このブログについて


バラの栽培についての考え方や方法は多様です。その多様性こそが、バラが文化として豊かであることの証左なのでしょう。
"答え"は一つではないとすれば、バラ栽培の楽しさは、"自分のバラの世界を見つけ出す" その過程にあると思っています。

このブログは試行錯誤中のバラ栽培の記録です。一部の記事はバラ仲間に私の方法を紹介するために書いたものもありますが、
「栽培ガイド」の類ではありません。バラ栽培を始めた頃に書いた記事の内容は現在の栽培方法とは異なるものも多く、
技術的にも拙くて誤謬も多々含まれていると思われます。批評的に読んでくださるようお願いします。

2023年9月28日木曜日

曼珠沙華が咲いて 秋剪定終了

9月27日に曼珠沙華が満開になり、秋の花のための剪定をすべて終了。この期間、雲の多い日が続いたので助かった。

♪ 赤い花なら曼珠沙華 阿蘭陀屋敷に雨が降る 濡れて泣いてるジャガタラお春 ・・
「長崎物語」作詞:梅木三郎


今日27日は最後の品種「ロイヤルハイネス」を剪った。肥培管理が拙く、ほとんどの下葉が落ちた株ばかり。この失敗をどのようにリカバーすればいいだろうか。 なお、肥培管理の問題点とそのリセットについてはページ後半で検討する。

ロイヤルハイネス #373株

2本の幹から4本のステムが立ち、その1本は分枝して5本のステムがある。いずれも1段目の葉を落として貧弱なステム。奥側の長いステム2本を赤矢印で捻枝。

左の青矢印は「腹接ぎ」。シュートが出にくい古枝の下部に同じ品種をデービッド接ぎする。接いだ芽が伸びて開花枝になるが、面白いことに、腹接ぎをした下側からほぼ100%の高率で元気なサイドシュートが出て、接いだステムの勢いを上回る。接ぎ穂よりも必ず下から出るので、根からの養分を優先するからだろう。

ロイヤルハイネス #62株

3本のステムの2本は貧弱で下葉もほとんどない。3段目に少し葉があるのでそれを活かすために捻枝した。右のシュートも上位葉を活かすために3段目のの位置の芽を選んで捻枝した。

カイガラムシ

上左:この株のステムにカイガラムシの幼虫かと思えるものを見つけた。カイガラムシエアゾール|住友化学園芸  を噴霧してティッシュで拭いとったが、成虫は見つけることができなかった。これが "ミカンヒメコナカイガラムシ" なら動き回ることができるので、どこかに潜んでいるはずだ。

スイートポイント

右は#62株の2段目。「剪定する段の中程の良芽で切る」のが剪定の常道だが、注意して見るとこの部分は節間が短い。この場合、1と2の間は8.5㎝、2と3の間は4.5㎝、3と4の間は8.5㎝。剪定では、この2か3の芽のどちらかを残す。これを私の造語で "スイートポイント" と呼んでいる。どちらを残すかはステムを伸ばしたい方向で決める。ちなみに、芽とその上下の芽の角度は、円周の黄金比に則して137.5度。詳細は、2021年10月15日の記事:「真理は美しい」で紹介。

栽培者なら誰でもこのどちらかの芽を選んで剪定するだろうが、なぜここの芽が良芽なのか、なぜこの部分の節間が短いのか、その植物生理学的な詳細は不詳。スイートポイントが無い品種も少なからずある。

これのオリジナルは香川の "ボケたん" さんだが、残念ながらリンクが切れている。ご専門に関する最新データでは、変わらずご活躍のようなので、その世界に専念されているのだろう。

ボケたんさん、いっぱい学ばせていただき、おかげでバラ栽培の世界が広がりました。ありがとうございました。

芽が出る方向=円周の黄金比については、「自然界と黄金比について」|岐阜県教育委員会教育研修課 に詳しい解説がある。

ロイヤルハイネス #372株

これまた見事に下葉がない株。左は2段目で分枝し、その3段目に花が開きかけている。下位葉は無いけど、夏の花にしてはまずまず。 花のあるステムを、切り捨てる茎頂側に五枚葉1節を付けて剪定。分枝した枝は "同化枝" にすべく捻枝。右はまったく下葉がない箇所で捻枝。

今秋は捻枝したステムがこれまでになく多い。肥培管理が拙くバラには可哀想なことをしてしまった。でも、こんな状況でも "それなりの" 花は咲いてくれると思う。そのためには、何をリセットし、今からどうリカバーしたらいいか。

この内容は次のページ:「リセットの9月, リカバーの10月」に続く


下葉の内容物を分解して栄養分を茎頂へ転流する「オートファジー」がますます進行して、下葉の黄変が更に目立ってきた。 「クロロシスの発生」なんて、バラにかわいそうなことをしてしまったが、3段目には健全な葉が残っているので、なんとか秋の花は咲いてくれるだろう。葉が1枚もないステムからでも元気の良い新芽が伸び始めているのを見ると嬉しくなる。

剪定を始めるまで『今年はうどんこ病も出ていないし、まずまずの出来か』と思っていたが、剪定を終えると、『なんだか、年ごとに栽培が下手になっているんじゃないのか』と思わされる。

バラの生育ステージに合わせた優れたコーティング肥料があるし、それを使えばクロロシスなんか無縁の栽培ができる。
あたりまえに栽培して、あたりまえに美しいバラが咲くというのは、それはそれで とても素晴らしい ことなんだけれど、
しかし "へそ曲がり・そら流" ではない。

あと何年ほどバラの栽培ができるのかわからないが、たぶんこれからもこのような失敗を重ねて右往左往するんだろう。でもそれが楽しいのだ。"花の中に御坐すほとけ" との出会いは、下手な栽培者にもあると信じている。

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