2015年8月20日に福岡市植物園で開催された園芸講座「バラの手入れと管理 ② 」に参加しました。講師は同植物園バラ園技術顧問の園芸研究家・桃崎 皓邦先生で、「油粕・蒸製骨粉・硫酸カリ」を使った肥料(元肥)の話もありました。これはグリーンパーク・バラ園とまったく同じ材料なので、興味津々。
先生の話を聞きながら考えた肥料や農薬のこと、ページ後半では「バラの夏休み」に触れていますが、これらは自分への問題提起です。
バラの「元肥」
桃崎先生の配合割合は、油粕:蒸製骨粉:硫酸カリ=2:1.5:全量の5% だそうです。
この成分比を計算してみると、N:P:K=6:10:9 になります。汎用の「元肥」として一般的な数値ですね。
GPバラ園の元肥については「バラの夏」で紹介していますが、その配合割合は 油粕:蒸製骨粉:硫酸カリ=1:3:2(N:P:K=3:11:17)です。
逆の言い方をすれば、桃崎先生の配合割合は市販されている「有機配合肥料」に近いもので、特に "マジック" というようなものはありません。これをGPバラ園と同様に8月に深さ10cm以内に鋤き込み、秋の剪定時に即効性の肥料を施肥するというのも同じです。鉢植えの場合は液肥、地植えの場合は即効性のある有機肥料を使用するそうです。
桃崎先生のこの「即効性のある有機肥料」は、福岡県花卉農業組合が開発したもので(N:P:K=6:8:4)動物性有機物(血液など)で作られ微量要素を多く含んでいるのが特徴だそうですが、市販はされていないとのことでちょっと残念。ちなみに肥効が現れるまでの日数は化成肥料では3日、この有機肥料は1週間だそうです。私は「土の薬膳」の粉体を使用しています。これも即効性のある植物性有機物がメインの有機100%肥料ですが、肥効が現れるまでの日数はもっとかかる(いつから肥効が現れたのかよくわからないが、しっかり効いている)ように思います。
『 畑作用の肥料を鉢植えに使ってはいけません』というお話も印象的でした。なるほど。思い当たることがあります。福岡県田主丸はバラ苗の生産を含む園芸農家が多い地区ですが、そこにある農家対象の肥料店で「売れ筋」の肥料を訊ねたら、似たような2種類を教えてもらいました。生産者はそれを「好み」で選ぶのかな?と一瞬思いましたがそうではなく、地植え苗と鉢苗で使用する肥料を使い分けるのだそうです。以前紹介したことがある「パワフルアミノ」。これは 鉢苗用 ですね。地植え苗用の肥料と何が違うのか詳しいことはわかりませんが、鉢上げした後の幼苗に与えても肥料焼けせず、しかも即効性があるのがわかります(上記ページからのリンク「いぶし銀のバラ屋」参照)。
硫酸カリの配合割合
硫酸カリの配合割合がGPバラ園とは大きく異なります。チッソ量を基準に比較すれば、GPバラ園のカリ投入量は福岡市植物園バラ園の3倍ほどにもなります。私にはこれが疑問なのですが、このふたつの事例を参考に 自分の環境に合った配合割合と、そして何よりそれに見合った施肥量を自分で見つけるのが肝要なんでしょうね。
・・でも実際どうすりゃいいんだ?
チッソなら葉の大きさや色である程度はわかるけど、カリの場合は?
