HTの最初は「カノープス」
2010年 富吉紀夫氏の作出で、JRC(日本バラ会)主催の第1種新品種コンテスト銅賞。淡いピンクの花弁に、鹿の子まだらの赤が入る。
栽培しているHT(ハイブリッド ティ)の中では最も遅咲き。これまでコンテスト期間中に咲いたことがないので、今秋は例年より早めに剪定した。
この株はデービッド接ぎで作った新苗。BS(ベーサルシュート)は2本しか出なかったが、その勢いが良かったので「勝負株」と判断し(笑)あえて3本目を狙わなかった。
リッチェルの10号バラ鉢に植え込んだが、そのときに噛ませた割竹がそのままになっている。7月にこれを抜いて新しい培養土を入れるつもりだったけど、暑さにへこたれて、ついにそのまま。
写真左:ステムは4段目を放任。この写真では、結蕾した4段目はその中程で切り捨てている。
写真右: 私は基本的にHTの秋の花のための剪定は、BSなら2段目で切る。この株の1段目が「五枚葉5節ピンチ」ではなく、6〜7節まで伸ばしているのは、来春の剪定の際に「芽の選択の幅」を広げるため。
カットする位置は2段目の「スイートスポット」。段の中間付近に、節間がやや狭い部位がある。それが「スイートスポット」。ほぼ垂直のステム2本なので「内芽」「外芽」は関係なく、ピラミッド型の良芽を確認して切った。
この株は、誰が切ってもこうするだろうという標準的な株。「カノープス」はこの新苗の他に2鉢あり、それはうどんこ病が原因(遠因)で、葉が1枚もないというステムもある。
カノープス #49
福岡バラ会に入会したときに栽培し始めた6年生株。写真ではわかりにくいが、3本の古枝と2本のBSがある。3本の古枝には右の枝に数枚の黄葉が残っているだけで、葉が無い。
2本のBSは遅く出たので未熟。特に奥側のBSは短いし勢いもやや弱い。さてこれをどうしよう?
葉が一枚もない2本のステムは、『葉があればここで切る』という位置=今年の新梢の2段目にハサミを入れた。『どんな花が咲くのか。そこそこ見れる花が咲くかも』という甘い期待を込めて。
明日にでも右の古い(と言っても昨年の枝)は切除し、短いBSは「同化専用枝」と見做し花を咲かせず、「古枝2、BS1の3本仕立て」にしてみるか。
光合成だけではない 葉緑体の働き
「ステムに健全な葉が残っていない」ということがどのような影響を与えるのか。
葉緑体 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 から一部引用;
(葉緑体は)光合成が最もよく知られた主要な機能であるが、その他に窒素代謝、アミノ酸合成、脂質合成、色素合成など、植物細胞における代謝の重要な中心
"甘い期待" は吹き飛んでしまうが、それでも芽吹き、葉が展開し、小さいながらも花が咲くことは、バラ栽培者なら一度は経験があると思う。グルコース(ブドウ糖)や、アミノ酸(特にグルタミン酸)を多く含んでいるという宣伝文句の資材を入れるなど、"ドーピング"してもムリなんだろうなぁ(笑)。
しかし、窒素代謝やアミノ酸合成などは、葉緑体だけができることではないだろうから、今回は 1枚も葉がないステムにどんな花が咲くのか を観察してみようと、剪定しながらそんなことをボンヤリ考えた。密かに、"ドーピング"に何を使うかという怪しからぬことも考えている(笑)。「それよりも、右の枝を元から切除すべき」という声が聞こえるが、切るとバランスが崩れそうで躊躇ってしまう。切ると、スッキリするのになぁ。
シュラブなどは 開花中の品種から
ハウス内のHT以外の品種は、開花中の株を剪定した。これまでHT以外の品種をコンテストに出品することはほとんどなかったので、開花時期を見据えて剪定日を決めるためのデータを持っていない。
「HTよりも早く切る」ということと、摘蕾するのが億劫(かわいそう)で今咲いている夏の花は「ピークを過ぎた」という二つの理由で今日切ることにした。
- シェラザード
- ローズ・ポンパドゥール
- ジェネラシオン・ジャルダン
- パーマネントウェーブ
- マザーズディ
これらの剪定は「すべての枝先を、五枚葉1枚をつけて切り捨てる」という簡単な方法。「古枝、込み入った枝、弱小枝を枝元から切除する」というのも、たぶん誰が切ってもほぼ同じだろう。
今秋はHT以外の品種もばら展のコンテストに出品するかもしれないので、株全体の樹形を整えることより、ステムが長く伸び、それに多くの花がつくことを意識して(願って)切った。
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