このブログについて


バラの栽培についての考え方や方法は多様です。その多様性こそが、バラが文化として豊かであることの証左なのでしょう。
"答え"は一つではないとすれば、バラ栽培の楽しさは、"自分のバラの世界を見つけ出す" その過程にあると思っています。

このブログは試行錯誤中のバラ栽培の記録です。一部の記事はバラ仲間に私の方法を紹介するために書いたものもありますが、
「栽培ガイド」の類ではありません。バラ栽培を始めた頃に書いた記事の内容は現在の栽培方法とは異なるものも多く、
技術的にも拙く、論理も雑駁で、誤謬も多々含まれていると思われます。批評的に読んでくださるようお願いします。

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2022年2月7日月曜日

バラの芽接ぎ 方法を見直す

この記事は2月2日:「バラの芽接ぎ "つがり" をチェック」の続編です。

概要

  • 台木は、芽接ぎに失敗した株「ラ・マルセイエーズ」2-1 の逆面を使用
  • 穂木は芽が赤くなっているHT品種の「手児奈」
  • ナイフは OLFA(オルファ)の "クラフトナイフ(L型)" を使用
  • 芽の切り出しと台木の切り込みについて
  • テーピングの「たすき掛け」を確認

ナイフ

OLFA(オルファ)の "クラフトナイフ(L型)" は、いわゆる「切り出しナイフ」型でステンレス刃です。安価なナイフ( Amazonで¥500程度)ですが、バラの芽接ぎには適当な形状と切れ味だと思います。刃の付き方がちょっと特殊なようで研ぐのは難しそうですが、これまた安価な替刃もあります。

芽接ぎだけでなくデービッド接ぎにも使えると思います。刃を折る一般的なカッターナイフよりも安心して使えそうな気がします。ただし、クラフトナイフ(S型)は刃が短いのでデービッド接ぎには使いづらいでしょう。

別のメーカー「NTカッター」の替刃 "BVL-61P" がこのナイフに使えるらしく、この替刃はステンレスではなく鋼(ハガネ)なので、切れ味重視で自分で研ぐ場合はこれに交換するのがベターかも。

追記(訂正)

実際に購入してみると、この替え刃 "BVL-61P" はサイズが異なり、使用することはできませんでした。
誤った情報を流してしまい、お詫びして訂正します。

2023年4月追記

これは福岡バラ会・Nさんの接木用ナイフ。替え刃 "BVL-61P" の基部を電動サンダーで削り "クラフトナイフ(L型)" に使えるように加工した事例。

上段がオリジナルで、オルファ㈱の「クラフトナイフL型」
中下段:刃を NTカッターの替刃「BVL-61P」に交換   

穂木

HT(ハイブリッド・ティ)の「手児奈」から採穂しました。去年伸びた枝の3段目で、枝の充実度は良好です。まもなく始める剪定はこの下の段で切ります。つまり現時点ではやや動きすぎている芽です。まだそれほど動いていない芽もあるのですが、たぶん芽接ぎのベストシーズンから1ヶ月は遅れているのだろうこの時期に、このように赤く膨らんだ芽を接げばどうなるのかも興味があって、この芽を選びました。


芽と台木

下左の写真を見れば、この芽の切片と台木のカットした形状が合っていないことがわかります。特に芽の上半分の幅が台木の切り込みの幅と合っていません。それぞれの「ナイフの刃を入れる角度」が違っているからです。

穂木は、浅い角度で刃を入れそのままほぼ真っ直ぐに(これが間違い)刃を進めています。その結果、芽のある中央部分は適切な幅と厚みですが、基部は刃が深く入りすぎて、形成層が曖昧になっています。ナイフの刃が芽の裏を通過した時点で、刃の角度が浅くなるように変えるべきでした。

芽より上側は切り込みが浅めなので形成層は明瞭ですが、残念ながら台木のそれと合致していません。

そもそも、このように赤くなり動き始めた芽は、芽だけではなくその周囲も膨らんできています。台木のように形成層が平行になるよう切ろうとするのは無理な注文ですね。芽と台木が癒合するまでの時間を考えたら、芽はもう少し小さなときに接ぐのがベターなのかも。

台木の切り方は芽の逆で、最初に深めに切り込んで(これも間違い)、すぐに刃の角度を変えて、表皮と平行に刃を進めています(間違い+間違い)。

このように台木の最初の切り込みが深く=広くなってしまったのは、芽の横幅が意外に広かったから。それを意識しすぎてしまいました。台木の切り込み全体が芽の切片の形状に合った形になるように、最初の部分は浅く斜めに刃を入れ、予定の長さの半分まで達した位置で刃の角度を表皮と平行に変えれば良かったと後悔。

「まず芽を切り出し、その形に応じて台木を切る」と言っておきながら、現場で臨機応変に対応できない自分が情けない。このような細部に拘らずとも芽接ぎがうまくいくキモは何なのか。経験不足なんだろうな。


形成層を合わせ、テープを巻く

芽の切片と台木の切り込みの高さは合致しています。まず芽を切り出し、その長さに見合う位置を台木にマーキングしました。なのでピッタリです。

問題は芽より上の形成層のズレ。やり直そうにも他に台木は無いし。別の芽を切り出せば良いのだけど、すると写真も撮り直し。何よりそれが面倒(笑)。芽の中央部分より下の左右の形成層は合っているようなので、このまま続行。『ま、失敗してもこれは"テスト"だし』と言い訳を探して、自分を納得させる。

接木テープは25㎜幅の「ニューメデール」をカッターナイフで半幅にカット。まず基部を2〜3回しっかり巻いてから、斜め上に向かって芽のすぐ横を通り、芽の上は横に2回ほど巻いて、今度は斜め下に向かって芽の横をカバーしながら、最後は基部で2回ほど巻き、テープを強く引いて止め切る。基部は計4〜5回巻きになっている。


それにしても鈍臭いなぁ。なんか、いろんなことが下手になってきた。失敗した株をカバーするつもりが、失敗に失敗を重ねることになるのかも。

でも、曖昧だった芽接ぎが少しだけはっきりしてきた。今はそれだけでも良かったということにしておこう。
台木は底を突いたけど、この後も「stepmom接木」「芽接ぎ挿し」など、芽接ぎにトライするチャンスがあるのだ。


4月2日 追記 その後

この芽接ぎは約2ヶ月後にこのように育ちました。

2 件のコメント:

そら みたか さんのコメント...


記事中の「OLFA(オルファ)の "クラフトナイフL型" には、「NTカッター」の替刃 "BVL-61P" が使えるらしく・・」というのは誤った情報でした。刃のサイズが異なり、使用することはできません。お詫びして訂正します。
 

そら みたか さんのコメント...

OLFA(オルファ)の「クラフトナイフ L型」に、NTカッターの替刃「BVL-61P」を取り付けた事例を、2023年3月2日の:「デービッド接ぎ」の記事中に追記しました。写真を掲載しています。