2015年12月31日木曜日

2016 接ぎ木シーズン開幕

2016年の接ぎ木作業を開始しました。例年1月中旬に始めていたので、今年は半月ほど早いスタートになりました。台木や穂木は、12月19日の福岡バラ会での「接ぎ木講座」で提供されたもので、10日間ほど冷蔵庫の中で保管していました。接ぎ木方法は「切接ぎ」で、2種類の培養土のテストを兼ねています。

「成田光雄のバラ講座_バラの接木」という YouTube動画 があります。成田光雄さんは「湘南バラ会」の会長で、この動画では切接ぎの理論から実践までを紹介しています。

カッターナイフと接ぎロウを使うオーソドックスな方法ですが、接ぎ木に初挑戦の方には参考になると思いますし、私も自分の方法の再確認ができました。切接ぎの理論や手順の説明はこの動画を参照していただければいいので、ここではそのような解説は省きます。

バラの切接ぎ用の台木と穂木

講習会で提供された台木は、福岡県筑後地方のバラ苗生産者が栽培したものだそうで、切接ぎ用にあらかじめ茎と根が切ってありました。この地域の多くのバラ苗生産者は、新苗生産の場合4号ポットで出荷するので、それに合わせた根の長さです。

デービッドさんによれば、『このように台木の枝や根を切るのは生産者の都合に過ぎず、バラのためには良くない』と。私には判断するだけの経験がありませんが、このように切られた台木では「切接ぎ」以外の方法の選択の余地がありません。

穂木は 講習会に合わせて切られたHTの3品種で、HTを接いだ経験が少ない私にはかなり未熟なように思えました。この時期に切られた穂木はまだ「寒」に当たっていなく、赤花品種なのに枝も芽も薄い緑色のままで、これで良いのか不安があります。

でも今回は実用本意ではないのでこれを接いでみることにします。比較対象として、芽が充実したERの「ガートルード・ジェキル」とデルバールの「ジェネラシオン・ジャルダン」を接ぐので、計5品種になります。

テーブルバイスは昨年から使い始めました。これの詳細は、2015年1月26日の記事「バラの接ぎ木 2015」に書いています。

テーブルバイスを使う切接ぎ

安全な作業への工夫|吉田先生の場合

福岡バラ会の接ぎ木講習の講師・吉田先生は、(浴室用の腰掛けに座って)靴で台木を挟んで切り分ける方法でした。コメントを頂くG-3さんは、まずポットに植えてから作業をされるそうで、安全な切接ぎ作業のために、みなさんそれぞれ工夫されているんですね。

吉田先生の切接ぎ

バラ苗生産農家の切接ぎは(これまでも何回か紹介しましたが)「接木ドットコム|接ぎ木情報と接木テープ」のページにその様子を紹介した動画「バラの切接ぎ方法~穂木の作り方と接木テープの巻き方」があります。

吉田先生も私も、切接ぎ方法の基本はこの動画のバラ苗生産農家と同じです。と言うか、切接ぎならば「基本」は誰がやっても同じことですね。みなさんはそれぞれ微妙な部分でくふうをされていると思います。

吉田先生は台木の木口が「新鮮な面」になるよう切り直しをされます。これは初めて見ました。私はさらに接ぎ木する部分を湿ったウェスで拭って汚れを落としますが、これはデービッドさんに教えてもらったコツです。

バラ苗生産農家は品質だけでなく「効率」も考慮しますから、木口を削り直したり拭ったりはしませんが、効率を重視する必要の無い私は丁寧に作業をしました。これらはいずれも接ぎ木後のカルスの盛り上がり(肉巻き)が良くなるための配慮です。

充実した台木で、形成層も見分けることができます。写真左:画像クリックで拡大しますが、拡大画面で薄茶色の形成層が見えています。

この日は「接ぎ穂」の調整やテーピングの写真は撮りませんでした。いずれも「1芽」の接ぎ穂で、接ぎ木テープは「ニューメデール」を使い、接ぎ穂の先端まで巻くことで、接ぎロウや「バッチレート」は使いませんでした。

今シーズンの接ぎ木作業のテーマは、開花までの全行程にわたり自分の環境に適した方法を探すことです。

まず必要なのは、接ぎ木した幼苗をどのように管理するかを決めることです。いつ頃「鉢増しを」をするのか、それによって、使用するポットのサイズや形状、培養土の配合が変わってきます。

左は2015年の事例ですが、1月下旬にデービッド接ぎをして3ヶ月後の4月中旬の状況です。ピンチをしていないので、ひょろひょろに伸びてしまっています。中央の鉢はピンチで分枝したのではなく、元から2芽ある接ぎ穂です。

この反省から、今年は「接ぎ木後2ヶ月程度、新梢の5枚葉が5段展開する時期(最初のピンチ)まで5号ロングスリット鉢で育て、その後7〜8号に鉢増しをするか、地植えする」という手順を考えています。

ちなみに、吉田先生は「川砂のような無肥料の用土に植付け、発芽後の適当な時期に植え直す。発芽や発根は台木や接ぎ穂が内包している養分でまかなわれるので、無肥料の用土で(が)良い」というお考えのようです。

「無肥料の用土で良い」と「無肥料の用土が良い」は意味が違います。自分の環境や方法ではどちらが好結果をもたらすのか、それは簡単なテストでわかると思いますが、今回は前年と同じ用土(TYPE-A 写真下左)と、「土の薬膳」シリーズの「BIOSOIL GARDEN」を混ぜたもの(TYPE-B 写真下右)の2種類を試すことにしました。「BIOSOIL GARDEN」には肥料の「土の薬膳」が含まれています。

