。さて、マシン油乳剤の代わりに液体せっけんが使えるでしょうか。

追記:デービッド丸 3型処方があります。マシン油乳剤に代わって、有機JAS適合の「エコピタ液剤」を使用します。液体せっけんの必要性はなくなりました。デービッド丸を試用される場合は、この3型をお勧めします。

2012年5月1日火曜日

バラ 切り接ぎ後

切り接ぎしたバラ苗の「植え付け」について、2つの事例を紹介します。

 
これはあるバラ園のバックヤードにあるビニールハウスの中。切接ぎされたバラ苗がぎっしりと植え付けられています。撮影は2月中旬で、植え付け後数日の状況だと思われます。「仮植え」なのかもしれません。

このバラ園は京成バラ園芸の苗を植えていますから、ここで養成されているものは「新苗」として来園者への販売用なのでしょうか、品種は「シュネービッチェン」や「グラハムトーマス」など、PBR保護期間が過ぎた定番のものでした。

ビニールホースの太さと較べると株間や条間の見当がつきますが、かなりの密植状態ですね。一部に台木の根が見えていますから「切り接ぎ挿し」ではないのはたしかなんですが、この株間で台木の根はどんな状態なのでしょう。

接ぎ木の方法は「切接ぎ」で、接ぎロウを使うオーソドックスな方法です。テープは結び目が見えませんから「ニューメデール」が使われているようで、かなり厚くしっかりと巻かれています。

ハウス内は露地よりも生育が早いので、たぶん2ヶ月程度で鉢上げできる大きさに育つのでしょうね。限られた面積で一定量のバラ苗を生産するとなるとこういう方法もありなんだと印象に残りました。

これは全く別の事例です。4月下旬撮影。冬の間に切接ぎされた株はいったんハウス内に仮植えされて、暖かくなってから露地に植え付けられ、そのまま大苗になるまで育てられます。ベッド幅90cmの畝に4条植え。(私のように農ビではなく)稲藁でマルチング。草も生えていますが、なんかその自然な感じがいいですね。生産者は手間がかかって大変でしょうけど。

連作障害を避けるために稲作との輪作。稲作を数年続けると水田では根頭癌腫病原菌は絶滅するのだそうです。

このバラ農園のオーナーは『私が好きな品種を、納得できる方法で育てる』と言ってありましたが、バラ苗を購入するならこういうところで育った苗が好ましい、と言うか、私はこの農園の弟子にしてもらいたいと思いました(笑) お忙しそうなんですが、バラ苗生産というお仕事を楽しんでいる余裕が感じられました。

今後も邪魔にならぬ程度に訪問して見学させてもらいたいと(自分勝手に)思っています。

2012年4月29日日曜日

ノイバラ台木の実生苗作り(プロの場合)−2

2012年4月25日の記事:「ノイバラ台木の実生苗作り(プロの場合)」の続きです。

3日後の27日に再訪問しました。稲藁が取り除かれています。気のせい(錯覚)でしょうか、3日前よりグンと大きくなったような。

稲藁の下にはもみ殻燻炭が敷かれていました。さすがにプロの仕事ですね、苗は元気に育っています。その中から2本抜いてもらって、私の苗と比較してみました。左の写真の上2本が頂いた苗、下2本が私の苗です。

根長は既に20cmになっています。上2本は無理に引き抜いたので根が切れていますから、根長(根量)を比較することはできません。

違いは2つ。まず「葉色」。私の苗(右の写真の左側2本)は葉色が薄いのが写真でわかりますでしょうか。これはたぶん「肥料不足」だと思います。右2本は播種前に畝に施肥されたそうですが、私は肥料を入れていません。『薄い液肥をやったらいいですよ』とアドバイスを頂いたので、今日28日に散布しました。この数日、間引き作業をしたので、土を落ち着かせるためにもたっぷり潅水しました。根量が多いので、今後の生育は期待できると思います。

