「環境に優しい オーガニック バラ栽培講座」 受講受付終了のお知らせ
粕屋町バラサークルが主催し今年4月から1年間にわたり開講するバラの栽培講座は、お申し込みが定員に達しましたので、受講受付を終了します。 申し込まれたみなさんには、4月1日頃までにご案内のハガキをお送りいたします。
4月20日の開講式でみなさんにお目にかかれることをとても楽しみにしております。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
バラの育種 を仲間と共に学びたい初心者を対象にした オンライン勉強会 を計画中です。
オンライン ミーティングシステム "Zoom" を利用して、月2回(年間20回程度)の開催で、 参加費無料の勉強会です。
内容は「ばらの育種オンライン勉強会」 案内ページ をご覧ください。
粕屋町バラサークルが主催し今年4月から1年間にわたり開講するバラの栽培講座は、お申し込みが定員に達しましたので、受講受付を終了します。 申し込まれたみなさんには、4月1日頃までにご案内のハガキをお送りいたします。
4月20日の開講式でみなさんにお目にかかれることをとても楽しみにしております。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
粕屋町バラサークルでは、バラの栽培講座を 4月から毎月1回 1年間にわたり開催します。
本日3月1日より 講座への参加者の 受付を開始 します。粕屋町民以外の方も参加できます。
一般の初心者を対象とした、実技中心のわかりやすい講座内容を準備中。バラの栽培経験のない方も大歓迎です。
秋でも可能なバラの挿し木。10月16日に秋のバラの挿し木をしました。それが4ヶ月後には「鉢上げ」の時期を迎えたので、2月16日と17日にそらの畑で作業をしました。バラの栽培品種の「秋挿し」とその結果から、改善すべきことを考えてみます。
私の場合バラの挿し木は畝に挿していくのですが、昨年の秋の挿し木では挿す部分の土を別に用意しました。
その理由は、2011年の結果を参考に、雑菌の仕業による失敗をできるだけ少なくしたいと考えたからです。
挿し木畝はベッド幅90cmの長さ12Mで、株間30cm、4条の千鳥植えで、約160本挿すことができます。マルチに穴を開け、そこに挿し床になる深さ15cm程度の穴を(器具を使って)掘って、無菌の土を入れました。
土は、赤玉土をメインに、鹿沼・バーミキュライト・籾殻燻炭を適当に配合したものです。
註:「無菌の土」というのは厳密な意味ではなく、購入したばかりの未開封の土を使ったということです。
挿し木作業は、まず挿し穂を入れる穴を開け、水極め(みずぎめ)で挿し穂を固定していきますが、早い時期に失敗したものを調べてみると、挿し穂の基部の土が緩すぎて空隙ができてしまい、その結果水の吸い上げが不足して枯れたように思える事例が多かったです。2011年秋の挿し木は畑土を使い、時期は10月上旬で、その年は気温が高く、雑菌の仕業で枯れたのではないかと思われる事例が多かったのですが、今回はそれは皆無に近いようでした。
挿し木の結果は挿してから2ヶ月程度でだいたい見えてきますが、このようなトンネルで冬を過ごしました。園芸用の不織布とビニールの2枚重ねです。裾には隙間もあって風も抜けるのですが、霜さえ防げればそれくらいルーズなものでも良さそうに思えます。換気の手間も要りませんし(笑)
この日の朝も霜が降り溜まり水は氷結していました。トンネルを撤去しマルチを剥いで、丁寧に掘りあげていきます。
小学生の愛◯ちゃんが、カッターナイフを持ってマルチを剥ぐお手伝いをしてくれました。ありがとうね。
これが掘りあげた挿し木苗です。もっと貧弱な根量かと想像していましたが、なかなかどうして。私のものではなく IWさんの挿し木ですが、この時期の4ヶ月間でこれほどに育つなら立派なものです。品種は CLの「羽衣」(左)と、HTの「バレンシア」です。挿し木が成功しやすい CL品種は、さすがにその根の生育もしっかりしています。
私のものも含め、2012年秋の挿し木(栽培品種のみ)の成功率は約60%でした。しかしこの数字にはあまり意味がありません。クライミングやランブラー、あるいはシュラブ(イングリッシュ・ローズを含む)は成功率が高いので、それらが多いと数値が上がります。
挿し木に失敗した原因は挿し穂の状態からある程度推測できます。
2012年秋は無菌の土を使ったので雑菌の繁殖によると思われる失敗事例はありませんでした。無菌の土でも水に雑菌が入っていれば意味がないので、初期だけは水道水を使いましたが、畑には水道が無いのでポリタンクで運び込みました。そこまでする意味があったのか、今でもちょっと疑問です(笑)
前述のように、失敗したものは挿し穂の基部の土が緩すぎて空隙ができてしまい、その結果水の吸い上げが不足したのが原因だと思います。畑土に挿す場合は、左手に挿し穂を持ち右手のジョウロで水を注いでいくと、挿し穂の基部に土がなじむのが左手の指の感覚でわかるのですが、今回の用土ではそれがわかり難かったですね。挿し穂の基部の土に空隙ができていると気づいたのは数日後で、すぐ手直しはしたのですが「時既に遅し」でした。今回のように、畑土の中に異なる性質を持つ土を入れるのも考えものです。ていねいにロータリー耕した畑土は膨満ですが、挿し木穴に入れた用土となじみがよくありませんでした。
水が上がらず枯死する場合のもうひとつの原因は穂木を採取した後から挿すまでの管理の拙さです。10月中旬のこの時期はバラはまだ活発に水を吸い上げて(蒸散して)いますから、採穂後の管理には注意が必要です。また、長時間(1日以上?)水に入れておくのも拙いようです。これら挿し木に関する情報は、岐阜大学 応用生物科学部 園芸学研究室の福井博一教授「挿し木の基本」をご覧ください。バラに特化されているのではありませんが、とても参考になります。
挿し木をしたのは10月16日でしたが、(福岡県の)私の環境ではこれは適切だったと思います。それから1週間〜3週間遅れて挿したものは、2月16日の鉢上げ時には成長度合いが見劣りしましたし、成功率もやや低いように思われました。冬野菜を栽培される方はよくご存知でしょうが、この時期の1週間〜2週間の差は収穫時には1ヶ月以上の差になります。でも、だからといって時期を前倒しすれば高温下で雑菌が繁殖しやすく、また穂木の充実度の問題もありますから、自分の環境や方法に合った時期を試行錯誤するのがいいのでしょうね。
