2015年12月31日木曜日

2016 接ぎ木シーズン開幕

2016年の接ぎ木作業を開始しました。例年1月中旬に始めていたので、今年は半月ほど早いスタートになりました。台木や穂木は、12月19日の福岡バラ会での「接ぎ木講座」で提供されたもので、10日間ほど冷蔵庫の中で保管していました。接ぎ木方法は「切接ぎ」で、2種類の培養土のテストを兼ねています。

「成田光雄のバラ講座_バラの接木」という YouTube動画 があります。成田光雄さんは「湘南バラ会」の会長で、この動画では切接ぎの理論から実践までを紹介しています。

カッターナイフと接ぎロウを使うオーソドックスな方法ですが、接ぎ木に初挑戦の方には参考になると思いますし、私も自分の方法の再確認ができました。切接ぎの理論や手順の説明はこの動画を参照していただければいいので、ここではそのような解説は省きます。

バラの切接ぎ用の台木と穂木

講習会で提供された台木は、福岡県筑後地方のバラ苗生産者が栽培したものだそうで、切接ぎ用にあらかじめ茎と根が切ってありました。この地域の多くのバラ苗生産者は、新苗生産の場合4号ポットで出荷するので、それに合わせた根の長さです。

デービッドさんによれば、『このように台木の枝や根を切るのは生産者の都合に過ぎず、バラのためには良くない』と。私には判断するだけの経験がありませんが、このように切られた台木では「切接ぎ」以外の方法の選択の余地がありません。

穂木は 講習会に合わせて切られたHTの3品種で、HTを接いだ経験が少ない私にはかなり未熟なように思えました。この時期に切られた穂木はまだ「寒」に当たっていなく、赤花品種なのに枝も芽も薄い緑色のままで、これで良いのか不安があります。

でも今回は実用本意ではないのでこれを接いでみることにします。比較対象として、芽が充実したERの「ガートルード・ジェキル」とデルバールの「ジェネラシオン・ジャルダン」を接ぐので、計5品種になります。

テーブルバイスは昨年から使い始めました。これの詳細は、2015年1月26日の記事「バラの接ぎ木 2015」に書いています。

テーブルバイスを使う切接ぎ

安全な作業への工夫|吉田先生の場合

福岡バラ会の接ぎ木講習の講師・吉田先生は、(浴室用の腰掛けに座って)靴で台木を挟んで切り分ける方法でした。コメントを頂くG-3さんは、まずポットに植えてから作業をされるそうで、安全な切接ぎ作業のために、みなさんそれぞれ工夫されているんですね。

吉田先生の切接ぎ

バラ苗生産農家の切接ぎは(これまでも何回か紹介しましたが)「接木ドットコム|接ぎ木情報と接木テープ」のページにその様子を紹介した動画「バラの切接ぎ方法~穂木の作り方と接木テープの巻き方」があります。

吉田先生も私も、切接ぎ方法の基本はこの動画のバラ苗生産農家と同じです。と言うか、切接ぎならば「基本」は誰がやっても同じことですね。みなさんはそれぞれ微妙な部分でくふうをされていると思います。

吉田先生は台木の木口が「新鮮な面」になるよう切り直しをされます。これは初めて見ました。私はさらに接ぎ木する部分を湿ったウェスで拭って汚れを落としますが、これはデービッドさんに教えてもらったコツです。

バラ苗生産農家は品質だけでなく「効率」も考慮しますから、木口を削り直したり拭ったりはしませんが、効率を重視する必要の無い私は丁寧に作業をしました。これらはいずれも接ぎ木後のカルスの盛り上がり(肉巻き)が良くなるための配慮です。

充実した台木で、形成層も見分けることができます。写真左:画像クリックで拡大しますが、拡大画面で薄茶色の形成層が見えています。

この日は「接ぎ穂」の調整やテーピングの写真は撮りませんでした。いずれも「1芽」の接ぎ穂で、接ぎ木テープは「ニューメデール」を使い、接ぎ穂の先端まで巻くことで、接ぎロウや「バッチレート」は使いませんでした。

今シーズンの接ぎ木作業のテーマは、開花までの全行程にわたり自分の環境に適した方法を探すことです。

まず必要なのは、接ぎ木した幼苗をどのように管理するかを決めることです。いつ頃「鉢増しを」をするのか、それによって、使用するポットのサイズや形状、培養土の配合が変わってきます。

左は2015年の事例ですが、1月下旬にデービッド接ぎをして3ヶ月後の4月中旬の状況です。ピンチをしていないので、ひょろひょろに伸びてしまっています。中央の鉢はピンチで分枝したのではなく、元から2芽ある接ぎ穂です。

この反省から、今年は「接ぎ木後2ヶ月程度、新梢の5枚葉が5段展開する時期(最初のピンチ)まで5号ロングスリット鉢で育て、その後7〜8号に鉢増しをするか、地植えする」という手順を考えています。

ちなみに、吉田先生は「川砂のような無肥料の用土に植付け、発芽後の適当な時期に植え直す。発芽や発根は台木や接ぎ穂が内包している養分でまかなわれるので、無肥料の用土で(が)良い」というお考えのようです。

「無肥料の用土で良い」と「無肥料の用土が良い」は意味が違います。自分の環境や方法ではどちらが好結果をもたらすのか、それは簡単なテストでわかると思いますが、今回は前年と同じ用土(TYPE-A 写真下左)と、「土の薬膳」シリーズの「BIOSOIL GARDEN」を混ぜたもの(TYPE-B 写真下右)の2種類を試すことにしました。「BIOSOIL GARDEN」には肥料の「土の薬膳」が含まれています。

