このブログについて


バラの栽培についての考え方や方法は多様です。その多様性こそが、バラが文化として豊かであることの証左なのでしょう。
"答え"は一つではないとすれば、バラ栽培の楽しさは、"自分のバラの世界を見つけ出す" その過程にあると思っています。

このブログは試行錯誤中のバラ栽培の記録です。一部の記事はバラ仲間に私の方法を紹介するために書いたものもありますが、
「栽培ガイド」の類ではありません。バラ栽培を始めた頃に書いた記事の内容は現在の栽培方法とは異なるものも多く、
技術的にも拙くて誤謬も多々含まれていると思われます。批評的に読んでくださるようお願いします。

2021年8月31日火曜日

算数にがて

クエン酸2%水溶液に溶かした「けい酸加里」を施肥

  1. 使用中の原液は 4956ppm。これを水で100倍に希釈すると、実測値は223ppmになった。
  2. 希釈に使用した農業用水のTDSは 91ppm (pH=7.44) なので、これを差し引いた実質は132ppm。
  3. 8㍑ジョウロに原液80㏄を入れ水を加えて攪拌。pHは7.62 (+0.18) を示したが、これは計測誤差の範囲内。
  4. ハウス内には10号鉢のバラが120鉢ほどあり、この「けい酸加里」入りの灌水量の平均は1㍑/鉢。

今日で8月も終わり。明日から秋の花のための剪定を始める。まず「ロージー クリスタル」や「手児奈」などから。肥料濃度の計算は頭が固まって(自分は"数字ディスレクシア"かも)楽しくないけど、剪定は楽しみ。



2021年8月30日月曜日

く溶性肥料を 液肥にする・2

28日 く溶性の「マグホス」と「けい酸加里」を、クエン酸2%水溶液1㍑に加えて攪拌し、液肥を作った。
同様に、水に難溶性の炭酸カルシウムを主成分とした牡蠣殻石灰「セルカ」を追加。

炭酸カルシウム

牛骨や卵の殻、牡蠣殻など、炭酸カルシウムを主成分するものは、砕いただけで土に入れても簡単には分解しない。そのために、例えば牛骨を加圧蒸製(3気圧、180℃、3時間以上)して「蒸製骨粉」を作る。

牡蠣殻石灰「セルカ」の製造方法も同様だそうで、その外観も似たようなものになる。炭酸カルシウム中性の水への溶解度は0.00015 mol/L (25 °C)で、ほとんど溶けず肥料としては緩効性なので、鉢植えのカルシウム追肥には使い勝手が悪い。そこで「クエン酸」の登場。

3CaCO₃(炭酸カルシウム)+ 2C₆H₈O₇(クエン酸)→ Ca₃C₁₂H₁₀O₁(クエン酸カルシウム)+ 3H₂O + 3CO₂

クエン酸2%水溶液に牡蠣殻石灰「セルカ」を加えると、この式そのままで、二酸化炭素が発生してかなりの勢いでブクブクと泡が立つ。おもしろい。この「クエン酸カルシウム」は水の中で電離し、カルシウムイオン Ca⁺ となって比較的容易にバラに吸収されるのではないか?と考えた。調べてみると「クエン酸カルシウム四水和物」も水にほとんど溶けない(0.085g/100mL、18℃)そうで、肥効は果たしてどうなんだろう?

24時間後の状態

 牡蠣殻石灰「セルカ」200㌘「マグホス」250㌘「ケイ酸カリ」250㌘   

備考: ECやTDSは温度や攪拌などの条件次第で時間とともに大きく変化する。

TDS と pH 24時間後・実測値
種類 内容 TDS ppm pH 使用液 ppm
セルカ 上澄み 658 7.32 150
攪拌 658 7.49
マグホス 上澄み 2015 3.49 200
攪拌 2015 3.56
ケイ酸カリ 上澄み 965 6.07 100
攪拌 1015 6.45
TDS と pH 5日後・実測値
種類 内容 TDS ppm pH 使用液 ppm
セルカ 上澄み 8603 6.63 150
攪拌 8390 7.41
攪拌
2%クエン酸水溶液2㍑追加
3619 5.83
マグホス 上澄み 計測不能 3.58 200
攪拌 5倍希釈 5560 3.75
ケイ酸カリ 上澄み 100
攪拌 8142 7.08

考察

  1. 溶媒はクエン酸2%水溶液1㍑。pH=2.21
  2. 上澄みと攪拌した液ではEC(ppm)が同じ。これは、いずれの資材も飽和溶解度を超えて「過飽和」状態にあるからと思われる。
  3. これまでの経験から、マグホスやケイ酸カリは時間とともにさらに溶解(分解)が進み、上澄み液の下部に白色不透明な層ができることがわかっている。
  4. マグホスとケイ酸カリは、上澄み液を取り出して新たにクエン酸水溶液を加えると、さらにある程度は溶解が進む。
  5. 沈殿している物質は溶質そのものだけではなく、肥料製造上の「骨材」らしく、時間をかけても溶解しない。
  6. セルカ(炭酸カルシウム)とケイ酸カリの溶液は、かなりpH値が上がった。
  7. セルカの上澄み液の中に「アク」のようなものができる(写真でも見えている)が、これが何か不明。

使用方法

  1. 上記の理由から、使用する際は上澄み液ではなくボトルをシェイクして混濁した液を水で希釈し攪拌。
  2. この溶液のppmが使用液の目標値になるまでを水で希釈し、それを灌水。
  3. マグホスの実測値は2000ppm、目標値は200ppmなので100倍に希釈。計算が合わないが、ECメーターの実測値は100倍で200ppmになるので、怪しげな計算よりも実測値を優先。
  4. 100倍希釈は8㍑ジョウロでは80㏄。これは現在使用中のものとほぼ同じかやや濃い程度。濃度障害には気づかないが、さらに安全性を考慮して、20㏄/8㍑ X 4回 に分けて使用する。
  5. 施肥量=濃度 X 1回の量 X 回数

DONE:

  • 水溶性微量要素「ハイグリーン」 1㌘(5号鉢)〜4㌘(10号鉢) 全株


2021年8月29日日曜日

EC をチェックする

私の鉢植えの施肥量の現状を、鉢底から流れ出る 排水のECを計測する ことでチェックし、株の生育具合(特にステム先端の葉の状態)を重ね合わせて判断する。

排水のEC 2021-8-29
株 番号 品種名 EC ㎲/㎝ pH
62 ロイヤルハイネス 3572 6.85
108 あけぼの 2862 6.75
109 ミスターコジマ 3470 6.74
115 クリスチャン・ディオール 4588 6.63
131 ロージークリスタル 3268 6.64
133 ロージークリスタル 4134 6.45
233 ホット神崎 3268 6.89
319 カノープス 4588 6.57
354 スーパー・ディオール 3470 7.06
371 ロージークリスタル 3268 6.64

