このブログについて


バラの栽培についての考え方や方法は多様です。その多様性こそが、バラが文化として豊かであることの証左なのでしょう。
"答え"は一つではないとすれば、バラ栽培の楽しさは、"自分のバラの世界を見つけ出す" その過程にあると思っています。

このブログは試行錯誤中のバラ栽培の記録です。一部の記事はバラ仲間に私の方法を紹介するために書いたものもありますが、
「栽培ガイド」の類ではありません。バラ栽培を始めた頃に書いた記事の内容は現在の栽培方法とは異なるものも多く、
技術的にも拙くて誤謬も多々含まれていると思われます。批評的に読んでくださるようお願いします。

2021年5月12日水曜日

バラの交配・3

八重咲きの花弁は雄蕊(おしべ)が変化したもの

「コルデス パーフェクタ」の蕊

花弁を取り除いた「蕊(ずい)」のアップ。八重咲きの花弁は雄蕊が変化したものということがわかる。
雄蕊の「葯(やく)」に相当する部分が大きくなり花弁になっていく過程が見える。

雌蕊(めしべ)の中心にある白いものはなんだろう?  雌蕊の高さが高低2種類あるものは幾品種か見かけたが、このように外見が雌蕊とは大きく異なる器官はこの「コルデス パーフェクタ」が初めて。

花の中に花が咲く?

以下の2枚は「クリスチャン・ディオール」から花弁を取り除いた状態。10個ほどの「毛玉」状のものが見え、それに取り囲まれるように埋没した位置に雌蕊がある。これはこの個体だけの変異ではなく、「毛玉」の数は異なるが「クリスチャン・ディオール」に普通に見られる。しかし他の品種ではこのような構造は見かけなかった。

雄蕊(おしべ)は外周部の他に「毛玉」状のものの間にもあり、そこには数は少ないが花弁もある。その花弁の一部は撮影のために取り除いている。

「毛玉」状のものから出ている赤いイトミミズみたいなものは、よく見ると雌蕊(めしべ)で、その先端には花粉を受け止める「柱頭」がある。つまりこの「毛玉」状のものは、花の中にある花

これも「クリスチャン・ディオール」だが、別個体。
「葯」が開裂し花粉が出ている。赤いイトミミズみたいな雌蕊の先端は、本来の雌蕊の柱頭と同じ。

雄蕊(おしべ)がある外周部から白く尖った先端を持つ薄紫色の新しい器官が出ているが、これはなんだろう?

今回迂闊にもこの「毛玉」状組織の内部構造を調べるのを思いつかなかった。これが「子房」でその中に「胚珠」を持つとしたら、これも結実できる能力を持ち、そこにはどんな「実」ができるのだろうか。二番花で是非確認したいと思っている。このような構造を持つ花、つまり "小さな花が集まっている構造" は、例えばヒマワリなど他の植物にもありそうな気がするが、この「クリスチャン・ディオール」の場合は、バラに一般的な構造も併せ持つという、いかにも中途半端な集合体で、綺麗というか気持ち悪いというか、いかにも「ホメオティック遺伝子の変異」という印象がある。



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