2012年4月29日日曜日

ノイバラ台木の実生苗作り(プロの場合)−2

2012年4月25日の記事:「ノイバラ台木の実生苗作り(プロの場合)」の続きです。

3日後の27日に再訪問しました。稲藁が取り除かれています。気のせい(錯覚)でしょうか、3日前よりグンと大きくなったような。

稲藁の下にはもみ殻燻炭が敷かれていました。さすがにプロの仕事ですね、苗は元気に育っています。その中から2本抜いてもらって、私の苗と比較してみました。左の写真の上2本が頂いた苗、下2本が私の苗です。

根長は既に20cmになっています。上2本は無理に引き抜いたので根が切れていますから、根長(根量)を比較することはできません。

違いは2つ。まず「葉色」。私の苗(右の写真の左側2本)は葉色が薄いのが写真でわかりますでしょうか。これはたぶん「肥料不足」だと思います。右2本は播種前に畝に施肥されたそうですが、私は肥料を入れていません。『薄い液肥をやったらいいですよ』とアドバイスを頂いたので、今日28日に散布しました。この数日、間引き作業をしたので、土を落ち着かせるためにもたっぷり潅水しました。根量が多いので、今後の生育は期待できると思います。

もうひとつの大きな違いは、初生葉(双葉)から根が分かれる部分までの長さ。ここに接ぎ木するので、ここが長いものが良いと思うのですが、右2本はそれが2cmほどの長さで、私のは1cm。これが「稲藁マルチ」の効果なんでしょうかね。私のは『密植することで徒長させ、この部分を長くしよう』と考えた(素人の浅知恵/笑)のですが、「稲藁マルチ」は思いつきませんでした。今更致し方ないので、ここが長い苗を選りすぐって植えることにします。

追記:この稲藁マルチは、強い日差しで籾殻燻炭が高温になるのを防ぐのが目的だそうです。なるほど。納得。

苗は、茎が「爪楊枝」の太さになったら定植するタイミングだそうです。後1ヶ月ほどでしょうか、定植する畝を準備しなきゃ。 このバラ苗栽培農家は3万本の苗を植えるのだそうです。ビックリしますが、「3万本」という数は他でも聞いたことがあるので、どの農家もその程度は作られるのかも?しれません。

実生苗なので「芽接ぎ」かと思っていたのですが、「切り接ぎ」だそうです。3万本の台木を作るにはやはり実生でしょうか、挿し木で3万本となると、穂木の確保がたいへんでしょう。『台木用に育種されたノイバラ品種も幾つかあるけど、その辺に自生してる野バラがいちばん良いみたい』と言ってありました。『ただし例外もあって、接ぎ木する栽培品種と台木用ノイバラ品種の組み合わせは、それぞれの農家さんのいわゆる "企業秘密" ね(笑)』だそうです。

この地域には「切り接ぎ職人」さんがいて、その方は(ご夫婦で組んで)1日に約千本ほど接ぐのだそうです。これまたビックリ。単純計算で、20〜30秒に1本のペースですね。それでも3万本となると1ヶ月以上かかります。

バラ苗栽培農家は忙しい。特に今は春の出荷のピークですから、小走りに走りながら仕事をしてありました。でも、とても楽しそう(嬉しそう)でした。ありがとうございました。

2012年4月25日水曜日

ノイバラ台木の実生苗作り(プロの場合)

バラの実生苗床

プロが作ってあるノイバラ台木の実生苗です。4月24日撮影。播種時期は私より遅いのに、生育はこちらの方が良いようです。ハウスではなく露地栽培です。う〜ん、このように作るのか。。畝の中央部分が薄いのは苗を掘り上げる作業を考慮してのことでしょうね。

生育の差は土なのか、それとも稲藁のマルチ? あるいは。。。

2012年4月29日の記事:「ノイバラ台木の実生苗作り(プロの場合)−2」に続きます。

デービッド接ぎ(など) 摘蕾

デービッド接ぎをした株(写真:左)で成長のよいものは新梢が10cmになった時点で台木を切っています。右は同日に作業した「芽接ぎ」で、これらの2株は既に摘蕾も終えています。私の畑は風が強いので、簡単な支柱を添えています。小さな洗濯バサミのようなクリップは、野菜苗の接ぎ木用です。

ノイバラの太根に「切り接ぎ」したものも順調で、この株は蕾が見えていますね。
右奥に見える株もOKですが、左の株は失敗しているようです。

挿し穂の長さ30cm超!

