2017年2月14日火曜日

実生台木を作る−4 めげないゴンベエさん

2016年のノイバラ実生台木作りの結果レポート。「実生台木を作る ー3 ゴンベエさんは春から熱中症」からの続きです。

昨年は発芽したノイバラの移植ができないまま接ぎ木シーズンになってしまいました。結果を先に書くと、台木として使用したものが70本、バラ仲間に差し上げたものが20本で、台木として使えたのは計90本でした。

細くて台木として使えなかった114本を再び畝に戻し、秋にT芽接ぎをする台木用に移植しました。また、懲りないゴンベエさんは今年はノイバラのタネをプラグトレーに播種しました。

これらがゴンベエさんの自作台木で、90本のうち比較的生育の良かった株です。ノイバラには幾つかの「亜種」があるようで、この品種はたくましい太根が伸びる特徴があります。密植状態の株を掘り上げる際に、どうしても根の先端が切れてしまいますが、6号ロングスリット鉢に植え込む予定なので、根長は20cmあればOKとしました。

「胴長」も適当な長さで、固過ぎることもなく、スムースに切接ぎができました。今年は「切接ぎ」一辺倒で、切接ぎでは台木の枝葉は不要なので切ってあります。

下右はその中でも特に育ちが良かった胴長美肌の美人。「胴長で美肌」はどれもそうでした。
これらの台木はどれも部分的に肌が汚く見えますが、それは土汚れや「バクテローズ処理」の名残で、薄皮を拭えばきれいな地肌です。

自作台木だけでは不足だったので、鳥取県と福岡県筑後から計50本を購入しました。下左は、鳥取県の台木専門農家からデービッドさん経由で購入した株。たぶん根頭癌腫病に抵抗性のあるノイバラ品種「K−1」と思われます。剛根である私の品種に較べると、やや繊細な感じを受けますが、もちろん弱いということではありません。根量が多く、しかもしなやかなので扱いやすい台木です。この台木は去年も入手できたので鉢植えで育てていますが、この春には地に降ろす予定です。数年後にはこれが私のメインの台木になると期待しています。

左の写真の右の株は福岡県筑後のバラ苗生産農家から購入した台木です。購入時点で既に根が短く切られ、台木も「首」の部分でカットしてありました。このまま接ぎ木して4号ポットに植え込むサイズに調整してあります。

この台木は太根が「トグロ」を巻いています。これは苗木の定植時に根の先端が植え穴の中で曲がった状態で植えられた結果です。同じようなものがいっぱいあって、『プロの仕事にしてはなんとお粗末』と、正直がっかりし、かなりの数を廃棄しました。

・・考えてみたら、4号ポットに植え込む台木なので、その僅かな土の中にできるだけ多くの根を入れるなら、このように曲がった根のほうがいいのかも?

でも、私はやはり鳥取県産の台木が好ましいと思います。左がゴンベエさんの自作台木で、根の長さに応じて6号ロングサイズに植え込むように調整されています。ここではプロの真似をする必要はありません。

どちらも既に「バクテローズ処理」がされていて根にくっついた黒いカスのようなものがその名残です。

自作台木・購入台木ともに、バラの根頭癌腫病対策として「バクテローズ」を使いました。
バラの根頭癌腫病およびバクテローズについては「バラの根頭癌腫病 −2」に関連情報をまとめています。

このテーマは2015年4月22日の記事「Grafting Roses バラの接ぎ木」のコラム「雑菌・雑感」から続きます。

今年気づいたポイント:

  • 多少の差はあれ台木の根を切るとしたら、その切り口は速やかに乾燥させたほうがいい
  • バケツの水に長時間浸漬した細根は、乾燥した状態よりも傷みやすい

私のバラの接ぎ木はこれまで「デービッド接ぎ」が多かったのですが、充実した台木と穂木が準備でき、接ぎ木後の養生もハウスの中なので、今年は「切接ぎ」一辺倒になりました。

「教科書のようには接がない」というのはF先生から聞いたことですが、この写真でそれがわかりますか?
ホンのちょっとした違いなんですが、教科書のようには接がない私流の結果が右の写真、接ぎ木後35日の状態です。42日後の2月14日には下から3つ目の5枚葉が展開中です。

今年の接ぎ木シーズンは、今まで107本を接ぎました。左の写真はその途中の様子です。

左の写真には、4号から10号まで幾つかのサイズのポットが並んでいます。これは原則的にあまり根を切らず(糸みたいに細くて長い根と、横に伸び過ぎた固い太根は切った)、根長(根量)に合わせて植え込んでいるからです。