現状の分析

5月の一番花の後の施肥(いわゆる"お礼肥")が不十分で、うどんこ病の発生もあり、生育は例年より悪かった。

8月上旬から施肥を始め、現在はそれを反映した 高EC値 になっている。
例年、剪定前のこの時期は平均値で 2000㎲/㎝ 程度。
:1000㎲/㎝と1500㎲/㎝の差はかなり大きく影響するが、3000㎲/㎝と4000㎲/㎝の差はさほどでもない。

高EC値=肥料過多の症状

 4段目の芽が一斉に動き出している
8/18に塗布した「ビーエー液剤」の影響があるのかも
 典型的な肥料過多の症状=「ヤツデ葉」
三枚葉や柳葉がヤツデ葉になっている

剪定後に芽が動き出し元気の良い新梢が出るために、この時期の高EC値は構わないと思う。この後、徐々にECを下げていく。花芽形成は新芽が2㎝伸びる1ヶ月後と推察しているので、その頃までに 1800㎲/㎝、最終目標値は品種によって異なるが 1200㎲/㎝ 前後に下げたい。

高EC値を下げる方法

地植えと異なり鉢植えはECのコントロールができるのがメリット。私は「クエン酸」を使用するので、簡単とは言えないものの不可能な目標ではない。あらかじめ作っておいたクエン酸2%水溶液を、pHが6.0になる量を用水に加え、灌水。回数を重ねれば2000㎲/㎝を切るのは比較的容易。1500㎲/㎝以下にはなかなか下がらないが、栽培的にはそれでもOK。

クエン酸については昨日8/28の Field Note|「く溶性肥料を 液肥にする」でも参考資料として紹介したが、 「クエン酸の発根作用機作」:日本植物生理学会|みんなのひろば|植物Q&A がおもしろい。「クエン酸(などの有機酸)は土壌中の栄養素の溶脱現象を無視できない」程度に引き起こすのだそうだ。実感として納得。




2021年8月28日土曜日

く溶性肥料を 液肥にする・1

今シーズンのバラの肥料について、ホームの8月28日の記事:「2021 秋の施肥プラン」に書いています。そこで紹介した "く溶性"の肥料を液肥化する手順です。これまで適当に作っていたのですが、それではマズいと気づいて作り直しました。

液肥にする理由

"く溶性" の肥料成分は「根酸」によって溶け出します。この根酸のpHは2~3、レモン果汁ほどのやや強い酸性です。

参考資料:「根酸と肥料成分の吸収」BSI 生物科学研究所

バラの鉢栽培にとって、鉢土の表面近くには根毛が展開しており、この根酸がある領域に "く溶性" の肥料を追肥することが難しいという問題があります。使いたい肥料が "く溶性" の場合は、私は「まずクエン酸の2%水溶液に溶かして、それを希釈して灌水する」という方法をとっています。具体的には「マグホス」と「けい酸加里」です。

手順

  1. ホームセンターなどで「クエン酸」を入手。割高な「食品用」である必要はなく安価な「清掃用」でOK
  2. 重量比で2%になるように、水にクエン酸を加える
  3. このクエン酸2%水溶液1㍑に、く溶性肥料250㌘を加え、よく攪拌し「使用液」とする
  4. 「マグホス」の場合、その使用液をさらに水で400倍に希釈する。8㍑ジョウロの場合は20㏄。pHは6.3程度

註:「溶解度」が不明(自分で計算できない)なので、この数値はかなり適当。たぶん「過飽和」状態だろう。

左:「マグホス」の使用液

攪拌すればわずかに茶色がかった牛乳のような液になるが、やがて浮遊物が沈殿し、薄茶色・透明な液と分離する。なので、正確に言えばこれは完全に溶けた状態ではなく、混ざり合っている状態。 底には「基材(骨材)」と思われる鉱物が沈殿する。

使用時は、攪拌し乳白色になった液を水に希釈する。希釈すれば分離・沈殿はしない。このことから、溶質250㌘は飽和度を超えていると思われるが、実用上は問題ない。

右:「けい酸加里」

これも同様の状態を示す。

使い方

この溶液をボトルごとシェイクし白濁したままの状態で、8㍑ジョウロに20㏄(5㌘相当)入れて、水で400倍に希釈して灌水に使用する。私の場合、8㍑の水は10号鉢6個分なので、1鉢あたり0.8㌘。極々微量。これを数日おきに使用する。「少量・多数回」が私の方法。

クエン酸

参考資料: 「クエン酸の発根作用機作」:日本植物生理学会|みんなのひろば|植物Q&A

私がクエン酸を使うようになったきっかけは、農業用水路の水がなぜかpH=8.0を超えるような状態だったので、これをバラが好むpH=6.0~6.5程度にしたかったのが理由。その水にクエン酸の2%水溶液20㏄程度を加えるとちょうどpH=6.3程になって都合が良かったから。

でも、今は用水は谷川のきれいな水を使っていて、それは水道水とほぼ同じpH=7.0前後。クエン酸2%水溶液20㏄を加えるとpHが下がり過ぎる。クエン酸に溶かした肥料は使いたいので、どうしたものかと思案中。


DONE:

  • 剪定:
    • フランス・アンフォ(デルバール)
    • ローズ・シネルジック(デルバール)
    • トットちゃん(河本バラ園)
  • 液肥作り


2021 秋の施肥プラン

秋の剪定時期を迎えてバラの成長具合を改めて見直すと、今年は「肥料不足」のようだ。時折ハウスに "偵察" に来て私のバラをよく知るバラ友も同意見。これまで肥料過多だったので、今シーズンは施肥の量も回数も減らしたのが極端すぎたようだ。いや、正確に言えば「やる気が薄れて、肥培管理が疎かになった」のかも。

私の栽培環境や方法では、やはり細かな定量的チェックが欠かせないと、この期に及んで再認識。特に中量要素の施肥量がいい加減なのを反省して、 秋の花のための施肥プランを前年度をベースに、新しい資材も加えて検討する。

基本

私の鉢栽培は、地植えよりむしろ「溶液耕」に近いと考えている。施肥の参考にしているのは「愛知園研バラ処方」。

「愛知園研バラ処方」あるいはアマチュア用液肥として一般的な「マイローズ バラの液肥」も、三要素の合計が 400ppm になっていることに注目。チッソ、特にリン酸の濃度はかなりの差があるが、これらを参考に、チッソが120ppm、三要素の合計が400ppm、Max.で600ppm程度になる配合を考えてみた。

