2017年3月7日火曜日

バラの接ぎ木 孫弟子そらの不覚

このページは前のふたつの投稿からの続編です。

これらのページにも書いていますが、今年の私の切接ぎ107本はおおむね順調に生育しているものの、その中の約1/4=25株ほどの生育が遅れています。

この原因は幾つか考えられます。中でも目立つのは12月17日以前に採穂された「未熟な穂木」を使ったもの。その他にも「根量が貧弱な、あるいは細い台木を無理に使った」ケースもあります。しかし逆に充実した穂木や台木の場合でも生育不良が発生しているので、原因をすべて穂木や台木のせいにすることはできません。

ありうる最も大きな原因は私の「技術的なミス」です。接ぎ木は慣れれば比較的簡単な作業だし自分のミスとは認めたくない心理も働いて(笑)、今日まで原因の究明が曖昧なままでした。福島先生の接ぎ木作業、特にその「接ぎ穂の形状」を見て、私の手法には「大きな欠陥」があることに気づきました。

これが生育不良の1株です。

接ぎ木後、元気のいい新芽が接木テープを突き破って飛び出したものの、そこで生育が止まったままです。

これは接ぎ穂が内包している力で発芽したものです。接ぎ穂基部の「導管」はとりあえず機能しているのか新芽が萎れることはありませんが生育は止まったままで、カルスの発生も見られません。。

接ぎ木した部分をよく見ると、私が特に重要と考える「接ぎ穂基部の先端」は合致していますが、接ぎ穂の形成層が外側にはみ出しているのがわかります。

下の2枚の写真は別の生育不良の株を左右から見た状態です。

このケースは、穂木に対して台木が細く、接ぎ穂基部の先端は合致しているものの、接ぎ穂の斜め切りした部分の形成層は左右にはみ出しています。

下右に見えている側の形成層を合わせようとしたはずですが、合っているとしてもそれは僅かな部分です。

私の「接ぎ穂」の作り方は以下のようなものでした。1刀目で穂木を斜め切りし、2刀目は反転して逆サイドを「形成層」が見えるように削ぎます(写真右下)。もし先端の形が悪い場合は3刀目(鋏)で先端を揃えます。

この接ぎ穂の作り方は、考え方は違いますが形は「教科書」タイプと似ています。相違点は一刀目の刃を入れる「角度」です。

結果このような形の接ぎ穂ができますが、これが生育不良の 元凶 です。その理由は;

1刀目で穂木を斜め切りすると、その切断面は「楕円形」です。2刀目で逆サイドを薄く削げば楕円形の下側が切られて「馬蹄形」になります。

注:褐色の部分は画像を見やすくするためのもので、実際にはここには何もありません。

そのようにした理由は、「接ぎ穂基部の先端」(図でオレンジ色に表示した部分)を合わせれば、上の実例写真のように接ぎ穂の形成層が台木からはみ出てしまうとしても活着するのではないかと考えたからです。これが大失敗でした。

これを避けて、接ぎ穂の形成層が台木側の形成層の形に添った「放物線」を描くようにするには、下に示した福島師の接ぎ穂のように切るべきなんですね。特に二刀目②がポイントで、これで「馬蹄形」ではなく「放物線」になります。左の概念図で言えば、褐色の部分が残らないように切るべきでした。

初めて先生の接ぎ穂を見たとき『ヘンな形だなぁ』と思いました。笑。でもさすがに福島先生ですね、これは理にかなった「美しい形」なんです。「放物線」だと接ぎ穂基部の先端を台木に合わせても形成層が外側にはみ出すことはありません。「師匠の猿真似はしない」という生意気な孫弟子は、失敗してはじめて己の至らなさに気づいたのでした。

107本のうち、その3/4は良好な生育です。それは、台木の表皮側に切り分けた形成層に「幅」があって、それが接ぎ穂基部の形成層をカバーしているからです。生育不良の株の多くは、未熟な穂木のケースを除けば、台木と接ぎ穂の太さのバランスが悪い(実例写真のように接ぎ穂のほうが太いか同程度)状態でした。

例えば穂木の直径が6mmで台木が8mmならば私のやり方でも気持ちよく作業ができました。私の生育不良株のように接ぎ穂と台木の太さがミスマッチの場合は、教科書のように切って接ぎ穂も台木も「縦」の形成層を出せば、片側は確実に合致させることが可能です。教科書タイプであれ「福島流」であれ「形成層を合わせる」というのは絶対的に重要なポイントと再認識させられました。

生育不良の株もまだあきらめたわけではありません。接ぎ木後2ヶ月になろうとしていますが、形成層が徐々に繋がり始めたのか、これまで停止していた芽が動きだしたものが幾つかあります。今後どう変化するのか、もう少し様子を見てみようと思っています。

今年の総括もまだなのに気が早い話ですが、来期は「福島流」でいくのか、それとも「自己流」に拘るか。
もっとも、拘るほどのオリジナリティはありませんね(笑)。

バラの接ぎ木方法は「福島流」(写真下)が最も秀でていると考えています。接ぎ穂も台木もその形成層(全部で4面)は放物線を描きます。

福島先生の「TEST-2」の結果(私はこれを最重視)を踏まえて、できるだけ多くの形成層を合致させるにはどうしたらいい?

台木の「切り分けた表皮側」(写真では下側に見える白い部分)にある形成層は一部が使われていますが、接ぎ穂を切る角度を変えればもっと多くを活用できるのではないか?と気になります。

でもそれを活かすとなると接ぎ穂はまるで「クサビ」みたいになってしまいます。そう指摘する私に師匠は「そうです、クサビ型です」と静かに頷かれました。

その瞬間師匠と目が合って、私の意識の中にパチッとスパークが飛びました。

何度も紹介している接ぎ木職人さんの動画「バラの切接ぎ方法~穂木の作り方と接木テープの巻き方」ですが、「穂木の作り方」を拡大画面で繰り返し再生して細部を見ると・・。
この職人さんの手法は「福島流」とそっくりですね。それがよくわかるのは「接木テープの巻き方」の再生開始直後の部分です。切り分けた台木の表皮側の出っ張りとか、上の写真とまったく同じ(ように見えます)。

台木も僅かに斜めに切り分けているし、穂木の切り方(形)も「教科書」タイプとはあきらかに異なり、一刀目も二刀目も穂木の形成層に沿って切ってはいません。一刀目は「福島流」と同じで、二刀目は「福島流」よりもむしろ「クサビ型」に近いように見えます。もしかしたら台木に対する穂木の「向き」が逆かもしれませんが、これは残念ながらよくわかりません。

共通するのは、①台木も接ぎ穂も形成層に沿って切るのではない。②接ぎ穂の両面の形成層を有効に利用する。これが私が理解した「教科書のようには接がない接ぎ木」のポイントです。

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