2014年11月13日木曜日

バラの挿し木 台木用ノイバラの秋挿し

バラの接木に使う台木をノイバラの秋挿しで作ります。栽培期間は4か月。翌年2月には台木として使用できます。緑枝挿しとの生育差を比較しノイバラ台木の挿し木時期を考えます。併せて、台木用のノイバラ母木とスタンダード仕立ての台木を育てる方法を紹介します。

2013年のシーズンは「環境に優しいオーガニックバラ栽培講座」の準備や運営に多忙で、休眠枝挿しや緑枝挿しでは大量の台木を作ることができませんでした。接ぎ木講座で使用する台木の不足が心配されたので、急遽「秋挿し」をして追加することにしました。この記事は「高品質で手間のかからない台木作り」の試行錯誤の一環です。

挿し木の方法は、「台木用ノイバラの緑枝挿し」や「栽培品種の秋挿し」と同じで、「どこでもグリーン(DG)」と「バッグフィルター(BF)」のセットを使用しました。DGとBFについてはこれらのページで説明していますので、ここでは省略します。この記事のトピックスは以下の4点です。

  1. プラ鉢での挿し木と比較
  2. 緑枝挿しとの比較
  3. 挿し木の適期と台木用母木の育て方
  4. スタンダード台木用ノイバラの秋挿し

挿し木作業は2013年10月18日でした。20日後には挿し穂に小さな芽が出ています。でも発芽と発根の関係は単純ではなく、芽の大きさと根の長さは必ずしも比例しません。挿し木20日後の今は、まだほとんど発根していないでしょう。

どこでもグリーンにセットしたノイバラの秋挿し バラの接木の台木になるノイバラの挿し穂

発根確認 挿し木30日後 11月19日

ノイバラの場合、およそ1ヶ月で発根し始めますから、その状態を確かめてみようと思います。

プラ鉢の場合

10月18日の挿し木作業時に、BFだけでなく5号プラ鉢(スリット鉢)にも6本挿しておきました。生育の程度を比較してみようと考えたからです。

挿し木用土が白いのはパーライトが表面を覆っているからです。パーライトに挿したのではなく、用土に含まれている細粒のパーライトが潅水の度に浮き上がってこのような状態になりました。比較テストですから用土はBFと同じ赤玉土がメインで、気層の確保のために3割程度のパーライトを入れているわけです。BFでは土が動きませんからこうはなりません。

スリット鉢に挿し木したノイバラ 挿し木から1ヶ月ノイバラの発根

その発根状態ですが、2cmほどのかわいい白根が出ていました。
根が出ている部分も注目。挿し穂の基部のカットした部分ではなく「茎の節」(芽の原基があった部分)ですね。通常ならばここから芽が出てくのですが、「分化全能性」を持つ植物細胞はすごいですね。
写真ではよく見えませんが、先端部分のカルスはまだできていないようです。しかし切断部分付近がわずかに膨らんでいます。カルスができる前にはこの部分が膨らむので、やがてここからも根が出てくるでしょう。

ノイバラの「水挿し」で挿し穂のカルス生成を日を追って観察すると、基部のカットした部分に近い位置に芽(の原基)がある場合は、挿し穂はまずそこから発根するべくエネルギーを集中するようです。そのほうが有利なんでしょうね。ただし、カルスの生成や発根・発芽には植物ホルモン(オーキシンやサイトカイニン)が密接に関与しており、その濃度によって様々な変化を示すようですから、少ないテスト数で断定することはできません。

挿し穂の芽はまだほとんど動きが見えません。写真に写っている葉は元から挿し穂にあったものです。現段階は「新葉が展開される前に発根している」という好ましい状態です。

DG+BFの場合

プラ鉢への挿し木と大きな差は無さそうですが、よく見るとより多くの白根が出ているようです。新芽も伸び始めています。この挿し穂は引き続き育てたいので、根鉢は崩さず(根量を確認しないまま)元のBFに戻しました。