バラサークルの組◯さんのお友達が挿し木された、挿し穂の長さが30cmを超える「ニュードーン」です。挿し木の参考事例として私の所にやって来ました。挿し穂の長さにも驚きましたが、7cmポリポットに浅く(3〜4cm)挿しただけできれいに発根しているのにもビックリ。たぶん丁寧に管理されたのでしょうね。

発根しやすい品種(CL)とはいえ、ちょっと自分の方法を再考させられます。

私の挿し木も、生育が良いものは蕾ができ始めました。大きく育つよう、すべて摘蕾しています。

栽培品種の挿し木の活着率は現時点で約60%程度です。『活着率には拘らない』と言ったものの、なんとか50%を超えてくれると嬉しいんですが。

この後「パワフルアミノ」を施肥して、このまま冬まで育てていきます。

バラの「水挿し」

バーバラさんが2月8日に挿した「水挿し」の2ヶ月半後の様子です。

バラの水挿し

「味付たこ」の箱にビニールが掛けてあるだけの超簡易なものですが、バーバラさんが工夫したのは「珪酸塩白土」(商品名:「ミリオンA」)を入れていることです。

コップの底に僅かに見えている白っぽい粒が「珪酸塩白土」です。その上に、キッチンペーパーを敷いています。これで2ヶ月半の間まったく水を交換すること無く、それなりに順調に生育してきました。ミリオンAの効果は絶大で、水が腐りませんでした。蒸散して減った分を補充しただけだそうです。

同時に(比較)テストした「切り花活性剤」を使った水挿しは、約5日間隔で新しい水に交換し続けたにもかかわらず、挿し穂が(たぶん雑菌が増えて)枯れてしまいました。

バーミキュライトなどを使った土に挿したものが苦戦している(生き残っているのは1本だけ)ので、「水挿し」の成績の良さが目立ちます。

ちなみにこれらの挿し穂は、私が接ぎ木に使用した枝の残りです。捨てるはずのものを拾って水挿しにしました。6cmと短くてもだいじょうぶでしたね。写真にはありませんが、枝の太さが2mm程の細い挿し穂もがんばっています。

発根するまで時間がかかりましたが、葉も元気ですし、まもなく鉢上げができるでしょうね。嬉しいね、バーバラさん。

追記;その後の経過など「水挿し」関連の記事は以下ををご覧ください。

ロックウールを使った バラの挿し木(2)

ロックウールを使った バラの挿し木苗」で紹介したバラの切り花栽培をしている農家を訪問しました。養液耕 ロックウール アーチング栽培の様子と、接ぎ挿し苗の "ミニプランツ" を見学するためです。後半では「ロサ・オドラータ」のロックウール挿しのテストも開始しました。

バラのロックウール挿し

これがロックウールに挿した苗です。キューブ(ブロック)のサイズは6cm立方。

挿し穂は1節で必ず葉を付けておくそうです。けっこう無造作に挿したという感じで、『大量に挿すので得率なんか気にしない』というように見受けられました。

挿し木には、薬剤(オキシベロンやルートンなどの発根促進剤のことか)は何も使用しない。その方が結果が良い』とのお話でした。

この挿し穂はまだ新芽が見えていません。大きい葉は挿し穂についていた葉です。手前側のキューブ(ブロック)は、変色の程度からして新品ではなさそうですね。

ロックウールと発根状況

余って廃棄処分されるものを調べてみました。キューブの底には2条のスリットがあります。これは空気を送り込むためのものなのでしょうか? そのスリットを避けて根が出ているのがおもしろいですね。ホームセンターなどでこれと同じタイプを探すのですが、みつかりません。

写真左下:内部はこんな状態でした。挿し穂は節のすぐ上で切られ、挿し穂の長さは1節ですね。基部は「斜め切り」で、かなり深く挿してあります。

実際にはこのように根が伸びる前に、右下の写真のように大型のロックウールのベンチに並べられ、根は下側のロックウールの中に伸びて行きます。2本の黒いチューブが養液(単肥を状況に応じて調合)を流すパイプです。

この写真の苗は挿し木苗ではなく「接ぎ挿し」した苗 "ミニプランツ" です。「斜め接ぎ」で、シリコンチューブで固定されています。

挿し木か接ぎ木かの選択は品種によるのだそうで、挿し木でも全く問題ない品種もある(多い)のだとか。神奈川県農業技術センターの「バラの台木の違いによる生産性・切り花品質の違い」というレポートがありますが、『‘ジュピター’には台木を用いない挿し木苗が最も適してる』という結果がでています。