その配合は以下のようなもので、内容の約4割が有機物です。

接ぎ木苗用 培養土
TYPE-A TYPE-B David(2015)
赤玉土(小粒) 50% 赤玉土(小粒) 50% 鹿沼土 40%
腐葉土 20% 土の薬膳
BIOSOIL GARDEN
30% バーク堆肥 10%
籾殻燻炭 10% 籾殻燻炭 10% 籾殻燻炭  5%
パーライト  5% パーライト 10% 軽石 15%
バーミキュライト 10% バーミキュライト  5%
ピートモス  5% ピートモス 25%

「土の薬膳」シリーズの「BIOSOIL GARDEN」(写真上右の焦げ茶色)は、あらかじめ「薬膳」が加えられて他の肥料を与えなくても植物が育つように作られた培養土ですが、バラには保水性が高過ぎると判断し、赤玉土や籾殻燻炭、パーライトを加えました。様子を見ながら、他の配合割合もテストしてみたいと思います。

"David(2015)" はデービッドさんの昨年の事例です。この他に苦土石灰とゼオライトが加えられます。詳細は 2015年4月22日の「Grafting Roses バラの接ぎ木」

植付けは台木の根の「又」が見える程度に、私としては「浅植え」しました。これはデービッドさんのアドバイスによるものです。

左の写真はデービッドさんによる「デービッド式割接ぎ」の植付け指導のものです。これほど極端ではありませんが、浅く植えたので潅水時にもテープには水がかかりません。植付け後、時間をかけて底面から給水しました。

デービッドさんが用意したこの台木は根が切られていません。この写真でもその様子がわかります。どちらがバラのために良いのか、バラ苗生産者の方法は目的に適った合理的なものですが、私は自分に合った方法を探そうと思います。

なぜ「浅植え」をするのか?

容易に想像できることは「接ぎ木した部分に雑菌が侵入するのを防ぐ」ことが考えられますが、「ニューメデール」をきちんと巻けば、実際にそのようなことが起きるのは稀です。もうひとつの理由は「発芽(成長)を抑制する植物ホルモンABA(アブシシン酸)を、この部分を土から出して光に当てることで不活性型に転換する」ということ。多分それがおもな理由だと思いますが、あまり極端なのも不自然な気がして、デービッドさんより2cm 深く植えました。

このように、5品種計12株を切接ぎして植付けました。切接ぎでは、作業後の保温がポイントのようですが、私の温室は(作業する時間が無く)まだ完成してなく、とりあえず夜間は不織布を被せて寒さを凌いでいます。

温室は正月休みに完成させたいと思っていますが、注文している台木がいつ頃何本届くのか現時点では判らないのでちょっと心配です。台木はデービッド接ぎや芽接ぎにも使うとすればやはり自作に限ると思うので、実生苗作りの準備も進めようと考えています。

2016年1月10日追記:今日の福岡は穏やかな天気でした。最高気温は正午過ぎの10.4℃。昨年末29日に切接ぎした12株は軒先に置いているのですが、今のところ特に問題はなさそうです。白緑色だった芽が赤くなって、ホンの少し膨らんできたように見えます。他の11株も同じです。

今日までの12日間まだ一度も「水やり」をしていません。土が乾かないので必要なさそうです。今夜は放射冷却で冷えそうなので、寒冷紗とビニールを被せました。

2月になって、これらの株をハウスに搬入しました。
写真左は2月3日(接ぎ木5週間後)、右は2月11日(6週間後)の状況です。1週間でグンと大きくなっています。

この接ぎ穂はHTの「ミスターコジマ」で、植え込んだ培養土は「土の薬膳 BIOSOIL GARDEN」を入れた "Type-B" です。12株全体で見れば、腐葉土を入れた "Type-A" とはこれまでは生育の差はありません。
これ以降に植え込んだ株はすべて「土の薬膳 BIOSOIL GARDEN」を 20% 入れたものを使っています。減らした10%に相当する分は「ボラ土」の微粒を入れています( "Type-C" )。

今シーズンの接ぎ木は、2月6日の時点で合計94株になりました。もう少し接ぎたいので、総数120株程度になりそうです。今年は「切接ぎ」一辺倒で、「デービッド接ぎ」はゼロ。切接ぎ以外は「芽接ぎ」を2株しただけです。その理由は「台木」がデービッド接ぎに合わない(デービッド接ぎをする必要が無い)からです。詳細は後日別記事で。

上の3枚の写真はHTの「ミスターコジマ」で、下の左側です。ハウス内の温度は外気より僅かに高い程度になるよう管理しています。そろそろ薄い液肥を与えようかと考えています。

2月28日追記:2ヶ月になり、最も生育が早いものは5枚葉が3節になりました。

上の写真の手前左の培養土は「土の薬膳/BIOSOIL GARDEN」を30%混ぜた "TYPE-B" で、右が無肥料の "TYPE-A" です。これだけでは判断できませんが、切接ぎ直後の植付け用土は「無肥料でいい」のかも。

3月2日追記:4節目の5枚葉が開きかけています。

5枚葉が5節になったら主茎をピンチ。同時に10号鉢に植え替え・・と思うのだけど自信がありません。昨年まではそのまま伸ばしてヒョロヒョロの苗になりました。

ポットを斜めに据えて主茎を垂直にするのは、boketan さんの 「新苗で秋に勝負 3月」 を参考にしました。これも初めての試みです。

ちなみに5号鉢からいきなり10号鉢に植え替えるというのも、同じく 「新苗で秋に勝負 2月」 を参考にしています。

2015年11月26日木曜日

デービッド接ぎ 補遺

今日10月26日の午後2時の気温は7.7℃で、時雨模様の空から霰も降りました。秋のバラもピークを過ぎたこの時期になると、なんか気持ちがそわそわします。私がいちばん好きなバラの作業「接ぎ木」のシーズンが近づいているからです。

