このブログについて


バラの栽培についての考え方や方法は多様です。その多様性こそが、バラが文化として豊かであることの証左なのでしょう。
"答え"は一つではないとすれば、バラ栽培の楽しさは、"自分のバラの世界を見つけ出す" その過程にあると思っています。

このブログは試行錯誤中のバラ栽培の記録です。一部の記事はバラ仲間に私の方法を紹介するために書いたものもありますが、
「栽培ガイド」の類ではありません。バラ栽培を始めた頃に書いた記事の内容は現在の栽培方法とは異なるものも多く、
技術的にも拙くて誤謬も多々含まれていると思われます。批評的に読んでくださるようお願いします。

2021年8月28日土曜日

2021 秋の施肥プラン

秋の剪定時期を迎えてバラの成長具合を改めて見直すと、今年は「肥料不足」のようだ。時折ハウスに "偵察" に来て私のバラをよく知るバラ友も同意見。これまで肥料過多だったので、今シーズンは施肥の量も回数も減らしたのが極端すぎたようだ。いや、正確に言えば「やる気が薄れて、肥培管理が疎かになった」のかも。

私の栽培環境や方法では、やはり細かな定量的チェックが欠かせないと、この期に及んで再認識。特に中量要素の施肥量がいい加減なのを反省して、 秋の花のための施肥プランを前年度をベースに、新しい資材も加えて検討する。

基本

私の鉢栽培は、地植えよりむしろ「溶液耕」に近いと考えている。施肥の参考にしているのは「愛知園研バラ処方」。

「愛知園研バラ処方」あるいはアマチュア用液肥として一般的な「マイローズ バラの液肥」も、三要素の合計が 400ppm になっていることに注目。チッソ、特にリン酸の濃度はかなりの差があるが、これらを参考に、チッソが120ppm、三要素の合計が400ppm、Max.で600ppm程度になる配合を考えてみた。

重要

鉢植えとは言え土耕と溶液耕の施肥量を同一視するのはかなり無理があるのは承知の上。これらの数値は「参考値」に過ぎず、その適否は肥料濃度だけでなく1回あたりの量や回数によって大きく異なるので、生育状況で判断すべき。計算値よりもECメーターでの実測値を優先。さらに言えば、実測値よりも観察結果を優先。

また、これは個人的なテスト栽培で、数年の実績はあるものの、基本的な考え方や計算が間違っているかもしれないし、施肥量の適否は簡単に判定できるものではない。栽培目的や環境も異なるので、人様にお勧めするようなものではない。

メインは パワフルアミノ+マグホス+ケイ酸カリ or 硫酸カリ

10号鉢の培土量を約15㍑=15㎏とみなし、その500分の1相当の30㌘を、2〜3回に分けて施肥。
この「少量ずつ分割して施肥」が私の方法で、それは中量・微量要素も同様。

チッソ

培土に対するチッソ濃度は、計算上120ppm程度以下をキープ。

リン酸

パワフルアミノはリン酸の含有量がバラ用としては少ないので「マグホス」を入れる。マグホスのクエン酸2%水溶液(使用液)は、1㍑に対しマグホス200㌘を入れて作ってある。これは実測10000ppm。それを8㍑ジョウロに40㏄=200倍希釈すると50ppmになる。ただし実際にはこの希釈倍率ではpH が下がり過ぎるから、この場合はpHを優先してその半量の25cc程度を入れる。

カリ

パワフルアミノはカリの量も極端に少ないので(その理由は不詳)、別途「硫酸カリ」か「ケイ酸カリ」のいずれかを使う。「ケイ酸カリ」は、マグホス同様にクエン酸2%水溶液1㍑に250㌘を溶かして使用液を作っている。これは希釈倍率が2000倍なので、8㍑ジョウロに16㏄。

「マグホス」と「ケイ酸カリ」の使用液の具体例を "Field Note" に掲載

中量要素は セルカとマグホス

カルシウム

牡蠣殻有機石灰の「セルカ」。主成分は水に難溶性の炭酸カルシウムなので、試しにクエン酸2%水溶液に溶かしてみると勢いよく泡立って、いい感じ。

3CaCO₃(炭酸カルシウム)+ 2C₆H₈O₇(クエン酸)→ Ca₃C₁₂H₁₀O₁(クエン酸カルシウム)+ 3H₂O + 3CO₂

そのまま施肥するより吸肥が早いのでは?と思うが、どうなんだろう。ポイントは、クエン酸カルシウムが水の中で電離して、Ca⁺(カルシウムイオン)になるか、それをバラが吸収するかどうかだが、どう確かめればいいだろう?

カルシウム肥料はこのほかに葉面散布で使う「カルクロン」(塩化カルシウム 72.0%以上)を準備している。

マグネシウム

「マグホス」をメインに考えているが、「ハイグリーン」や「ケイ酸カリ」にも含まれている。

イオウ

特に意識したことはない。元々土に含まれているのだろうし、冬の「石灰硫黄合剤」で十分なのかも。今年は「硫酸マグネシウム」や「硫酸カリウム」を使う予定。イオウは植物の根から硫酸イオンの形で吸収されるので、これで十分だろう。

微量要素は ハイグリーン

メインは水溶性の「ハイグリーン」。
場合によってはマンガンを19%も含む「FTE」を、クエン酸水溶液に溶かして一度は使うかも。
は「鉄力あくあF10」も葉面散布か土壌灌注で使用する。
今夏は、微量要素ではないがケイ酸を含む「けい酸加里」も使っている。


単肥を使うこのような肥培管理は 間違い だ

バラ栽培者の中には多種多様な農薬を使うことを嬉しそうに語る人もいる。聞くたびに『それは逆だろ。農薬を使わずにきれいなバラを咲かせてこそ自慢できるのでは?』と思ってしまう。それと同じで、このようにいくつもの肥料を使うのは、自分のことながら疑問がつきまとう。地植えならこんなことはけっしてしないだろう。

鉢植えバラの肥料は「月1回の置肥、週1回の液肥」が教科書的・肥培管理。でも、へそ曲がりな私はそうしたくない。教科書的な栽培方法では面白くないから。教科書では、上に掲載した表の基本になる「愛知園研バラ処方(夏用)」とか知りようもない。これを学ぶことが楽しいのだ。でもこれって、多種類の農薬を使う人も同じ思いなのかな(笑)

結果は コンテストの出品花 で

このページに書いたことは「プラン」。実際はどうなるか、そしてコンテストに出品しても先輩のみなさんに引けを取らない花が咲くか、どうか。このような怪しげな試行錯誤を、実作で確認できる場があるのは素晴らしいことだと思う。



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