デービッドさんの土壌分析キット
「指標作物」というものがあるそうで、例えばカリの場合はキャベツを植えて、その結球期の葉色を見て過不足を判断するのだそうです。おもしろいアイディアとは思うけれど。。
左の写真はデービッドさんが使っている土壌分析キットです。水鉄砲みたいな形をした器具(ここには写っていない)を使って土壌水分を(時間をかけて)直接取り出し、N,P,K,pH それぞれの試薬を混ぜてその結果の色から濃度を比較判定します。この写真は判定時の様子です。
これがあれば、目安になる程度の土壌分析ができ、それに基いて3要素の施肥量を決められます。
比較的安価な「農大式簡易土壌診断キット みどりくん」という簡易分析キットや、「コンパクト カリウムイオンメータ」というものがあるようですが、私は使ったことがありません。
分析を外部に委託する場合は、全農(全国農業協同組合連合会)の「JA全農 全国土壌分析センター」が利用できそうです。費用もさほど高額ではありません。福岡の場合は「JA全農ふくれん土壌診断センター」(0942-77-5214)
ちなみに、デービッドさんによれば、調べた各地のバラ園はどこもリン酸濃度が極端に高いのだそうです。それでもリン酸肥料を与え続けなければなりません。(デービッドさんの口調を真似して)「それはなぜかわかりますか?」私の答えはこの下にあります。
バラ園だけではなく、日本の農耕土壌は水田も畑地もリン酸やカリ肥料が過剰な状態なのだそうです。参照:「全農|適正施肥に向けた考え方」。JA では土壌分析をすることによって「減肥」へ向けた取り組みもあるようですが、多肥栽培をするバラも(デービッドさんのように)土壌分析が必要なのかもしれません。
話を元に戻し、再び「元肥」です。桃崎先生の話では、油粕に米ぬか(リン酸を比較的多く含む)を混ぜるのも良く、またこの肥料と過リン酸石灰や牛糞堆肥、鶏糞を混ぜるのも良いとのことでした。米ぬかを混ぜる場合は発酵熱に注意が必要で、このような有機肥料を自作するときは ボカシ にすると安全です。
ただしこれに「熔成リン肥」は混ぜてはダメとのことで、その理由は(講座の時間切れで未確認ですが)たぶん熔リンの場合はリン酸イオンが土中の金属イオンと結合しやすく、バラが吸収できないキレートになるからだと思います。
「土壌分析したバラ園でリン酸値が高濃度を示すのは、この吸収できないリン酸がいっぱいあるから」ですね?間違っているかもしれませんので、JA全農の資料:「土壌の塩基」や「可給態りん酸」を参照してください。
蒸製骨粉 がリン酸の供給源として優れているのは、骨粉が微生物によって分解され、そこに含まれているリン酸が微生物に(いったん)取り込まれるので、キレート化をある程度は防ぐことができるからです。
苦土石灰 の重要性を強調されるのも先生の特徴です。下の写真の手前左端が苦土石灰を入れた容器で、鉢植えでもこの時期に少量の苦土石灰を与えるのが良いそうです。pH調整という意味合いよりも、苦土(マグネシウム)を与えることの重要性に言及されました。
備考:グリーンパーク・バラ園で使われている「千代田化成472」は「リン酸2アンモニウム」を主成分として作られており、(リン酸の特性を逆手に取って?)リン酸とアンモニア(チッソ)が化学的に結びついているので、リン酸イオンが土中の金属イオンとキレート錯体を作る問題を避けることができます。これを開発した人は賢い! 実際に使ってみると、ふだん有機肥料を使う私はこの肥料の肥効の早さに驚かされます。リン酸のみの肥効はわかりませんが。
8月27日追記:「熔成燐肥を混ぜるのはダメ」という理由を質問したら、①アルカリ分50%を含んでいて高pHである ②熔リンは単独で使用すべき肥料である この2つの答えが返ってきました。これは 全農の熔リンに関する資料とは見解が異なります。先生から「キレート」と言う言葉は出ませんでした。
植物の表面に農薬の薄い膜を作る
これらは講座で説明するために先生が持参されたもので、いずれも現場で使用中というリアリティがあります。前回の講座で、「ハウスが小学校のグランドに隣接しているので、クロルピクリン(土壌燻蒸剤=毒ガス類似)の使用時は気を使う」という話がありました(!仰天)。園芸作物(鉢物など)の栽培が業務内容のようです。
先生は農薬にとても詳しく、例えば「殺菌剤の商品名ロブラールはイプロジオン水和剤で、イプロジオンが主成分。希釈倍率は・・」などと、澱みなく言葉が出てきます。園芸農家はそれほど農薬を使うんでしょうか? 使うようですね。園芸作物は「見た目勝負」ですし、害虫や病気が出たものを出荷することは許されません(市場が受け入れません)。
「農薬に "治療薬" というものは少なく大部分は "予防薬" である。農薬を使うコツは植物の表面に農薬の薄い膜を作って病原菌から保護すること」
以下2枚の写真は某バラ園で日常的に行われている農薬散布で、
福岡市植物園や桃崎先生とは関係ありません。
