このブログについて


バラの栽培についての考え方や方法は多様です。その多様性こそが、バラが文化として豊かであることの証左なのでしょう。
"答え"は一つではないとすれば、バラ栽培の楽しさは、"自分のバラの世界を見つけ出す" その過程にあると思っています。

このブログは試行錯誤中のバラ栽培の記録です。一部の記事はバラ仲間に私の方法を紹介するために書いたものもありますが、
「栽培ガイド」の類ではありません。バラ栽培を始めた頃に書いた記事の内容は現在の栽培方法とは異なるものも多く、
技術的にも拙く、論理も雑駁で、誤謬も多々含まれていると思われます。批評的に読んでくださるようお願いします。

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2021年8月18日水曜日

ビーエー液剤の効果

これは、6月23日の記事「新苗・夏至の頃」の続きです。

植物ホルモン「サイトカイニン」と類似の効果を示す薬剤として「ビーエー液剤」がある。古くなってベーサルシュートや低い位置のサイドシュートが出にくくなった株に、このビーエー液剤を使用した。

サイトカイニン:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

鋸目 100倍希釈液 ハケ塗り

今回の希釈倍率は100倍。ただし、このような目的での使用はこの液剤の "適用範囲外" であり、この倍率に根拠はない。方法はハケ塗り。ビーエー液剤は10cc入りの小瓶だが、50株ほどに100倍希釈液のハケ塗りでは1回で使う原液はせいぜい2cc程度。対象の多くの株で、数日の間隔を置いて二度塗り、三度塗りをした。

まったく効果がない株も 少なからず たくさんある

その原因は、株にシュートを出す条件が整っていないことや、適切な位置にビーエー液剤が届かなかったことなどが考えられる。

逆に、鋸目を入れていない太枝の途中の意外な節からサイドシュートが出る事例もある。これはビーエー液剤が主にアポプラスト経路で上部へ移行した結果だろうと推測(あくまでも素人の推測)している。

以下はその中で好結果を示した株。


クラウンに鋸目を入れ、そこに滲み入るようにビーエー液剤を塗布

クラウンの古皮を削り取り、広範囲に液剤が届くように横方向に鋸目を入れる。鋸目の深さは3〜5㎜ほど。

写真左:2本のベーサルシュートが出た。手前側の小さいシュートはいずれもぎ取ることになるだろう。そうしてもシュートが計4本になるので、場合によっては左奥の1本(去年の枝)を切除し3本仕立てにするかも。

写真右:太枝にも鋸目を入れ、そこからもシュートが芽吹いている。鋸目が2段になっているのは、前回の鋸目(上側/鋸目が浅い)では効果が無く再試行したから。

シュートの発生を抑制する植物ホルモン ABA(アブシシン酸)を不活性にする

バラは闇雲にシュートを出すことの危険性を知っており、条件が揃うまでは植物ホルモン ABA(アブシシン酸)が、シュートを出そうとするサイトカイニンの働きを抑制している。このABAを不活性にすることも重要なポイント。方法は簡単で、「株元に光を当てる」こと。そのために光を遮っている下葉を摘葉する。

太枝に鋸目を入れ、ビーエー液剤を塗布

芽を出したい節の7㎜ ほど上の位置に横に鋸目を入れ、ビーエー液剤を塗布。鋸目の深さは3〜5㎜ほど。この傷口には癒傷ホルモンのオーキシンが働き、数日のうちにカルスが形成され傷口が埋まる。

このオーキシンは成長ホルモンでもあり、サイトカイニンとのコラボで新芽の原基が形成され、3〜4週間程度で新芽が芽吹く。

オーキシン:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

クラウンと太枝に鋸目を入れ、ビーエー液剤を塗布

左右の株ともにベーサルシュート2本、サイドシュート2本の計4本が出ている。
新梢の勢いや方向、古枝とのバランスを見ながら、古枝かシュートを切除して、最終的にステム3〜4本の株に仕立てる。私の栽培環境(10号鉢)や肥培管理では、それ以上のステムを立てても「共倒れ」になる。

7月に出るベーサルシュートがベスト

まだ正確にチェックしてはいないが、今年はビーエー液剤の効果が見られる株は3割以下かも。1回目のビーエー液剤を塗布したのは7月27,28日の両日。これは適期から1ヶ月以上も遅く、それから出たシュートは秋花の開花枝とするには未熟。これは、自然に発生するベーサルシュートと区別するために意図的に遅く使用した結果だが、やはり「6月にビーエー液剤を使い、7月にシュートを発生を発生させる」のが好ましいと思われる。



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