2015年のバラの接ぎ木はデービッド接ぎが主で、その他に切接ぎやデービッド式割接ぎのテスト、スタンダード台木への芽接ぎなども試みました。それらの結果は以下でレポートしています。

このページでは、デービッド接ぎに関する追加項目をまとめてみます。

下の写真は1月19日にデービッド接ぎをした株の80日後4月12日の様子です。デービッド接ぎは安定した結果を残しました。テストを除くいわゆる「本気接ぎ」では、84本中73本が成功(率87%)でした。成功率87%では「不満」なんですが、その詳細は後述します。

バラの接ぎ木

デービッド接ぎに関しては過去2年間の記録があります。

今年はそれに付け加えることはありませんが、前年までと違う点は、台木はすべて未熟な「秋挿し」を使い、 接ぎ木作業に「テーブルバイス」を使用したことです。

秋挿し台木については2014年12月「3ヶ月で作るノイバラ台木 秋の挿し木」、テーブルバイスは「バラの接ぎ木 2015」に書いています。

テーブルバイス 秋挿し台木

テーブルバイスは「切接ぎ」を安全に行うために用意したものです。作業が安全な「デービッド接ぎ」には必要ありません。下の2枚は、デービッドさんの作業(講座でのデモ)の様子ですが、このように接ぎ木ナイフの刃の方向には手指がないので、万が一ナイフが滑っても怪我をする危険性が少ない方法です。

註:台木の枝はデービッドさんの大きな手のひらの中にすっぽり包まれていて、この写真では見えていません。

デービッド接ぎ

私は「切接ぎ」だけではなく「デービッド接ぎ」でもテーブルバイスを使ってみました。台木の枝葉を持つ左手に力を入れる必要がなく、両手をナイフの動きに集中できるので、安定した切り分けができました。

切り分けた台木の「面」が平坦なので、穂木がぴたりと合います。これは接ぎ木では重要なポイントです。
(ただし、この穂木のような「出べそ芽」は好ましい芽ではありません。発芽するとは思いますが。)

接ぎ木テープ「ニューメデール」

接ぎ木テープ(接木用フィルム)はデービッドさんから教えてもらった「ニューメデール」を使います。これは福岡の(株)アグリスの製品で、巻いた後に結ぶ必要のない優れものです。

何種類かの製品があるので、種類や使い方は「株式会社アグリス|ニューメデール」をご覧ください。

私は幅25mmX長さ30Mの「ミシン目無し」を使っています。デービッド接ぎの場合、1本に必要な長さは15~20cm程度なので、これで100本以上の接ぎ木ができます。切接ぎならばもっと短くてすむでしょう。ちょっとだけ長いのが作業効率が上がるので、多少のムダが出るとしても、私は20cmの長さにします。デービッドさんは50cmほどにテープを切って、それで複数の株を巻きます。これはムダが少なくなりますね。
なお、5M巻きも販売されています。

  1. テープを適当な長さ(私は20cm程度)に切る
  2. 左手の親指でテープの端を押さえ、台木の基部側から、引っ張りながら巻き始める
  3. 台木と穂木の接合部分はしっかりと3回くらい巻き付ける
  4. 台木の接合部分より上側に1回巻いて、穂木側に移る
  5. 台木と穂木の接合部分のV字状の谷に水が入らないように注意して
  6. 穂木の先端まで巻いていく
  7. 穂木の「芽」の部分は、テープは1回だけ巻く
  8. 先端まで巻いたら、テープを捩って、切る
    (以前は、穂木の先端の小口には、癒合を促進する殺菌剤「バッチレート」を塗っていました)

私のメインの接ぎ木方法は「デービッド接ぎ」です。台木は未熟な「秋挿し」ですが、その台木には枝葉が残っているから光合成をするし、盛んに蒸散もしていると思います。

台木に枝葉を残す「デービッド接ぎ」で気になることは;

「頂芽優勢」によって台木の新芽により多くの養分が送られ、接ぎ穂の新芽の動きが遅くなるのでは?

ということです。その実証試験をしてみました。

左は1月20日に接ぎ木して約50日後の3月10日の様子です。秋挿し台木にはきれいな新葉が展開し、穂木も新芽が2cmほどになりました。そろそろ台木を接合部分の上で切る時期です。

下表の#1〜3の各2鉢は、デービッド接ぎで接いだ同じ品種を同じ条件で管理し、「頂芽優勢」の影響を見ています。(画像クリックで拡大)

3月10日 2鉢ともほぼ同じ新芽。右の台木をカット
3月23日 2週間後 (撮影後、左の台木もカット)
4月12日 さらに20日後の、新梢の状態

デービッド接ぎと「頂芽優勢」
# 3月10日 3月23日 4月12日

これら3品種6鉢の結果(実際は5品種10鉢でテスト。同じ結果なので掲載を省略)から、
「頂芽優勢」がデービッド接ぎに悪影響を与えることはない
ことがわかりました。「頂芽」は台木と穂木の両方に存在すると理解すればいいでしょうか。
(2芽ある穂木の場合、必ずしも上の芽から先に発芽するわけでもありません。その理由はよくわかりません)