このレポートからもわかるように、挿し木苗でも(生産量はやや落ちる品種が多いものの)それなりの結果が出ています。『営利栽培ですからね。購入するミニプランツ苗のコスト(年間数百万円)も考慮します。』とのお話。ミニプランツ苗はPBRパテント料込みで1株350円。挿し木苗はパテント料の100円だけということでした。

例えばトマト苗の国内生産量は膨大な数でしょう。多くが接ぎ木苗ですが大手メーカーではその接ぎ木は自動化されています。あの細くて柔らかな台木と接ぎ穂をロボットが接ぎ木するのです。その技術を持ってすれば、バラ苗の接ぎ木の自動化は難しいことではないでしょうね。特に「 接ぎ挿し」ならば工程はより簡潔なものになります。ミニプランツ苗を分解して調べてみましたが、シンプルな斜め接ぎでシリコンチューブで固定するという方法です。それをロックウールに挿します。

切り花品種以外ではまだミニプランツ苗の存在を知りませんが、それが実現すれば台木の品質管理がより確実なものになるから、根頭癌腫病などの病害にも強い高品質な苗が期待できるのではと思います。

(話を元に戻して)このベンチに並んでいるのは他の写真とは異なり、スプレー咲きの品種です。株間は15cm程度でしょうか、かなり狭い間隔で並べられていますね。蕾が見えますが、この時点では根は下のロックウールの中なので、潅水チューブは下に置かれています。

藻類の繁茂を押さえるために、ロックウールを包み込むように遮光シートが掛けられます。

大きく伸びて蕾もついた枝が、摘蕾されて片側へ倒されています。これはいわゆる「捻枝」ではなく、倒して紐やマイカ線で押さえてあるだけです。
参照:バラの「アーチング栽培法」

ここでは(参照事例とは異なり)左右へ同時に倒すのではなく、片側ずつ2回に分けて倒す方法だそうです。

株元からベーサルシュートが出ていますが、これに蕾がついたらピンチして、右側へ倒されます。右に見えるロープがその枝を押さえるものです。

この「アーチング栽培法」の中に私が注目する情報があります。(一部引用)

株元に光を当て明条件とすることで発芽抑制ホルモンABAを不活性型に転換させ、根で生産される発芽促進ホルモンのサイトカイニンが基部の芽に移行し、サイトカイニン活性が高くなることでベーサルシュートの発芽を促進します。

私のバラは3年間にわたり「放任(無肥料・無農薬)栽培」だった(正確には "栽培" とは言えません。単に"植えっぱなし" だっただけのこと)ので、貧弱でいじけたような育ち方をしています。今年からは放任することは止めにしたのですが、まず株を作るためにベーサルシュートの発芽を促進することが必要です。私の環境に「アーチング栽培法」が導入できるとは思いませんが、これ(明条件とすることでサイトカイニン活性を高める)が応用できないか思案中(素人ゆえ恐いもの知らず/笑)です。

 
(私のことはさておき)このようにして養分確保のための枝葉部ができると、ベンチの上に保護用のネットが張られ、この後発生するシュートが切り花として出荷されるバラになります。株元に養分を送り続けた倒された枝はやがて枯れますから切り戻されます。この手順で年間6回(!)ほど採花するのだとか。

株は4〜5年は使える(挿し木苗はミニプランツ苗よりも1年寿命が短い)のだそうですが、広大なハウスなので、真夏と厳寒期を除くほぼ周年挿し木苗を作っているとのことでした。機会があればぜひその様子を見学したいものです。

さて、廃棄されたキューブを貰って「オドラータ」の挿し木をしてみました。「オドラータ」は切り花品種の台木として代表的な存在なのだそうで、前述の神奈川県農業技術センターのレポートにも登場します。

ちょっと見にくいですがキューブは透明プラスチックの容器に入れています。底に僅かな水があり、その水が腐らないよう「珪酸塩白土」(商品名:ミリオンA)をパラパラと投入しています。これがどうなるか、うまく育てばこれを台木にして「継ぎ挿し苗」を作ってみたいです。

ロサ・オドラータのロックウール挿し

 
「オドラータ」(ロサ・オドラータ)を検索してみると諸説あって、何か謎めいたバラです。台木としての性能だけではなく、花そのものもオールドローズの雰囲気があり魅力的で、楽しみです。