重要

鉢植えとは言え土耕と溶液耕の施肥量を同一視するのはかなり無理があるのは承知の上。これらの数値は「参考値」に過ぎず、その適否は肥料濃度だけでなく1回あたりの量や回数によって大きく異なるので、生育状況で判断すべき。計算値よりもECメーターでの実測値を優先。さらに言えば、実測値よりも観察結果を優先。

また、これは個人的なテスト栽培で、数年の実績はあるものの、基本的な考え方や計算が間違っているかもしれないし、施肥量の適否は簡単に判定できるものではない。栽培目的や環境も異なるので、人様にお勧めするようなものではない。

メインは パワフルアミノ+マグホス+ケイ酸カリ or 硫酸カリ

10号鉢の培土量を約15㍑=15㎏とみなし、その500分の1相当の30㌘を、2〜3回に分けて施肥。
この「少量ずつ分割して施肥」が私の方法で、それは中量・微量要素も同様。

チッソ

培土に対するチッソ濃度は、計算上120ppm程度以下をキープ。

リン酸

パワフルアミノはリン酸の含有量がバラ用としては少ないので「マグホス」を入れる。マグホスのクエン酸2%水溶液(使用液)は、1㍑に対しマグホス200㌘を入れて作ってある。これは実測10000ppm。それを8㍑ジョウロに40㏄=200倍希釈すると50ppmになる。ただし実際にはこの希釈倍率ではpH が下がり過ぎるから、この場合はpHを優先してその半量の25cc程度を入れる。

カリ

パワフルアミノはカリの量も極端に少ないので(その理由は不詳)、別途「硫酸カリ」か「ケイ酸カリ」のいずれかを使う。「ケイ酸カリ」は、マグホス同様にクエン酸2%水溶液1㍑に250㌘を溶かして使用液を作っている。これは希釈倍率が2000倍なので、8㍑ジョウロに16㏄。

「マグホス」と「ケイ酸カリ」の使用液の具体例を "Field Note" に掲載

中量要素は セルカとマグホス

カルシウム

牡蠣殻有機石灰の「セルカ」。主成分は水に難溶性の炭酸カルシウムなので、試しにクエン酸2%水溶液に溶かしてみると勢いよく泡立って、いい感じ。

3CaCO₃(炭酸カルシウム)+ 2C₆H₈O₇(クエン酸)→ Ca₃C₁₂H₁₀O₁(クエン酸カルシウム)+ 3H₂O + 3CO₂

そのまま施肥するより吸肥が早いのでは?と思うが、どうなんだろう。ポイントは、クエン酸カルシウムが水の中で電離して、Ca⁺(カルシウムイオン)になるか、それをバラが吸収するかどうかだが、どう確かめればいいだろう?

カルシウム肥料はこのほかに葉面散布で使う「カルクロン」(塩化カルシウム 72.0%以上)を準備している。

マグネシウム

「マグホス」をメインに考えているが、「ハイグリーン」や「ケイ酸カリ」にも含まれている。

イオウ

特に意識したことはない。元々土に含まれているのだろうし、冬の「石灰硫黄合剤」で十分なのかも。今年は「硫酸マグネシウム」や「硫酸カリウム」を使う予定。イオウは植物の根から硫酸イオンの形で吸収されるので、これで十分だろう。

微量要素は ハイグリーン

メインは水溶性の「ハイグリーン」。
場合によってはマンガンを19%も含む「FTE」を、クエン酸水溶液に溶かして一度は使うかも。
は「鉄力あくあF10」も葉面散布か土壌灌注で使用する。
今夏は、微量要素ではないがケイ酸を含む「けい酸加里」も使っている。


単肥を使うこのような肥培管理は 間違い だ

バラ栽培者の中には多種多様な農薬を使うことを嬉しそうに語る人もいる。聞くたびに『それは逆だろ。農薬を使わずにきれいなバラを咲かせてこそ自慢できるのでは?』と思ってしまう。それと同じで、このようにいくつもの肥料を使うのは、自分のことながら疑問がつきまとう。地植えならこんなことはけっしてしないだろう。

鉢植えバラの肥料は「月1回の置肥、週1回の液肥」が教科書的・肥培管理。でも、へそ曲がりな私はそうしたくない。教科書的な栽培方法では面白くないから。教科書では、上に掲載した表の基本になる「愛知園研バラ処方(夏用)」とか知りようもない。これを学ぶことが楽しいのだ。でもこれって、多種類の農薬を使う人も同じ思いなのかな(笑)

結果は コンテストの出品花 で

このページに書いたことは「プラン」。実際はどうなるか、そしてコンテストに出品しても先輩のみなさんに引けを取らない花が咲くか、どうか。このような怪しげな試行錯誤を、実作で確認できる場があるのは素晴らしいことだと思う。



秋の剪定・3 施肥

鉢植えの場合、秋の花のための肥料は8月下旬の剪定開始前に施肥するのが普通だろうが、やや遅れてしまったかも。

秋の花のために肥料は何を使うか

手持ちの肥料で使えそうなのは「千代田化成550」「土の薬膳(粉体とペレット)」そして「パワフルアミノ」の計4種類。それぞに特徴がありどれを使うか迷ったが、肥効やその速度を勘案し、「パワフルアミノ」をハウス内の全株に入れることにした。

施肥量は4㌘/10号鉢/1回あたり

鉢植えの肥料は少量・多数回

「パワフルアミノ」の保証成分量は N:P:K=6:3:1。
これを4㌘/10号鉢ではかなり少ないだろう。仮に適切な必要量が20㌘としたら、それを5回に分けて施肥する。培養土のECの変化はできるだけ小さい方が良いと考えている。

花は葉が変化したもの。バラの「花芽形成」は意外に早く新芽が2cm伸びた時期には花芽も分化しているのではと思う。この時期を目処にECを安定的にゆっくり下げていく。そのためには施肥は少量・多数回が好ましい。

パワフルアミノ

私のHTが N:P:K=6:3:1 のパワフルアミノだけで育つのか自信がない。これに加えて以下の肥料を使う。

く溶性の「マグホス」と「けい酸加里」は、2%クエン酸水溶液に溶かして施肥。その理由は、く溶性の肥料は根酸に溶けてバラが吸収できるイオンになるが、根毛が鉢土の表面に伸びているこの時期には、根毛を切らずに根酸に触れる位置に肥料を入れることが難しいから。

パワフルアミノ:マグホス:けい酸加里を2:1:1にした場合;
  N:P:K=3:6:5

「パワフルアミノ」の施肥量も少ないが、2%クエン酸水溶液に溶かしている「マグホス」や「けい酸加里」の施肥量はいい加減で、たぶんもっと少ない。 これを定量的に見直す必要がある。


