明暗の分かれ道
授粉からほぼ3週間。受粉に失敗したものが続々と出始めた。5/21現在その数25で、全体のおよそ1/3弱。
参考サイト(例):「高等学校生物/生物 I/生殖と発生ーWikibooks」
被子植物のみに見られる「重複受精」とは? 生命の神秘=「神の設計図」のその一端を知るためにも、せめて高校生程度の知識は身につけたいが、彼らは「生物 Ⅱ」ではもう少し詳しく学習している。例えば「光合成の仕組み」。「カルビン・ベンソン回路」を知らなくても綺麗なバラを咲かせることはできるが、「神の設計図」はバラと同じように美しいと驚嘆させられる。それを私の実感で言えば「花の中には ほとけ がいる」。閑話休題。
特徴
- 上左の写真のように萼筒に焦げ茶色の大きな斑点(枯れ)が現れ、それが花首まで広がる
- 雌蕊(めしべ)の部分に「黒カビ」が発生しているように見える。
画像クリックで拡大表示すると、他に白カビもあってそれには胞子のようなものが見える - 萼片の内側が赤みを帯びてくる(受粉失敗を見つけるサイン)
- 蜜(メープルシロップ)のような茶褐色・透明の液体が滲み出る(例外もある)
内部の様子
受粉に失敗した萼筒(子房)内部の果肉や、種子になるはずの胚珠もすでに腐敗し始めている。蜜のような液体は、水ポテンシャルによって腐敗した部分から滲み出た水だろう。
萼筒に出る焦げ茶色の大きな斑点(枯れ)は早いもので2週間ほどで現れ、数日中に萼筒から花首まで拡大し、腐敗が急速に進行する。結果を早く知ることができるのは、その後の対応が可能なので助かる。
失敗の原因は?
- 花粉の採取や授粉の、技術の未熟さ
- 黒カビの発生
- 交配親の染色体が「三倍体」で、これは「不稔性」になる
1「授粉 "技術"」というほどのものはないが、花粉は生きている ので、その保存方法は重要なポイントだろう。私は今回は冷蔵庫を使わず、ハウス内の陽が当たらない場所に、花粉の出が悪いものは数日間置いた。雄蕊(おしべ)はガラス製のシャーレに入れたが、雄蕊は意外に水分を持っていて、シャーレ内が少し結露することもあった。花粉は雌蕊の柱頭からの水分(や S遺伝子座のタンパク質)を得て膨らみ活動を始めるので、保存中の花粉が互いにくっついて纏まるような過湿は好ましくないようだ。
2「黒カビの発生」が失敗の 原因なのか結果なのか は今のところ不明。授粉後に「袋掛け」をするのはカビの繁殖には好都合な高温多湿の環境を作ることになるので、野村先生のように3日で外す注意が必要か。私は1週間程度も掛けたままにしていたものもあった。雌蕊(胚嚢)は受粉後に別の花粉を受け入れることはないので、3日以上の袋がけは無意味なんだろう。
3「不稔性品種」については、今回の結果をまとめればある程度の推測が可能ではないかと思う。もちろん失敗の原因は「不稔性」以外にもあるだろうしテスト数も少ないのだが、「不稔性品種」を調べるのは今回の目的の一つなので、結果が出るのが楽しみでもある。
ちなみに、「花粉が出ない」「少ない」という品種もいくつもあった。そのような品種にも授粉している。
自家受粉
また「自家受粉」も数品種で試みているが、意外なことに明らかな受粉失敗は今のところ無い。露地植えのバラで花殻を放任していると結実する品種も少なからずあることから、バラは自家受粉を避ける「自家不和合性」をあまり発達させていないのかも。その典型はノイバラ(ロサ・ムルティフローラ)。ノイバラの種からはノイバラが生まれるが、栽培品種は親と同じ形質を持ったバラが生まれるのだろうか?
特徴
- 雌蕊(めしべ)部分の「黒カビ」は皆無ではないが少ない
- 失敗したもののように液体が滲み出る事例は無い
- 萼筒が丸く膨らみ始め、それにつれて、下がっていた萼片が再び上を向き始める
これは受粉成功の嬉しいサイン
捕らぬ狸の皮算用
受粉に失敗したものはこの後も少し増えそうで、交配に とりあえず 成功するのはたぶん50個程度か。
1個のローズヒップに平均10粒のタネがあるとして、総数 500粒。その発芽率が30%なら・・。笑
「佳花率」はその0.001%(十万分の一)以下 。爆
0 件のコメント:
コメントを投稿