その後の経過は、2012年6月3日の「バラの 水挿し −2」に続きます。

2012年4月24日火曜日

Fさんのデービッド接ぎ(2ヶ月半後)

粕屋町バラサークルのFさんの「デービッド接ぎ」です。 4月21日撮影。

接ぎ木した新梢が10cmになって台木をカットしたら、その後グンと伸びたそうです。とても嬉しそうでした。

2012年4月14日土曜日

デービッド接ぎ 2ヶ月後

かのやバラ園のアドバイザーでもあるデービッド・B・サンダーソンさんから教えていただいたバラの接ぎ木は、彼が独自に考案した方法です。一般的な「切り接ぎ」とは方法が大きく異なりますので、これを「デービッド接ぎ」と呼ぶことにします。

これは2月17日に接いだデービッド接ぎの2ヶ月後の様子です。写真の右側の長い枝が台木。接ぎ木したのは左側で、新梢が10cmの長さになりました。デービッドさんに再確認しましたが、新梢が手のひらサイズ(10cm)になったら台木を切る時期だそうです。

台木は、下の写真の赤い線で切るつもりです。もう少し(1cm)下でもいいのでしょうが、ちょっと用心して(笑)

ちなみに、この台木には3カ所の切断跡が見えます。下のは接ぎ木の作業に邪魔だから切ったもの、真ん中と上は新梢の伸びに従って、その邪魔にならぬよう切ったものです。

私とバーバラはそれぞれ何株かデービッド接ぎを試みました。その中には地植えした台木もありますが、最も成長が早いものは新梢が30cm程になろうとしています。でも、遅いものは芽がまだ接ぎ木テープの下です。失敗して穂木が黒く変色したものもあります(残念)
穂木の新芽(新梢)がまだ大きくなっていないのに、台木のノイバラに蕾ができ始めた株もありますが、これは摘蕾したほうがいいと思われます。

いずれにしろ、台木の扱いに神経質になる必要はありません。形成層が合っていれば(これはできていると思います)いずれ新芽が伸び始めるでしょう。焦らずに、その時期が来るのを待ちましょう。

バラの挿し木 2ヶ月半後

1月21日と23日に挿し木したバラの栽培品種の2ヶ月半後の状況です。総数240本のうち約1/3の80本ほどがダメになりましたが、最も難しい時期は乗り越えたと思われますので、なんとかこのまま育ってくれればと思っています。

バラの休眠枝挿し 2ヶ月半後

前にも書きましたが、今年は挿し穂の長さを20cmに揃えました。これは良かったと思っています。挿し穂20cmの半分10cmを土の中に挿すつもりだったのですが、挿し手のバーバラさんとの意思疎通がうまくいかず(いつものこと/笑)、かなり浅く(5cm)挿してしまいました。でも、これはどうでも良かったみたいで、失敗した挿し穂には、私が10cmの深さに挿したものも同じくらいの割合で含まれていました。

1月26日に挿した台木用のノイバラ160本とスタンダード台木にする予定の56本、計216本はすべて順調です。このまま行けば「活着率100%」の記録達成も夢ではないかも。

バラサークルのみなさんの挿し木の状況はいかがですか? 遅霜とその後の空気が極端に乾燥した時期にダメになったものもある(多い)ようですね。もうしばらく様子を見て、猿渡さんを中心に「検討会」を開催しましょう。

次の挿し木の好機は6月の「緑枝挿し」です。私は今度はロックウールを使う方法を試すつもりです。

バラの種播き 2ヶ月後

2月9日に播種したノイバラの、約2ヶ月後4月13日の状況です。
発芽率はそんなに良くはないだろうと思っていましたが、嬉しい誤算で、ビックリするくらい大量に発芽しました。

2月中旬に鹿屋市を訪問したとき、「花*薔薇*会」の徳田氏にお目にかかることができ、またそのお庭なども拝見したのですが、その折ノイバラ台木の実生苗作りも勧められました。ローズ・コンシェルジュの資格を持ちバラや園芸全般にとてもお詳しい徳田氏の方法は「育苗箱を小型のガラス温室に入れて夜間は少し加温する」のだそうです。

私は露地に播き保温は不織布のベタ掛けのみ。2度の大雪や遅霜もあって『これこそビニールトンネルにすれば良かったのかな』と後悔。でも、バラの幼苗は強いですね。寒さには負けませんでした。

