かのやバラ園で開催されているデービッドさんのガーデニング講座(1泊2日で来年3月まで全7回) "2012 Gardening with David" で、私が最も楽しみにしているのは「バラの交配について」というカリキュラムです。
『交配の技術は難しいことではありません。大切なのは、作りたいバラの交配親の系譜を調べることです』というアドバイスと、その参考になる書籍の紹介がありました。右下の2冊がそれです。どちらも充実した内容です。
「バラ大百科」は内容豊富で楽しめます。これには、河合伸志さんの「夢のバラを思い描いて 交配とタネまき」という3ページにわたるコラムがあって、バラの交配のおおよその手順がわかります。
右の「オールドローズと現代バラの系譜」は労作。オールドローズ・ファンや交配をめざす人には必携の一冊でしょうか。
デービッドさんが右手に持っている本は「ナチュラルガーデンを作る宿根草」(別冊NHK趣味の園芸)です。かのやバラ園のイングリッシュローズ ガーデンでは、かなり大規模に宿根草の植え付けが進んでいて、これが出来上がるのがとても楽しみです。宿根草の植栽もこの講座の大きなテーマですから、いずれご紹介できると思います。
交配のテーマをきめる
さて、バラの交配で私が選んだテーマは;
高温多湿に弱いERの「サマーソング」を(あの色を持つバラを)九州でもきれいに咲かせたい。そのために、交配の相手は暑さにも強い、同じくERの「メアリーローズ」を選ぶ
というものです。でも、私はメアリーローズを持っておらず、鹿屋にはサマーソングが無いので、花粉親になるサマーソングを鹿屋まで運ばなければなりません。次回の講座は9月上旬なので、交配の時期としては遅すぎる?と思うし、たぶんその時期に私のサマーソングは咲いていないだろうと思います。
今2番花が咲き始めたのですが、それを届けるためだけに鹿屋まで片道6時間のドライブはちょっとつらいものがあります。
あるいは花粉を採集してビンに詰め「クール便」で送ればいいのでしょうか。いや、誰かにやってもらうのではなく自分で交配させたいんですよね。
種子親を「メアリーローズ」にこだわらず、暑さに強い他の品種に変更すれば、なんとかなるかもしれません。
ここで前掲の2冊の本の出番です。自分が栽培しているバラの中で、サマーソングと時期を同じくして咲く元気なバラを見つけ、その系譜(交配親)を調べて、特性を知る。
手持ちの品種が多いわけではないので、その条件に合うものを見つけるのは容易ではないかもしれませんが、楽しい作業になりそうです。サマーソング X メアリーローズ という一見もっともらしい組み合わせではなく、そのときに咲いているいろんな品種に花粉をくっつけてみるのもおもしろいかも。でも、これは完全に「系譜」無視ですが(笑)
バラの栽培でいちばん楽しいこと
デービッドさんに、『バラの栽培でもっとも楽しいことはなんですか?』と質問したら、「交配してできたタネを播種し、それが発芽して育っていくのを見守る時です」という答えが、見守る様子の再現(少年みたいでかわいかった)とともに返ってきました。わかるような気がします。
シベを観察するために試しに花弁を取り除いたHTの「ダーク・ベルベット」。3年程前に野瀬農園さんで育った苗で、上の写真とは関係ありません。
きれいですね。しかもメシベとオシベの区別が明確なので交配作業がしやすそうです。私は知らなかったのですが、シベの形は品種によって様々なようですね。
デービッドさんはシベを指で触ってその「粘り気」で成熟度を確かめているようでした。
バラの実生苗の定植
先日、栽培品種の実生苗を100本ほど畝に定植しました。T芽接ぎのためのノイバラ台木の実生苗も200本定植しました。いずれも植え痛みが出てちょっと心配しましたが。
でも(実生苗作りで幾つか反省点はあるものの)、ローズヒップの採取から播種そして育苗と一通り経験したので、おぼろげながらもバラの交配手順の全体像が見えてきました。新品種の作出(その過程)を楽しむことはビニールハウスが無くてもできそうな気がしています。
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