2015年8月4日火曜日

バラの 夏

7月25日 北九州市若松区のグリーンパークバラ園で、小林博司先生によるこの時期の剪定(9月の剪定の予備剪定)や有機肥料のつくり方と施肥、ハダニ対策などについて講座(実習)がありました。

バラ 夏の剪定(予備剪定)

秋のバラのための剪定は9月上旬に行います。7月8月は「バラの夏休み」で、秋にきれいなバラを咲かせるため、二番花の花後に伸びた新梢を惜しげも無く切っていきます。

切る位置は茎頂から20〜30cm程度で、予備剪定なので内芽・外芽など関係ありません。それにしても、さすがにグリーンパークバラ園。新梢もみごとに揃っていて、『もったいない』というため息も。

有機肥料作り 中耕作業 ハダニ対策

GPバラ園で実際に使用されているこの有機肥料は生の大豆油粕:蒸製骨粉:硫酸カリ=1:3:2 の割合だそうです。

それが容量比か重量比なのか受講者の間で話題になっていましたが、いずれも20Kg入りの袋詰めで、袋の大きさもほぼ同じだったので比重は同じ。つまり容量比でも重量比でもどっちでもいいということになります。

でも肥料の硫酸カリは「カリウム保証成分 50 % 以上」のはずなので、これをそのまま容量比や重量比とすれば、いくらなんでもカリ分が多すぎると思います。この割合をチッソ:リン酸:カリの「成分比」として考えるなら妥当なのでしょうか? もしそうだとすると、混ぜる量は計算しなければわからないので実用的ではありません。

*註:これはやはり容量比(=重量比)でしょう。そうだとして、チッソの成分量を基準に施肥量を決めれば、カリの過剰障害が起きても不思議ではない比率です。でもこの肥料の他にも使う肥料があるのなら、それと合わせた 合計の施肥量と配合比率 を考える必要があります。例えば、A肥料にカリ分が多くても,B肥料にチッソ分やリン酸分が多ければ、併用することで3要素のバランスがとれます。

今回使用された肥料の1株あたりの投入量は、有機肥料としてはけっして多くないと思いました。たぶん(推測ですが)秋口に、今回の有機肥料に見合うような化成肥料が施肥されるのだろうと思います。一般的な栽培方法では秋口に化成肥料を1回施肥をするだけですが、もしかしてリン酸とカリを早めに投入するのが 小林スタイル?

  • 成分比を計算して有機肥料を自分で混合する場合は、「有機質肥料講座」の資料が参考になります。

    このデータで成分比(%)を計算してみたら、N:P:K=3:11:17 になります。これに、即効性のチッソを多く含む 千代田化成472(即効性の高度化成肥料 N:P:K=14:17:12) などを時期をずらして併用すれば、理想的な肥料になるのでしょう。

    時期をずらす理由は、生の大豆油粕や蒸製骨粉を(化成肥料より)早めに与えることで、「土壌微生物」を活性化する期間を作るためだろうと思います。特に、リン酸を多く含む蒸製骨粉は土壌微生物に分解されることで(熔成リン肥などとは異なり)効果的に利用されます。有機肥料と化成肥料の特徴をうまく利用した施肥プランだと思います。グリーンパーク・バラ園の秋バラの素晴らしさを想えばこの投入時期の時間差は小林スタイルと言うよりむしろ、"小林マジック" ですね。

  • 硫酸カリ=K₂SO₄はもちろん有機物ではありませんから「有機肥料」とは言えませんが、有機JAS栽培に使えるのだそうです。植物におけるカリウムの役割は、日本植物生理学会 | みんなのひろば |植物Q&Aの「カリウム(K)について」が参考になります。
  • もうひとつ蛇足:『日本の土壌にはカリウムが多く含まれているので、わざわざ施肥する必要はない』という話もよく聞きます。永年(10年以上)バラのみを栽培してきた土壌ではどうなんでしょう? それは、どのような肥料や有機物をどの程度の量投入してきたかによっても異なるんでしょう。計測機器を使って土壌分析ができればいいのですが、GPバラ園では小林先生の眼が高性能な分析装置なんでしょうね。