挿し穂は多くのみなさんが20cm程度に調整してありましたが、これは正解だったと思います。プロ(バラの切り花栽培農家)が短い挿し穂を作るのは、たぶん生産効率を考えてのことでしょう。その一例:2012年4月25日の記事「ロックウールを使った バラの挿し木(2)」。同じ品種を何本も挿すプロとは違って、私たちは少ない本数でいいのですから、あえて短い挿し穂にする理由はありません。
また、上の挿し木作業の写真に写っているように、挿し穂の葉は(緑枝挿しとは違って)必要ありません。枝の葉がある部分はこの時期の挿し穂としてはやや未熟(別の言い方をすれば"成長中")で、もちろん使えないわけではありませんが、そのぶん発根や発芽が遅れる(品種や栽培状況にも依る)ようです。自然に葉柄が落ちた長い挿し穂のほうが、発根するのに必要なより多くの養分(タンパク質や成長ホルモンを作るためのアミノ酸、あるいは光合成で作った糖質など)を内包しているように思います。
回りくどい言い方ですみません、要するに「挿し穂にする枝の基部と先端部は使わない」ということです。
挿す深さは、私は根拠も無く挿し穂の長さの1/2の10cmにしますが、もう少し浅めでも良いのかもしれません。マルチを張っていますから土壌の水分は安定していますし、簡易ながらも防寒のトンネルを設置しますから土壌の凍結もないし、風に挿し穂が動かされることもありません。条件は異なりますが、30cmの挿し穂を5cmの深さに挿して成功した事例も知っています。短い挿し穂を使うバラの切り花栽培農家の場合は『挿し穂には必ず葉を付けておく』のが大切なんだそうですが、発根・発芽のために光合成で糖質を作る必要があるからでしょう。
長い挿し穂のもうひとつの利点は『挿し穂(茎)も光合成をする』ということです。ゆえに、長い挿し穂を浅めに挿すのがベターかもしれません。ただし、浅いと用土の水分管理が難しくなります。プロが使う短い挿し穂は、ロックウール挿し木では「ドリップ灌水装置」、ポットの場合は「ミスト灌水装置」を備えたハウス栽培ですね。
スタンダード台木にする長尺挿し木は、栽培品種と同じ10月16日に、テストも含め3品種計60本を5号ロングポットに挿しました。簡易な小型ビニールハウスの中に支柱を組んで、ポットの下は籾殻を厚く敷いて保温しています。
結果は2013年1月27日の記事「バラの接ぎ木 台木の準備」の後半に写真がありますが、発根させるだけなので、外見は挿し木時とほとんど変化がありません。
長尺挿し木は枯れるような失敗をした挿し穂はありませんでしたが、2週間ほど遅れて挿したものに発根が不十分なものがありました。これはポットに挿すので雑菌が繁殖する心配が少ないから、根の伸び具合を考慮すれば10月上旬が挿し木の適期であるように思われます。栽培品種も長尺台木もいずれも無施肥でしたが、挿し木後1ヶ月を経過した時点で少し肥料をやったほうが良かったかもしれません。
私の栽培品種の挿し木苗約20株は養成畝に移植しました。順調に生育しています。接ぎ木苗のように旺盛な生育状態ではありませんが、じっくりゆっくり育ってくれれば良いので、とりあえずこれで満足しています。「とりあえず」という意味は、秋の挿し木が他のシーズンより利点があるのか、今の時点ではよくわからないからです。掘り上げる直前に蕾が付いていた株がいくつかありましたが、2月ということを考えれば、それは自然なことのようには思えません。
今年も秋の挿し木をするか、現時点ではわかりません。旺盛に生育する接ぎ木苗を見ると『もう栽培品種の挿し木は要らないかな』とも思います。
2014年追記:『もう栽培品種の挿し木は要らないかな』…と思ったけど、5月下旬撮影のこの写真を見てください。3株のうち左が2013年10月31日に秋挿しした挿し木苗(7ヶ月)です。前年までのような畑での挿し木ではなく、特殊なプランターに挿しました。その中でも特に良好な生育を示した挿し木を選んで撮っています。
中央は14年2月のデービッド接ぎ(3ヶ月)、そして右は購入新苗(芽接ぎ・たぶん7ヶ月)です。3株とも既にピンチしてあります。
挿し木は品種による生育の差が大きいのですが、挿し木にむいた品種であれば秋の挿し木でも、接ぎ木苗と較べて遜色ありませんね。 注:品種が異なりますので大きさの単純な比較はできません。
画面中央の10個のコンテナに入っている苗が2013年の秋挿しの結果です。2013年10月31日に挿し木、14年4月6日に鉢上げ、そしてこれを撮影したのが5月22日です。この"特殊なプランター"を使った挿し木の方法は、2014年11月13日:「秋にもできるバラの挿し木 栽培品種の秋挿し」をご覧ください。
右奥に見えるのは14年2月下旬のデービッド接ぎと芽接ぎでできた苗です。この写真ではわかりませんが、全体的に見れば秋挿し苗よりもデービッド接ぎの苗が大きく育っています。「デービッド接ぎ」については、2014年11月9日の記事:「初心者に優しいバラの接ぎ木 デービッド接ぎ」をご覧ください。
秋の挿し木とF芽接ぎが鉢上げの時期になり、バラサークルの「第2回庭作り講習会」の後で現地検討会を行いました。
生育具合を確かめるメンバーのみなさん。
挿し木の成否はやはり品種に大きく影響されるようで、クライミングやシュラブ(イングリッシュローズを含む)の成功率が高いようです。マルチに穴があいているだけのものは残念ながら失敗したものですが、でも昨年と比較すれば成功率は確実にアップしましたね。
この時期が鉢上げに最適かどうかは疑問が残ります。この時期にする理由は主に管理上の都合です。失敗した原因も調べる必要がありますが、その結果などは作業後に。
台木の首を切って「パッチレート」を塗り、その30分後の様子です。根から吸い上げられた水が切り口にぷっくりした水滴を作っているのが見えるでしょうか。台木によってはもう少し水量が多いものもあります。この水は数時間後には(蒸発して?)見えなくなりますが、台木が休眠から覚めているのは間違いないでしょうね。
16日と17日の午前中に、これら 秋の挿し木 と F芽接ぎ はすべて掘りあげますので、道具持参でお集まりください。作業の内容や必要な道具については14日から15日にかけて連絡網が廻るはずですが、「ばら日和」の記事「鉢上げのご案内」もご覧ください。よろしくお願いします。
今朝は数日前に届いたイングリッシュ・ローズの「ザ・ダークレディ」5株を植え付けました。鍬やスコップで広い面積を耕すのはつらいので、トラクターを動かそうとすると寒さでバッテリーがヘタっているのかエンジンがかかりません。今にも降り出しそうなそら模様。とほほ。
