このブログについて


バラの栽培についての考え方や方法は多様です。その多様性こそが、バラが文化として豊かであることの証左なのでしょう。
"答え"は一つではないとすれば、バラ栽培の楽しさは、"自分のバラの世界を見つけ出す" その過程にあると思っています。

このブログは試行錯誤中のバラ栽培の記録です。一部の記事はバラ仲間に私の方法を紹介するために書いたものもありますが、
「栽培ガイド」の類ではありません。バラ栽培を始めた頃に書いた記事の内容は現在の栽培方法とは異なるものも多く、
技術的にも拙く、論理も雑駁で、誤謬も多々含まれていると思われます。批評的に読んでくださるようお願いします。

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2021年8月26日木曜日

秋の剪定・2 剪定開始

HTの最初は「カノープス」

2010年 富吉紀夫氏の作出で、JRC(日本バラ会)主催の第1種新品種コンテスト銅賞。淡いピンクの花弁に、鹿の子まだらの赤が入る。

栽培しているHT(ハイブリッド ティ)の中では最も遅咲き。これまでコンテスト期間中に咲いたことがないので、今秋は例年より早めに剪定した。

この株はデービッド接ぎで作った新苗。BS(ベーサルシュート)は2本しか出なかったが、その勢いが良かったので「勝負株」と判断し(笑)あえて3本目を狙わなかった。

リッチェルの10号バラ鉢に植え込んだが、そのときに噛ませた割竹がそのままになっている。7月にこれを抜いて新しい培養土を入れるつもりだったけど、暑さにへこたれて、ついにそのまま。

写真左:ステムは4段目を放任。この写真では、結蕾した4段目はその中程で切り捨てている。

写真右: 私は基本的にHTの秋の花のための剪定は、BSなら2段目で切る。この株の1段目が「五枚葉5節ピンチ」ではなく、6〜7節まで伸ばしているのは、来春の剪定の際に「芽の選択の幅」を広げるため。

カットする位置は2段目の「スイートスポット」。段の中間付近に、節間がやや狭い部位がある。それが「スイートスポット」。ほぼ垂直のステム2本なので「内芽」「外芽」は関係なく、ピラミッド型の良芽を確認して切った。

この株は、誰が切ってもこうするだろうという標準的な株。「カノープス」はこの新苗の他に2鉢あり、それはうどんこ病が原因(遠因)で、葉が1枚もないというステムもある。

葉が1枚も無いステム さてどうする?

カノープス #49

福岡バラ会に入会したときに栽培し始めた6年生株。写真ではわかりにくいが、3本の古枝と2本のBSがある。3本の古枝には右の枝に数枚の黄葉が残っているだけで、葉が無い。

2本のBSは遅く出たので未熟。特に奥側のBSは短いし勢いもやや弱い。さてこれをどうしよう?

葉が一枚もない2本のステムは、『葉があればここで切る』という位置=今年の新梢の2段目にハサミを入れた。『どんな花が咲くのか。そこそこ見れる花が咲くかも』という甘い期待を込めて。

明日にでも右の古い(と言っても昨年の枝)は切除し、短いBSは「同化専用枝」と見做し花を咲かせず、「古枝2、BS1の3本仕立て」にしてみるか。

光合成だけではない 葉緑体の働き

「ステムに健全な葉が残っていない」ということがどのような影響を与えるのか。

葉緑体 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 から一部引用;

(葉緑体は)光合成が最もよく知られた主要な機能であるが、その他に窒素代謝、アミノ酸合成、脂質合成、色素合成など、植物細胞における代謝の重要な中心

"甘い期待" は吹き飛んでしまうが、それでも芽吹き、葉が展開し、小さいながらも花が咲くことは、バラ栽培者なら一度は経験があると思う。グルコース(ブドウ糖)や、アミノ酸(特にグルタミン酸)を多く含んでいるという宣伝文句の資材を入れるなど、"ドーピング"してもムリなんだろうなぁ(笑)。

しかし、窒素代謝やアミノ酸合成などは、葉緑体だけができることではないだろうから、今回は 1枚も葉がないステムにどんな花が咲くのか  を観察してみようと、剪定しながらそんなことをボンヤリ考えた。密かに、"ドーピング"に何を使うかという怪しからぬことも考えている(笑)。「それよりも、右の枝を元から切除すべき」という声が聞こえるが、切るとバランスが崩れそうで躊躇ってしまう。切ると、スッキリするのになぁ。

シュラブなどは 開花中の品種から

ハウス内のHT以外の品種は、開花中の株を剪定した。これまでHT以外の品種をコンテストに出品することはほとんどなかったので、開花時期を見据えて剪定日を決めるためのデータを持っていない。

「HTよりも早く切る」ということと、摘蕾するのが億劫(かわいそう)で今咲いている夏の花は「ピークを過ぎた」という二つの理由で今日切ることにした。

  • シェラザード
  • ローズ・ポンパドゥール
  • ジェネラシオン・ジャルダン
  • パーマネントウェーブ
  • マザーズディ

これらの剪定は「すべての枝先を、五枚葉1枚をつけて切り捨てる」という簡単な方法。「古枝、込み入った枝、弱小枝を枝元から切除する」というのも、たぶん誰が切ってもほぼ同じだろう。

今秋はHT以外の品種もばら展のコンテストに出品するかもしれないので、株全体の樹形を整えることより、ステムが長く伸び、それに多くの花がつくことを意識して(願って)切った。



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