先生のお話で印象的だったのは、農薬から自分を守るために細心の注意を払ってあること。必ずマスクをして肌は露出しない、ゴム手袋を着用し、オルトランなど浸透移行性の農薬は素手では絶対に触らない(何度も強調されました)など、その内容は一般的なものなんですが、言葉の端々にそれを強く感じました。
ハウスで働く園芸農家(その家族も含めて)には、呼吸器系などにガンの病気が多いというのは私のバラ仲間の間では半ば常識で、私もそういう事例を幾つか知っていますから、お話にいっそう現実感があります。
左の2枚の写真では、動噴を使っているので農薬の霧が辺りを包んでいますが、マスクもせずに撒布をしています。まず間違いなく「オルトラン水和剤」も使っているでしょう。見かねたバラ仲間が『せめてマスクの着用を』と言ったら、『余計なお世話だ』という反応が返ってきたと呆れていました。作業員もさることながら、管理者の見識を疑いますね。
福岡市植物園・バラ園担当のガーデナーさんに聞いたところ、ここでは原則的に週1回の農薬散布で、病気の発生が心配されたり発生してしまったときは5日間隔だそうです。これはどこのバラ園も似たようなものです。多くのバラ園で、休園日または人気の無い早朝に、このように動噴を使って撒布しています。
『見せるためのバラ園なんだから、病虫害予防のために週1回の定期的な農薬散布は当然だ』
ですが、それほどまで農薬散布をしなければならないとしたら、どこか基本的なところで違うのではないか?と思ってしまいます。「間違っている」ではなく、「違う」と感じるのです。
バラ栽培での農薬使用の是非を議論するのは虚しいです。なぜなら、化学農薬を使うか否かは、単に栽培方法の選択というだけではなく、栽培者の「生き方」だからです。そこに優劣なんぞはなく、「自分はどうするか」を自分で見つけていくしかないと思います。
話が福岡市植物園からも桃崎先生からもどんどん離れてしまいますが、この「違う」に関して。
バラは3,000年にもおよぶ栽培の歴史があります。殺虫剤や殺菌剤などの化学農薬が使われるようになったのは第1次世界大戦で「毒ガス」が使用されたのと軌を同じくしているそうです。つまり、たかだか100年か150年前からのことで、それ以前(の2800年間)はそもそも化学農薬や化学肥料など存在しないから、栽培はオーガニックだったんですね。
ジョゼフィーヌ の時代にも化学農薬はなかったわけで、 ルドゥーテ は実際は病虫害で傷んだバラをモデルに描いたのでしょうか?
その時代(オールドローズ全盛期)はどいうふうにバラを栽培していたのでしょうね。とても興味があるのですが、残念ながらそれに関する文献や資料を知りません。ご存知の方があればぜひ教えてください。
モダンローズの栽培では化学農薬の使用が当然のことならば、交配を重ねるうちに病害虫に対する抵抗性(ファイトアレキシン の生合成に関する遺伝子)を失ったのでしょうか。そうかもしれません。多くのブリーダーが交配親をオールドローズに求めるのもそういう理由もあるのかもしれません。
しかし、農薬に頼る栽培を「違う」と考えるひとも多く存在します。ご存知のように、デビッド・オースチン・ロージズでは交配した品種の選抜は「無農薬栽培」で行われています。「耐病性」は新品種開発の大きなテーマのひとつです。また、国内でも化学農薬を使わないで栽培しているバラ園も皆無ではないでしょう。
植物園のバラには夏休みはない
講義の後、バラ園に出て剪定実習がありました。福岡市植物園では2名のガーデナーさんがバラ園を担当してあるのだそうで、桃崎先生はその技術顧問的なお立場だとか。バラ園は左右対称のフォーマルガーデンですが、入り口側(この写真)は高低差のあるスクウェア・ガーデンで、それらしい上品な趣があって好感が持てます。
バラ園には8月のこの時期でもいっぱいバラが咲いています。写真手前側はオールドローズなので花はあまり見えませんが、この写真から受ける印象よりはるかに多くのバラが咲いています。管理スタッフの話によれば、『植物園だから、いつも花を咲かせておく』とのことでした。
剪定の講習内容は初心者のための基本的なものでしたが、講習中に先生の口から独り言のようにチラリと漏れた「やたらに切るのはバラのために良くない」という一言に、私は強く興味を持ちました。
バラの夏休み
「高温多湿の日本の夏は貧弱な花しか咲かないから意図的に花を咲かせず、秋に美しい花を咲かせるために養分を温存させる」という バラの夏休み。 『これは不自然なことでは?』と鋏を手にして迷うことが多くなりました。(「バラの夏休み」の具体的な方法はこのページの最後に触れています)
備考:福岡市植物園の桃崎先生も、グリーンパーク・バラ園の小林先生も「バラの夏休み」という言葉は使われません。
一般的な栽培方法では、夏の花はちょっと小さくて花持ちが悪く、香りも優しいのは「事実」です。でも「小さい花」は咲く価値のない存在なのか、「バラの夏休み」はほんとうにバラのためになるのか?