昨年夏頃から体調がすぐれず、今はやや回復したものの鍬を握ればすぐに息切れする始末。忙しさもあって、今年のバラのシーズンは作業計画が遅れに遅れています。
たぶんいろんなことを欲張りすぎているからなのでしょうが(笑)、バラは待ってはくれません。今年は(みなさんが指摘されるように)芽が動きだすのが早いような気がしますので、焦っています。
昨年10月に「F芽継ぎ」した芽が接ぎ木テープを突き破ってきたので台木の首を bud union 直下で切りました。 「バッチレート」を塗布してしばらく様子を見ていると、台木から水が上がってきて切り口にぷっくりした水滴を作ります。滴り落ちるほどではないけど、バラはもう休眠から覚めているようです。お寝坊さんもいますが。
最も遅れている作業は来年用の台木の挿し木です。挿し穂にするノイバラの枝は2種類を大量に準備しているのですが、畑の土が乾かないのでトラクターを入れることができず、挿し木をする畝の準備がまだできていません。接ぎ木した株を植える畝も同様です(泣)。
これがデビッド・オースチンから届いた「ザ・ダークレディ」です。ラクサ台木に接がれた苗ですね。
ラクサ台木苗を植えるのは初めてではないけれど、こんなゴボウ根ばかりでだいじょうぶかなとちょっと不安になります。たぶん今年の成長は緩慢かもしれませんね。
追記:この5株のラクサ台の「ザ・ダークレディ」は、国産のノイバラ台木に接がれたものと較べても、なんら遜色なく生育しました。
直根が多いので植え穴はできるだけ深く掘りました。と言っても、私のバラ園は地表から40~50cm下は耕盤層なのでそれが限界です。
数ヶ月前に拡げておいた「童夢」のバーク堆肥と籾殻燻炭、「薬膳」と極少量の「FTE」を使いました。
「薬膳」を使うのなら「FTE」は不要でしょう。でも植えた場所は土質が悪く「FTE」は「薬膳」を知る前から準備していたので、ホンの「気休め」です。
雨が降りだしたので植え穴の写真はありませんが、今後ラクサ台木苗の成長の様子を記録してみようと思っています。その真意は 台木 です。芽接ぎや切接ぎをやってみて最も重要なポイントは 台木の選択 なのではないかと思うから、台木をもっと良く知りたいのです。
(話題がそれますが)去年の今頃「台木用ノイバラの挿し木」をしたついでに「切接ぎ挿し」や「芽接ぎ挿し」を16本ほど試みました。あまり期待もしていなかったし生育状態をチェックすることもなく、旺盛に伸びたスタンダード用台木や雑草に埋もれるままになっていたのですが、それが6本ほどかろうじて生き延びていました。
「切接ぎ挿し」と同じときに、廃棄処分にする株がラクサ台だったのでその太根(ゴボウ根)を台木にして「切接ぎ」を試したのですが、これは「切接ぎ挿し」よりも高率で成功しました。これらは近日中に写真をアップします。
・・って、生育不良の株の写真なんてあんまり意味ないか。
無肥料で、スタンダード台木の陰になって夏の陽当たりはほとんど無く、風通し最悪という過酷な環境だったので生長は良くないのですが、接ぎ木と挿し木を同時にやる「切接ぎ挿し」「芽接ぎ挿し」もバラを増やす一方法として、あるいは「切接ぎの練習台」として、おもしろいかもしれませんね。
とほほ が増えるだけかな?(苦笑)
私が所属している「粕屋町バラサークル」の10月勉強会で、地植えのノイバラ台木に芽接ぎをしました。たしか昨年の10月23日だったと思いますが、ドジなことに写真を撮っていないようです。
このノイバラ台木は実生です。ノイバラの実はボタ山の須恵町側の斜面に生えている野生のノイバラから採取しました。発芽率はとても良かったのですが、その後の管理が悪かったのか、品種によるのか、あまり太くなりませんでした。ほんとうは T 芽接ぎ を試そうと計画していたのですが、現場(そらの畑)で急遽 F 芽接ぎ に変更しました。
その F 芽接ぎ がそろそろ鉢上げの時期を迎えようとしています。2月9日、新芽が接ぎ木テープを突き抜けているものが幾つか散見されます。1月27日に台木の準備をするために畑に集まったときは芽はまだ小さかったのですが、この2週間で成長し始めたようです。ただし、芽が膨らんでいないものもあります。勉強会の参加者は同時に作業したのですが、どうも品種によって成長度合いが異なるようですね。
これらの3株はもう台木の首(bud union 直下)を切っても良い時期でしょう。台木は狭い間隔で植えられていますから、鉢上げは全員同時にするのが好ましいのですが、台木の切断は芽の動きが早いものから順次やったほうが良いと思います。写真でもわかるように台木の芽も動いていますからね。暖かくなって株が盛んに水を吸い上げ始めると切断面から水が溢れて(暑い時期は驚くほどの水量です)、それがテープの中に浸透していき、扱いが厄介になりますから。
この3株はいずれも私のものですが、明日にでも切ります。切り口には「バッチレート」を塗布する予定です。
参加者の芽接ぎ株をどうあつかうか、13日の「第2回庭作り講習会」の終了後に、秋の挿し木の状態も含めて現状を見ていただき、鉢上げの時期などを相談したいと思います。
バラやその他の植物で「土と植物の薬膳」の肥効テストをしています。その途中経過です。
「土と植物の薬膳」(以下「薬膳」と略記)の濃度が、発芽とその後の生育に及ぼす影響に付いて。たぶん「聞き違い」だったのでしょうが、『薬膳100%でもコマツナが発芽した』という話を聞いたので、その追試です。
「薬膳」の濃度を100%と50%にした培土と比較対象の「薬膳」0%培土に、コマツナを播種して発芽量とその後の生育差を見る
1月4日(約1ヶ月経過/無加温ハウス内)
附記:左から2列目と4列目は「薬膳」とは無関係のテストです。
左から5列目(「薬膳」0%)に、2月7日に「薬膳」のペレットと粉体を2ポットずつ施肥しました。施肥量は容量比で培土の1%以下です。
「薬膳」と比較対象の肥料の肥効の差をみる
ビオラの購入ポット苗を鉢増しして、各肥料8グラムを1月24日に施肥
画面奥左から
無肥料 福岡野菜(有機配合肥料 N:P:K=8:10:8) バイオゴールドクラシック元肥
画面手前左から
パワフルアミノ 無肥料 「薬膳」(粉体)
施肥から2週間経過した2月7日の状況です。「薬膳」の肥効がすばらしい のがよくわかります。そしてこれは、「大洋グリーン」さんのテスト結果とも一致します。
意外だったのは「バイオゴールドクラシック元肥」。無肥料とほとんど変わりなくそれが何故なのか理解できません。もしかしたら苗に問題があるのかも?