したがって、台木のカットを急ぐ必要はなく、接ぎ木60日後、新梢が5cm伸びてから切ってもその後の生育に問題はない・・というか4月12日ではむしろ大きく育っているようにも見えます。推測ですが、台木の新葉が展開した分、根の生長も活発だったのではないでしょうか。

デービッドさんの指導は、「新芽が5cm伸びたら台木をカット」です。納得。

逆に見れば、穂木が発芽した後は、デービッド接ぎが他より特に優れているわけでもない のがわかります。
デービッド接ぎの特長は台木と穂木が癒合するまでの期間に発揮されると思います。これについての考察は、2013年2月の記事:「バラの接ぎ木」の後半に書いています。

今年2015年の「デービッド接ぎ」の結果は、35品種107本を接いで80本が成功し、率は約75%でした。2014年の「デービッド接ぎ」は13品種43本全部が成功(ただし台木は、秋挿しよりも根量が多くより充実した緑枝挿しがメイン)でしたから、この75%という結果も「暗い春」の原因になりました。

「デービッド接ぎ」に失敗したのは、①テスト用に未熟な穂木を使用した ②10月に挿した「秋挿し台木」の一部に未熟なものがあった このふたつが原因です。

テストを除くいわゆる「本気接ぎ」では、84本中73本が成功(率87%)でした。それでもまだ90%には達していませんので不満ですが、その直接の原因は「バッチレート」の誤使用だと思われます。それは・・

今年1月のデービッドさんの接ぎ木講座に参加して『あれっ?』と思ったことがあります。それは「見本」に用意されたもの(写真下左)が「デービッド接ぎ」ではなく「デービッド式割接ぎ」だったことです。

理由を考えることもないままその事実だけが私の中に強く残り、いったんデービッド接ぎをした10株程度の台木(写真下右がその一例)の枝を、接ぎ木2〜3週間後という、台木と接ぎ穂がまだ癒合していない時期に切除して、そこに「バッチレート」を塗布しました。接ぎ木テープを(追加して)巻くのではなく、接ぎ穂の接合部分のすぐ上に殺菌剤を塗ったのです。これが大失敗でした。殺菌剤が接合部に染み込んで癒合を妨げ、接ぎ穂を枯らしてしまいました。・・と思われます。

穂木の先端の木口に癒合を促進する殺菌剤「バッチレート」を塗るのは、福岡県筑後のバラ苗生産農家に教えてもらった方法です。この農家も「ニューメデール」を使用し「接ぎロウ」は使用しません。そのような使い方ではもちろん問題はありません。

写真上右は、デービッドさんの接ぎ木講座で提供された台木に私が「デービッド接ぎ」した株です。この台木は未確認ですが、たぶん「ノイバラ品種 K-1」だと思います。この台木の短い枝の状態は「デービッド接ぎ」には不適です。これについては4月22日の Grafting Roses バラの接ぎ木で触れています。このような状態(枝葉の無い台木の芽が大きく動き、接ぎ穂の芽は動きが見えない)では台木を切るしかないですね。切って、切り口に殺菌剤を塗りましたが、充実した台木だったので初めから「デービッド式割接ぎ」にすべきでした。

右上のような状態になったら躊躇うことなく台木をカットしますが、順調に生育している(台木も接ぎ穂も新芽が動き始めた)デービッド接ぎでも、例年より早めに台木をカットしました。特にシーズン後半の2月中旬に接いだものがそうです。その理由は、「デービッド接ぎ」と「デービッド式割接ぎ」の生育具合の途中経過にさほどの差が無い(どちらも同じ)ということから、『同じなら台木の枝葉は要らない』と思ったからです。切って、殺菌剤を塗りました。

念のために、「デービッド接ぎ」と枝葉を切除して(結果的に)「デービッド式割接ぎ」になったものを各6株を比較栽培してみましたが、切って殺菌剤を塗った「デービッド式割接ぎ」は4株の接ぎ穂が枯れ、残りの2株も生育が良くありませんでした。

このような「気の迷い」によるミスはあったものの、「デービッド接ぎ」はそこそこの結果が出ました。充実度の低い秋挿し台木を使う私の場合、「デービッド接ぎ」の優位性は、私の今年の「切接ぎ」の結果 と比較すれば歴然としています。秋挿しの未熟な台木でも使えるのは、枝葉があって台木の活性が高いデービッド接ぎの優位性の証左 です。

デービッドさんの「接ぎ木の要点5項目」を満たせば、どの方法であろうと大きな差は無いのは言うまでもありません。私は作業の安全性や、秋挿し台木でも使える活性の高さから「デービッド接ぎ」を高く評価しますが、でも接ぎ木方法の優劣はその株が2年3年と育っていく過程も含めて検討すべきことなのかもしれません。

その評価のポイントは、台木と接ぎ穂の「維管束」のつながり具合です。もちろん外からは見えませんが、これがきれいにつながれば接ぎ穂はぐんぐん成長します。逆の場合は、枯れはしないものの成長は緩慢です。

「維管束」の「篩管」。例えばコトバンクのデジタル大辞泉 では以下のような説明がありますが、これは必ずしも正確な記述ではありません。

植物の維管束の篩部を構成する主要素。葉で作られる同化物質を下へ流す通路で、細長い細胞が縦につながった管状の組織をなす。細胞の境の膜(篩板)に多数の小孔がある。

導管は上へ流す一方通路ですが、篩管は状況次第でシンクとソースの位置が変わるので、動きは上下両方向です。切接ぎの場合は台木の根部に蓄えられた養分が篩管内を上に移動します。貼り芽接ぎやデービッド接ぎでは両方向(これが、成功率が高い理由)です。

参照:「師管の物質輸送機構について」 (日本植物生理学会|みんなのひろば|植物Q&A)

さて、「切接ぎ」と「デービッド接ぎ」では、どちらが「維管束」がつながりやすいのでしょう?

