このブログについて


バラの栽培についての考え方や方法は多様です。その多様性こそが、バラが文化として豊かであることの証左なのでしょう。
"答え"は一つではないとすれば、バラ栽培の楽しさは、"自分のバラの世界を見つけ出す" その過程にあると思っています。

このブログは試行錯誤中のバラ栽培の記録です。一部の記事はバラ仲間に私の方法を紹介するために書いたものもありますが、
「栽培ガイド」の類ではありません。バラ栽培を始めた頃に書いた記事の内容は現在の栽培方法とは異なるものも多く、
技術的にも拙くて誤謬も多々含まれていると思われます。批評的に読んでくださるようお願いします。

2011年5月26日木曜日

イングリッシュローズの気品

昨日自分で写したバラの写真を見ながらバーバラが言います;
「ハウステンボスのERの、なんと美しい気品。まるで貴族のお姫様のよう。今私のバラたちを見てきたけれど、あれは言ってみれば『平民』やね。平民は平民でも 美人の 平民やけどね」


イングリッシュ・ヘリテージ

ウィズリー

アンブリッジ・ローズ

ガートルード・ジーキル
ERを集めた "English Rose Folly
ここに入って一瞬『あれっ?』と思いました。きれいなのですが何か物足りない感じがしたのです。もしかしたらERは、オールドローズやフレンチ、あるいは他の植物とともに育ってよりその輝きを増すのかも。でも、仮にそうだとしても、それはERの評価を貶めることではなかろう、多様性が生かされることは文化としての豊かさの現れだろうと思います。


私は今ちいさなバラ園を造りかけています。それは言ってみれば駕与丁公園バラ園のミニチュア版みたいなものなんですが、個人のバラ園としてそれを疑問に感じるようになりました。きっかけは先日紹介した日本経済大学のイングリッシュガーデンです。それまで私の中では「アンジェラ」をこのように育てる発想はありませんでした。『ああ、バラはこんなふうに植えるのか』と強く印象に残りました。なにより「思索の庭」という設計思想を持っていることが好ましいと思います。

ハウステンボスの池の端に植えられたERを見ながら、ここでもバラに関する私の先入観がガラガラと崩れて行きます。それはとても心地よい経験です。「ビオトープ」と呼ぶほどのものでなくともいいから小さな水たまりを造りたいというバーバラのアイディアを実現させてみようかと思い始めました。

ハウステンボス バラ祭(2011)


25日午後バーバラと一緒に7時までの4時間バラを堪能しました。夕刻に行ったのは、『バラは黄昏時がもっとも美しい』というそらのこだわりと、今は午後3時からは入場料が@1,500という理由もあります(笑)


たまちゃんが行かれたのが14日で、そのときの写真をあらためて拝見すると、花がいっぱい増えているのがわかります。特にアーチ。
バラ祭は6月12日(日)までですが、まさに今がピークのごとく咲き誇っています。管理が良いので花殻などは全く気になりません。

どこからか ”‪La Vie en Rose‬”が流れていて、いい香りがして。 6:54PM撮影 



アーチ仕立てに「クレマチス」を隠し味的に絡ませてあるのが効果的だと思いました。これは先日の「お庭拝見』でも幾つか見かけましたね。

「100万本のバラ」(写真はそのほんの一部)は4ポット千円で即売中ですが、『売れ残ったらどうするんだろう?』など怪しからんことを想像したり(^^;

4時間で広い会場を2周し、写真もたくさん撮りました。香りを楽しみ、メモを取り、感心したり呆れたりで、大満足。バーバラは「パパ・メイアン」、そらは「バフビューティ」の新苗を記念に購入して、武雄温泉の元湯で足の疲れをとって幸せな気分で帰福。感謝。


ローズペイザージュ国際バラコンクール 2011

ハウステンボス「バラ祭り」を見てきました。2回に分けてレポートします。
まずローズペイザージュの『無農薬・無肥料』について。


これについて私は誤解していたようです。まず(1年半前のスタート時に)会場内に立てられた看板には:
ペイザージュは「造園」を意味するフランス語です。このコンクールでは春~秋まで咲き続け、無農薬、無肥料でも育ち、樹勢力が強く病気に掛かり難い品種を剪定し、ガーデンローズにふさわしい新しい魅力にあふれたバラとして、世界に向けて紹介していきます。
このように確かに『無農薬、無肥料』と明記してあります。が、現在では:
ローズ ペイザージュは、春から12月まで花が咲き続け、樹勢が強く、耐病に優れ、無農薬でも育ってくれるバラです。
ホームページや印刷物にも『無肥料』という言葉は見当たりません。私たちを案内してくれたお嬢さんは、『ローズペイザージュとグランドカバーの2部門で無農薬・無剪定です』と説明されました。これなら納得。


したがって、これは(私がかってに期待した)『無農薬、無肥料』などの栽培技術に関するものではなく、『無農薬・無剪定というような手のかからない環境の中でも強く美しく咲くバラの品種を競う』というコンテストです。


ローズペイザージュ国際バラコンクール
ローズペイザージュ国際バラコンクール 結果発表


ハウステンボス賞 アラン・メイアン(フランス)「CANDIA MEIDILAND」
『無剪定』ということは花殻摘みもしないのだろうと思いますが、花後の見苦しさなどはありませんでしたし、バランス良く健全に育っているという印象です。