附記:2つある無肥料のポットのうち、手前中央のポットに、2月7日「薬膳」(ペレット)を施肥しました。
イチゴ苗を使い「薬膳」の適正な施肥量(濃度)を調べる
「薬膳」100%から、50% 25% 12.5% 6.25% 0%(無肥料)までの6段階(容量比)で苗を育てて生育差を見る
1月4日 左の写真はテスト開始時。
50% 12.5% 0%
100% 25% 6.25%
無加温ハウス内で約1ヶ月経過した2月7日
特に目立つような生育差は無いが、25%と6.25%がやや良好か。12.5%があまり良くないのは、苗の根の状態に影響されているのかもしれない。
枯れるであろうと予想した「薬膳」100%(肥料の中に苗を植える!EC(ms/cm)=5.9 )も、生育は旺盛とはいえないまでもそれなりに育っている。
附記:このイチゴ苗は糸島のイチゴ栽培農家から頂いたものですが、忙しくて植える時機を逃し、ポットのまま露地に放置していた老化苗です。若い苗をハウス内で栽培したらもっと旺盛な生育を示すはずです。
久留米市の「大洋グリーン」さんに取り寄せていただいたHT品種のバラ「朝雲」を使って、「薬膳」の肥効を他と比較する
比較対象の肥料は「IB化成」「パワフルアミノ」で、無肥料を合わせて計4鉢
購入した大苗を7号ロングポットに植え替えた後、無加温ハウス内で約1ヶ月養生。2月7日施肥。正月頃から準備していたのにやや施肥時期が遅れてしまい、すでに大きな芽が出ています。廃品利用の小さなビニールハウスなんだけど、霜を避けられるだけでも効果は大きいんでしょうね。
最初になる今回の施肥量は各30グラム。次回は生育の様子を見て判断。いずれの鉢も同時期に同量を施肥して、少なくとも1年間はテストを継続する予定
附記:「パワフルアミノ」は、この地域のバラ苗生産者が、例えば鉢上げしたバラ苗に使う有機配合肥料(化学肥料も含む)です。
2012年7月1日に投稿した「バラの 水挿し −3」のその後です。
6月1日に水挿ししたHT品種7本は、品種的な特性なのか時期の問題なのか、1ヶ月経過してもカルスの生成や新芽の発芽が極めて緩慢でした。
その後も生育は遅く、秋になった頃ようやく全部が発根したので鉢上げしました。発根時期もかなりバラツキがありました。残念ながら鉢上げの日付を記憶していません。写真を撮っているはずなんですがどこに保存したのか不明。
水挿しした7本は成長にかなりバラツキがあります。挿し穂を採取した部分が、茎(ステム)が太い部分と細い部分の成長が悪く、中間部分が良好だったのが印象的でした。
年末にハウスの中に移動し、今年になって「土と植物の薬膳」を施肥しました。その後は見違えるほど成長し始めました。手前中央の生育の遅れた株の葉には黒点病が出ていますし、葉そのものも貧弱です。しかし、施肥後に出た新芽は元気がよい状態です。
これならば今後も期待できるかもしれません。この写真の撮影後に「芽かき」をしましたが、さて、5月に花が咲くほど成長するでしょうか。
2013年12月追記:5月に花が咲きました。「クイーン・エリザベス」に似た上品なピンクの、直立型のHT(品種名・不明)でした。手元に2株残し、その他の株はお嫁に行きました。現在も各地で元気に育ってますが、接ぎ木株と比較すればやや樹勢が弱いように感じるには気のせいでしょうか。
「デービッド接ぎ」に関心を持っていただきありがとうございます。
初出の2013年から10年が経って、「デービッド接ぎ」は新しい方法に進化しています。
2021年12月30日の記事:「デービッド接ぎを見直す」をご覧ください。
最新の情報 は、2023年3月2日の「デービッド接ぎ」です。デービッドさんによる接木の手順を、YouTube動画と写真で紹介しています。
バラの接ぎ木(接木)は、それ自体は難しい作業ではありません。プロの切接ぎ作業は1本接ぐのに30秒とかかりません。私は、私(たち)のようなアマチュアでもバラの接ぎ木をなにか特別に難しく危険な作業と考える必要はないと思っています。それは「デービッド接ぎ」をするからです。
デービッド接ぎは、David B. Sanderson さんが作業の安全性に配慮しながら独自に考案したバラの接ぎ木方法です。
David B. Sanderson さん
かのやばら園イングリッシュ・ガーデン
ヘッドガーデナー
2013年2月1日に かのやバラ園で開催された「デービッドさんのガーデニング講座」は「接ぎ木」がテーマでした。この時メモ代わりに撮影した写真がありますので、実際の作業手順を見てみましょう。デービッド接ぎを公開することはデービッドさんのご了解をいただいています。
ちなみに、デービッドさんご本人がこの接ぎ木方法を「デービッド接ぎ」と言っているわけではありません。これは私がつけた「愛称」です。この接ぎ木手法そのものは、日本で昔から行われている「腹接ぎ」という手法に似ています。それを「デービッド接ぎ」と呼ぶのは、デービッドさんのこの手法によるバラの接ぎ木のトータルな考え方に共感するからです。デービッドさん自身はたんに「接ぎ木」と言いますが、他の接ぎ木方法と区別する場合は "David's Side Graft" です。
追記:
この写真、デービッドさんが何をしているかわかりますか?