私は切接ぎの経験が少ないので判断しかねますが、2015年4月の「バラの接ぎ木 小林流 接ぎ木」で紹介した北九州市グリーンパークバラ園の小林博司先生の方法は、台木と接ぎ木の接合面の関係が「デービッド接ぎ」と同じだったのが印象的でした。

地元のバラ苗生産農家は「切接ぎ」です。それが優れた方法であることは言うまでもありません。でも、熟練した接ぎ木職人さんでも成功率は90%程度と聞いていますし、いわゆる「B苗」も発生しています。「切接ぎは 効率を優先した接ぎ木方法かも。。接ぎ木後の生育が最も良い(=シュートが多く出る)のはどれか?」ということもテーマのひとつとして、私の接ぎ木方法はまだまだ研究の余地がいっぱいあると思っています。

特に、これまであまり意識しなかった「接ぎ木後の幼苗の管理」は(私にとっては)重要な課題のひとつです。

来シーズン(2ヶ月後なんて、すぐですね)は台木を購入することになりました。注文した台木はバラの根頭癌腫病に抵抗性のある「ノイバラ品種 K-1」で、バクテローズ処理済みと聞いているので楽しみです。もしそれが細く短い枝の台木(写真上右)だったら、「デービッド式 割接ぎ」にします。「デービッド接ぎ」よりもやや活性が低い(と思われる)のをカバーするために、「接ぎ木の要点5項目」の "good bud wood" と "with a bit of warmth" の2条件を満たすことも考慮しなければなりません。特に温室のビニール張りを急がなければ。。

11月28日追記:「福岡バラ会」に入会させていただきました。11月の月例研究会に参加しましたが、さすがにレベルの高い内容でした。来月は「切接ぎ基礎講座」として実習が予定されています。どのような方法が紹介されるのか、とても楽しみです。

12月11日追記:ビニールハウスに使うビニールと防虫ネットが届きました。フレームはできているので、なんとか年内にビニールを張り終えて、接ぎ木作業は寒くない環境でと思っています。

今年は台木を注文しましたが、100本だけなので、大量に注文されるところにお願いして便乗させてもらいました。台木生産農家からは既に届いていて、現在は農業用大型冷蔵庫で保管されているそうです。

12月19日追記:「福岡バラ会」の12月の月例研究会は「切接ぎ基礎講座」で、講師は吉田博美先生でした。
メソッドは「切接ぎ」ですが、接ぎ木小刀による事故を防ぐため独自に考案された手法でした。

特に興味深かったのは、台木の「顎」の部分の重要性についてチラリと言及されたことです。たぶん大勢の参加者が聞き逃したのでは?と思いますが、私は最前列のかぶりつきにいましたから、先生のつぶやきも聞き逃しません。この「顎」というのは、私が今とても興味深く読んでいるブログ "boketanの 「徒然なるままに・・・どくまん生活」" の2012年2月28の記事でも言及されています。

貼り芽接ぎはT字芽接ぎと切り接ぎの中間的な性質で、苗の生育がいいと思います。顎の部分を切り接ぎっぽくきっちり合わせることが重要で、ここの断面があっているとカルスの盛り上がりも芽の生育も断然いいです。隙間が空いていても活着はしますが・・・ただの芽接ぎですね。

boketanさんは「貼り芽接ぎ」です。その一連の方法がブログに詳しく書いてあり、またその動画もありますから、とても参考になります。たぶん、このブログを読むよりはるかに参考になると思います。笑。

「台木と接ぎ穂の形成層を合わせる」のは接ぎ木の常識ですが、じつはそれだけじゃなく「維管束」のつながりを良くするポイントはこの 顎の部分 ではないかと思います。吉田先生は「顎」という言葉は使われませんが、この部分に差し込む接ぎ穂の先端がきれいに尖っていることの重要性を強調されます。

ちなみに、デービッド接ぎはこの「顎」の部分の形成層(篩部)の構造を考慮し、それをより積極的に応用した接ぎ木方法です。デービッドさんからそのような説明を聞いたことはありませんが、何本もデービッド接ぎをやってるうちに、そう思うようになりました。単純に台木と接ぎ穂の維管束の位置関係を見れば「貼り芽接ぎ」(このブログの過去記事ではたんに「芽接ぎ」と書いています)が最も繋がりやすいでしょうね。過去記事で、「接ぎ木初心者には芽接ぎの成功率が高い実績がある」と書いていますが、頷けます。

今日の吉田先生のお話の中で、私が聞き耳を立てたもうひとつのこと。それは接ぎ木作業後の「養生」(接ぎ木苗の管理方法)です。もう少し詳しく聞くために、明後日に吉田先生の別の接ぎ木講座にもお邪魔する予定。

ビニールハウス(5.4m X 12m)の自力設置工事も再開したし、嬉しい季節になりそうです。

12月29日追記:今シーズン最初の接ぎ木作業をしました。「切接ぎ」で12株です。台木があらかじめ切接ぎ用に調整されたものだったので、芽接ぎやデービッド接ぎの選択の余地はありません。切接ぎでも、「テーブルバイス」を使うので作業は安全で確実(革手袋不要)です。福岡バラ会の接ぎ木講習で学んだことに、自分なりの工夫をひとつ加えてみました。培養土のテストも兼ねており、結果がどうなるかはさておき、接ぎ木作業はやはりとても楽しいです。