 

ノイバラは実を採取した時期ごとに区分けして播種しましたが、最も結果が良かったのは12月に採取したもの(写真)、次いで1月採取のものです。10月や2月のものも発芽し、さらに12月採取のタネで水に浮いたものもそこそこ発芽しました。

覆土は5mm~10mm以下だったのですが、極端な発芽遅れや「転び苗」もありませんでしたから、これもまぁ適切だったのでしょう。

 

苗は現在3枚葉が3葉展開し、根長は10cm程度です。無理に引き抜いたので細い根は切れたと思われます。注目するのは初生葉(双葉)直下の白い部分。秋10月にはここに「T字法芽接ぎ」をしますから、この部分が長く素直に伸びているのが適当かと。写真では下の苗ですね。これを「浅植え」するのがコツだとか。「いぶし銀のバラ屋」のバラ息さんにそう教えていただきました。

定植はもうしばらく後のことになりますが、そろそろ薄い液肥をやったほうがいいでしょうか。。

T字法芽接ぎの台木は160〜200株作る予定ですが、この幼苗は大量に余ると思われますので、もしご希望の方があれば差し上げます。それでも余るでしょうから、バーバラさんが『"おひたし"にして食べようか』と言っております(笑)

その他の原種系や栽培品種もそこそこ発芽しました。楽しみです。
ローズヒップの提供や播種の準備を手伝ってくださったみなさん、ありがとうございました。

2012年4月9日月曜日

「バラ苗が枯れたら交換します」は良心的か?

先日、久留米市田主丸のスワ肥料店さんに「パワフルアミノ」を購入しに行ったときに、同じく田主丸のバラ苗栽培農家のハウスを訪問しました。
鹿屋市の「花*薔薇*会」のみなさんが、研修旅行でわざわざ立ち寄られるほどのバラ苗栽培農家さんです。予約もしないまま突然の訪問だったにもかかわらず、お仕事を中断して案内してくださいました。ハウスの中には出荷直前の大きな蕾をつけた新苗がずらり。いずれもみごとな生育ぶりです。

2012年4月3日 そら wrote ;「"癌腫病ショック" そら復活か」;
> しかし、もしそれが事実とすれば、バラ苗生産・販売業界はなんというあきれた業界でしょう。

このような非難とは全く無縁の、優れたバラ栽培農家さんなのでしょう。お人柄にも好感を持ちました。私は(購入した経緯から推測して)ここで生産されたと思えるバラを3株育てています。3年目の春を迎えますが順調に育っています。しかし他方、『じつは、国内で流通しているバラ苗の半数以上は根頭癌腫病に罹患している』という話を、私はそうかもしれないと思っています。

追記:「罹患」とはバラの内外に病原細菌を持っているという意味で発症に至っていないものも含まれます。
バラの根頭癌腫病については、2012年2月20日の「バラの根頭癌腫病 −2」に、追記してまとめています。

『イヤな話をブログに書くのは、もうやめよう』と思うのですが、最後に実例を2つレポートします。

根頭癌腫病が出たバラ苗

これは昨年12月に大苗としてネット通販で購入したバラ苗です。根の部分を見てください。株元から太根が2本出て、すぐ下でトグロを巻いています。これは、その根が成長する時期に小さな浅いポットか、そのような場所に植えられていたからです。太根の大きさからして、たぶん前年の売れ残り苗だろうと思われます。

業界内では、バラ苗に「A苗」と「B苗」という区分があることを最近知りましたが、これは「B苗」にも相当しないクズですね。

苗が届いたとき、枝は写真よりも長かったのですが、たぶんキャンカー(枝枯病)だろうと思われる症状を示しながら枯れ込んできたので、少し切ってあります。他のバラが芽吹いてもこの株は全く動きがありませんでした。暖かくなってやっと芽が出始めたのですが、あまりにもおかしいので掘り起こし、根を洗ってみました。

根頭癌腫病が発症しています。カルスみたいな白い小さな粒が初期の癌腫です。

(画像クリックで拡大します)

この苗の販売店(バラ苗のネット販売で有名)は、「バラ苗が枯れたら交換します」ということで『良心的』なんだそうですが、同時に購入した別の大苗には8mm程度はあったろうかと思える癌腫をえぐり取った痕がありました。癌腫病が発症していることを知りながら、それをえぐり取って販売するバラ苗屋がなんで『良心的』なのか。アタマにきて写真を撮るのも忘れてしまいましたが、これは貴重なサンプルとして栽培中です。