右手に持っているのは接ぎ木ナイフです。紫色のブロックは砥石ではなく、柔らかい材質の木片です。これに接ぎ木ナイフを突き刺して、刀身と柄のゆるみが無いか確認しているところです。万が一ここが緩いと事故につながる危険性があるからです。
このようなデービッドさんのさりげない、手慣れた安全への配慮は、彼の経験に基づいているようです。『もし怪我をすると仕事ができなくなりますからね。(接ぎ木職人さんたちの)生活がかかっているから。。』というような話を聞いたことがあります。
私たちの接ぎ木は趣味のレベルですが、それでも/だから
安全が最優先 です。また、『革手袋をしているからだいじょうぶ』というのは間違いで、革手袋は鋭利な接ぎ木ナイフに対しては気休め程度でしかないことは自分の左親指で実証済みです(笑)。
デービッドさんが使っている接ぎ木ナイフは「田主丸型」です。これは国内有数の果樹・庭木、バラ苗などの産地である福岡県の田主丸(たぬしまる)地区で古くから使われている接木小刀です。独特の刃の形状が接ぎ木に適しているので、地元のバラの接ぎ木職人さんたちはこれを使っています。
100本接ぐ毎に小刀を交換して、1日1000本を接ぐのだそうです。
「デービッド接ぎ」には田主丸型の接木小刀が必須ということではありません。また「デービッド接ぎ」は初心者にも安全な接ぎ木方法ですが、デービッド接ぎか切接ぎかを問わず『接木作業にカッターナイフを使うのは危険』という話はよく耳にします。接ぎ木は鋭利な刃物を使うので、怪我のないようにおたがいに気をつけましょう。
穂木はそのために育成した枝を使います。枝の両端を持って撓めると『ポキッ』と折れるような、やや硬めの枝が適当なのだそうで、秋に咲いた枝は柔らかすぎて不適です。バラ苗生産農家は(当然ですが)穂木採取専用の株を用意してあります。穂木の準備については、「穂木と台木がポイント バラの接ぎ木」で説明しています。
まず穂木のトゲを取り除きます。私はこの時だけは革手袋を使用します。鋏を使って取ってもいいのですが、私は親指を使います。トゲが外れる感触で、穂木の充実度がわかる(ような気がする)からです。古過ぎる枝はトゲを外すのが硬く、逆に若過ぎる枝は樹皮も一緒に剥がれ気味になります。
上図1の部分を一刀で切ります。このとき左手は穂木の芽が左真横になるように持ちます。
接ぎ木ナイフを持った右手を腰のあたりに固定し、接ぎ穂を持った左手を後に引いて切ります。写真は、そうやって切った直後の反動でナイフがやや前に出ています。
つぎに穂木を180度回転し、ナイフの刃先で逆サイドを薄く削ぎ取ります。概念図の2。このとき、「形成層」の現れ方が適切な状態になるまで少しずつ2〜3回ナイフを入れてもOKです。それくらい慎重に形成層を見極めます。
このときは前段階とは異なり、ナイフを動かして削ぎます。理由は、力の入れ加減が違うからです。
この作業時は、穂木は長いままです。1〜2芽であらかじめ切ってしまうと作業がやり難く、怪我をしやすくなります。穂木を切断する(図−3)のはこの後です。プロの接ぎ木職人さんは逆で、量が多いので効率優先(小刀と鋏を持ち替えるのでは非効率)で、先に穂木を切断しておきます。
補記:この作業の様子がよくわかる動画があります。
「接木ドットコム|接ぎ木情報と接木テープ」「バラの切接ぎ方法~穂木の作り方と接木テープの巻き方」
穂木を 芽の上7mm(程度)で切断し、接ぎ穂ができました。一般的な「切接ぎ」のそれとは芽の位置が90度ずれている(横向きになっている)のがわかるでしょうか。
1本の穂木から何個も接ぎ穂が取れますので、必要な数だけ作っていきます。接ぎ穂が乾燥しないように湿った布や新聞紙を被せておき、つぎに台木の調整をします。
注意:この接ぎ穂はデモ用なので芽がやや伸びすぎています。このように先端が尖ったいわゆる「タケノコ芽」では、接合面が癒合する前に接ぎ穂自体が持っている養分と水分で芽が伸びてしまい、発芽してもやがて枯れてしまいますので、丸っこい芽を選びます。ただし、これに拘ると1本の枝にそう多くあるわけではないので、プロは埋もれたような小さな芽やタケノコ芽でも接ぐんでしょうね。
芽が2個ある接ぎ穂にすることもできます。その場合主枝が2本出てきますが、それが有利かどうかよくわかりません。「初心者に優しいバラの接ぎ木 デービッド接ぎ」に実例があります。
この台木は根量が豊富ですね。デービッドさんは根を切りません。『根を切り詰めるのは培養土の量や輸送コストなど生産者の都合に過ぎず、バラのためには良くない』という考えです。
台木の首の部分が長く素直に伸びていることも重要です。HT品種を接ぐ場合、台木の太さはタバコ程度か、それよりやや太めが作業しやすいと思います。穂木はそれよりやや細めが最適ですが、サイズが違っても不可能ではありません。品種によっては、あるいは入手した接ぎ穂用の枝が細い場合もありますから、いろんなサイズの台木が準備できればベストです。
まず台木の首の部分をきれいにします。土汚れを落とし、茶色の薄皮も拭い取ります。接合する部分の汚れは接ぎ穂と台木の癒合を妨げる大敵です。
台木の枝の部分を持ち、ナイフの刃先を使って、台木の表皮を形成層が見える深さ2mm程度に切り分けます。深さは台木の太さによって微妙に異なりますが、極端でなければ、これにあまり神経質になる必要はありません。
ナイフの持ち方や指の使い方に注目。右手には力を入れず、左手の親指でナイフの背を押しながら台木を切り下げていきます。切断面がスムースであることが活着を良くするために重要です。そのためには、よく切れる接ぎ木ナイフと適度な硬さの台木が必要です。
一般的な「切接ぎ」では、左手で根を持つのでここが最も危険な作業です。デービッド接ぎでは左手で枝の部分を握っているので、ナイフの刃が動く方向には手(や指)がありません。だから革手袋が不要なんです。
接ぎ穂の斜めの切断面(概念図の1)よりもやや長めに切り分けます。
(くり返しますが)右手に力を入れて切るのではなく、右手はナイフを保持しているだけで、左手の親指で接ぎ木ナイフの背を押して切るのです。この作業は革手袋をしない方が力の入れ加減が分かりやすいと思います、
一般的な「切接ぎ」では、台木の枝は最初に切り捨てますから、この段階では左手で根部を持って作業します。その場合、ナイフの刃先が左手に向かっていますので危険です。
もうおわかりでしょう、安全な「切接ぎ」のためには、この後で台木の首を切断すればいいのです。プロがそうしないのは、たぶん作業効率と省スペースのためでしょうね。
接ぎ穂を差し込みます。このとき形成層を合わせますが、台木と接ぎ穂のサイズが異なる場合は、片側だけでもきちんと合わせます。
接ぎ穂の芽が横向きになっているのがわかりますね。こうしておけば、接ぎ穂から新芽が出ても台木の枝とぶつかりません。接ぎ穂に2芽あったとしても(それはほぼ180度逆側ですから)同様です。
注:台木と接ぎ穂の関係がわかりやすいこの写真は、一連のものとは別の台木で、デービッド式「割接ぎ」(Split Graft)のデモ中のものです。この後に、台木の二股に分かれた首の部分の下で切断すれば、デービッド式「割接ぎ」になります。
前述のように、これを応用すれば、従来の「切接ぎ」でも接ぎ穂を差し込む部分を安全に切ることが可能です。デービッドさん、ほんとに知恵がありますね。
接ぎ木テープは「ニューメデール」を使います。基部からテープを引き伸ばしながら巻き付けていきます。基部は何重か巻いてもだいじょうぶなので、台木と接ぎ穂の間に隙間ができぬよう、そして(もちろん)合わせた形成層がズレないようきつめに巻きます。
デービッド式では、なぜ接ぎ穂を斜めに接ぐのでしょうか? 普通の「切接ぎ」のように台木と接ぎ穂の軸を平行に揃えないのはなぜでしょうか?