でも、ビニールハウスがまだ完成していないので、夜間の低温にどう対処すればいいか。。とりあえず「不織布」でも被せるかな。

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2015年11月23日月曜日

作業記録:バラのスタンダード 2016(その2)

バラのスタンダード仕立てを「芽接ぎ挿し」で試みる作業記録(その2)です。このページでは、長尺台木に「ツルバラ」を使う場合について、その準備を考えてみます。

Last update : 11/24/2015 21:38:07

ツルバラのドルトムント ツルバラのザ・ジェネラス・ガーデナー

今回は "ドルトムント"(左)と "ザ・ジェネラス・ガーデナー" を長尺台木にして「芽接ぎ挿し」を試みます。

"ドルトムント" は画面左下から右上に向かって伸びている枝を使います。全長は3メートルほどで、先端には花が咲いています。この株は秋にもたくさん咲いたのですが、今はピークを過ぎました。オレンジ色の大きいローズヒップがいっぱい実っています。

ERの "ザ・ジェネラス・ガーデナー" は 画面中央のほぼ垂直に伸びている枝です。これは高さ2メートルから上で何本か枝分かれしています。枝の太さが小指程度の部分に「芽接ぎ」をするので、それより上の枝は捻枝し、下にある枝は葉の残り具合を見て捻枝するか切り捨てるかします。

この株はドームの支柱に添わせて伸ばすつもりだったのですが、固定するとなぜかその枝が枯れるので株全体も元気がありません。別の仕立て(自然樹形の大型シュラブ)にするため、今冬は大きく切り戻します。なのでメインの枝を切ることに躊躇はありません。

*註:芽接ぎする台木の「太さ」は、接ぐ栽培品種の種類によって異なります。HTは芽が大きいので太い枝が必要で、枝が細く芽も小さなウイーピングやポリアンサはもっと細くても可能です。でも、太い枝のほうが形成層が出る部分が広くなるので、芽接ぎの成功率は上がると思います。

候補の枝は 2品種とも春に株元から出たベーサルシュートです。「芽接ぎ挿し」といういささか無謀な(?)方法が成功するためには、台木(長尺枝)の「充実度」がポイントだと思うので、そのために現時点で可能なことはなんでしょう。

  1. 花やローズヒップは早く切り捨てる。葉は多く残す
  2. 長尺台木にする枝は芽接ぎする日まで切らない。その他の枝は(ふつうに)12月に剪定する
  3. 休眠しないように、即効性の肥料を与える
  4. 芽接ぎをする部分を見定め、そこにより多くの養分が蓄積されるよう「捻枝」をする
  5. 葉のない脇枝は切り捨てるか、捻枝する
  6. 「芽抜き」をする
  7. 殺菌剤を塗布して菌密度を下げておく

この7項目はツルバラだけではなくノイバラでも同じでしょうね。6. の「芽抜き」は充実度のアップには関係ないかも。3. の施肥が妥当かどうかはわかりません。7. の「殺菌剤」は穂木にも撒布しておけば安心です。

発根と発芽のタイミングが重なる「芽接ぎ挿し」。

発根 発根を促すために長尺台木を活性化するには、台木の先端に葉があって適度に蒸散するのがいい。
発芽 発芽と頂芽優勢の関係を考えれば、芽接ぎした部分より上の枝葉は切除したい。

この発根発芽の矛盾を、もしかしたら「捻枝」が解決してくれるかも。なぜこれまで気づかなかったんだろう。

2016年2月追記:2016年の「スタンダード芽接ぎ挿し」は、3人で計18本を挿しました。その様子を 「The happydays of Roses」の2月11日と13日の記事 で簡単に紹介しています。ツルバラの長尺枝を台木にするのは4本(4品種)試みています。「捻枝」をしたりしなかったり、結果はまだわかりませんが、うまくいってもいかなくても、詳細は後日紹介する予定です。

2015年11月18日水曜日

作業記録:バラのスタンダード 2016(その1)

バラのスタンダード仕立てを、芽接ぎと挿し木を同時にする「芽接ぎ挿し」で試みる作業記録 2016年版です。
今回はそれを「日録」ふうに(追記形式で)記録していきますが、はたしてどのような展開になるでしょうか。

Last update : 11/28/2015 16:40:21

今年2月、地植えの長尺台木に芽接ぎしたスタンダード仕立て。3芽接いだはずなのに1つは台芽(右側)が 出ています(笑)。 接いだ白花と台木の紅花の対比がきれいなので、そのまま放任していたらローズヒップができました。画像クリックで拡大。台木と接いだ品種のローズヒップの大きさや形、枝の表皮や トゲの有無も異なっています。

放任したので、接いだ品種の枝が1本だけ異様に伸びています。この枝の先端を止めておけば分枝してもう少しまとまった形になったはずです。

この台木の品種はノイバラではなく、SCL(ショート・クライマー/品種名不明)で、STD(スタンダード仕立ての台木)にするため、ベーサルシュートを意図的に1本だけ残して作ったものです。芽接ぎした部分は私の背丈ほどです。STDにする品種はノイバラに限定する理由はありません。詳しくは下記を参照してください。

今年2015年はそれまでとは異なる環境で試み、散々な結果になりました。スタンダード台木の接ぎ木を全部で 14株試みて、そのうちの6株を失敗。メインの「芽接ぎ挿し」は5株試みて3株も失敗。この苦い経験から『次回こそは・・』と思っていたのですが、 「そらの "メメント・モリ"」に書いたように、今年は春から特に体調がすぐれず、台木の準備などがまったくできていません。