追記:この株は3ヶ月ほどで枯れてしまいました。この『良心的』なバラ苗販売店からはもう二度と購入することはありません。しかしこれはバラの根頭癌腫病を真剣に考えるきっかけになりました。繰り返しになりますが、「バラの根頭癌腫病 −2」を見てください。

蛇足:私は、バラ苗生産者や卸市場関係者、そしてバラ苗販売店にそれぞれ知り合いがいます。取引されるバラ苗の価格も教えてもらって知っていますが、バラ苗が枯れて無料で交換したとしても、それでも利益が出る価格設定になっています。もちろん利幅は減りますが、『交換することが良心的』なのではありません。

スタンダード仕立てのバラに発症した根頭癌腫病

症例−2は、生育不良のスタンダードを原因調査のために預かって、私の所で4ヶ月ほど植えていた株です。これは芽吹く気配が全くなく、暖かくなったら接いだ部分から上が急速に枯れ込んできました。接ぎ木した部分を見てください。これも癌腫病が発症しています。

スタンダードの接ぎ木部分によくみられるこのブツブツがほんとうに癌腫なのか、別の事例で専門家に質問しました。
答えは即座に「癌腫です」。噫。

病原菌のアグロバクテリウム ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)には、数種類の変異株があって、それらが作る癌腫の形態も異なるのだとか。

発症位置から推測して、たぶん接ぎ木作業で感染したのでしょうね。これはスタンダード仕立てのバラの生産では有名なバラ園で生産された株です。通常価格よりも安かったのでまとめ買いされたのですが、このとき購入された同じ品種5株も同じように生育不良なんだそうです(その1株を実際に見たことがあります)。

台木の根の部分です。ここには癌腫は見られませんが、たぶん既に全身が冒されているんでしょうね。しかしまぁ、なんとお粗末な台木でしょう。この株は4年生程度と思われますから、出荷段階でこうだったのかどうかはわかりませんけど。

バラの根頭癌腫病がやっかいなのは、どこで感染したのか特定するのが難しいことにあります。たぶん多くの栽培者は(私もそうですが)生育不良のバラを見て『自分の栽培方法が悪いから。庭の土が悪いから』と考えるのでしょうね。

「バラ苗が枯れたら交換します」というのは良心的に見えますが、ほんとうにそうでしょうか? これってもしかしたら、『国内で流通しているバラ苗の半数以上は根頭癌腫病に罹患している』という暗黙の事実の上で、設定されているのではありませんか?

『バラ苗が枯れたから交換?(とんでもない)。私どもの苗の品質管理には万全を期しています。なぜ枯れたのか、ご一緒に原因を調べましょう』

と言うはずです。原因を調査することもなく『枯れたら交換すればいいんでしょ』というような業界(業者)は、いずれそう遠くない時期に淘汰されていくと思います。時代(バラ苗生産技術)はその方向に進んでいるようです。

 

気持ち悪い、イヤな話はここまで。今後は「蔓延する癌腫病にどう対応するか」にテーマを変えます。

『そらさんは用心深いから、大げさに言って私たちを脅かしよんしゃーとよ』

苦笑。

2012年4月8日日曜日

そらが バラ育成アドバイザー?

粕屋町バラサークルの「バラ育成アドバイザー」に就任することになりました。この記事は、共有ブログ「ばら日和」に4月8日に投稿したその挨拶のコピーです。

就任の経緯

この話を最初にうかがった時、役員会のみなさんには失礼ながら、思わず大笑いしてしまいました。「アドバイザー」なんて、ぜんぜん不適格ですし、とんでもないことです。
でも、お話をよく聞いてみると、「バラ育成アドバイザー」とは粕屋町バラサークルの規約上の名称であり、私がやるべきことは、これまで3回実施した私的な勉強会・講習会を今後はバラサークルの公式な行事とするから、その準備係を担当しなさいということのようです。

私個人は今後も挿し木や接ぎ木の技術を学びたいし、まだ取りかかったばかりですが実生苗作りもやってみたいと思っています。もしそれをバラサークルのみなさんとご一緒することができたらより楽しいだろうし、いろいろ学べることも多かろうと思います。でも、名称があまりに大きく、やはり不安でした。

