2014年11月9日日曜日

成功率100% 台木用ノイバラの緑枝挿し

より高品質で手間が要らないバラの挿し木方法を探して、これまでとはまったく異なる方法で挿し木をしました。バラの接ぎ木に使うノイバラ台木を、「どこでもグリーン」という植栽器に挿し木して作ります。これを使えば狭い場所でも大量のノイバラ台木が比較的簡単に作れます。

どこでもグリーン」というのは、株式会社・福瑛舎が開発した特殊な植栽器です。水と空気を透す丈夫な不織布でできています。左の写真の濃緑色の円形がそれです。

これには "透水・防根シート" がセットされており、野菜や果樹などを、例えばベランダでも栽培できるようくふうされています。特徴的な機能は、根に必要な安定した水分と空気の供給(循環)です。

これを利用して狭い場所でも効率的に大量のノイバラ台木が作れないか福瑛舎さんに相談したところ、「バッグフィルター」というおもしろい製品を提案していただきました。左の写真の白色の袋がそうです。

2013年のバラの挿し木は、この「どこでもグリーン」(以下、DGと略)と「バッグフィルター」(BF)を使って予想以上に良好な結果をだしました。

  1. 台木用ノイバラの緑枝挿し(このページ)
  2. バラの栽培品種の秋挿し
  3. 台木用ノイバラの秋挿し
  4. 3ヶ月で作るノイバラ台木(2014年秋挿し)

2 緑枝挿し 栽培品種 2013年6月22日

粕屋町バラサークルが主催した「環境に優しいオーガニックバラ栽培講座」の6月の講座テーマは「バラの緑枝挿し」でした。各自が持ち寄った穂木を使って、プラ鉢とBFに挿す2通りの方法を試みました。

写真左下:中央の白シャツ姿の男性が、これらの製品を開発した(株)福瑛舎の久保井社長です。
DGの底には貯水機能を持たせる「バッファ層」を作るために水を透さない黒いシートを拡げ、その上に「日向ボラ土」を乗せます。

写真右下:そのボラ土の上に透水・防根シートを敷いて、そこにBFに挿した挿し穂を並べていきます。
これらの作業方法の詳しい解説や結果は後述します。

3 台木用ノイバラの緑枝挿し 2013年7月7日

このDGとBFの組み合わせで、私も台木にするノイバラの挿し木を行いました。

3-1 どこでもグリーンの準備

まずDGを置く場所を決めます。夏から冬2月まで栽培しますので、日当りや風通しを考慮します。いったんセットすると重くて動かせませんから、水平になるよう慎重に場所決めをします。
つぎに、DGの底に黒い防水シートを敷きます。このシートはDGの底面積よりもやや大きく、DGの側面に沿って4〜5cm立ち上がるようにできています。

その部分に「日向ボラ土」を入れます。入れる量は、立ち上がった防水シートと同じ高さになるまでです。「日向ボラ土」は粒の大きさが4種類ほどありますが、私は「小粒」を使いました。別のケースでは「中粒」も使いましたが、結果的にはどちらでも差が無いようです。この部分が貯水層(バッファ層)になります。

TIP:この段階でバッファ層に水を張り水平を確認します。ボラ土の表面ぎりぎりが水面に接するよう、防水シートやボラ土の入れ具合を調整します。

このバッファ層が挿し穂の成長に重要な水管理をずいぶん楽にしてくれます。私は当初この部分の水質が悪化するのではないかと危惧したのですが、それは杞憂に終わりました。栽培終了時に調べてみると、このバッファ層はきれいなままでした。潅水してもDGの側面やボラ土の表面から水分が出て行きますし、枝葉が展開すれば盛んに蒸散しますから、ここには「貯水層」と言うほどの水は溜まらないようです。

:栽培講座ではボラ土の上に白い透水・防根シートが敷かれていますが、挿し穂は同じ素材でできたBFに入っていますから、それは不要なのではないかと考え、私の挿し木では使用しませんでした。

3-2 バッグフィルターと挿し穂の準備

挿し穂は長さ20cm程度で、葉があれば適当に残し、基部は片楔型に調整しています。用土は、赤玉土の小粒6:パーライト3:ピートモス1 の混合を使いました。あらかじめ湿らせた用土をBFに詰め、挿し穂を挿して附属のひもで挿し穂の首元をきゅっと締めます。これで、風が吹いても挿し穂が動く心配がありません。

このようにどんどん挿していきます。口径90cmのDGで約70、口径70cmのDGでは40程度のBFを収容できます。
ただし(当然ながら)この数量はBFに詰める用土の量やBF間の隙間で変わってきます。

3-3 セット

このときはBFをDGの中央から並べ始めましたが、今は逆に周辺から並べています。その方がきれいに並ぶし、BFの数次第での空き具合の調整も楽です。
BFの隙間にもボラ土を詰め、BFの肩が埋まるまでボラ土を被せます。このケースでは底に敷いたボラに(つい出来心で/正直に言えば、バッファ層の水の腐敗を心配して)竹炭チップを追加して、その分だけ余分に全体が盛り上がってしまいました。