それでも再挑戦への気持ちは断ちがたく、今から準備しても可能な「芽接ぎ挿し」を試みます。その内容は今年と同じで大きく変更することはありません。難しい方法 ですが、これは「ガイドではない」のでそれぞれの作業を楽しみながら、「失敗することもあるだろう」と気楽にやっていきます。

*註:私が試みる「芽接ぎ挿し」がスタンダード仕立てを作る合理的な方法であるのかは疑問があります。
今年の結果「成功のツボは "蒸散" バラのスタンダード芽接ぎ挿し」の第3章で それに言及しています。

必要な 準備 は以下の4項目

  1. 台木の準備 台木にする長尺枝をノイバラやツルバラから選び、不要な脇枝を除去しておく
    ただし、先端の枝葉は残す
  2. 穂木の準備 芽接ぎしたい栽培品種の開花枝を選び、充実した枝になるよう肥培管理
  3. ポットと挿し木用土、道具類の準備
  4. 温室の準備 簡易なものでもいいから寒さから台木や芽を守る温室が必要

私の場合、最も大掛かりな準備になるのは「4. 温室の準備」です。ビニールハウスの枠組みは完成しているものの、まだビニールを張っていません。業者は忙しいらしいので間に合わないかも。その場合は 小型の温室を作るなど、何か工夫が必要です。このような状況からスタートします。

「芽接ぎ挿し」の作業時期

これは接ぎたい栽培品種の芽の動き(膨らみ具合)に合わせて決めます。私の環境では、その適期は2ヶ月後の1月中旬から2月上旬で、芽が動き始める前の厳寒期です。

重要:スタンダード台木にする長尺枝は、(原則的に)芽接ぎの作業当日に切ります。事前に切って 長期間水に入れておくのは、穂木(長尺枝)が弱るし、雑菌が繁殖して導管を塞ぐので好ましくありません。

ただし、芽接ぎ作業の前日に切って、カルスの生成を促す植物ホルモン・オーキシンの製剤である「オキシベロン」の水溶液に漬けておくなどの方法はあると思います。挿し木には「メネデール」を使う人が多いようですね。私は水揚げに「三ツ矢サイダー」を試してみるつもり。詳細は後日。

2016年1月3日追記「"三ツ矢サイダー" でスタンダード芽接ぎ挿し」をアップしました。

STD(スタンダード仕立ての台木)として使える枝があるのか調べてみました。ローズヒップが熟しています。ノイバラの株元に置き忘れて2年経った「ディンティベス」の鉢植えが咲いていました。こんな環境なのに。
この場所はまったく手入れをしていないので、野いちごなどのやっかいな雑草が株元を覆っています。

ここには STD用ハイブリッドと旺盛に伸びるノイバラ(たぶん亜種)の挿し木苗が8株ほど5号ロングポットで並べてありました。それから4年ほど経ったので、根はポットを突き破って土の中まで伸びています。

ローズヒップを収穫して、STDとして使えない細枝を切り捨て、長尺枝の脇枝を切除し先端附近の枝を間引きました。  写真上右:除草・整枝作業前  下:作業後

STDとしてなんとか使えそうな 150cm以上 の長尺枝が12本ほどありました。「蒸散がポイント」という今年の結果から、長尺枝の先端の枝葉は残しておきたいのですが、残っている葉は 多くはありません。

*註:このようにすべての枝を切ってしまうと、もちろん来年の開花はありません。これらの株は「母木」としての役割を終えたので、更新(これらの株は廃棄し、別の若い株を母木に)する予定です。更新する理由は、岐阜大学/園芸学研究室の福井博一教授の「挿し木の基本」をご覧ください。これは必読のテキストです。

重要

スタンダード仕立てを「芽接ぎ挿し」で作る場合は、台木にする長尺枝は今年伸びた 当年枝 を使います。「芽接ぎ」は2〜3年生枝でもいいのですが、「挿し木」はそれでは発根率が落ちるからです。

『ノイバラの長尺枝の挿し木は難しい』との声を聞きますが、それはより長い枝を確保するために、古い枝を選ぶからではないかと推測します。

これは上の写真とは別の、接ぎ木株を養生している畝です。
画面左下の株から右斜め上方向に伸びている4〜5本のベーサルシュートらしきもの。これは「台芽」が伸びた「サッカー」です。除草作業をしたらこれが現れてびっくり(笑)。ご丁寧に支柱が立ててありますが、これは「シュート」と「サッカー」の違いを見落としたバーバラさんの仕業。 でも、そもそも こんなヘタな接ぎ木をしたのは誰だ?(爆)

このサッカーは未熟で細く短い(全長1.5 M)けど、1〜2本は「芽接ぎ挿し」を試してみます。この支柱は 0.9cm X 150cm なので、使える枝の太さはそれ以下です。「芽接ぎ挿し」を成功させるのに重要なのは長さや太さよりも「充実度」なので、今からでも、枝を起こしリン酸やカリ成分の多い即効性肥料を与えたほうがいいのかも? たぶんズボラで「しない」だろうと思いますが。

この株の使い方は2通りあります。ひとつは(ふつうに)長尺枝を切り取って挿し木する方法。もうひとつは、逆に接ぎ木した栽培品種を切り捨てて、根付きの長尺台木にする方法です。これなら、台芽の発生さえ厭わなければ、簡単にスタンダード台木にすることができますね。長尺枝を2本残せば、2品種を芽接ぎできて、遊びとしてはおもしろいかも。