もうひとつの大きな違いは、初生葉(双葉)から根が分かれる部分までの長さ。ここに接ぎ木するので、ここが長いものが良いと思うのですが、右2本はそれが2cmほどの長さで、私のは1cm。これが「稲藁マルチ」の効果なんでしょうかね。私のは『密植することで徒長させ、この部分を長くしよう』と考えた(素人の浅知恵/笑)のですが、「稲藁マルチ」は思いつきませんでした。今更致し方ないので、ここが長い苗を選りすぐって植えることにします。

追記:この稲藁マルチは、強い日差しで籾殻燻炭が高温になるのを防ぐのが目的だそうです。なるほど。納得。

苗は、茎が「爪楊枝」の太さになったら定植するタイミングだそうです。後1ヶ月ほどでしょうか、定植する畝を準備しなきゃ。 このバラ苗栽培農家は3万本の苗を植えるのだそうです。ビックリしますが、「3万本」という数は他でも聞いたことがあるので、どの農家もその程度は作られるのかも?しれません。

実生苗なので「芽接ぎ」かと思っていたのですが、「切り接ぎ」だそうです。3万本の台木を作るにはやはり実生でしょうか、挿し木で3万本となると、穂木の確保がたいへんでしょう。『台木用に育種されたノイバラ品種も幾つかあるけど、その辺に自生してる野バラがいちばん良いみたい』と言ってありました。『ただし例外もあって、接ぎ木する栽培品種と台木用ノイバラ品種の組み合わせは、それぞれの農家さんのいわゆる "企業秘密" ね(笑)』だそうです。

この地域には「切り接ぎ職人」さんがいて、その方は(ご夫婦で組んで)1日に約千本ほど接ぐのだそうです。これまたビックリ。単純計算で、20〜30秒に1本のペースですね。それでも3万本となると1ヶ月以上かかります。

バラ苗栽培農家は忙しい。特に今は春の出荷のピークですから、小走りに走りながら仕事をしてありました。でも、とても楽しそう(嬉しそう)でした。ありがとうございました。

2012年4月25日水曜日

ノイバラ台木の実生苗作り(プロの場合)

バラの実生苗床

プロが作ってあるノイバラ台木の実生苗です。4月24日撮影。播種時期は私より遅いのに、生育はこちらの方が良いようです。ハウスではなく露地栽培です。う〜ん、このように作るのか。。畝の中央部分が薄いのは苗を掘り上げる作業を考慮してのことでしょうね。

生育の差は土なのか、それとも稲藁のマルチ? あるいは。。。

2012年4月29日の記事:「ノイバラ台木の実生苗作り(プロの場合)−2」に続きます。

デービッド接ぎ(など) 摘蕾

デービッド接ぎをした株(写真:左)で成長のよいものは新梢が10cmになった時点で台木を切っています。右は同日に作業した「芽接ぎ」で、これらの2株は既に摘蕾も終えています。私の畑は風が強いので、簡単な支柱を添えています。小さな洗濯バサミのようなクリップは、野菜苗の接ぎ木用です。

ノイバラの太根に「切り接ぎ」したものも順調で、この株は蕾が見えていますね。
右奥に見える株もOKですが、左の株は失敗しているようです。

挿し穂の長さ30cm超!

バラサークルの組◯さんのお友達が挿し木された、挿し穂の長さが30cmを超える「ニュードーン」です。挿し木の参考事例として私の所にやって来ました。挿し穂の長さにも驚きましたが、7cmポリポットに浅く(3〜4cm)挿しただけできれいに発根しているのにもビックリ。たぶん丁寧に管理されたのでしょうね。