たぶんそれは、台木と穂木の有効な接合面が2面あり、ゆえに普通の「切接ぎ」よりも形成層が合致した部分が多いからと思うのですが、いかがでしょう? また、接ぎ穂の導管の位置(角度)もポイントでしょうね。一般的な「切接ぎ」よりも水が上がりやすいと思いませんか。
テープは接ぎ穂にも巻いていきますが、芽の上は1回だけにし、接ぎ穂の先端の木口までテープで完全に覆ってしまいます。接ぎ穂からの蒸散を防ぎ接ぎ穂を守るためです。
これはデービッド接ぎではなく、デービッド式「割り接ぎ」のテーピングの様子です。いずれの場合も接ぎ穂全体(先端の切断面=木口も覆うよう)にテープを巻きます。ゆえに、「接ぎロウ」は必要ありません。
私は今年は先端にはテープを巻かず「バッチレート」を試しています。これは福岡県筑後地方のバラ苗栽培農家に教えてもらった方法です。
この農家は多くのプロがそうであるように「切接ぎ」です。接ぎ木テープは「ニューメデール」なんですが、接ぎ穂先端の処理は接ぎロウではなく「バッチレート」をフタ付きの容器に移して平筆でサッとひと塗り。合理性と作業時間の短縮を考えてあるようでした。
できあがり。簡単でしょ? 作業が安全でおもしろいから、50本接いでももっとやりたい気分。
それはバラサークルのメンバーも同様らしく、「台木が残っていますか?」という問い合わせが数件ありました。「花*薔薇*会」の徳田さんは、『接ぎ木を覚えたらバラの栽培はもっともっとおもしろくなる』と言ってありますね。まったく同感。
追記:2014年11月の「初心者に優しいバラの接ぎ木 デービッド接ぎ」で 台木のカットなど接ぎ木作業後の管理 について、2015年11月の「デービッド接ぎ 補遺」に テーピングの具体例 を、写真を使いながら詳しく紹介しています。
台木といえば、かのやバラ園でのデービッドさんのガーデニング講座の受講生のみなさんからは「台木をどうやって入手したらいいのか」という話題が出ていました。ノイバラ台木のネット通販はどこからか圧力がかかっていて難しいのだそうです。
PBR(品種作出者の権利)の保護には全く異論はないのですが、もしその「圧力」が事実とすれば、ちょっと割り切れぬものがあります。でもまぁ自分で育てればすむことですしね、ノイバラの花もかわいいですよね。
2012年4月14日の記事「デービッド接ぎ 2ヶ月後」に、12年のデービッド接ぎの2ヶ月後の写真があります。テーピングの様子もわかりますが、これはやや巻き過ぎかも?(笑)でも、これくらいきっちり巻いておけば、接合面がズレたり水がしみ込むことはなさそうです。
デービッドさんに確認した上で『新梢が手のひらサイズ(10cm)になったら台木を切る時期』と書いていますが、ここまで待たなくても新梢が5cm以上になったら切っても良さそうです。デービッドさん、今年は『5cm以上』って言ってましたね。
この株は、接ぎ木2ヶ月後にしてはやや生育が遅いと思います。理由は「台木の切断が遅れた」ことでしょう。
ちなみに、この台木には3カ所の切断痕跡が見えます。下のは接ぎ木の作業に邪魔だから切ったもの、真ん中と上は新梢の伸びに従って、その邪魔にならぬよう切ったものですが、この例の場合、もう少し早め早めに台木の枝を切っても良かったように見えますね。右下の赤いラインで切るつもりだったのですが、実際はもっと下で水平に切りました。
追記:これはデービッド接ぎを習った最初の頃の作業記録で、現在はそのような分けた切り方はしません。新梢が5cm伸びたら台木を接合部のすぐ上から切ってしまいます。
生育が遅い原因は「肥料不足」にもあると思います。(接ぎ木2ヶ月後の)4月のこの時期には、バラ苗生産農家ではまもなく新苗の出荷を迎えようとしていますから、それと較べればこれでは生育が遅いのは歴然としています。この頃の私には「自然農法」への憧れがあり、できるだけ肥料もやらずに育ててみたいと考えていました。しかしポット植えで無施肥ではバラがかわいそうですね。バラ苗生産農家は、例えばこのような肥料をこのように使います。
2011年11月8日の記事 「パワフルアミノ」。このページからのリンクに、プロのバラ苗生産者バラ息さんの鉢上げ後の管理についての情報があります。
上の写真は、2014年2月23日に接ぎ木した3ヶ月後の実例です。既にピンチ(適芯)を終えている枝もあります。画像クリックで拡大しますので、台木の切断具合がわかります。
右が2芽ある接ぎ穂の例です。主枝が2本(さらに分かれて3本)出ていますが、1芽の接ぎ穂でもすぐに2番目の芽が出てきますので、2芽ある接ぎ穂が有利かどうかはよくわかりません。でもこの結果からみれば、不利ということはなさそうですね。
「デービッド接ぎ」を初めて知った時、私はその合理性に驚きました。台木の枝を残すのは作業の安全性への配慮だけではありません。台木と接ぎ穂の癒合には「オーキシン」という癒傷(癒合/成長)ホルモンの働きが必要なのですが、このオーキシンは茎頂や新葉、枝の節(ここに芽の原基がある)のあたりで生成され、細胞間を上から下に一方通行で移動(極性移動)します。したがって、台木と接ぎ穂の接合面に至るオーキシンの量は、台木の枝が残っている方が多くなります。
台木と接ぎ穂が癒合するには、植物ホルモンのオーキシンの他に、細胞(カルス)を作る栄養物が必要なのは言うまでもありません。タンパク質、糖質、脂質がその主なものですが、多くを占めるのはタンパク質ですね。挿し木したバラの葉を観察していると、バラはとても賢くて、葉に含まれるタンパク質を分解してアミノ酸に戻し(その結果、葉は枯れる)、それをカルスの生成に充てているのではないか?と思われるような変化をします。