そう問うのは、もちろん 自分自身に対して です。冬薔薇(ふゆそうび/冬まで咲き残っているバラ)に、えも言われぬ美しさがあることもあるし。大きい花や数多く一斉に咲くことを良しとするような価値観に沿ってバラの生育をコントロールするやり方には、私はどうもなじめません。
バラのある暮らし バラのある風景
なぜそう思うのか。その理由は、そのような価値観のコンテストやバラ園には、「バラのある暮らし」という バラと生活の一体感 が無いからだと考えています。バラが珍しかった昔ならともかく、今はバラの栽培は何か特別なことではなく 生活の一部です("日常"という意味とはちょっと異なります)。前の記事:「夏のしあわせ」のコメントで、「バラを植物図鑑のように植えている バラ園という存在自体が 時代遅れの陳腐なもの」と書いているのは、そういう考えからです。
これに関して、ローズアドバイザー・有島薫さんの新著:「もっと咲かせるバラづくり」p.84 につぎのような考えが書かれています。以下、同書より一部を引用します。
エンドレス剪定のすすめ
日本では長い間、バラは年に2回の剪定が必要で、秋バラを楽しむためには8月末〜9月初旬に剪定をしなくてはいけないと考えられてきました。ところがヨーロッパのナーセリーで聞くと、秋剪定はやっていないという答えが返ってくるのが普通です。
私が思うに、日本で秋剪定が定着したのは、かっては秋にコンテストに出す人や、バラ園に関係している人がバラの本を書いていたからではないでしょうか。バラ園で一斉に秋バラを咲かせたり、コンテストの会期に合わせて咲かせるには、逆算して40~50日前に剪定を行う必要があるからです。その習慣が、一般の方にも広まったのではないかと推測しています。
しかし今はバラ一輪の完成度を目指すより、バラのある風景を楽しみたいという方が増えています。(以下「エンドレス剪定」に続く)
8月27日 秋の花のための剪定 開始
8月27日追記:福岡市植物園バラ園では今日から剪定作業が始まりました。
今年の福岡は梅雨明け後から2週間ほど雨が降らず、どこのバラ園でも水やりがたいへんだったそうです。
『水やり作業に追われて忙しく花がら摘みもままなりませんでした。剪定作業のために除草するのが精一杯』
この区画はフロリバンダやイングリッシュローズ、オールドローズ、修景バラなどが植えられています。株元には草が生えていますが、荒れた感じはありません。深い樹陰が涼しくて、ベンチに腰を下ろしてぼんやり空を眺めるのはいい気持ち。
台風15号が通過して2日後の青空。蝉時雨の中で、桃崎先生も鋏を握って作業が進みます。今日の剪定開始はたぶん他のどのバラ園よりも早いと思います。福岡の今日の最高気温は14時に30.4℃。平年値は31.4℃です。
このバラ園では10月中旬を開花ピークのメドにして、例年この時期から剪定を始めるそうです。5名ほどのガーデナーさんが作業してバラ園奥のHTの花壇から始め、全部終えるのに1週間程かかるとのことでした。
「一斉に開花させる」ということは意図されておらず、早く咲くものも遅いものもいろいろあっていいということから、品種によって作業日を決めるのではなく、ゾーンごとに作業が進んで行きます。
剪定作業は、①まず枯れ枝、老化した枝、弱小枝を切り捨てる ②つぎに樹高の1/3を切り捨てる ③すべての枝先に鋏を入れる というオーソドックスな方法です。「二番の開花枝の中間で切る」ということは意識されていないようで、高さ基準でやや深めの剪定です。
桃崎先生が作業中の株は古い大株で、剪定が終わった部分がその株の右半分。まだ切られていない左側と較べれば、切る高さがわかると思います。先生の左手にあるのが切り捨てられる枝です。