パワフルアミノ

「パワフルアミノ」については10年前の古い記事「バラ苗生産農家 御用達「パワフルアミノ」がある。

これは、バラ苗生産が盛んな福岡県田主丸のバラ栽培農家の "バラ息さん" に教えていただいた肥料。購入は同じく地元・田主丸の「スワ肥料店」。以来10年間もこの肥料を使い続けている。以下の写真とデータは同上ページから再掲載。

指定配合肥料
生産業者保証票
肥料の名称 光有機入り粒状肥料ふ631号
保証成分量(%)
  窒素全量        6.0
    内アンモニア性窒素 3.0
  りん酸全量       3.0
    内く溶性りん酸   1.3
    内水溶性りん酸   1.0
  加里全量        1.0

原料の種類
(配合原料)
副産複合肥料、植物油かす類、硫酸アンモニア、骨粉質類<蒸製骨粉>、化成肥料、硫酸加里
備考:1重量割合の大きい順である。
   2<>内は骨粉質類の内容である。
   3蒸製骨粉は豚および鶏に由来するものである。

保証成分量は N:P:K=6:3:1。一般的なバラの肥料とはかなり異なって、三要素の成分量が低い。バラ苗栽培農家はこの肥料を鉢上げした幼苗を短期間で出荷できるまでに育て上げる目的で使用するのだそうだ。その具体例が "バラ息さん" のブログ「いぶし銀のバラ屋」に掲載されている。

使用の実例(芽接ぎ苗の肥培管理)



2021年8月27日金曜日

静かな 晩夏

ようやく雲の切れ間に日差しが戻るようになってきた。

ハウスは2棟あって、主に苗木を育てている小ハウスに置いているER "ザ・ダークレディ" に夏の花(三番花)が咲いた。
昨日は「5歳くらいの小さな可愛い女の子」といった風情だったのに、今朝は満開で、その成長・開花の速さに驚かされる。

"ザ・ダークレディ" は、九州の夏の暑さにも負けない。ある人が『"ザ・ダークレディ" は数あるイングリッシュローズの中でも、最も素晴らしい品種の一つ』と言っていたが、同感。

このまま咲かせて9月中旬に剪定。11月に一斉に咲く秋花をバラジャムに加工する。


DONE:

  • 施肥 「パワフルアミノ」 10㌘/10号鉢 全株 詳細はホームに掲載
  • 昨日の5品種に続き、FL(フロリバンダ)など5品種の剪定


2021年8月26日木曜日

秋剪定スタート 最初の1株

DONE:

  • 剪定 詳細は、ホーム「秋の剪定・2 剪定開始
    1. カノープス 3株

    • シェラザード(木村卓功)
    • ローズ・ポンパドゥール(デルバール)
    • ジェネラシオン・ジャルダン(デルバール)
    • パーマネントウェーブ
    • マザーズディ

  • 施肥 微量要素「ハイグリーン」3~4㌘/1株。「ハイグリーン」は水溶性の粒剤。
  • 中耕 鉢の表土の外周部をほぐす。成株の鉢土表面は "根毛" が張っていて、今は根を切りたくないから全面的な中耕はムリ。


秋の剪定・2 剪定開始

HTの最初は「カノープス」

2010年 富吉紀夫氏の作出で、JRC(日本バラ会)主催の第1種新品種コンテスト銅賞。淡いピンクの花弁に、鹿の子まだらの赤が入る。

栽培しているHT(ハイブリッド ティ)の中では最も遅咲き。これまでコンテスト期間中に咲いたことがないので、今秋は例年より早めに剪定した。

この株はデービッド接ぎで作った新苗。BS(ベーサルシュート)は2本しか出なかったが、その勢いが良かったので「勝負株」と判断し(笑)あえて3本目を狙わなかった。

リッチェルの10号バラ鉢に植え込んだが、そのときに噛ませた割竹がそのままになっている。7月にこれを抜いて新しい培養土を入れるつもりだったけど、暑さにへこたれて、ついにそのまま。

写真左:ステムは4段目を放任。この写真では、結蕾した4段目はその中程で切り捨てている。

写真右: 私は基本的にHTの秋の花のための剪定は、BSなら2段目で切る。この株の1段目が「五枚葉5節ピンチ」ではなく、6〜7節まで伸ばしているのは、来春の剪定の際に「芽の選択の幅」を広げるため。

カットする位置は2段目の「スイートスポット」。段の中間付近に、節間がやや狭い部位がある。それが「スイートスポット」。ほぼ垂直のステム2本なので「内芽」「外芽」は関係なく、ピラミッド型の良芽を確認して切った。

この株は、誰が切ってもこうするだろうという標準的な株。「カノープス」はこの新苗の他に2鉢あり、それはうどんこ病が原因(遠因)で、葉が1枚もないというステムもある。

葉が1枚も無いステム さてどうする?

カノープス #49

福岡バラ会に入会したときに栽培し始めた6年生株。写真ではわかりにくいが、3本の古枝と2本のBSがある。3本の古枝には右の枝に数枚の黄葉が残っているだけで、葉が無い。

2本のBSは遅く出たので未熟。特に奥側のBSは短いし勢いもやや弱い。さてこれをどうしよう?

葉が一枚もない2本のステムは、『葉があればここで切る』という位置=今年の新梢の2段目にハサミを入れた。『どんな花が咲くのか。そこそこ見れる花が咲くかも』という甘い期待を込めて。

明日にでも右の古い(と言っても昨年の枝)は切除し、短いBSは「同化専用枝」と見做し花を咲かせず、「古枝2、BS1の3本仕立て」にしてみるか。

光合成だけではない 葉緑体の働き

「ステムに健全な葉が残っていない」ということがどのような影響を与えるのか。

葉緑体 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 から一部引用;

(葉緑体は)光合成が最もよく知られた主要な機能であるが、その他に窒素代謝、アミノ酸合成、脂質合成、色素合成など、植物細胞における代謝の重要な中心

"甘い期待" は吹き飛んでしまうが、それでも芽吹き、葉が展開し、小さいながらも花が咲くことは、バラ栽培者なら一度は経験があると思う。グルコース(ブドウ糖)や、アミノ酸(特にグルタミン酸)を多く含んでいるという宣伝文句の資材を入れるなど、"ドーピング"してもムリなんだろうなぁ(笑)。

しかし、窒素代謝やアミノ酸合成などは、葉緑体だけができることではないだろうから、今回は 1枚も葉がないステムにどんな花が咲くのか  を観察してみようと、剪定しながらそんなことをボンヤリ考えた。密かに、"ドーピング"に何を使うかという怪しからぬことも考えている(笑)。「それよりも、右の枝を元から切除すべき」という声が聞こえるが、切るとバランスが崩れそうで躊躇ってしまう。切ると、スッキリするのになぁ。