バッグフィルターに挿し木したノイバラ
バッグフィルターに挿し木したノイバラの発根

栽培終了 挿し木4ヶ月後 2014年2月14日

ビニールを被せただけの簡易な防寒で冬を越して、デービッドさんによる接ぎ木講座の前日、準備のために台木を取り出しました。ノイバラは冬の間も少しずつ根量を増やしていたようです。

プラ鉢とDGの比較

スリット鉢とバッグフィルターに挿した台木用ノイバラの挿し穂 スリット鉢とバッグフィルターの根量の比較

右の写真の左2本がプラ鉢(スリット鉢)に挿したもの、右2本がDG+BFに挿したものです。根長はDG+BFが2倍ほど長く、根量(発根本数)はプラ鉢が僅かに多いようです。プラ鉢の根長が短いのは「スリット鉢」ゆえでしょう。短いけど根の状態は良さそうです。

プラ鉢はやっと新葉が出始めたという状況です。春まだ浅い2月14日ですからこんなものでしょうが、鉢の置き場を選べばDG+BFと同じ程度には育ったでしょう。

このプラ鉢に挿した結果を見ると、挿し木時期の選択や、ポットの種類と大きさ、その後の管理に留意すれば、デービッド接ぎの台木として充分使えるように育つと思います。予定している接ぎ木の本数が少ないなら、「秋の初め頃に駄温鉢にちょっと挿しておく」というので台木ができるでしょうね。

DG+BFは『小さな面積でも大量の挿し木ができる』というコンセプトで開発されています。もし畑の畝や一般的なプタンターでこれだけ密に挿せば、根が絡み合って厄介なことになるでしょう。

緑枝挿しと秋挿しの比較

緑枝挿しで作ったノイバラ台木 秋挿しで作ったノイバラ台木 秋挿しで作ったノイバラ台木も接木の台木として使える

緑枝挿し(上左/デービッド接ぎに不要な枝とBFからはみ出した根は既に切断してある)との差は歴然としています。しかし、比較すれば貧弱な秋挿しのこの程度の根量でも、デービッド接ぎの台木として使うことができます。(写真右/2014年2月15日/デービッドさんご本人による「デービッド接ぎ」のデモ)

それは私の接ぎ木の結果からもわかります。2014年の私のデービッド接ぎ43本は、緑枝挿しと秋挿しの両方の台木を使って失敗はありませんでした。

でも、このように並べて緑枝挿しと秋挿しを較べれば、台木用の秋挿しがこのままの方法で良いのか疑問が湧いてきます。もし1月に接ぎ木をしたい場合、これでは心許ないですね。

これをちょっと意識して今年のノイバラ台木の秋挿しは10月7日に(去年より12日間前倒しして)挿しました。挿してそう間もなく新葉が展開し始め、1ヶ月後には発根していることも確認しました。

今このようなページを作り台木の挿し木から接ぎ木作業、そしてその後の生育をあらためて振り返ってみると、やはり緑枝挿しの台木がより良い結果になっているようです。デービッド接ぎのページで紹介している茶色の6号プラ鉢の接ぎ木は、すべて緑枝挿しの台木に接いだものです。秋挿し台木でももちろん使えますが、その栽培は挿し木時期を含めもう少し工夫する必要がありそうです。

私の目的は「高品質で手間のかからないノイバラ台木作り」なので、緑枝挿しでは夏越しさせる手間がかかり、BFを突き抜けて根が伸びるという問題があります。2014年11月9日「バラの挿し木 台木用ノイバラの緑枝挿し」参照
DG+BFを使用し、福岡県という私の環境で、私が選んだノイバラ品種の場合では 9月初旬が挿し木適期かも しれないと、今は考えています。

2014年12月追記:今年の秋挿しは、1ヶ月後には発根し、2ヶ月後には前年の秋挿し4ヶ月後とほぼ同じ根量になっているのを確認しました。挿し木作業を去年より12日間前倒ししたのと、発根確認後の1ヶ月間に数回液肥をやった効果は大きいようで、既に台木として使用可能な状態です。予定している接ぎ木作業時期までは後1ヶ月ありますので、さらに充実すると思われます。

