このブログについて


バラの栽培についての考え方や方法は多様です。その多様性こそが、バラが文化として豊かであることの証左なのでしょう。
"答え"は一つではないとすれば、バラ栽培の楽しさは、"自分のバラの世界を見つけ出す" その過程にあると思っています。

このブログは試行錯誤中のバラ栽培の記録です。一部の記事はバラ仲間に私の方法を紹介するために書いたものもありますが、
「栽培ガイド」の類ではありません。バラ栽培を始めた頃に書いた記事の内容は現在の栽培方法とは異なるものも多く、
技術的にも拙く、論理も雑駁で、誤謬も多々含まれていると思われます。批評的に読んでくださるようお願いします。

お知らせ

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11月23日追記:勉強会で使用するテキストに関して重要な変更をしています。



2015年11月23日月曜日

作業記録:バラのスタンダード 2016(その2)

バラのスタンダード仕立てを「芽接ぎ挿し」で試みる作業記録(その2)です。このページでは、長尺台木に「ツルバラ」を使う場合について、その準備を考えてみます。

2 スタンダード仕立ての長尺台木に ツルバラを使う

ツルバラのドルトムント ツルバラのザ・ジェネラス・ガーデナー

今回は "ドルトムント"(左)と "ザ・ジェネラス・ガーデナー" を長尺台木にして「芽接ぎ挿し」を試みます。

"ドルトムント" は画面左下から右上に向かって伸びている枝を使います。全長は3メートルほどで、先端には花が咲いています。この株は秋にもたくさん咲いたのですが、今はピークを過ぎました。オレンジ色の大きいローズヒップがいっぱい実っています。

ERの "ザ・ジェネラス・ガーデナー" は 画面中央のほぼ垂直に伸びている枝です。これは高さ2メートルから上で何本か枝分かれしています。枝の太さが小指程度の部分に「芽接ぎ」をするので、それより上の枝は捻枝し、下にある枝は葉の残り具合を見て捻枝するか切り捨てるかします。

この株はドームの支柱に添わせて伸ばすつもりだったのですが、固定するとなぜかその枝が枯れるので株全体も元気がありません。別の仕立て(自然樹形の大型シュラブ)にするため、今冬は大きく切り戻します。なのでメインの枝を切ることに躊躇はありません。

*註:芽接ぎする台木の「太さ」は、接ぐ栽培品種の種類によって異なります。HTは芽が大きいので太い枝が必要で、枝が細く芽も小さなウイーピングやポリアンサはもっと細くても可能です。でも、太い枝のほうが形成層が出る部分が広くなるので、芽接ぎの成功率は上がると思います。

充実した長尺台木を

候補の枝は 2品種とも春に株元から出たベーサルシュートです。「芽接ぎ挿し」といういささか無謀な(?)方法が成功するためには、台木(長尺枝)の「充実度」がポイントだと思うので、そのために現時点で可能なことはなんでしょう。

  1. 花やローズヒップは早く切り捨てる。葉は多く残す
  2. 長尺台木にする枝は芽接ぎする日まで切らない。その他の枝は(ふつうに)12月に剪定する
  3. 休眠しないように、即効性の肥料を与える
  4. 芽接ぎをする部分を見定め、そこにより多くの養分が蓄積されるよう「捻枝」をする
  5. 葉のない脇枝は切り捨てるか、捻枝する
  6. 「芽抜き」をする
  7. 殺菌剤を塗布して菌密度を下げておく

この7項目はツルバラだけではなくノイバラでも同じでしょうね。6. の「芽抜き」は充実度のアップには関係ないかも。3. の施肥が妥当かどうかはわかりません。7. の「殺菌剤」は穂木にも撒布しておけば安心です。

捻枝

発根と発芽のタイミングが重なる「芽接ぎ挿し」。

発根 発根を促すために長尺台木を活性化するには、台木の先端に葉があって適度に蒸散するのがいい。
発芽 発芽と頂芽優勢の関係を考えれば、芽接ぎした部分より上の枝葉は切除したい。

この発根発芽の矛盾を、もしかしたら「捻枝」が解決してくれるかも。なぜこれまで気づかなかったんだろう。


「スタンダード芽接ぎ挿し」作業完了

2016年2月追記:2016年の「スタンダード芽接ぎ挿し」は、3人で計18本を挿しました。その様子を 「The happydays of Roses」の2月11日と13日の記事 で簡単に紹介しています。ツルバラの長尺枝を台木にするのは4本(4品種)試みています。「捻枝」をしたりしなかったり、結果はまだわかりませんが、うまくいってもいかなくても、詳細は後日紹介する予定です。



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