パブリック賞 河合伸志「おりひめ」


しかし、『無農薬・無剪定』というローズペイザージュ部門には酷いものもありました。徒長した枝が風に煽られて裂けたり、うどん粉病や黒星病が激発しすっかり葉が落ちた株も。中にはすでに撤去されたのではないかと疑いたくなる不自然な地面の空きも散見されたり、全体が荒れた感じがして、残念でした。


「植栽後1年半の各季節に審査をする」というのは適切な審査方法だと思います。ここから世界に向かって優れた品種が紹介されていくことを期待します。

2011年5月24日火曜日

ツクシイバラ満開

粕屋町役場庁舎の駐車場の周辺にツクシイバラ(とおぼしきもの)を数株見つけました。幾つかの特徴から、大株になったこれもそうだろうと思いますが、みごとです。

2011年5月23日月曜日

雨のイングリッシュガーデン

日本経済大学イングリッシュ・ガーデン(日英学術文化交流締結記念庭園)は福岡県太宰府市にあり、キース・ゴットさんをヘッドガーデナーに迎えて、1996年に開園されました。

エントランス
アンジェラ
ベッド仕立て

キースさんはデービッド・サンダーソンさんの友人でもあったのですが、松江イングリッシュガーデンのヘッドガーデナーを務められた後、まことに残念なことに、お亡くなりになられたそうです。

私は開園当時を知りません。デービッドさんの話では、植栽が盗掘されたりしてキースさんの意図したものとは少し変わったのだそうです。この写真はその一部ですが、キースさんが実現したかったものが写っているか気になっています。シャッターを押さなかった場所は、たぶん後で他の人の手が入ったのでしょう、なんとなく違和感を感じてしまいました。

それでも他所では見られない、イギリスの庭園を紹介するビデオなどでも見たことのない、魅力的なイングリッシュ・ガーデンです。

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2011年5月19日木曜日

台木はその後も

台木はその後も順調に生育しています。長さが50cmほどに伸びました。

ノイバラの挿し木畝 50cmほどに伸びたノイバラの挿し木

先日の『お庭拝見』で私の畑に来られたみなさんの反応をみてると、みなさん挿し木や接ぎ木にとても関心があるようですね。特にSTD仕立て。2Mを超すような大型のSTDではなくとも、1M以下の低めの台木にミニや小さめのシュラブを接ぐのは面白いかもしれませんし、実現性もありますよね。例えば、ノイバラの4本仕立て台木にマザーズデイ4色を接ぐとか、3本仕立て台木を"三つ編み"にして添え木無しのSTDを作るとか。そう思って、これらの台木も養生中です。

畑の土手に『トゲナシノイバラ』(と思う)を見つけたので、これも育ててみようと思っています。このトゲナシノイバラは去年から見つけていたのですが、イノシシがその場を掘り繰り返してしまいもうダメかとあきらめていたら、今年もしっかり枝を伸ばしていました。強いですね。みなさん、花が咲いている今のこの時期は台木のノイバラを探したり、接いでみたい品種の品定めをする好機ですよ。

2011年5月1日日曜日

台木用ノイバラの挿し木(2011年春)

ノイバラはとても強くて、挿し木は簡単なようです。ガイドブックなどには無菌の赤玉土などに挿すよう書いてありますが、畑の土でも特に問題はなさそうです。以下の写真は今年2月に挿したもので、120本のうち112本がOKです。失敗した8本の原因は不明ですが、成長のよい株は30cm程に枝を伸ばしており、たくさんの蕾をつけた株もあります。

ノイバラの挿し木畝 ノイバラの挿し木

除草や水やりの手間を省くために黒マルチを張っています。適湿の状態でマルチを張れば乾燥注意報が多発した3月も潅水の必要はありませんでした。90cm幅のベッドに5条挿しで、これは時期を見て養成畝に植え替える予定です。昨年は、3条で植え替えなし(放任)だったのですが、さすがにそれでは枝が伸びるばかりで太りが悪く、接ぎ木の台木としては細くてあまり良いものではありませんでした。養成畝は現在準備中ですが、投入する資材は牛糞堆肥、有機石灰、米ぬか、籾殻、自家製枯れ草堆肥(アクアリフトLN300使用)、宗像有機(JAの発酵鶏糞)の予定です。

次の2枚の写真は、バーバラさんの柳川の実家の庭にあった品種不明のオールドローズの挿し木と接ぎ木です。いずれも今年2月に作業したものですが、挿し木苗(左)のほうが生育が良く、すでに大きめの蕾をつけています。40本のうち35本がOKです。

栽培品種の挿し木 切接ぎ苗

条件が異なるので単純な比較はできませんが、『接ぎ木苗が挿し木苗よりも絶対優れている』ということは必ずしも言えないような気がしています。適切な例ではないかもしれませんが、私の「シュネービッチェン」10株は挿し木後3年目です。粕屋町役場庁舎前のそれのように大きくはありませんが、シュネービッチェンの美しさがとても見やすいし、花数にも不満はありません。しかし、シュネービッチェンの白と対比させたいと考えている赤が美しい「トランぺッター」は、私の環境では挿し木のその後の生育がいじけたみたいで芳しくありません。

蛇足:この写真の接ぎ木は、スイカの接ぎ木苗と同じ「割り接ぎ」で、手抜きしています。台木が真ん中で割られているのが見えますね。それが生育がよくない原因なんでしょうか。笑。

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