この2株はHTの「ジェミニ」。根を切らずに長いままの台木と切った台木の長短2本に、同じ穂木から採った接ぎ穂で、「台木の根を切るか否か」の比較テストをしています。

左の10号ポットの株は根をほとんど切っていません。右は5号ポットに入るよう太根の先端を切除しました。植え込んだのは1月17日です。

培土も同じものを使っていて、今日(2月14日)の時点では「根が長くて根量の多い苗がより大きく育っている」とは言えません。接ぎ木後30~40日後では、新芽の動きを左右するのは何よりもまず「穂木の状態」でしょう。台木の植え込みから40~50日が経過してから施肥を始める予定ですが、そこから差が出始めるのかどうか。

写真左:2月15日(29日後) 写真右:2月25日(39日後/左より10日後) 生育の差はありません。

5号ロングポットの株は順調に生育すれば夏までには10号に鉢増しします。最終的には秋の花が咲いた時点で生育状態や管理の手間などを比較検討することになるでしょう。

写真下の4鉢はHTの「メルヘンケーニギン」。接ぎ木後40日。いずれも5号ロングポットで、両端が鳥取産の台木、中の2本がゴンベエ作の台木です。この時点で生育の差はなく、きれいに揃っています。

ゴンベエ作の台木は胴の部分の直径が7mm程度とやや細いのですが、10mm以上の太いものよりも8mm前後のほうが接ぎやすい(穂木の太さとの関係で、形成層が両端とも合致させやすい場合が多い)と思いました。切接ぎの場合、台木は太いほうが良いとは必ずしも言えないようです。

さて、このように台木として使えたものが約90本。5mm以下と細くて使えなかったものが114本ありました。
発芽数は281本だったので、約80本が成育中に枯れてしまったり、あるいは作業中に廃棄したことになります。

この細い114本を再び畝に戻すことにしました。上手く育てば、秋10月に「T芽接ぎ」をする台木にしたいからです。畝の長さは12メートル、ベッド幅(畝の上面の幅)は100cmです。これに農ビの黒マルチを張りました。

株間12cmの2条植え、ベッド高は30cmで、これは「T芽接ぎ」(T字法芽接ぎ)の作業のやりやすさを考慮しています。海外のT芽接ぎのように立って接ぎ木するのではなく、しゃがみ込んで接ぐ「和風スタイル」です。

2月8日 迫り来る雨に追われるように植付け作業をしました。

直径8cm、深さ12cmの植え穴を開け、1株ずつ定植していきます。根長は18cm程度に切り揃えているので、そのままで「浅植え」になります。T芽接ぎがしやすい向きを意識しながら植え付けました。この苗もバクテローズ処理をしています。

白い新芽は、掘り上げてから接ぎ木作業が完了するまでの約1ヶ月、冷暗所に保管していた期間に伸びたものです。

この「植え穴式」の植付け方法は、栽培的には必ずしも優れたものではないのは過去の経験からわかっています。というのは、植え穴に入れる培養土が畝土よりも心地良いのか、根が植え穴の外に向かって積極的に伸びていかない場合があるからです。しかし今回はそれを逆手に取って、「太根は伸びず、まとまった細根が多い」状態にできたらと目論んでいます。「鉢上げが楽になる」という怪しからん理由からです(笑)。

畝の奥側に何も植えていない部分が5メートルあり、そこには今年播種する台木用ノイバラを植える予定です。2条植えで100本、4条植えなら200本ほどの植栽が可能です。

去年のゴンベエさんは畝に作った「苗床」に播種しましたが、今年はハウス内に置いたサイズの異なる2種類の「プラグトレー」を使います。

台木用ノイバラのローズヒップ(左)と、スタンダード台木のローズヒップ。去年は豊作でしたが、今年は大きさや色艶がやや劣っているような気がします。

いずれも12月11日に採取し、「休眠」を打破するために約50日間冷蔵庫の野菜室で保存。

実を潰してタネを取り出し3日間かけて水洗(流水と貯め水を交互に)しましたが、今年のタネは例年ほど白くなりませんでした。「発芽抑制物質」が完全に洗い流されたのかちょっと気になります。

発芽した苗は茎が爪楊枝の太さになったら(5〜6月)畝に定植します。それまでの期間、どういう管理をすれば良い生育を示すか、できるだけ手間をかけずにやりたいので、2種類のプラグトレーを試します。

手前側の2枚のトレーには 4.5X5.5X深さ8cm の穴が計120穴、奥は 2.5X2.5X深さ4cm が180穴です。手前の大型のトレーは3粒(発芽後に間引き)、奥の小さいのは1粒蒔き(発芽後に鉢増し)です。

発芽率を30%と見込んで540粒を播種しました。さて、今年はどうなることやら。

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