シュラブなどは 開花中の品種から

ハウス内のHT以外の品種は、開花中の株を剪定した。これまでHT以外の品種をコンテストに出品することはほとんどなかったので、開花時期を見据えて剪定日を決めるためのデータを持っていない。

「HTよりも早く切る」ということと、摘蕾するのが億劫(かわいそう)で今咲いている夏の花は「ピークを過ぎた」という二つの理由で今日切ることにした。

  • シェラザード
  • ローズ・ポンパドゥール
  • ジェネラシオン・ジャルダン
  • パーマネントウェーブ
  • マザーズディ

これらの剪定は「すべての枝先を、五枚葉1枚をつけて切り捨てる」という簡単な方法。「古枝、込み入った枝、弱小枝を枝元から切除する」というのも、たぶん誰が切ってもほぼ同じだろう。

今秋はHT以外の品種もばら展のコンテストに出品するかもしれないので、株全体の樹形を整えることより、ステムが長く伸び、それに多くの花がつくことを意識して(願って)切った。



2021年8月24日火曜日

「台風一過」とはいかず 秋剪定

台風が対馬海峡を抜けるとき福岡は強い南風が吹くのだが、今回は小さな台風でさしたる被害も出ずによかった。
それでも夜半過ぎにはそれなりの風が吹いて、外に出たら風に押されてよろけた。

通過後は南西の湿った風が吹き込んで、蒸し暑い。
正午前の気温34.0°C RH(相対湿度)57%。

今夜も降りそうで、今は北の空に遠雷が聞こえている。

明日から秋の花のための剪定を始める。手始めに、明日はバラ友と剪定について現地検討会の予定。幾分なりとも天気が回復するように。

この時期の施肥と、 秋剪定・雑考「ローズそらシド」の過去記事から


2021年8月23日月曜日

台風12号接近中

今夜は十六夜か。南風に流れる雲の切れ目から、月の光がぼんやりと見える瞬間がある。
そうなんだよ、この雲の上には月が煌々と輝いていて、そして宇宙(そら)が広がっているんだ。

風第12号(オーマイス)がこの地域に最接近するのは明日の未明か。対馬海峡付近にずっと居座り続けている前線を吹き飛ばしてくれるといいんだが。でも夏空が戻るのは週の後半になるのだとか。

台風経路図 出典:気象庁ホームページ

週後半から秋の花のための剪定を始める。生育具合はマチマチだが、気持ちは弾む。今回はフロリバンダやシュラブも "本気剪定" をするぞ。 (笑)

人生 最高の生き方

ブログ「ローズそらシド」を再開するにあたって、過去記事を読み返している。
その中で、今の自分の気持ちに合うのは 2015年11月13日 の記事:そらの「メメント・モリ」

この記事の前半は与太話だけど、後半の「そらの 甘い生活」の部分。以下引用:

退院する者、効果が無ければ「後は打つ手無し」と怯えつつも つらい抗がん剤治療に耐える者。
運命が明暗分かれるかのようですが、それは違いますね。流れる雲のように、私たちはみんな同じ方向に進んでいるのです。

人生に夢を持ち、それが実現するように目標と具体的な計画を作り、それに向かって日々努力する。

これは多くの人がそう考える「人間らしい」生き方でしょうか。疲れたり迷ったりすることはあるとしても、私はこれまで「生きる」ということをそんなふうに考えていました。でも、自分の生き方をそのように考えるのは止めることにしました。

夢はあってもいいけど、それは夢見るためのもの。目標や計画など重苦しいものは全部捨て、来年や来週や明日は無く、その日を自分がしたいように過ごす。朝、目が覚めれば「もうけもの」好きなように一日を過ごす。ただし、周囲の人にはできるだけ迷惑をかけぬように。

くだらない(と自分でも思う)けど、除草作業をしながらたどり着いた、これが私の「メメント・モリ」です。

そうなんだよ。 いずれ近いうちに自分が死ぬということを忘れずに、自分のやりたいことを好きなようにやる。 これが最高の生き方だ。


2021年8月22日日曜日

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昨夜半から未明にかけて強い雨。今日は「沈」。バラ友に紹介してもらった本を読む。

「根力で咲かせるバラつくり」

高原 通寿 (著) 農山漁村文化協会 2008年1月発行

主に「鉢植え」に関する部分を拾い読みしたが、読み進むにつれ、boketanさんが「新苗で秋に勝負」(2011年)で紹介された鉢植えHTの栽培方法との類似性にちょっと驚いた。

お二人とも日本ばら会で活躍された優れた栽培者だが、お互いに影響しあったり、あるいはそれぞれの栽培方法を突き詰めていくと、共通する部分も多くなるのかも。

高原氏のこの著作の核心部分は「根力」だが、根の働きによって「吸水根」「生育根」「吸肥根」と分類する著者の 基本的な考え方 に、私は同意できない。

参考になる情報は多そうだが、読んでいて心が弾まないのはなぜだろう?


DONE:

  • 夕刻、ハウス内の鉢土が渇き気味のものがあったので、「マグホス」(く溶性/リン酸17%・苦土3.5%・他/多木化学)をクエン酸2%水溶液で溶かしたもの 20㏄/8㍑(EC=238㎲/㎝ ㏗=5.96)を少量灌水。 この方法で1株(10号鉢)のマグホス施肥量は(計算したわけではないが)0.1㌘にも満たない。


2021年8月21日土曜日

用水に谷川の水

大小2棟のハウスで栽培しているバラは、5号鉢の苗も含めると200鉢程度か。これらの灌水に使用する用水は、自宅と畑の中間にある農業用水路からエンジンポンプで汲み上げていたのだが、そこで開発工事が始まって、やむなく少し離れた位置にある農業用溜池に注ぐ谷川の水を使うことにした。この水は、㏗=7.0 EC=200㎲/cm 前後。

以前使っていた農業用水路の水は、なぜか pH が高くいつ計測しても pH=8.0 を超える。pHメータの誤作動かと何度も校正したが、メーターに異常なし。理由がわからず苦慮。

じつはそれに気づく前に、この用水を使う鉢植えに「クロロシス」が多発した。最初これは「微量要素Feの欠乏」と考えたが、それは直接の原因ではなく、用水の高いpH値がもたらした "結果" だと知るまでに1年かかった。

この農業用水の高いpH値の理由は不明。 用水が流れ出る大きな溜池は、バイパス工事のために池の中に大きな橋脚を作る工事が進んでおり、それに使われた大量のコンクリートの影響かもしれないし、下水道ができていないこの地区の住居から出る生活排水のせいかもしれない。

雨水のpH値は?