2016年追記:
「ノーベル医学・生理学賞」を受賞された大隅良典教授の研究テーマである「オートファジーの仕組みの解明」、この「自食作用」の一例がこれですね。
『どうしてそんなことがわかるの?』と問われれば笑ってごまかすしかありませんが、カルスの生成に必要な(材料になる)アミノ酸の大部分は台木や接ぎ穂から供給されているのは間違いないでしょう。それらの生化学反応(代謝)を動かすエネルギーATP(アデノシン三リン酸)や「糖」も同様です。そうだとしたら台木に枝葉が残っているほうが有利ですよね。これが枝を残す理由です。
もうひとつの理由は、接ぎ穂を含む株全体の活性です。台木を首の部分で切断する従来の「切接ぎ」は台木に強いストレスを与えます。「切接ぎ」後に保温を必要とすることからもそれは容易に推測できます。それに較べ「デービッド接ぎ」は「切接ぎ」よりはかなり活性が高いと思われます。その実例:「そらのそらごと」の2012年2月19日の記事「雪が降る」の写真中央の畝に植えられているのが、接ぎ木して間もない「デービッド接ぎ」です。この雪の中でもだいじょうぶでした。
下の写真では「デービッド接ぎ」と「切接ぎ」が並べてあります。ブルーのポットが「切接ぎ」で、接ぎロウではなく接ぎ木テープが先端まで巻いてあります。
緑ポットの「デービッド接ぎ」は秋挿し台木を使っています。デービッドさんは実生台木を使うので、実際は台木の枝は(手順を説明した写真に写っているように)もっと大きなボリュームになり、そのぶん株が内包しているエネルギー量が多く、活性も高くなります。
更にこの「秋挿し台木」は、接ぎ木をするこの厳寒期に「葉」が付いています。この葉色は光合成をする能力があるでしょうね。
『デービッド接ぎと切接ぎ、どちらが活着しやすいか一目瞭然』と私は思うのですが、いかがでしょう?
その答えを、バラサークルメンバーや私自身の3年間の接ぎ木結果から判断すると、接ぎ木作業にある程度慣れれば、デービッド接ぎや一般的な切り接ぎ、あるいは芽接ぎの間には、その成功率に特に大きな差は無い ように思えます。 「切接ぎ」や「芽接ぎ」はバラ苗生産者が採用する優れた方法であることは言うまでもありません。
しかし、デービッド接ぎには作業の安全性や接ぎ木株の活性の高さなど、接ぎ木初心者にも優しい優れた特徴があります。特に、挿し木で作った台木を使う場合この効果は大きく、私は「デービッド接ぎ」を知ってからは、あえて「切接ぎ」をしようとは思いません。
2015年3月追記:台木の枝を残すデービッド接ぎの場合、気がかりなのは台木が持っている栄養分や根が吸収する肥料分の多くは台木の新芽の伸長に使われて(頂芽優勢)、接ぎ穂は後回しになるのではないか?という疑問です。
2015年はこれを検証すべく、台木の枝を残す「デービッド接ぎ」と、枝をまったく残さない「デービッド式割接ぎ」または「切接ぎ」を、できるだけ同じ条件で各10株計20株で比較栽培しています。まだテスト中なのですが、現段階では両者の新芽の生育程度にほとんど差はありません。後日そのテスト結果を公開する予定ですが、「頂芽優勢」によってデービッド接ぎの接ぎ穂の新芽の伸長に悪影響が出るということはありません。また逆に、デービッド接ぎが一般的な切接ぎやデービッド式割接ぎよりも生育が良いとも言えません。ほぼ同じように新芽を伸ばしています。
2015年11月追記:この結果を「デービッド接ぎ 補遺」にまとめています。
「接ぎ木の成功率」は、単に「穂木から芽が出て伸びた」ということではなく、それが大きく成長した段階で判断すべきと思います。それは、台木と接ぎ穂の癒合した部分が小さいと、思わしい成長をしないからです。私の作業でも接ぎ穂から新梢は出ているのだけれど、その後の成長が緩慢なものが幾つかありました。こういうのは「失敗」ですね。
ちなみにプロの接ぎ木(切接ぎ)でも100%の成功率とはいかないようです。私が知っているバラ苗生産農家の大苗生産の場合、真冬に接ぎ木した株はいったんハウス内に仮植えします。それらの株は春になって本圃に定植するのですが、そのときに接がり具合をチェックし、怪しい株は除外して別の畝に植えて生育の様子を見ます。それの畝を見たとき『ああ、プロでも失敗はあるんだな』とちょっと安心・・というか、"親近感"を持ちました(笑)。仮に成功率を98%としても(実際は85~95%程度らしい)、個人のバラ苗農家でも1シーズンに3万本を接ぐのですから、怪しい株は600本にもなります。もし90%なら怪しい株は3000本!ですね。そんなのがいわゆる「B苗」になるんでしょうね。
「成功率90%」というのは「10本に1本は失敗」ということですから驚きますが、失敗というのは「枯れた」ということではありません。バラ苗栽培農家の接ぎ木作業では、「得率(成功率)なんか気にしない、それよりも効率優先」という印象を受けました。なにしろ1本接ぐのに30秒以内ですからね。
私にとって意外だったのは、私たち接ぎ木初心者の「F芽接ぎ」の成功率が悪くない*ことです。私たちのサークルでは、スタンダード台木には芽接ぎをすることが多いのですが、幾つもの嬉しそうな成功事例を聞きました。芽接ぎも比較的安全な接ぎ木の方法ですね。作業もそう難しくはないし、なによりも「心理的な負担が少ない」というのが実感です。バーバラさんも安全で手軽な「芽接ぎ」が好きで、ある時うっかりしてスタンダード台木に芽を天地逆さまに接いでしまいました。どうなったと思います?
