バラのスタンダード仕立てを「芽接ぎ挿し」で試みる作業記録(その2)です。このページでは、長尺台木に「ツルバラ」を使う場合について、その準備を考えてみます。
2 スタンダード仕立ての長尺台木に ツルバラを使う
今回は "ドルトムント"(左)と "ザ・ジェネラス・ガーデナー" を長尺台木にして「芽接ぎ挿し」を試みます。
"ドルトムント" は画面左下から右上に向かって伸びている枝を使います。全長は3メートルほどで、先端には花が咲いています。この株は秋にもたくさん咲いたのですが、今はピークを過ぎました。オレンジ色の大きいローズヒップがいっぱい実っています。
ERの "ザ・ジェネラス・ガーデナー" は 画面中央のほぼ垂直に伸びている枝です。これは高さ2メートルから上で何本か枝分かれしています。枝の太さが小指程度の部分*に「芽接ぎ」をするので、それより上の枝は捻枝し、下にある枝は葉の残り具合を見て捻枝するか切り捨てるかします。
この株はドームの支柱に添わせて伸ばすつもりだったのですが、固定するとなぜかその枝が枯れるので株全体も元気がありません。別の仕立て(自然樹形の大型シュラブ)にするため、今冬は大きく切り戻します。なのでメインの枝を切ることに躊躇はありません。
*註:芽接ぎする台木の「太さ」は、接ぐ栽培品種の種類によって異なります。HTは芽が大きいので太い枝が必要で、枝が細く芽も小さなウイーピングやポリアンサはもっと細くても可能です。でも、太い枝のほうが形成層が出る部分が広くなるので、芽接ぎの成功率は上がると思います。
充実した長尺台木を
候補の枝は 2品種とも春に株元から出たベーサルシュートです。「芽接ぎ挿し」といういささか無謀な(?)方法が成功するためには、台木(長尺枝)の「充実度」がポイントだと思うので、そのために現時点で可能なことはなんでしょう。
- 花やローズヒップは早く切り捨てる。葉は多く残す
- 長尺台木にする枝は芽接ぎする日まで切らない。その他の枝は(ふつうに)12月に剪定する
- 休眠しないように、即効性の肥料を与える
- 芽接ぎをする部分を見定め、そこにより多くの養分が蓄積されるよう「捻枝」をする
- 葉のない脇枝は切り捨てるか、捻枝する
- 「芽抜き」をする
- 殺菌剤を塗布して菌密度を下げておく
この7項目はツルバラだけではなくノイバラでも同じでしょうね。6. の「芽抜き」は充実度のアップには関係ないかも。3. の施肥が妥当かどうかはわかりません。7. の「殺菌剤」は穂木にも撒布しておけば安心です。
捻枝
発根と発芽のタイミングが重なる「芽接ぎ挿し」。
発根 発根を促すために長尺台木を活性化するには、台木の先端に葉があって適度に蒸散するのがいい。
発芽 発芽と頂芽優勢の関係を考えれば、芽接ぎした部分より上の枝葉は切除したい。
この発根と発芽の矛盾を、もしかしたら「捻枝」が解決してくれるかも。なぜこれまで気づかなかったんだろう。
「スタンダード芽接ぎ挿し」作業完了
2016年2月追記:2016年の「スタンダード芽接ぎ挿し」は、3人で計18本を挿しました。その様子を 「The happydays of Roses」の2月11日と13日の記事 で簡単に紹介しています。ツルバラの長尺枝を台木にするのは4本(4品種)試みています。「捻枝」をしたりしなかったり、結果はまだわかりませんが、うまくいってもいかなくても、詳細は後日紹介する予定です。
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