思い悩んでいたところ、ある方がそらの畑にお見えになって、昨年10月の「T字法芽接ぎ」の結果をお尋ねになり、「3割くらいは成功したね? ◯◯バラ園では9割以上です。もちろん立派な設備があるからこそなんですけどね」と話していかれました。『設備も経験も知識もない素人が、接ぎ木に手を出すのは無駄なことだから、バラサークルのみなさんを巻き込むのは止めておきなさい』と言いたいのだろうと思います。

このご親切な忠告が私には逆に作用して、『よし、やってみようじゃないか』と意を決することになりました。もちろん、私にどこまでできるかはわかりません。間違ったことを伝え、その結果みなさんに残念な思いをさせるのはほんとに申し訳ないし、心が痛みます。

でも、僅かながらも成功した事例があると、思わず肩に手を伸ばして(肩を抱き合って)喜びたくなるその瞬間は、何物にも代え難い大きな幸せですし、みなさんのその笑顔はとても美しいです。『失敗したけど楽しかった』というねぎらいの言葉をかけてくださる方もあります。私としては今止めるわけにはいかないんです。

これまでの3回の勉強会・講習会は(基本的に)私が企画し、案を役員会に上げてご了承を頂いて実施しました。いわば『私が思うように』計画してきたのですが、これからは企画の段階から役員会のご意見を頂くことになります。それだけ手間がかかりますが、みなさんのご意見を取り入れたよりよい内容が準備できるのではと期待できます。

バラの苗作り

「バラ育成アドバイザー」の "バラ育成" というのは、私の場合は主にバラ苗作りということのようです。
『接ぎ木苗作りの講習会などをするから◯◯バラ園の苗が売れなくなるったい』という陰口もあるそうなんですが、これは冗談なんでしょうか、あまりにも短絡的な考えです。◯◯バラ園の苗が売れなくなった理由は知りませんが、私たちは◯◯バラ園作出のバラはPBR保護期間内かどうかを問わず一切接ぎ木や挿し木をしていません。そういう約束で勉強会を実施してきました。それは今後も変わることはありません。

◯◯バラ園作出以外の、PBR保護期間が切れたバラ(時代により選抜された、いわゆる名花です)は、これは私たちの手でどんどん増やしたらいいと思います。それがその品種を作出したブリーダーへの感謝の気持ちを表すことにもなるし、バラの文化をより拡げていくことにもなります。

『苗屋さんの売り上げが落ちる』というのは笑止千万。全く逆です。バラ苗を1株差し上げて、それによってバラのすばらしさに気づいてもらうことができたら、もっと他の品種も欲しくなるでしょうし、資材やあるいは書籍なども必要になるはずです。

えがおリングかすや

バラとコスモスは粕屋町の町花です。名実共にそうなるよう、私たちも(例えば)初心者のみなさんにきちんと栽培指導ができるよう、勉強を続けましょう。
私たちの手で育てたバラ苗をご近所や友人にも差し上げて、育て方もアドバイスし、きれいな花が咲けばともに喜ぶという、そういうシーンをこの地域にもっとたくさん作っていきたいです。

勉強会の進め方について

世の中には『自分が知っていることを他の人に教えると損をする』と考える人もいます。自分の知識や経験はちっぽけなものなのに、それにしがみついて自分のプライドを保とうとする了見の狭い人です。私はそれは全く逆だと思います。自分の経験を人に伝えれば、それはいずれ2倍にも3倍にもなって、貴重な情報となって返ってきます。いや、そういう損得勘定ではなく、それは何物にも代え難い笑顔となって返ってきます。

私たちはプロの栽培者になろうとしているのではありませんから、無理なくできる範囲で、私たちの環境に合った栽培方法を工夫していきましょう。私が非力なのは初めからわかりきったことです。私が教えるのではありません。私たちみんなの経験や知識を持ち寄り、一緒になって勉強を進めていきましょう。『誰が生徒か先生か』というメダカの学校、それが勉強会のスタイルです。

講習会について

年間何回開催できるかわかりませんが、これはプロを指導者としてお招きしましょう。10月のT字法芽接ぎ勉強会と、2月のデービッドさんの接ぎ木講習会を経験して、痛感しました。

バラ育成アドバイザーの役割

私たちには自分自身の健康上の不安や、あるいは家族に心配事があったりもします。でも、日常生活の雑事に煩わされたりしながらも、忙しい手をしばし止めてお茶でも飲みながら、移り行く季節を眺めたり、風が吹き渡っていく様を見たり鳥の声に耳を澄まして、自然の美しさに感動しながら、自然の恵みに感謝しながら、生きていきたいと思います。

