これは、6月23日の記事「新苗・夏至の頃」の続きです。
植物ホルモン「サイトカイニン」と類似の効果を示す薬剤として「ビーエー液剤」がある。古くなってベーサルシュートや低い位置のサイドシュートが出にくくなった株に、このビーエー液剤を使用した。
鋸目 100倍希釈液 ハケ塗り
今回の希釈倍率は100倍。ただし、このような目的での使用はこの液剤の "適用範囲外" であり、この倍率に根拠はない。方法はハケ塗り。ビーエー液剤は10cc入りの小瓶だが、50株ほどに100倍希釈液のハケ塗りでは1回で使う原液はせいぜい2cc程度。対象の多くの株で、数日の間隔を置いて二度塗り、三度塗りをした。
まったく効果がない株も 少なからず たくさんある
その原因は、株にシュートを出す条件が整っていないことや、適切な位置にビーエー液剤が届かなかったことなどが考えられる。
逆に、鋸目を入れていない太枝の途中の意外な節からサイドシュートが出る事例もある。これはビーエー液剤が主にアポプラスト経路で上部へ移行した結果だろうと推測(あくまでも素人の推測)している。
以下はその中で好結果を示した株。
クラウンに鋸目を入れ、そこに滲み入るようにビーエー液剤を塗布
クラウンの古皮を削り取り、広範囲に液剤が届くように横方向に鋸目を入れる。鋸目の深さは3〜5㎜ほど。
写真左:2本のベーサルシュートが出た。手前側の小さいシュートはいずれもぎ取ることになるだろう。そうしてもシュートが計4本になるので、場合によっては左奥の1本(去年の枝)を切除し3本仕立てにするかも。
写真右:太枝にも鋸目を入れ、そこからもシュートが芽吹いている。鋸目が2段になっているのは、前回の鋸目(上側/鋸目が浅い)では効果が無く再試行したから。
シュートの発生を抑制する植物ホルモン ABA(アブシシン酸)を不活性にする
バラは闇雲にシュートを出すことの危険性を知っており、条件が揃うまでは植物ホルモン ABA(アブシシン酸)が、シュートを出そうとするサイトカイニンの働きを抑制している。このABAを不活性にすることも重要なポイント。方法は簡単で、「株元に光を当てる」こと。そのために光を遮っている下葉を摘葉する。
太枝に鋸目を入れ、ビーエー液剤を塗布
芽を出したい節の7㎜ ほど上の位置に横に鋸目を入れ、ビーエー液剤を塗布。鋸目の深さは3〜5㎜ほど。この傷口には癒傷ホルモンのオーキシンが働き、数日のうちにカルスが形成され傷口が埋まる。
このオーキシンは成長ホルモンでもあり、サイトカイニンとのコラボで新芽の原基が形成され、3〜4週間程度で新芽が芽吹く。
クラウンと太枝に鋸目を入れ、ビーエー液剤を塗布
左右の株ともにベーサルシュート2本、サイドシュート2本の計4本が出ている。
新梢の勢いや方向、古枝とのバランスを見ながら、古枝かシュートを切除して、最終的にステム3〜4本の株に仕立てる。私の栽培環境(10号鉢)や肥培管理では、それ以上のステムを立てても「共倒れ」になる。
7月に出るベーサルシュートがベスト
まだ正確にチェックしてはいないが、今年はビーエー液剤の効果が見られる株は3割以下かも。1回目のビーエー液剤を塗布したのは7月27,28日の両日。これは適期から1ヶ月以上も遅く、それから出たシュートは秋花の開花枝とするには未熟。これは、自然に発生するベーサルシュートと区別するために意図的に遅く使用した結果だが、やはり「6月にビーエー液剤を使い、7月にシュートを発生を発生させる」のが好ましいと思われる。
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