剪定が終わった枝にはあまり葉が残っていません。HTではこうなりがちで、花壇はレイズド・ベッドだし、秋の花を目の高さで咲かせようとすれば、難しいところです。
バラが望むように
先生の「やたらに切るのはバラのために良くない」とはどういうことなのか、「弱った株は強剪定しないで摘蕾程度にとどめる」ということなのか、それとも「年間の剪定や切り戻しをできるだけ少ない回数にする」という意味なのか、今はまだよくわかりません。
このHT花壇では花がらが整理されておらず、ほとんどすべての枝先に花がらが残っていました。これは(前述のように)潅水作業に追われて手が廻らなかったからだそうです。『花がら切りをしないと実に養分を奪われてしまうので、良いことではないのですが・・』とガーデナーさんが言ってありました。
ふつうどこのバラ園でも二番の花後に切り戻しをして、そこから出た新梢を夏に切って花を咲かせない「バラの夏休み」期間を作り、さらに9月上旬に秋の花のための剪定をします。8月4日の記事「バラの 夏」で紹介したグリーンパーク・バラ園もそうです。
花がらが残ったHTを見ながら、『HTの春二番の花がらは、むしろこのように切らずに放置するのがいいのでは?』と思いました。花がらが残ったままであれば次の花を咲かせる新梢は出ないし、すべての葉が残って光合成をします。結実すればもちろんそのための養分が使われますが *、養分の消費ということなら切り戻して新梢を出させるのも同じで、この場合は葉も切り捨てられているので、むしろ株全体でみれば養分の消費量は多いかもしれません。何よりも、切り戻しと8月に開花させないための予備剪定という2回の作業が省略できます。
*註:受粉し結実してそれが肥大するのは、数ヶ月かけてゆっくり進みます。結実したがゆえに使われる養分は、株全体からみれば、そして秋剪定までという期間を考えれば、ごく僅かに過ぎません。
桃崎先生やガーデナーさんたちの言葉に、『花がら摘みができなかったので拙かった』という響きをさほど感じなかったのも印象的でした。『花がらを残してはいけない』というのは、栽培者の固定観念だろうと思います。夏に咲かせたくないのなら、二番の花後は何もしないで、あるがままに、バラが自ら望むようにさせておくのがバラのためでしょう。それがいちばんムダが無いと思います。「やたらに切るのはバラのために良くない」とはこういうことかもと想像しますが、先生の真意はわかりません。
「剪定はこうであるべき」みたいなこだわりは先生にはなさそうでした。「基本をしっかり学ぶ。そして細部にとらわれず、おおらかにバラの栽培を楽しむ」というのが 桃崎スタイル とお見受けしました。バラの栽培方法は、有島薫さんの指摘のように、栽培者のライフスタイル(価値観)や栽培される品種の変化とともに少しずつ変わってきているように思います。
10月中旬に花を見に来ることを先生に約束して、せせらぎの水音が涼やかな福岡市植物園を後にしました。
4 件のコメント:
今日8月28日、庭に置いている鉢植えのうち22鉢を剪定しました。
これらはバラジャムなどを作るための食用バラで、この秋に2回咲かせるために(欲張り/笑)、観賞用のバラよりも早めに切りました。
バーバラさんは『待ってました!』とばかりに喜んで鋏をふるいます。有島 薫さんのファンである彼女は、有島さんのブログで 2015/08/09の「切り戻し始めました」を読んで、それとなく何度も『まだ?』と催促しておりました(笑)。
これらの食用バラは全部で**株ほどあり、その収穫はバーバラさんの担当なので、どこから切れば良い花が咲くか日頃からしっかり観察しているのでしょう、判断が的確で(内心)驚きました。彼女の切る位置の判断は一般的な葉の枚数ではなく「節間の長さ」です。ここに着目したのが偉い! 今日切った品種は残った葉がほとんどありませんが、『充実しているからだいじょうぶ』と余裕を見せています。