写真上中:この有機肥料を 株間 に撒き、10cm程度の深さまで中耕します。
生の油粕は水を加えると発酵時に悪臭を出しますが、土の中に鋤き込むことでそれを押さえられるんでしょうね。
私はこの有機肥料を10号鉢に「置き肥」のように使ったことがありますが、そのときも臭いなどは出ませんでした。

また、完熟したものではなく生の油粕を使うことには否定的な意見が多い(ふつうはボカシにする)のですが、株元から離して使われる生油粕の量も多くはないし(土壌微生物にエサをやっているという感じ。もちろんそれは分解されて、やがて肥料になる)、何よりここのバラのすばらしい生育を見れば議論の余地はありません。

写真上右:ハダニ対策。ホースの先端をペンチで挟み、高い水圧でハダニを弾き飛ばす方法です。小林先生の首にある黄色のストラップは、ハダニの存在を見るための10倍のルーペです。

写真を見て気づきましたか?絣の腕カバー。手作りなんでしょうか。そしてトレードマークのキャップとゴルフシューズ。機能的で快適そうなシャツとベスト。

私はいつも襤褸(ボロ)を着て作業していますが、大好きなバラの作業なんだから、その日は好きなシャツを着て、ちょっと嬉しい気分で。。と思います。

夏の予備剪定

同じくグリーンパークバラ園の講座で、私たち受講者が6月27日に挿し木したバラの1ヶ月後。写真はその一部で、新葉を展開したものや、まだ芽が動いていないものなど様々です。

9cmポリポットに赤玉土(小粒)単体の用土。挿し穂は2節。挿し穂の葉柄は1本でその葉は2枚、大きな葉は半分に切断するという緑枝挿しでは一般的な方法です。

夏の強光線を避けるため寒冷紗(遮光ネット)を張ってあります。東に面した部分は青色のネット。これはたぶん防風ネットだろうと思いますが、青色光は光合成には有効であり、また、挿し穂が風にゆれるのは禁物なので、これは理にかなった方法ですね。

受講者のみなさんの緑枝挿しはどんな具合でしょう? 挿してから今日(8月4日)で約40日。たぶん多くが既に発芽して、早いものは新葉を展開しているでしょうね。でも本格的な発根はこれからなので、展開した新葉に見合うだけの水分を吸収できるか、今が正念場 でしょう。

2015年8月24日追記:このページに書いた肥料と緑枝挿しのその後を、「グリーンパーク・バラ園の8月」で紹介しています。

挿し木用 底面給水装置

私の今年の緑枝挿しは6本です。今年は「蒸散」をテーマに、わざと葉を多く着けた挿し穂を準備しました。挿し穂は4節で、地上部に2節です。2本の葉柄にはそれぞれ葉を3枚から5枚、合計8枚程度の葉を残しています。これは通常の5倍以上の葉面積です。

「蒸散」については7月13日の記事「成功のツボは蒸散 バラのスタンダード芽接ぎ挿し」に書いていますのでここでは省略しますが、葉面積が大きければ蒸散が進み、挿し穂の水分が奪われて挿し木に失敗します。これを避けるため、ポットの底1cmがいつも水に浸っているようなセットを作ってみました。

これは、2014年11月12日の「秋にもできるバラの挿し木 栽培品種の秋挿し」に、ローゼスペコさんが12月25日に投稿されたコメントにヒントを頂きました。

ドリュやデルバールの新苗(河本バラ園で生産)が植えられている 10cm角X高さ14cm のポットを使いました。用土は赤玉土単体です。これをトレーに並べます。トレーには深さ1cmの水が入れてあり、毛細管現象で挿し穂基部(底面より5〜6cm上)には常に水気がある(だろうという)設定です。水の腐敗を防止するため「珪酸塩白土」が入れてあります。

写真右:ポットの底から2cmの高さのスリットが各面に計4本入れています。これは、発根を促すためには空気が重要という考えからです。この挿し穂は8枚の(濃い緑色の)葉が残してあります。黄緑色が新葉で、これは6本中もっとも生育の良いものですが、スリットや底面の穴からは未だ根を確認できていません。