発根しやすい品種(CL)とはいえ、ちょっと自分の方法を再考させられます。

私の挿し木も、生育が良いものは蕾ができ始めました。大きく育つよう、すべて摘蕾しています。

栽培品種の挿し木の活着率は現時点で約60%程度です。『活着率には拘らない』と言ったものの、なんとか50%を超えてくれると嬉しいんですが。

この後「パワフルアミノ」を施肥して、このまま冬まで育てていきます。

バラの「水挿し」

バーバラさんが2月8日に挿した「水挿し」の2ヶ月半後の様子です。

バラの水挿し

「味付たこ」の箱にビニールが掛けてあるだけの超簡易なものですが、バーバラさんが工夫したのは「珪酸塩白土」(商品名:「ミリオンA」)を入れていることです。

コップの底に僅かに見えている白っぽい粒が「珪酸塩白土」です。その上に、キッチンペーパーを敷いています。これで2ヶ月半の間まったく水を交換すること無く、それなりに順調に生育してきました。ミリオンAの効果は絶大で、水が腐りませんでした。蒸散して減った分を補充しただけだそうです。

同時に(比較)テストした「切り花活性剤」を使った水挿しは、約5日間隔で新しい水に交換し続けたにもかかわらず、挿し穂が(たぶん雑菌が増えて)枯れてしまいました。

バーミキュライトなどを使った土に挿したものが苦戦している(生き残っているのは1本だけ)ので、「水挿し」の成績の良さが目立ちます。

ちなみにこれらの挿し穂は、私が接ぎ木に使用した枝の残りです。捨てるはずのものを拾って水挿しにしました。6cmと短くてもだいじょうぶでしたね。写真にはありませんが、枝の太さが2mm程の細い挿し穂もがんばっています。

発根するまで時間がかかりましたが、葉も元気ですし、まもなく鉢上げができるでしょうね。嬉しいね、バーバラさん。

追記;その後の経過など「水挿し」関連の記事は以下ををご覧ください。

ロックウールを使った バラの挿し木(2)

ロックウールを使った バラの挿し木苗」で紹介したバラの切り花栽培をしている農家を訪問しました。養液耕 ロックウール アーチング栽培の様子と、接ぎ挿し苗の "ミニプランツ" を見学するためです。後半では「ロサ・オドラータ」のロックウール挿しのテストも開始しました。

バラのロックウール挿し

これがロックウールに挿した苗です。キューブ(ブロック)のサイズは6cm立方。

挿し穂は1節で必ず葉を付けておくそうです。けっこう無造作に挿したという感じで、『大量に挿すので得率なんか気にしない』というように見受けられました。

挿し木には、薬剤(オキシベロンやルートンなどの発根促進剤のことか)は何も使用しない。その方が結果が良い』とのお話でした。

この挿し穂はまだ新芽が見えていません。大きい葉は挿し穂についていた葉です。手前側のキューブ(ブロック)は、変色の程度からして新品ではなさそうですね。

ロックウールと発根状況

余って廃棄処分されるものを調べてみました。キューブの底には2条のスリットがあります。これは空気を送り込むためのものなのでしょうか? そのスリットを避けて根が出ているのがおもしろいですね。ホームセンターなどでこれと同じタイプを探すのですが、みつかりません。

写真左下:内部はこんな状態でした。挿し穂は節のすぐ上で切られ、挿し穂の長さは1節ですね。基部は「斜め切り」で、かなり深く挿してあります。

実際にはこのように根が伸びる前に、右下の写真のように大型のロックウールのベンチに並べられ、根は下側のロックウールの中に伸びて行きます。2本の黒いチューブが養液(単肥を状況に応じて調合)を流すパイプです。

この写真の苗は挿し木苗ではなく「接ぎ挿し」した苗 "ミニプランツ" です。「斜め接ぎ」で、シリコンチューブで固定されています。

挿し木か接ぎ木かの選択は品種によるのだそうで、挿し木でも全く問題ない品種もある(多い)のだとか。神奈川県農業技術センターの「バラの台木の違いによる生産性・切り花品質の違い」というレポートがありますが、『‘ジュピター’には台木を用いない挿し木苗が最も適してる』という結果がでています。

このレポートからもわかるように、挿し木苗でも(生産量はやや落ちる品種が多いものの)それなりの結果が出ています。『営利栽培ですからね。購入するミニプランツ苗のコスト(年間数百万円)も考慮します。』とのお話。ミニプランツ苗はPBRパテント料込みで1株350円。挿し木苗はパテント料の100円だけということでした。