秋挿しのこの2ヶ月の栽培期間は、潅水以外はまったくの手間入らずで、もちろん病虫害もなく、ほぼ100%の成功率(途中経過)です。夏越しさせる「緑枝挿し」よりも栽培が楽なのは間違いありません。来年はさらに前倒しして9月が挿し木の適期かどうか試してみたいと考えています。

BFからは既に根が突き抜け始めています。テスト用に6本を鉢上げしましたが、BFから取り出す際に成長途中の根が切れるのは我が身を引きちぎられるようにつらいです。挿し木時期や管理を含めて、何かいい方法を考えねば。。

スタンダード台木用ノイバラの秋挿し

添え木が不要な大型のスタンダード仕立てではなく、イングリッシュローズなど比較的小型の品種に適したスタンダード仕立ての台木作りの話です。

10月に挿して4ヶ月後の2月に接ぎ木します。栽培期間は冬ですから、枝は長くも太くもなりません。発根させるのが目的です。

スタンダード仕立ての台木を作るためのノイバラの長尺枝は、過去3年間で、バラサークルでの共同作業分を含め 計120本程度を挿しました。すべて秋挿しです。最初のチャレンジは2011年でした。その様子を記録しています。

2011年10月5日:「ミニバラ用スタンダード台木の挿し木

記憶が曖昧ですが、この年の協同作業で数本失敗したかも。。たしか、採穂後の水切れと、「まず乾いた用土に挿して、後から水をやる」という間違った方法が原因でした。

スタンダード仕立てのイバラ台木を秋の挿し木で作る

このようなミスを防げば、長尺挿し木は意外に容易です。
その方法は;

  1. 10月のノイバラは蒸散量が多いので、採穂後の「水切れ」に注意
  2. 挿し木用土や挿し穂基部の調整は、ふつうの挿し木と同じ
  3. 挿し穂(長尺枝)の先端30cm程度は葉を残しておく
  4. ポットはやや大型のものを使う。私の場合は4号か5号のロング
  5. 空のポットを予定の位置に置き、3本の支柱を "横に" セットする
  6. 挿し穂の基部がポットの上部から1/3程度の位置になるよう、支柱に挿し穂を素早く(3カ所で)固定する
  7. 湿らせておいた挿し木用土をポットに入れ、充分に潅水する(6〜7は、挿し穂の切り口が乾燥しないよう手早く作業)
  8. 冬期はポットを寒さから守る処置をして根の伸びを促す

*註:先端の葉を残す理由には確たる根拠がありません。葉があれば光合成をするし水分の蒸散も多いので、挿し穂の活性が高いのではと思うのです。切れば挿し穂はその傷の対応もしなければならないし、もしかしたら新芽を出そうとするかもしれません。この場合必要なのは「発根」ですから、先端の葉を切る理由もないですね。・・と思います。

長尺挿し木の成功率が高いのは、その長い枝の内部に多くの養分を溜め込んでいるからでしょう。そのための穂木は、上記の2番の枝を真っすぐ上に伸びるように(必要な場合は支柱をそえて)育てるのがポイントです。撓むと枝の伸びが止まり途中から3番の枝が発生します。

スタンダード台木に限らず、台木にするノイバラはのびのびと大きく育てるのが良さそうです。節間が短いと接ぎ木がやり難いので、ノイバラとは言えど放任ではなくある程度は肥料を与え、枝の整理をします。長く伸びた2番の枝全体が充実するのはやはり10月になるのかもしれません。開花後に株元から伸びてくるベーサルシュートをそのまま真っすぐ育てて長尺の穂木にすることもありますが、これも充実するのは10月のようです。

スタンダード仕立ての挿し木でおもしろいと思うのは、芽接ぎと挿し木を同時におこなう「芽接ぎ挿し」です。伝聞ですが、スタンダード仕立ての大手生産者はこの「芽接ぎ挿し」なんだそうです。これには幾つかのバリエーションが考えられるので、現在何株か私なりのテストをしています。結果が出たらその方法をレポートしようと思っていますが、それは数年後の話ですね(笑)。

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コメントの投稿方法は、2015年7月の記事「コメントが消える?」を参照してください。