正確な値は気象庁のデータ:「酸性雨に関する基礎的な知識』を参照してほしいが、私の畑での実測値は pH=6.0 を下回ることが多く、pH=5.6以下の「酸性雨」のこともある。雨水や水道水(pH=7.0±0.2 程度)を用水にしている人は留意。

用水を pH=6.3前後に下げたい。方法は?

私が思いついたのは「クエン酸」を利用すること。

参照:クエン酸 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

クエン酸は「クエン酸回路」の構成成分で、酸素呼吸をする生物では効率の良いATP生産ための重要な要素。栽培的にはみなさんご存知のように、肥料の成分がクエン酸の2%水溶液に溶解する性質が「く溶性」ですね。
この「クエン酸2%水溶液」を利用して、用水のpHを下げようと考えました。

具体的な方法

  1. ホームセンターなどで、安価な清掃用「クエン酸」を購入。割高な「食品用」の必要はない
  2. 水との重量比で2%になる量を溶かす。水1㍑ に クエン酸 20㌘。化学実験ではないので、大まかな数値でOK
  3. 用水が pH=6.3 前後になるようpHメーターで計測しながらクエン酸水溶液を加える。私の場合は、pH=8.0前後の水8㍑に 20㏄程度

この方法の欠点

肥料は水に溶けてイオン化し、それを植物が吸収します。以下は "推測" ですが、クエン酸水溶液を使ってpHを6.3程度に下げた水は、肥料のイオン化傾向を促すようです。これはバラが肥料を吸収しやすくはなるものの、かなりの肥料分が溶脱してしまうという大きな欠点があります。これまでの栽培結果や排水のECチェックから、そのように推測しています。

理想的な用水は

現在使用している谷川の今日のpH値は6.78 です。今後もこの程度の値で推移すると思われるので、クエン酸水溶液を使用せざるを得ない理由はほぼ無くなりました。でもやはり pH=6.78 はやや高すぎます。クエン酸を使用せず用水のpHを6.30まで下げる方法は?

ひょんなことからヒントを得て、まったく別の画期的な?方法を思いつきました。現在試験中なので、いずれ。


DONE:

  • 水汲み 2回 計600㍑
  • 灌水装置のセッティング


2021年8月20日金曜日

秋の剪定・1 準備(生育状態の観察と施肥)

福岡バラ会の「バラ栽培研究会 月々の手入れ -8月」のページに、ハイブリッド・ティ(HT)の秋の花のための剪定方法が掲載されている。入会以降このテキストに沿って剪定をしてきたが、今年もこれを基準にして自分なりの方法を探ろうと思う。

遅咲きのHT品種とフロリバンダ、シュラブは今月末から剪定を始める。私が栽培中のHTでは "カノープス" が最も遅咲きなので、今月末までにはこれの剪定をする予定。そのつもりであらためて全株を見ると、なんだか頼りない。一昨日「土の薬膳」(粉体)を入れたばかりだが、この肥料は肥効がとても緩やかなのでいささか心配になって、急遽、全株に即効性の「千代田化成」を水に溶いて追肥することにした。朝は、「生育が遅れ気味の株にだけ千代田化成」と考えていたのだが。。

「肥料は控え気味に」というのがコンペティション・ローズ栽培のセオリーで、今年はかなり控え気味の施肥量だったのだが、この時期になって『もしかしたら肥料が足りていないのでは?』という不安が。結局、全株ほぼ一律に施肥。これが私の治らない悪癖。

生育状態(肥効)の判断

チッソの施肥量については簡易なECメーターも使用するが、それはあくまでも参考値。活発に生育している「3〜4段目の葉の状態」などで判断する。この時期は、最上位の3枚葉の中にわずかに「ヤツデ葉」が有るかどうかが判断の一つの目安。コンテストに出すバラに「ヤツデ葉」があっては論外だが、剪定前の今ならそれは充分に肥料が効いている証拠。

現状では「ヤツデ葉」は皆無なので、この施肥が過剰な株があったとしても、3〜4段目は剪定で切除するし、剪定後の新芽が3㎝伸びるまでに意図的にECを下げていくから問題ないと考えている。

展開している新葉の大きさや葉柄の角度も、肥料の状態を知る重要なポイント。剪定日まであと10〜20日。葉の様子を継続的に観察しながら、剪定日前後にもう一度即効性の「芽出し肥」をやる予定。

追肥(芽出し液肥・1回目)

計算式:千代田化成550 N:P:K=15:15:10 三要素の合計は40%。これX㌘を8㍑の水に溶かす

  • 0.4X3㌘X0.000125X100=0.015%=150ppm Nのみ 56.25ppm
  • 0.4X5㌘X0.000125X100=0.025%=250ppm Nのみ 93.75ppm

ECメーター実測値

  • 8㍑の水に千代田化成のみ3㌘混合:TDS=174ppm ≑ EC=348㎲/cm ㏗=7.33
  • 8㍑の水に千代田化成のみ5㌘混合:TDS=263ppm ≑ EC=526㎲/cm ㏗=7.21
  • 8㍑の水に上記3種類を混合    :TDS=482ppm ≑ EC=964㎲/cm ㏗=6.54

計算式と実測値で若干のズレはあるが、私の器具では正確な計量・計測はできない。
3種類を混合して EC=964㎲/cm はやや過剰な数値だが、これまでの使用実績からまずOKな数値。


  • TDS:水に溶けた無機塩類と有機物の濃度 単位 ppm (part per million) は百万分率
  • EC(電気伝導度):水溶液中のイオン量 単位 ㎲/cm 栽培では ㎳/cm が使われることが多い

TDSとECは別のものだが、肥料濃度を測る場合ほぼ同じ傾向を示すそうで、私の簡易なECメーターでは、EC=0500㎲/㎝の場合は250ppm、EC=0250㎲/㎝は125ppmなど、㎲/㎝の1/2の数値がppm。必ずそうなるので、どちらかを計測し他は内部で換算してるだけ。TDSとECの換算式はメーカーによって異なるらしい。

つまり、簡易なECメーターではおおよその目安になる肥料濃度を測っているだけで、施肥量の適否判断は生育状態の観察が決め手だろう。でも、現状は「結果」であり、事前の予測は難しく経験を積むしかない。

千代田化成

基本的に水稲を意識して設計された肥料なんだろう。水によく溶け、バラが好きなアンモニア態チッソなので肥効は抜群。過肥に注意。私のバラ栽培では EC=400㎲/cm ≑ 200ppm(4㌘/8㍑)が上限の目安。

けい酸加里

これの目的は細胞壁強化とマンガン毒性の軽減。この肥料は「く溶性」なので、あらかじめ「クエン酸2%水溶液」(㏗≑3.20)を作り、その1㍑中にこの粒剤100㌘を入れて攪拌。混入量は未計算でかなり適当。その溶液20㏄を8㍑の水に混ぜて使用。