例えばトマト苗の国内生産量は膨大な数でしょう。多くが接ぎ木苗ですが大手メーカーではその接ぎ木は自動化されています。あの細くて柔らかな台木と接ぎ穂をロボットが接ぎ木するのです。その技術を持ってすれば、バラ苗の接ぎ木の自動化は難しいことではないでしょうね。特に「 接ぎ挿し」ならば工程はより簡潔なものになります。ミニプランツ苗を分解して調べてみましたが、シンプルな斜め接ぎでシリコンチューブで固定するという方法です。それをロックウールに挿します。

切り花品種以外ではまだミニプランツ苗の存在を知りませんが、それが実現すれば台木の品質管理がより確実なものになるから、根頭癌腫病などの病害にも強い高品質な苗が期待できるのではと思います。

(話を元に戻して)このベンチに並んでいるのは他の写真とは異なり、スプレー咲きの品種です。株間は15cm程度でしょうか、かなり狭い間隔で並べられていますね。蕾が見えますが、この時点では根は下のロックウールの中なので、潅水チューブは下に置かれています。

藻類の繁茂を押さえるために、ロックウールを包み込むように遮光シートが掛けられます。

大きく伸びて蕾もついた枝が、摘蕾されて片側へ倒されています。これはいわゆる「捻枝」ではなく、倒して紐やマイカ線で押さえてあるだけです。
参照:バラの「アーチング栽培法」

ここでは(参照事例とは異なり)左右へ同時に倒すのではなく、片側ずつ2回に分けて倒す方法だそうです。

株元からベーサルシュートが出ていますが、これに蕾がついたらピンチして、右側へ倒されます。右に見えるロープがその枝を押さえるものです。

この「アーチング栽培法」の中に私が注目する情報があります。(一部引用)

株元に光を当て明条件とすることで発芽抑制ホルモンABAを不活性型に転換させ、根で生産される発芽促進ホルモンのサイトカイニンが基部の芽に移行し、サイトカイニン活性が高くなることでベーサルシュートの発芽を促進します。

私のバラは3年間にわたり「放任(無肥料・無農薬)栽培」だった(正確には "栽培" とは言えません。単に"植えっぱなし" だっただけのこと)ので、貧弱でいじけたような育ち方をしています。今年からは放任することは止めにしたのですが、まず株を作るためにベーサルシュートの発芽を促進することが必要です。私の環境に「アーチング栽培法」が導入できるとは思いませんが、これ(明条件とすることでサイトカイニン活性を高める)が応用できないか思案中(素人ゆえ恐いもの知らず/笑)です。

 
(私のことはさておき)このようにして養分確保のための枝葉部ができると、ベンチの上に保護用のネットが張られ、この後発生するシュートが切り花として出荷されるバラになります。株元に養分を送り続けた倒された枝はやがて枯れますから切り戻されます。この手順で年間6回(!)ほど採花するのだとか。

株は4〜5年は使える(挿し木苗はミニプランツ苗よりも1年寿命が短い)のだそうですが、広大なハウスなので、真夏と厳寒期を除くほぼ周年挿し木苗を作っているとのことでした。機会があればぜひその様子を見学したいものです。

さて、廃棄されたキューブを貰って「オドラータ」の挿し木をしてみました。「オドラータ」は切り花品種の台木として代表的な存在なのだそうで、前述の神奈川県農業技術センターのレポートにも登場します。

ちょっと見にくいですがキューブは透明プラスチックの容器に入れています。底に僅かな水があり、その水が腐らないよう「珪酸塩白土」(商品名:ミリオンA)をパラパラと投入しています。これがどうなるか、うまく育てばこれを台木にして「継ぎ挿し苗」を作ってみたいです。

ロサ・オドラータのロックウール挿し

 
「オドラータ」(ロサ・オドラータ)を検索してみると諸説あって、何か謎めいたバラです。台木としての性能だけではなく、花そのものもオールドローズの雰囲気があり魅力的で、楽しみです。

その後の経過は、2012年6月3日の「バラの 水挿し −2」に続きます。