その配合は以下のようなもので、内容の約4割が有機物です。

接ぎ木苗用 培養土
TYPE-A TYPE-B David(2015)
赤玉土(小粒) 50% 赤玉土(小粒) 50% 鹿沼土 40%
腐葉土 20% 土の薬膳
BIOSOIL GARDEN
30% バーク堆肥 10%
籾殻燻炭 10% 籾殻燻炭 10% 籾殻燻炭  5%
パーライト  5% パーライト 10% 軽石 15%
バーミキュライト 10% バーミキュライト  5%
ピートモス  5% ピートモス 25%

「土の薬膳」シリーズの「BIOSOIL GARDEN」(写真上右の焦げ茶色)は、あらかじめ「薬膳」が加えられて他の肥料を与えなくても植物が育つように作られた培養土ですが、バラには保水性が高過ぎると判断し、赤玉土や籾殻燻炭、パーライトを加えました。様子を見ながら、他の配合割合もテストしてみたいと思います。

"David(2015)" はデービッドさんの昨年の事例です。この他に苦土石灰とゼオライトが加えられます。詳細は 2015年4月22日の「Grafting Roses バラの接ぎ木」

植付けは台木の根の「又」が見える程度に、私としては「浅植え」しました。これはデービッドさんのアドバイスによるものです。

左の写真はデービッドさんによる「デービッド式割接ぎ」の植付け指導のものです。これほど極端ではありませんが、浅く植えたので潅水時にもテープには水がかかりません。植付け後、時間をかけて底面から給水しました。

デービッドさんが用意したこの台木は根が切られていません。この写真でもその様子がわかります。どちらがバラのために良いのか、バラ苗生産者の方法は目的に適った合理的なものですが、私は自分に合った方法を探そうと思います。

なぜ「浅植え」をするのか?

容易に想像できることは「接ぎ木した部分に雑菌が侵入するのを防ぐ」ことが考えられますが、「ニューメデール」をきちんと巻けば、実際にそのようなことが起きるのは稀です。もうひとつの理由は「発芽(成長)を抑制する植物ホルモンABA(アブシシン酸)を、この部分を土から出して光に当てることで不活性型に転換する」ということ。多分それがおもな理由だと思いますが、あまり極端なのも不自然な気がして、デービッドさんより2cm 深く植えました。

このように、5品種計12株を切接ぎして植付けました。切接ぎでは、作業後の保温がポイントのようですが、私の温室は(作業する時間が無く)まだ完成してなく、とりあえず夜間は不織布を被せて寒さを凌いでいます。

温室は正月休みに完成させたいと思っていますが、注文している台木がいつ頃何本届くのか現時点では判らないのでちょっと心配です。台木はデービッド接ぎや芽接ぎにも使うとすればやはり自作に限ると思うので、実生苗作りの準備も進めようと考えています。

2016年1月10日追記:今日の福岡は穏やかな天気でした。最高気温は正午過ぎの10.4℃。昨年末29日に切接ぎした12株は軒先に置いているのですが、今のところ特に問題はなさそうです。白緑色だった芽が赤くなって、ホンの少し膨らんできたように見えます。他の11株も同じです。

今日までの12日間まだ一度も「水やり」をしていません。土が乾かないので必要なさそうです。今夜は放射冷却で冷えそうなので、寒冷紗とビニールを被せました。

2月になって、これらの株をハウスに搬入しました。
写真左は2月3日(接ぎ木5週間後)、右は2月11日(6週間後)の状況です。1週間でグンと大きくなっています。

この接ぎ穂はHTの「ミスターコジマ」で、植え込んだ培養土は「土の薬膳 BIOSOIL GARDEN」を入れた "Type-B" です。12株全体で見れば、腐葉土を入れた "Type-A" とはこれまでは生育の差はありません。
これ以降に植え込んだ株はすべて「土の薬膳 BIOSOIL GARDEN」を 20% 入れたものを使っています。減らした10%に相当する分は「ボラ土」の微粒を入れています( "Type-C" )。

今シーズンの接ぎ木は、2月6日の時点で合計94株になりました。もう少し接ぎたいので、総数120株程度になりそうです。今年は「切接ぎ」一辺倒で、「デービッド接ぎ」はゼロ。切接ぎ以外は「芽接ぎ」を2株しただけです。その理由は「台木」がデービッド接ぎに合わない(デービッド接ぎをする必要が無い)からです。詳細は後日別記事で。

上の3枚の写真はHTの「ミスターコジマ」で、下の左側です。ハウス内の温度は外気より僅かに高い程度になるよう管理しています。そろそろ薄い液肥を与えようかと考えています。

2月28日追記:2ヶ月になり、最も生育が早いものは5枚葉が3節になりました。

上の写真の手前左の培養土は「土の薬膳/BIOSOIL GARDEN」を30%混ぜた "TYPE-B" で、右が無肥料の "TYPE-A" です。これだけでは判断できませんが、切接ぎ直後の植付け用土は「無肥料でいい」のかも。

3月2日追記:4節目の5枚葉が開きかけています。

5枚葉が5節になったら主茎をピンチ。同時に10号鉢に植え替え・・と思うのだけど自信がありません。昨年まではそのまま伸ばしてヒョロヒョロの苗になりました。

ポットを斜めに据えて主茎を垂直にするのは、boketan さんの 「新苗で秋に勝負 3月」 を参考にしました。これも初めての試みです。

ちなみに5号鉢からいきなり10号鉢に植え替えるというのも、同じく 「新苗で秋に勝負 2月」 を参考にしています。

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