このブログについて


バラの栽培についての考え方や方法は多様です。その多様性こそが、バラが文化として豊かであることの証左なのでしょう。
"答え"は一つではないとすれば、バラ栽培の楽しさは、"自分のバラの世界を見つけ出す" その過程にあると思っています。

このブログは試行錯誤中のバラ栽培の記録です。一部の記事はバラ仲間に私の方法を紹介するために書いたものもありますが、
「栽培ガイド」の類ではありません。バラ栽培を始めた頃に書いた記事の内容は現在の栽培方法とは異なるものも多く、
技術的にも拙くて誤謬も多々含まれていると思われます。批評的に読んでくださるようお願いします。

2021年8月20日金曜日

秋の剪定・1 準備(生育状態の観察と施肥)

福岡バラ会の「バラ栽培研究会 月々の手入れ -8月」のページに、ハイブリッド・ティ(HT)の秋の花のための剪定方法が掲載されている。入会以降このテキストに沿って剪定をしてきたが、今年もこれを基準にして自分なりの方法を探ろうと思う。

遅咲きのHT品種とフロリバンダ、シュラブは今月末から剪定を始める。私が栽培中のHTでは "カノープス" が最も遅咲きなので、今月末までにはこれの剪定をする予定。そのつもりであらためて全株を見ると、なんだか頼りない。一昨日「土の薬膳」(粉体)を入れたばかりだが、この肥料は肥効がとても緩やかなのでいささか心配になって、急遽、全株に即効性の「千代田化成」を水に溶いて追肥することにした。朝は、「生育が遅れ気味の株にだけ千代田化成」と考えていたのだが。。

「肥料は控え気味に」というのがコンペティション・ローズ栽培のセオリーで、今年はかなり控え気味の施肥量だったのだが、この時期になって『もしかしたら肥料が足りていないのでは?』という不安が。結局、全株ほぼ一律に施肥。これが私の治らない悪癖。

生育状態(肥効)の判断

チッソの施肥量については簡易なECメーターも使用するが、それはあくまでも参考値。活発に生育している「3〜4段目の葉の状態」などで判断する。この時期は、最上位の3枚葉の中にわずかに「ヤツデ葉」が有るかどうかが判断の一つの目安。コンテストに出すバラに「ヤツデ葉」があっては論外だが、剪定前の今ならそれは充分に肥料が効いている証拠。

現状では「ヤツデ葉」は皆無なので、この施肥が過剰な株があったとしても、3〜4段目は剪定で切除するし、剪定後の新芽が3㎝伸びるまでに意図的にECを下げていくから問題ないと考えている。

展開している新葉の大きさや葉柄の角度も、肥料の状態を知る重要なポイント。剪定日まであと10〜20日。葉の様子を継続的に観察しながら、剪定日前後にもう一度即効性の「芽出し肥」をやる予定。

追肥(芽出し液肥・1回目)

計算式:千代田化成550 N:P:K=15:15:10 三要素の合計は40%。これX㌘を8㍑の水に溶かす

  • 0.4X3㌘X0.000125X100=0.015%=150ppm Nのみ 56.25ppm
  • 0.4X5㌘X0.000125X100=0.025%=250ppm Nのみ 93.75ppm

ECメーター実測値

  • 8㍑の水に千代田化成のみ3㌘混合:TDS=174ppm ≑ EC=348㎲/cm ㏗=7.33
  • 8㍑の水に千代田化成のみ5㌘混合:TDS=263ppm ≑ EC=526㎲/cm ㏗=7.21
  • 8㍑の水に上記3種類を混合    :TDS=482ppm ≑ EC=964㎲/cm ㏗=6.54

計算式と実測値で若干のズレはあるが、私の器具では正確な計量・計測はできない。
3種類を混合して EC=964㎲/cm はやや過剰な数値だが、これまでの使用実績からまずOKな数値。


  • TDS:水に溶けた無機塩類と有機物の濃度 単位 ppm (part per million) は百万分率
  • EC(電気伝導度):水溶液中のイオン量 単位 ㎲/cm 栽培では ㎳/cm が使われることが多い

TDSとECは別のものだが、肥料濃度を測る場合ほぼ同じ傾向を示すそうで、私の簡易なECメーターでは、EC=0500㎲/㎝の場合は250ppm、EC=0250㎲/㎝は125ppmなど、㎲/㎝の1/2の数値がppm。必ずそうなるので、どちらかを計測し他は内部で換算してるだけ。TDSとECの換算式はメーカーによって異なるらしい。

つまり、簡易なECメーターではおおよその目安になる肥料濃度を測っているだけで、施肥量の適否判断は生育状態の観察が決め手だろう。でも、現状は「結果」であり、事前の予測は難しく経験を積むしかない。

千代田化成

基本的に水稲を意識して設計された肥料なんだろう。水によく溶け、バラが好きなアンモニア態チッソなので肥効は抜群。過肥に注意。私のバラ栽培では EC=400㎲/cm ≑ 200ppm(4㌘/8㍑)が上限の目安。

けい酸加里

これの目的は細胞壁強化とマンガン毒性の軽減。この肥料は「く溶性」なので、あらかじめ「クエン酸2%水溶液」(㏗≑3.20)を作り、その1㍑中にこの粒剤100㌘を入れて攪拌。混入量は未計算でかなり適当。その溶液20㏄を8㍑の水に混ぜて使用。

リキダス

有島薫さんの紹介で使い始めたが、目的次第で効果は抜群。過肥を嫌うコンペティション・ローズの栽培では、使用する時期・回数や量の判断を誤るとバカでかい花が咲く。今回の20㏄/8㍑は規定量の半分。

この結果はコンテストで

このような試行錯誤で育てているバラは、10月下旬には「コンテスト」という厳しい場に臨むことになる。ベテラン栽培者のみなさんのバラと並べて出品するのは、一切の言い訳無用で独特の緊張感があり、とても良い勉強(反省の機会)になる。今日の施肥の結果が出るのだ。

そして特筆しておきたいことは、自分の出品花の審査結果に疑問を感じたことは一度もない。



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