水やりは、挿し木当日と翌日にポットの土に注ぎましたが、それ以降はまったくしていません。それでもポットの土が乾いたことは一度もなく、トレーの水が減ったらたまに補給するという、手抜きの挿し木セットです。

ただこのセットには欠点があって、それは直射光の下ではトレーの水温が上昇するという問題です。それを避けるために木陰に置きました。ところが・・。梅雨の時期にも重なってあまりにも湿度が高く風も通らない環境だったからか、ベト病?と思われる病気が発生。1日か2日の間に被害が拡大し何枚もの葉を失ってしまいました。手前側の2株にその病痕が残っています。それ以外にも発芽したばかりの新芽にも伝染し、チリチリに枯れてしまいました。

木陰から風通しのいい場所に移し、そして太陽光の直射を避けるために1日2回置場所を替えます。手抜きするために作ったセットなのに(爆)。でも、移動しただけで病気の進行は止まりました。現在展開している新葉はそれ以降に出たものです。殺菌剤を撒布したほうがいいのかもしれませんが、これはテストなので(病気が出たことも貴重なデータ)あえてそのままにしています。

枯れた新芽の後から次の芽が出てきたので、たぶんこれらの挿し木は何とかなるかも? でも今がいちばん難しい時期なので楽観はできません。肝心の緑枝挿しでの「蒸散」の効果については、まだなんとも・・。

8月21日追記:挿し木してから今日で8週間が経過しました。約7週間後に発根を確認して薄い液肥を与え始め、その数日後に底面給水のトレーを外しました。鉢底から出ていた根は自然消滅。それによるダメージはなさそうです。

最も長く伸びている新梢は約30cmです。風が強い中で撮影したので多少葉が捩れていますが、まず満足のいく生育具合です。

上の6週間後の写真と較べると、この2週間で大きく成長したことがわかります。

液肥の効果はてきめんで、グングン新芽を伸ばし、最も早い挿し穂は蕾を着けました(写真下左)。小さいのに蕾を着けるのは良いことではないと思いますが、できちゃったものは。。
液肥を与えた前後では、新葉の葉色がまるで違いますね。いったん発芽したものの病気で新芽がやられた下右も、次の芽が伸び始めました。葉を齧っていた害虫もいつのまにかいなくなったようです。

底面給水トレーはうまく機能したと思います。次はスタンダード台木にする長尺枝をこの方法で挿し木する予定です。

2 件のコメント:

  1. 小林マジック

    北九州市響灘緑地にあるグリーンパークのバラ園。そこで育てられているバラの素晴らしさは、このブログでも何度か触れてきました。

    今回の講座で、この時期に投入する肥料について学べたことで、小林先生の栽培技術のレベルの高さの一端に触れることができたように思います。肥料(有機物)の種類(その特性)と配合割合、そしてそれらの投入時期。すべてがとても合理的です。この時期に投入する肥料をここまで丁寧に考えてある例を他に知りません。まさに『舌を巻く』思いですが、私(たち)はこの結果を目の当たりにするという幸運にも恵まれています。

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  2.  
    「挿し木用 底面給水装置」の鉢底穴から白い根が出ているのを確認しました。挿し木から今日で約50日後なります。挿し穂基部は底面より5〜6cm上なので、根の長さはその程度に伸びたと思われます。根を確認したので、これからは薄い液肥を底面のトレーに入れます。その後は水を補給しないで、徐々に通常の管理に移行していくつもりです。

    発根して間もない(20日程度?)これらの白根は底面トレーの水の中に向かって伸びています。水を嫌っているようには見えません。「バラの 水挿し」でもそうですが、水の中の根は簡単に腐ったりしません。じゃ「根腐れ」って、いったい何なんでしょうね?

    新葉は一回り大きくなりましたが、新芽を齧る害虫がいるらしく、探しても目視ではわからないので、「デービッド丸 そら型」を使おうかと思案中。

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