切り接ぎしたバラ苗の「植え付け」について、2つの事例を紹介します。
ハウス内の仮植え
これはあるバラ園のバックヤードにあるビニールハウスの中。切接ぎされたバラ苗がぎっしりと植え付けられています。撮影は2月中旬で、植え付け後数日の状況だと思われます。「仮植え」なのかもしれません。
このバラ園は京成バラ園芸の苗を植えていますから、ここで養成されているものは「鉢苗」として来園者への販売用なのでしょうか、品種は「シュネービッチェン」や「グラハムトーマス」など、PBR保護期間が過ぎた定番のものでした。
ビニールホースの太さと較べると株間や条間の見当がつきますが、かなりの密植状態ですね。一部に台木の根が見えていますから「切り接ぎ挿し」ではないのはたしかなんですが、この株間で台木の根はどんな状態なのでしょう。
接ぎ木の方法は「切接ぎ」で、接ぎロウを使うオーソドックスな方法です。テープは結び目が見えませんから「ニューメデール」が使われているようで、かなり厚くしっかりと巻かれています。
ハウス内は露地よりも生育が早いので、たぶん2ヶ月程度で鉢上げできる大きさに育つのでしょうね。限られた面積で一定量のバラ苗を生産するとなるとこういう方法もありなんだと印象に残りました。
本圃への定植(大苗生産)
これは全く別の事例です。4月下旬撮影。冬の間に切接ぎされた株はいったんハウス内に仮植えされて、暖かくなってから露地に植え付けられ、そのまま大苗になるまで育てられます。ベッド幅90cmの畝に4条植え。(私のように農ビではなく)稲藁でマルチング。草も生えていますが、なんかその自然な感じがいいですね。生産者は手間がかかって大変でしょうけど。
連作障害を避けるために稲作との輪作。稲作を数年続けると水田では根頭癌腫病原菌は絶滅するのだそうです。
このバラ農園のオーナーは『私が好きな品種を、納得できる方法で育てる』と言ってありましたが、バラ苗を購入するならこういうところで育った苗が好ましい、と言うか、私はこの農園の弟子にしてもらいたいと思いました(笑) お忙しそうなんですが、バラ苗生産というお仕事を楽しんでいる余裕が感じられました。
今後も邪魔にならぬ程度に訪問して見学させてもらいたいと(自分勝手に)思っています。