*註:ただし地植え台木への「T芽接ぎ(T-budding)」は別で、台木を高畝に植付けても日本式のしゃがみ込んでの作業は高齢者には腰への負担が大きすぎます。「T芽接ぎ」も優れた接ぎ木手法だと思うので、別の方法を考えてみようと思います。
「F芽接ぎ」の成功率が悪くない理由は想像がつきます。芽接ぎの場合は、それに適した「芽」の選択の幅が広いからでしょう。デービッド接ぎや切接ぎでは、穂木の充実度が接ぎ木の成否に大きく影響します。このテーマは以下のページに続きます。
このページにあった「穂木と台木の準備について」は、ページが大きくなりすぎたため移動しました。
新しいページは、2014年11月19日:「穂木と台木の充実度がポイント バラの接ぎ木」です。
かのやばら園イングリッシュローズガーデンのチーフガーデナーであるデービッド B. サンダーソンさんと、鹿屋市「花*薔薇*会」の徳田さんを、「土と植物の薬膳」が製造されている九州大学農学部附属農場や「季の庭」などに案内しました。
2月2日の デービッドさんと徳田さんによるガーデニングセミナーの後、夜は懇親会。おおいに盛り上がりました。お二人をホテルへ送って、私はダウンしましたが、デービッドさんと徳田さんはさらに飲んだのだとか。朝3時に起きて鹿屋市を出発したはずなのに、タフですね。
翌3日は 朝9時に待ち合わせて、まず そらの畑 に。
デービッドさん:『まるで公園みたいね』
べつに褒めてもらってるわけではないのだけれど、なんだか嬉しい。
デービッドさんは、畑の中に籾殻燻炭を作った跡を見つけて、その作り方に関心があるらしく質問攻め。
私の場合はこのように作ります。
2011年7月29日の記事:「籾殻燻炭つくり」
籾殻の乾燥状態や気温、風向きなどの条件が良ければ、2000Lの燻炭を8時間ほどで作ります。チャンスがあったら一緒に作りましょう。
徳田さんは 駕与丁バラ園 は初めてなので、バラ園で待っていたメンバーと公園を案内。
バラ園は剪定が終わりきれいに清掃されていて、いい気分。風車のある時計台に上がりましたが、とても気持ちのよい爽やかなお天気で、見慣れた場所なのに、これまで見たことがないほどきれいな景色でした。
昨年のデービッドさんのガーデニング講座は「日帰り」の強行日程だったので、デービッドさんをバラ園に案内したのは夕刻でした。やはり天候や時刻で印象が異なりますので、このような好天の日に案内できたのは良かったです。『駕与丁公園はきれいなところですね』という徳田さんのご感想が嬉しかったです。
タッキー先輩も来てくれました。今回は先輩のガーデンにお二人をご案内する時間がなくて残念でしたが、次回はぜひ計画したいなと思います。昨夜の懇親会でのタッキー先輩のご挨拶『粕屋町にバラをいっぱい咲かせよう』はすばらしかったですね。感動しました。
続いて 九州大学農学部附属農場 へ。
そこには九州大学農学院の金澤教授(写真・右端)が待っておられて、先生が研究・開発された「土と植物の薬膳」の話で盛り上がりました。 製造を担当している智星さん(粕屋町バラサークルメンバー)の嬉しそうな笑顔がとても印象的でした。デービッドさんとの話も盛り上がっていたようです。
智星さんに、発酵中の「土と植物の薬膳」をショベルローダーで引き出してもらいました。湯気が立ち昇り、さすがHT菌(超好熱細菌)ですね、温度計は優に90℃を超えています。これを何度も切り返し、原材料の有機物が分解され尽くすと発酵が終了し温度も上がらなくなり、完成です。
牛糞堆肥などの発酵温度は65℃前後の場合が多く、その温度では大腸菌やサルモネラ菌などの一部の有害な細菌は死滅しません。「土と植物の薬膳」の優れた特徴は、HT菌(超好熱細菌)による高温発酵によって引き出されます。
「土と植物の薬膳」の原料はすべて九州産のものが使われており、その内容はビール麦芽粕やアガリスク菌床、竹繊維、米ぬか、大豆おから、カキ殻です。『有機肥料』にありがちな、牛糞などの糞尿や下水汚泥は全く含まれていません。製造方法は「堆肥」ですが、これは特殊な土壌改良効果もある「肥料」です。
2015年3月追記:
「土と植物の薬膳」をベースに、さらにアミノ酸+リン酸を強化した「土の薬膳 891000」が完成しました。
その特徴は;
「土と植物の薬膳」や「土の薬膳 891000」の詳細は 金澤バイオ研究所 のサイトを参照してください。
「土と植物の薬膳」は好気発酵なので、複数の大型ブロアで強制的に空気を送り込みます。
HT菌による発酵温度は100℃を超えることもあり、その発酵熱を利用して奥に見えるハウスを暖房する設備があります。
堆肥の発酵熱を利用した温床は、この地域ではサツマイモの苗を育てる「イモ床」があります。近頃はあまり見かけませんが、私のこどもの頃はどこの庭でもあたりまえに見かけたものでした。
九大農学部附属農場を出て、隣町・久山町の「季の庭」に立ち寄りました。入り口の前で。
(写真左から)「花*薔薇*会」の徳田さん、デービッドさん、店長の久芳さん、バーバラ。
デービッドさんお薦めの「スネーブル」の製品も揃っていて、特に「グラウンドエルダー4つめフォーク」や「ディギングフォーク」は、宿根草の株分けやバラ苗の植え付け、施肥などのガーデニング作業にとても便利です。私はまだ持っていないのですがいずれ。
店長の久芳さんはガーデン・デザイナーで、粕屋町バラサークルのメンバーでもあり、13日に予定している「第2回庭作り講習会」の講師です。よろしくお願いします。
この後COSTCOで買い物をして、お二人は午後7時過ぎ無事に鹿屋市に戻られました。
デービッドさん、徳田さん、お疲れさまでした。ありがとうございました。