ターシャ・テューダーさんは『幸せはこころの持ちようにあるのだから、自分の手で創りだすことができる』と言っています。そうでしょうね。そして、私たちにはその喜びを分かち合う家族や仲間がいます。芽が出た。花が咲いた。きれいな実がなった。そのときどきの美しさと喜び、感謝。

その美しさやそれを喜ぶ笑顔を創りだすのは、ほかならぬみなさん自身です。バラ育成アドバイザーは、その喜びを育てる最初の部分をほんの少しだけお手伝いすることが役割かなと思います。

よろしくお願いします。

2012年4月3日火曜日

"癌腫病ショック" そら復活か

ブログの更新を長期間サボり、ご心配をおかけしてしまったようでごめんなさい。思わぬ方からお電話を頂いたりして、嬉しかったです。ありがとうございました。

理由は病気や怪我ではありません。大量のバラの移植(癌腫病の発症チェックを含む)と造園作業に追われていたことが主な理由ですが、前回(2月20日)に投稿したバラの根頭癌腫病 -2に(自分が書いた内容に)あらためてショックを受けたことも否めません。

私はバラに関心を持って4年目です。最初の2年はボーッと過ごしましたが、1年前から共有ブログ「ばら日和」に投稿するようになって、ちょっとホンキで勉強を始めました。すると、いろんなことが見えてくるようになります。そこには嬉しい驚きがいっぱいなんですが、中には『知らないほうが良かった』と思えるような嬉しくないこともあります。

例えば、バラ苗生産・販売業界の専門家から、『じつは、国内で流通しているバラ苗の半数以上は根頭癌腫病に罹患している(保菌しているが、発症には至っていないものも含める)』という話を聞いたことがあります。その時は『素人の私をからかっているか、脅しているんだろう』と思いました。でも、その後私の身近なところでも続々と根頭癌腫病の症例が見つかるにおよんで、あながち冗談でもなかったんだと思い始めました。

しかし、もしそれが事実とすれば、バラ苗生産・販売業界はなんというあきれた業界でしょう。1株が5百円〜5千円という価格に過ぎないかもしれませんが、発症すれば土壌そのものを汚染してしまう商品を販売するなんて。。。

2015年後記:根頭癌腫病原菌が感染しそれが発症するに至るメカニズムは、前述の「バラの根頭癌腫病 -2」に専門家の論文を引用しています。

バラの根頭癌腫病に対する対応策は「バクテローズ」ですが、これは高価格もさることながら、品薄で入手することすら難しい(私の場合)のですから、個人が使用するには限界があります。そもそも、出荷段階で罹患しているのなら、その後にバクテローズ処理しても無意味ではないかと思うのですが、どうなんでしょう? バラ苗生産業者の中には、バクテローズ処理済みの苗を出荷しているところもあるようですが、流通量全体から見れば僅かなものでしょうしね。

その後も関係者などへの取材を続けていくと「あきれて開いた口が塞がらない」というウラも見えてきます。癌腫よりも、ウラでコソコソ画策するニンゲンの思惑の方が穢いし気持ち悪いです。信頼を裏切られたような気がして、凹んでしまいました。

『症例写真のバラ園はあなたには関係ないことだから、見知ったことを知らない振りするのも大事なことよ』とバーバラが諭してくれます。そうなんでしょうね。それがおとなのとるべき態度なのかもしれませんね。 しかし、おとなになれない青二才の私は、それからも悶々とした日々を過ごすのでした(我ながらバカですね)。

そういう私を復活させてくれたのは、他ならぬバラです。春になり、1月の挿し木と2月の各種方法による接ぎ木、そして播種したノイバラなど、続々と芽吹き新葉を展開しています。昨年10月の「T字法芽接ぎ」および「T字法芽接ぎ挿し」も(成功率は50%以下と低いものの)頑張っています。

そしてなにより粕屋町バラサークルのメンバーのみなさんの明るさ、積極性、笑顔。
『そんなことを気にしていたら、きれいなバラは咲きませんよ』と、先輩の声が聞こえてくるような気がします。
みなさん、ありがとうございました。癌腫病の対応策はこれからですが、ニンゲンの思惑などという低次元なことからは、抜け出せたと思います。

おかげさまで、ひとつハードルを越えることができたようです。