リキダス

有島薫さんの紹介で使い始めたが、目的次第で効果は抜群。過肥を嫌うコンペティション・ローズの栽培では、使用する時期・回数や量の判断を誤るとバカでかい花が咲く。今回の20㏄/8㍑は規定量の半分。

この結果はコンテストで

このような試行錯誤で育てているバラは、10月下旬には「コンテスト」という厳しい場に臨むことになる。ベテラン栽培者のみなさんのバラと並べて出品するのは、一切の言い訳無用で独特の緊張感があり、とても良い勉強(反省の機会)になる。今日の施肥の結果が出るのだ。

そして特筆しておきたいことは、自分の出品花の審査結果に疑問を感じたことは一度もない。



自然任せの「シリンジ」

雨でハダニをやっつける

北部九州は8月11日から1週間ほども強い雨が断続的に降りました。この雨を利用して、ハウス内で育てているミニバラ「須恵姫」3株のハダニ退治を試みました。強い水圧(シリンジ灌水)でハダニを吹き飛ばす退治方法がありますが、これは自然任せの「シリンジ」です。

今朝その結果を確かめてみましたが、ハダニが居そうな20葉ほどではまったくその姿がありませんでした。でも、たぶんハダニが全滅したわけではなく、これから再び出現するんでしょう。

1週間以上も雨に打たせ葉が乾く時間は少なかったので、これまで無かった黒点病が。。当然の結果かも。

19日の夕刻 "サプロール" を散布。でも、その後1時間もしないうちに驟雨。雨を予想してパラフィン系展着剤「アビオンE」を混ぜてはいたけどが、そんなものは洗い流すほどの雨の強さ。

これらの鉢はハウス内に移動しましたが、これからは黒点病対策が必要になります。

ミニバラ「須恵姫」は、福岡バラ会の先輩である岩本良一氏&諌山久美氏が1990年に作出された品種なんだそうです。ピンクと白の取り合わせがきれいで、ばら展のコンテスト・ミニバラ部門に出品した「須恵姫」を、来場者から所望されたこともあります。

旺盛に育ったので4株に株分けしたところ、白花が多い株が出現しました。同じ環境で並べて育てているので、肥培管理や日射量の影響とは言えないようです。

画面右後ろは夏の花「夾竹桃」の挿木苗。このは 夾竹桃ではちょっと珍しいでしょう?


DONE:



2021年8月19日木曜日

鬼のように

ハウス内の鉢植えで栽培しているコンペティション・ローズのハイブリッド・ティは、春の二番花を咲かせずに五枚葉5〜7節でピンチを繰り返し、品種にもよるが4段、樹高が3メートルほどになった株もある。最終段は放任し、鬼のように片っ端から摘蕾した。

放任した最終段はマツバホウキ状に展開するので、秋の剪定に備えて若葉が展開している最終段をバッサバサと非情に切り落とした。秋剪定では私は原則的に新梢の2段目を切るので、「予備剪定」と捉えるなら3段目の切除でもいいのかもしれないが、ステムの下部(1段目と2段目)に葉が少ない株もあるので、現時点で3段目で切るのはちょっと躊躇する。

秋に咲く一輪のために、このような管理をするのは果たしてどうなのか』と疑問が常に頭をよぎる。でも、たぶん私にとってはこのようなコンペティション・ローズの栽培は今年が最後。どんな花が咲くか見届けようと思っている。コロナ禍で秋のコンテストが開催されるかも怪しくなってきたみたいだけど。。

追記

HT(ハイブリッド・ティ)の秋の花枝の剪定については、福岡バラ会のサイトに具体的な方法が説明してあります。

福岡バラ会/バラ栽培研究会・資料 「月々の手入れ」

8月のページをご覧ください。これの著者は福岡バラ会の重鎮・小林 彰氏。長年に及ぶバラ栽培の実績をもとに細部まで検証されたガイドで、日本バラ会の会報「ばらだより」にも年間記事として連載された、コンペティション・ローズ栽培のバイブルとも言える方法です。

このガイドの出版には、私もいささか関与させてもらったので、どこに何が書いてあるか頭に入っているのですが、へそ曲がりな私は必ずしもこのとおりに剪定するわけではありません。
・・と言うか、「真似をしようにも "基が違う" からこのようにはできない」というのがホントのところです。笑。


DONE:

  • HTの予備剪定 1回目


バラの交配・6

この記事は5月23日の「バラの交配・5」からの続きです。

その後も失敗したものが続き、今も頑張っているローズヒップは20個ほどに減った。でも、その中にはわずかに色づき始めたものもあり、最終的には「種播き」が少しは楽しめる程度は残るだろう(残ってほしい)と期待している。

色づき始めたローズヒップ

枯れてしまったローズヒップ

交配後にかけた袋を取り除いた後は何も手を加えていない。初期の頃の雑菌の繁殖が原因と思われる枯れの他に、交配後2〜3ヶ月経過して枯れたものもあり、その原因はわからない。

推測の域を出ないが、ローズヒップが肥大していくにはそれなりの養分が必要で、コンペティション・ローズとして肥料を控え気味に栽培している株では、もしかしたら「肥料不足」だったか。もちろん、交配したステムは脇芽を除去し養分・水分が集中するようにしたが、それでも不十分で、交配する株はそれ専用にすべきなのかも。。



2021年8月18日水曜日

ビーエー液剤の効果

これは、6月23日の記事「新苗・夏至の頃」の続きです。

植物ホルモン「サイトカイニン」と類似の効果を示す薬剤として「ビーエー液剤」がある。古くなってベーサルシュートや低い位置のサイドシュートが出にくくなった株に、このビーエー液剤を使用した。

サイトカイニン:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

鋸目 100倍希釈液 ハケ塗り

今回の希釈倍率は100倍。ただし、このような目的での使用はこの液剤の "適用範囲外" であり、この倍率に根拠はない。方法はハケ塗り。ビーエー液剤は10cc入りの小瓶だが、50株ほどに100倍希釈液のハケ塗りでは1回で使う原液はせいぜい2cc程度。対象の多くの株で、数日の間隔を置いて二度塗り、三度塗りをした。

まったく効果がない株も 少なからず たくさんある

その原因は、株にシュートを出す条件が整っていないことや、適切な位置にビーエー液剤が届かなかったことなどが考えられる。

逆に、鋸目を入れていない太枝の途中の意外な節からサイドシュートが出る事例もある。これはビーエー液剤が主にアポプラスト経路で上部へ移行した結果だろうと推測(あくまでも素人の推測)している。