よく見ると株元近くから4本のシュートが出ています。上側の2本は早く出たベーサルシュートで、支柱を立て固定しました。するとそのシュートはそれ以上伸びるのを止め、下から別の新しいシュートが出たのがわかります。「長いシュートにしたければ、固定せずに放任するのがいい」と、ずぼらなそらさんは考えるのでした。

上の写真の右のボーダーには「シュネービッチェン」が10株ほど植えられているのですが、夏草に覆われています。でもここは柔らかい草なので、まだマシなほう。

酷く荒れているのはここ、幅2M X 長さ12M の畝です。ノイバラ3種類とモッコウバラが、全部で10株以上植えてあるのですが、暴れるモッコウバラと高さ 2.5 メートルのセイタカアワダチソウ。作業服や手袋にくっつく嫌な雑草。それらが手の施しようがないほど絡み合っています。

しかし、その中には太い長尺枝もちらほらと見えます。太い2〜3年生枝が「芽接ぎ挿し」に使えるのか試してみたい誘惑に駆られて、このジャングルに挑みます。まるで「開墾」するみたいな作業になりそうだけど。

草刈り機と(場合によっては)チェンソーで片っ端から切り倒し焼き払ってしまえば、さぞスッキリするだろうと思うのですが、それができない理由がもうひとつ。スタンダードではなくふつうの接ぎ木の台木は、その地に自生しているノイバラが最も良いという話を聞いたからです。

国内大手の◯◯バラ園芸の苗は、自社農場で生産する他に全国各地の生産者にも栽培を委託してあるのですが、各地の苗生産者に配られる台木のタネは、全国同一ではなく その生産者の地域で採取された野生のノイバラのタネなんだそうです。

◯◯バラ園芸とは関係ない地元のバラ苗生産者からも「台木専用種を含め何種類か試してみて、接ぎ木に使う台木はこの辺に自生しているノイバラがいい結果が出るようだ」という話を聞いたことがあります。

この薮には、この近辺で集めたノイバラが3種類ほど植えてあり、それらの「台木としての特性」をまだ十分にテストしていないので、今これらを廃棄するのはもったいないからです。もしかしたら、おもしろい特性のあるノイバラがあるかも。例えば上の写真の画面右側に弓なりになった長い枝が見えています。ふつうのノイバラ(ロサ・ムルティフローラ)ではこのような長い枝にはなりません。

中にはこんなノイバラもあります。これは、それから挿し木で作った台木ですが、このたくましい剛根!

これは「ロサ・ラクサ」との交雑種なのか?笑

さらに、茂みの中にはピンクの花が咲くものがあり、僅かですが返り咲きしています。「ロサ・カニナ」か「ロサ・エグランテリア」のようですが、それらとはローズヒップの形が明らかに異なり、これはノイバラそっくりです。自生している場所があるし珍しいものではないのでしょうが、切り捨てるにはもったいない可愛らしさです。こっちを向かせてアップで撮りたいけど、混み合った枝に邪魔されて手が届きません。

花はノイバラよりやや大きく、樹形や枝葉の特徴、ローズピップはノイバラ(ロサ・ムルティフローラ)と同じです。どなたかこの「ピンクのノイバラ」の名前をご存知であれば、コメント欄で教えていただけませんか。原種のひとつなのか、交配された品種なのか、それとも自然交雑したのか。「枝変わり」ではありません。

このような拘りはつまらないことでしょうが、私はこんなことが楽しいのです。私はやはりガーデナーではなく「百姓」が似合っているみたいで(笑)、こんな「バラ栽培の楽しみ」があっても許されるでしょう。

11月25日。枝を確認しながらの作業なので動力機械類は使えず、木みたいに固くなったセイタカアワダチソウや、使えないノイバラの枝を剪定鋏で1本1本切り捨てながら作業を進めました。厚手の革手袋、ヘルメット、地下足袋という勇ましい姿ですが、作業はコーヒーを飲みながらのんびりと。 バーバラさんがノイバラだけを使ったリースを作ると言っているのですが、大量のローズヒップがあるので、その保存が面倒(笑)

ここには2株植えてあります。茶色が前年までの枝、緑色が今年の春に出たベーサルシュート、黄緑色の長いけど細いのが花後に伸びたサイドシュートです。このまま放置して春になったらシュートの先端に複数の花枝が出ます。

長めのサイドシュートがいっぱいあります。これは「放任」したからで、シュートは光を求めて伸び、しかも枝が複雑に絡んでいるので支柱がなくても曲がったり折れたりする事はありません。でもこれらは未熟なので挿し木で育てて1〜2年後にSTDにするのがいいのかな。
今回STDとして使えるのは春に出たベーサルシュートですが、株元に光が届かなかったからかその数が少なく、STDとして状態が良いのは左に見える1〜2本しかありません。さて、どうするか。

冷たい雨が降りだしたので、とりあえず畑から撤退しました。

11月28日追記:コメント欄に画像が載せられないのでここに置きました。これは「ツクシイバラ」です。

wiki:「ツクシイバラ」

5月下旬、ピークを過ぎての撮影だし天候等の条件も異なるので、この写真では花色の比較はできませんが、葉形や照り葉がノイバラとは異なっています。

2016年2月追記:2016年の「スタンダード芽接ぎ挿し」をしました。3人で計18本を挿しました。その様子を 「The happydays of Roses」の2月11日と13日の記事 で簡単に紹介しています。結果はまだわかりませんが、うまくいってもいかなくても、詳細は後日別記事にまとめる予定です。