4 緑枝挿し 40日後 2013年8月17日

7月7日の挿し木作業の数日後に、盛り上がってしまったボラの量が気になってセットし直しました。新しくBFの隙間に詰めたのは(前回のボラではなく)挿し木用土と同じ赤玉土とパーライトの混合です。今から考えれば、これはムダな作業だったのですが。

ここにパーライトを使用したのは気層を確保するためですが、これは失敗でした。パーライトは軽いので潅水するたびに表面にでてきます。ここは余計なことはせず、ボラ土でOKです。

DGの右下にあるメスカップは、比較対象のノイバラの「水挿し」です。BFと同じ日に挿しました。40日を経過し、根が数センチ伸びています。水挿しよりも酸素の供給が多いDGの方が発根が早いはずなので、これ以上に伸びていると思われます(未確認)。

5 栽培品種の緑枝挿しは難しい? 講座での挿し木55日後 2013年8月17日

栽培講座の受講者のみなさんが6月22日に挿したバラの栽培品種の緑枝挿しは、私が挿したノイバラと並んで同じように管理されたのですが、残念ながら挿し木に失敗したものが出始めました。

その原因をここで詮索するのは適当ではありませんが、私の大雑把な感想では、採穂から挿し穂の調整までの穂木の扱いに配慮が欠ける(水切れした)のでは・・と思いました。休眠期以外ではバラの水分蒸散量は想像以上に多いのです。

これは講座の運営を担当した私の説明不足でもあります。バラの挿し木を試みる際には、岐阜大学 応用生物科学部 園芸学研究室・福井博一教授の「挿し木の基本」を読まれることをお勧めします。

・・といくら口を酸っぱくして言っても、読まないんだよなぁ。私もカメラやパソコン機材の取り説などは、必要に迫られるまで読まない(笑)。

6 緑枝挿し 3ヶ月後 2013年10月9日

2013年の夏は暑かったですね。写真でわかるように地面はコンクリートですから、午後は気温が40℃を超えることもありました。挿し木の置き場所は、木漏れ日もある明るい樹陰ですが、夕刻は西日があたるので遮光しました。

7月7日に挿した台木用ノイバラは、そんな暑い夏を乗り切って挿し木後3ヶ月になりました。台木として肝心な根量はどの程度なのか、1株取り出して調べてみることにしました。

根量はまだ貧弱ですが、根長は30cmほど伸びていて一安心です。今後は有機液肥を与えて株の充実を図ります。

7 緑枝挿し 4ヶ月後 2013年11月7日

秋になって日当りの良い場所に移しました。挿し穂の一部が栽培講座での「T芽接ぎ」用の台木として使うために持ち出されましたので、DGの中央部分の密度が下がっています。それでも1ヶ月前と比較すると、10月に大きく成長したのがわかります。地上部の成長に伴って、たぶん根量もそれなりに増えたのではと期待されます。この時点までに枯れたような挿し穂はなく、100%の成功率です。

どこでもグリーン」と「バッグフィルター」の開発コンセプトは、『狭い面積でも挿し木による台木の栽培ができる』ということですが、わずか1平米の面積でこれだけの本数(今回は60本。スペースにまだ余裕があったので、たぶん70本は可能)の台木が作れるのですから、アマチュアの台木作りに向いていますよね。

8 緑枝挿し 7ヶ月後 2014年2月14日

防寒設備無しという環境で冬を過ごしたノイバラの挿し木は、7ヶ月を経過した2月中旬にこのようになりました。
翌日の栽培講座(テーマは「接ぎ木」で、講師はデービッドさん)で使うための準備なので、必要ない枝は既に切ってあります。

強い糸と細かな目でミシン掛けされている縫い合わせから、驚くほどたくさんの根がはみ出ています。BFは本来 縫い合わせが内側になるようひっくり返して使用するのですが、その手間がめんどうで手抜きをしてそのまま使いました。
でも、内外を反転させ、あるべき形で使用したものもほぼ同様に縫い合わせ目から根が出ていました。

これがそうです。画像クリックで拡大しますので、写真の右上を見てください。やや太くて硬い根も出ています。台木を取り出すにはBFからはみ出した根は切断するしかありません。長過ぎる細根は切ってもかまわない(むしろ切った方が良い?)のですが、この見えている根を全部切り捨てるのは栽培者としてはちょっと抵抗があります。

BFを切り裂くという方法も考えられますが、BFは繰り返し使用することを考えて開発されているのでもったいないし、やむを得ずすべての根を切りました。

この緑枝挿しで作った台木は、14年2月15日のデービッドさんによる接ぎ木講座と、2月22日に作業した私の「デービッド接ぎ」で使用しました。根は切ったものの、それが悪影響を及ぼしたとは思えず、台木としての役割は満足のいくものでした。その作業とその後の成長は、2014年11月9日の記事「バラの接ぎ木 デービッド接ぎ 2014」で紹介しています。

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