以下はその中で好結果を示した株。


クラウンに鋸目を入れ、そこに滲み入るようにビーエー液剤を塗布

クラウンの古皮を削り取り、広範囲に液剤が届くように横方向に鋸目を入れる。鋸目の深さは3〜5㎜ほど。

写真左:2本のベーサルシュートが出た。手前側の小さいシュートはいずれもぎ取ることになるだろう。そうしてもシュートが計4本になるので、場合によっては左奥の1本(去年の枝)を切除し3本仕立てにするかも。

写真右:太枝にも鋸目を入れ、そこからもシュートが芽吹いている。鋸目が2段になっているのは、前回の鋸目(上側/鋸目が浅い)では効果が無く再試行したから。

シュートの発生を抑制する植物ホルモン ABA(アブシシン酸)を不活性にする

バラは闇雲にシュートを出すことの危険性を知っており、条件が揃うまでは植物ホルモン ABA(アブシシン酸)が、シュートを出そうとするサイトカイニンの働きを抑制している。このABAを不活性にすることも重要なポイント。方法は簡単で、「株元に光を当てる」こと。そのために光を遮っている下葉を摘葉する。

太枝に鋸目を入れ、ビーエー液剤を塗布

芽を出したい節の7㎜ ほど上の位置に横に鋸目を入れ、ビーエー液剤を塗布。鋸目の深さは3〜5㎜ほど。この傷口には癒傷ホルモンのオーキシンが働き、数日のうちにカルスが形成され傷口が埋まる。

このオーキシンは成長ホルモンでもあり、サイトカイニンとのコラボで新芽の原基が形成され、3〜4週間程度で新芽が芽吹く。

オーキシン:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

クラウンと太枝に鋸目を入れ、ビーエー液剤を塗布

左右の株ともにベーサルシュート2本、サイドシュート2本の計4本が出ている。
新梢の勢いや方向、古枝とのバランスを見ながら、古枝かシュートを切除して、最終的にステム3〜4本の株に仕立てる。私の栽培環境(10号鉢)や肥培管理では、それ以上のステムを立てても「共倒れ」になる。

7月に出るベーサルシュートがベスト

まだ正確にチェックしてはいないが、今年はビーエー液剤の効果が見られる株は3割以下かも。1回目のビーエー液剤を塗布したのは7月27,28日の両日。これは適期から1ヶ月以上も遅く、それから出たシュートは秋花の開花枝とするには未熟。これは、自然に発生するベーサルシュートと区別するために意図的に遅く使用した結果だが、やはり「6月にビーエー液剤を使い、7月にシュートを発生を発生させる」のが好ましいと思われる。



フェアリーリング(妖精の輪)

鉢に生えるキノコは例年6月ごろから見え始める(写真:左)。7月下旬頃の高温・乾燥が続く時期はさすがに姿を消すが、このところの気温と湿度で見事な "フェアリーリング"(妖精の輪)が今年も出現した。

私の鉢に生えるキノコは3〜4種類。これらは菌根菌資材「ローズスタート」の結果と思われる。堆肥や腐葉土に混ざった菌類がキノコ(子実体)として出現したとも考えられるが、「ローズスタート」を使用していない鉢にはキノコが現れないことから判断して、これらは「ローズスタート」由縁のものだろう。

そうだとして、ではこれらの菌根菌がバラの生育にどれほどの好影響を与えているか、それが重要なポイントだが、キノコが生える鉢がそれ以外と比較して格別優れた生育を示すことはなく、キノコが生えるまで見分けがつかない。つまり私の環境では「ローズスタート」は効果がない(笑)。でも「キノコが生えるのは良い土の証拠」と自己満足している。

菌根菌:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


DONE:

  • 施肥 「土の薬膳」(粉体) 全株 20〜30㌘/10号鉢
  • 散布 「デービッド丸・そら型」 ハダニ・うどんこ病 ノイバラ台木&ミニバラ 20㍑
    • アビオンE (パラフィン系展着材)
    • エコピタ液剤 (ハダニ・うどんこ病)

    添加

    • "サプロール" (黒点病・うどんこ病)
    • "鉄力あくあF10" (クロロシス予防 2価鉄イオン Fe2⁺ を供給)

2021年8月17日火曜日

降り続く雨

北部九州付近に停滞する前線上に小さな低気圧が発生。未明にやや強い風が吹いて、風の音に目が覚めた。

「天気図|雨雲の動き」 午前10時 出典:気象庁ホームページ
「線状降水帯」らしきものが見えるが、その範囲は狭く、わずか数キロの違いで降水量が大きく異なる。

雨に打たせてハダニ退治?

ハダニが発生しているミニバラやノイバラ台木が強い雨に打たれるように、ハウスから出して外に置いている。いわば「自然任せのシリンジ灌水」だが、未明の風とこの雨で幾分なりと効果があるといいのだけれど。でも、もう1週間近くも葉が乾くことがないので、逆に黒点病が心配になってくる。

2021年8月16日月曜日

雨 小康状態 株のチェック

昼前に雨が小康状態になったので、ハウス内外の状況を確認。

DONE:

  • 鉢土表面の乾燥状態を確認。灌水不要
  • 黄変した下葉の摘葉、摘蕾

黄変した下葉

秋の花に備えてこの時期は1枚でも多くの葉を確保したい時期。しかし、いくつかの原因によって葉が黄変し落ちる。考えられる主な原因は以下のようなものだろう。

  1. 黒点病の発生
  2. 猛暑期に水不足を経験
  3. 過湿による根の痛み
  4. ハダニの被害
  5. この時期特有の生理的な現象

しかし、これらの条件に当てはまらない健全な新葉がポロポロと落ちる鉢があり、それは初夏の頃から続いていて、その原因がわからない。

ふと『これはネキリムシ類かコガネムシ類幼虫による根の食害が原因ではないか?』と思いつき、確信はないけれど "ダイアジノン粒剤" 2㌘(10号鉢)を株元に散布した。注:バラはこの農薬の適用範囲外。

2021年8月15日日曜日

雨 ハウス内の殺菌

いくつかの株にうどんこ病の前兆が見受けられるので、ハウス内の全株に「デービッド丸ーそら型」を30㍑散布。
微量要素のカルシウムと鉄を添加。いずれも規定濃度。散布時(夕刻)のハウス内気温28.6°C

DONE:

  1. デービッド丸・そら型(有機JAS適合)
    • アビオンE
    • エコピタ液剤
    • ハーモメイト水和剤

    添加

    • "カルクロン" (チップバーンなど、カルシウム欠乏症予防)
    • "鉄力あくあF10" (クロロシス予防 2価鉄イオン Fe2⁺ を供給)

  2. バラにかからないよう注意しながら、ハウスの床面に総合殺菌剤「ダコニール1000」を規定濃度で10㍑散布。