今年接ぎ木したバラにも鋏を入れました。これはいわゆる「秋の花のための剪定」ではなく、有島スタイル ふうの「エンドレス剪定」を意識した「切り戻し」です。接いだのはシュラブ系のイングリッシュローズや国産の新品種なので、これは「花後のチマチマした枝先をばっさり切り捨てる」というやり方です。「節間の長さを見て切る」というのと共通しています。
有島 薫さんの「エンドレス剪定」は優れた発想だと思います。有島さんの新著:「もっと咲かせるバラづくり」に詳しく書かれています。
植物園のバラには夏休みはない・・・
子育てと仕事とで、植物園など行くことはなかったのですが、バラ教室に通うようになって
冬、夏の剪定、摘蕾などを習って、植物園やバラ園などはどうしているのだろうと思っていました。
先日、「くじゅう花公園」に行った娘が、バラの写真をたくさん撮って見せてくれたとき、
「あ・・・咲いているんだ」って、思いました。
去年まで、夏の剪定どころか、冬の選定も行っていなかったのですから、(NHKの趣味の園芸で放送されたときだけ、剪定していた)夏に花が咲くのは当たり前だったので、近所で咲いているバラを見ると、羨ましくなります。
「エンドレス剪定」いいですね。
台風が過ぎ、台風の日に休んだ調整と月末で忙しく、バラの管理をしていません。
大きな被害はなく、枝がたくさん折れましたが、剪定するべき枝だったと思うようにしました。
そらさんもすやさんも大きな被害が無いようで、良かったです。
蕾がたくさんついてます。やはり、剪定をしてから、咲かせたほうがいいのですか?
初心者な私は、蕾ができたら咲かせたいと思うのです。それと、いまだに剪定がよくわかっていないのです。自分のバラなので、自由に切っていいと思うのですが・・・
小林先生 すみません。・・・ちっとも学習していません。(涙)
小林先生の写真・・・いいですね!!!
青い空と、バラと一生懸命な小林先生 とてもいいです。(プロに対してえらそうに・・すみません)
バラジャムも美味しそう。
星さん wrote;
蕾がたくさんついてます。やはり、剪定をしてから、咲かせたほうがいいのですか?
私にアドバイスを求めてあるわけではないのでしょうが、仮にそうだとしたら私は、「おおいに悩んでください。決めるのは星さんです」と、一緒に学んでいるバラ仲間として、そう言います。
以前あるバラ仲間が、剪定作業中に『♪どこから切ってもバラは咲く〜』と歌いながら切っていたのを思い出しました。
星さんはたぶん、迷いつつも、どうしたいのか見えているのでは?と思います。「悩むことも含めて、おおらかにバラの栽培を楽しむ」のがいいと私は思います。
以前参加していたバラサークルで、私は勉強会の準備係でした。そのとき、参加者からこんな話を聞いたことがあります。
「バラの栽培は、幾つかある私の趣味のひとつです(ひとつに過ぎません)。家事も忙しいし、庭のバラをきれいに咲かせるために必要なことを端的に教えてください。栽培の専門家になりたいわけではないので、詳しい(難しい)話は必要ありません。」
このように考えている人は多いだろうと思います。迷ったり悩んだり、あるいは自分で学ぶということが嫌なら(こういう人も多い)、もしそうだったら答えは簡単明瞭。小林先生のご指導のようにする。これに尽きます。
どうするにしろ、最も肝要なのは「観察」でしょう。そして各地のバラ園やバラ仲間のお庭を訪問して「良いバラを見る」ことです。まず自分の眼を肥やすこと。「どうしたらこんなにきれいなバラが咲かせられるのか。自分もこんなふうに咲かせてみたい」と強く思えるような、私はこの秋はそんなバラと出会いたいと願っています。
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