ハウス内の今朝の最低気温は18.1°C。気のせいか、花が幾分秋めいてきたようだ。
「花の中に御坐す(おわします)ほとけ」
映画「花戦さ」で、野村萬斎が演じた池坊専好(初代)のセリフ(原作:鬼塚忠 脚本: 森下佳子)に、次のようなものがある。
「花の中にはほとけがいてはる。宿る命の美しさを、生きとし生けるものの切なる営みを、伝える力がある」
「花の中にはほとけがいてはる」というのは、直観的に『そうだ』と思う。この「花の中に御坐す ほとけ」に出逢いたくて、私はバラを栽培しているみたいだ。
「ほとけ」を別の言葉に置き換えれば「真理」。
ほとけ 神の数式 真理は美しい
神の数式
もし神がこの全宇宙を作ったのだとしたら、あらゆる事象を実現できるその設計図はいったいどのようなものか。
それは一つの数式で表すことができ、そして完璧な美しさがあるに違いない。
・・と物理学者たちは考えるのだそうだ。美の基準は「対称性」なんだとか。最も有名で、美しいとされる数式は;
E = mc²(エネルギー E = 質量 m × 光速 c の2乗) アインシュタイン「特殊相対性理論」 1907年
なんのことやら、なぜ光速の2乗が定数として出てくるのか私にはイメージすることもできないが、「神の設計図」をバラの場合で考えてみる。
① バラの花弁
「花弁は137.5°の角度で展開する」というのは本当か。このスケッチ(作図 by そら)は実際の花弁を調べたもの。2の花弁は1の花弁からほぼ137°の角度で展開し、3は2から137°の位置に。以下同様。 この137.5°という角度は「フィボナッチ数列・黄金角」と関係するのだそうだ。
参照:岐阜県教育委員会教育研修課|「自然界と黄金比について」 *このページは具体的でわかりやすい。必見。
花弁と花弁の角度は、どの花弁を基準にしても137.5°。これは花弁だけではなく、幹の周囲から枝が出る角度(芽とその上下の芽の角度)も同じ137.5°。「神の数式」的には、これを「回転対称性」というらしい。
もう少し大きなスケールで、全生物に共通な「対称性」もある。「共通している」というのが「対称性」。
② 花の色とセントラルドグマ
例えば花の色。色を表現する色素タンパク質の遺伝情報は DNA に記録されている。
以下: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より部分引用;
遺伝情報は DNA →(転写)→ mRNA →(翻訳)→ tRNA + アミノ酸 → タンパク質 の順に伝達される。
この、DNAからタンパク質が出来る流れの概念がセントラルドグマ。以下は真核生物におけるセントラルドグマの過程。
まず、転写因子とRNAポリメラーゼIIの働きにより、DNAの遺伝情報はmRNAに転写される。次に、mRNAが核膜の孔を通って核から細胞質基質に出ると、細胞質基質中のリボソームに結合する。リボソームにおいては、アミノ酸を運んできたtRNAが、mRNAの3つずつの塩基配列(コドン)に対応して結合し、運ばれてきたアミノ酸が繋がってペプチド(タンパク質)を作る。RNAからタンパク質を作ることを翻訳と呼ぶ。
このセントラルドグマは、細菌からヒトまで、原核生物・真核生物の両方に共通する 基本原理。
この基本原理が「神の設計図」。私はこのような自然の営み=「神の数式」を "美しい" と思うのだけど、いかが?
「宿る命の美しさ、生きとし生けるものの切なる営み」と「神の数式」は別次元のことのように見えるが、それらは 真理の美しさ の一面なのだろうと考えている。
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