福岡バラ会の「バラ栽培研究会 月々の手入れ -8月」のページに、ハイブリッド・ティ(HT)の秋の花のための剪定方法が掲載されている。入会以降このテキストに沿って剪定をしてきたが、今年もこれを基準にして自分なりの方法を探ろうと思う。
遅咲きのHT品種とフロリバンダ、シュラブは今月末から剪定を始める。私が栽培中のHTでは "カノープス" が最も遅咲きなので、今月末までにはこれの剪定をする予定。そのつもりであらためて全株を見ると、なんだか頼りない。一昨日「土の薬膳」(粉体)を入れたばかりだが、この肥料は肥効がとても緩やかなのでいささか心配になって、急遽、全株に即効性の「千代田化成」を水に溶いて追肥することにした。朝は、「生育が遅れ気味の株にだけ千代田化成」と考えていたのだが。。
「肥料は控え気味に」というのがコンペティション・ローズ栽培のセオリーで、今年はかなり控え気味の施肥量だったのだが、この時期になって『もしかしたら肥料が足りていないのでは?』という不安が。結局、全株ほぼ一律に施肥。これが私の治らない悪癖。
生育状態(肥効)の判断
チッソの施肥量については簡易なECメーターも使用するが、それはあくまでも参考値。活発に生育している「3〜4段目の葉の状態」などで判断する。この時期は、最上位の3枚葉の中にわずかに「ヤツデ葉」が有るかどうかが判断の一つの目安。コンテストに出すバラに「ヤツデ葉」があっては論外だが、剪定前の今ならそれは充分に肥料が効いている証拠。
現状では「ヤツデ葉」は皆無なので、この施肥が過剰な株があったとしても、3〜4段目は剪定で切除するし、剪定後の新芽が3㎝伸びるまでに意図的にECを下げていくから問題ないと考えている。
展開している新葉の大きさや葉柄の角度も、肥料の状態を知る重要なポイント。剪定日まであと10〜20日。葉の様子を継続的に観察しながら、剪定日前後にもう一度即効性の「芽出し肥」をやる予定。
追肥(芽出し液肥・1回目)
- 千代田化成550 即効性化成肥料・水溶き N:P:K=15:15:10 Nはアンモニア態チッソ 3㌘/8㍑
- JA けい酸加里 く溶性 クエン酸2%水溶液1㍑に100㌘混入 その溶液20㏄/8㍑
- ハイポネックス「リキダス」 20㏄/8㍑
計算式:千代田化成550 N:P:K=15:15:10 三要素の合計は40%。これX㌘を8㍑の水に溶かす
- 0.4X3㌘X0.000125X100=0.015%=150ppm Nのみ 56.25ppm
- 0.4X5㌘X0.000125X100=0.025%=250ppm Nのみ 93.75ppm
ECメーター実測値
- 8㍑の水に千代田化成のみ3㌘混合:TDS=174ppm ≑ EC=348㎲/cm ㏗=7.33
- 8㍑の水に千代田化成のみ5㌘混合:TDS=263ppm ≑ EC=526㎲/cm ㏗=7.21
- 8㍑の水に上記3種類を混合 :TDS=482ppm ≑ EC=964㎲/cm ㏗=6.54
計算式と実測値で若干のズレはあるが、私の器具では正確な計量・計測はできない。
3種類を混合して EC=964㎲/cm はやや過剰な数値だが、これまでの使用実績からまずOKな数値。
- TDS:水に溶けた無機塩類と有機物の濃度 単位 ppm (part per million) は百万分率
- EC(電気伝導度):水溶液中のイオン量 単位 ㎲/cm 栽培では ㎳/cm が使われることが多い
TDSとECは別のものだが、肥料濃度を測る場合ほぼ同じ傾向を示すそうで、私の簡易なECメーターでは、EC=0500㎲/㎝の場合は250ppm、EC=0250㎲/㎝は125ppmなど、㎲/㎝の1/2の数値がppm。必ずそうなるので、どちらかを計測し他は内部で換算してるだけ。TDSとECの換算式はメーカーによって異なるらしい。
つまり、簡易なECメーターではおおよその目安になる肥料濃度を測っているだけで、施肥量の適否判断は生育状態の観察が決め手だろう。でも、現状は「結果」であり、事前の予測は難しく経験を積むしかない。
千代田化成
基本的に水稲を意識して設計された肥料なんだろう。水によく溶け、バラが好きなアンモニア態チッソなので肥効は抜群。過肥に注意。私のバラ栽培では EC=400㎲/cm ≑ 200ppm(4㌘/8㍑)が上限の目安。
けい酸加里
これの目的は細胞壁強化とマンガン毒性の軽減。この肥料は「く溶性」なので、あらかじめ「クエン酸2%水溶液」(㏗≑3.20)を作り、その1㍑中にこの粒剤100㌘を入れて攪拌。混入量は未計算でかなり適当。その溶液20㏄を8㍑の水に混ぜて使用。
リキダス
有島薫さんの紹介で使い始めたが、目的次第で効果は抜群。過肥を嫌うコンペティション・ローズの栽培では、使用する時期・回数や量の判断を誤るとバカでかい花が咲く。今回の20㏄/8㍑は規定量の半分。
この結果はコンテストで
このような試行錯誤で育てているバラは、10月下旬には「コンテスト」という厳しい場に臨むことになる。ベテラン栽培者のみなさんのバラと並べて出品するのは、一切の言い訳無用で独特の緊張感があり、とても良い勉強(反省の機会)になる。今日の施肥の結果が出るのだ。
そして特筆しておきたいことは、自分の出品花の審査結果に疑問を感じたことは一度もない。
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