"Stepmom 接木" って?
バラの接木は栽培したい品種を台木に接ぎますが、ガーデンローズの場合、台木の品種は国内では「ノイバラ」(ロサ・ムルティフローラ)が一般的です。台木として優れた特性を持っていますが、台木はノイバラに限定されるわけではありません。その土地で、接ぎたい品種よりも旺盛に生育し、病虫害に強く寿命も長ければ、台木に使えます。栽培品種との相性もあるんだそうですが、それは私にはわかりません。
"stepmom"(ステップマム)とは「継母」のこと。この場合(ノイバラ台木に接がれた)栽培品種の枝を台木に見立てて、それに接木するという方法です。
これはboketanさんの「新苗で秋に勝負 5・6月」に掲載された<パラサイト作戦>にヒントを得ています。でも今回は、boketanさんのようにテーマを持って取り組んでいるのではありません。
概要
- "Stepmom 接木" というのは私の造語。日本語の「継母」(ままはは)という言葉にはネガティブな響きがあるけど、"stepmom接木" にそのような意味合いはなく、むしろ「慈母」のイメージ。
- 今回 stepmom にするのはHTの「メルヘンケーニギン」と「クリスチャン・ディオール」の2品種。いずれも往年の(?) 銘花で、自作接木苗の5年生。
- 接ぐ品種はHTの「あけぼの」 作出者:川合慎一 1964年
- 方法はF芽接ぎ(貼り芽接ぎ)と、デービッド接ぎの枝残しと無しの2パターンの計3通り。
- どの株もステムを3本にし、それぞれに1芽、計9芽を接ぐ。
- 芽は、剪定予定位置の1段上を採穂。 既に2月、芽はかなり動いていて段の中程の良芽は使えない。やむを得ないので、ABAの発芽抑制が効いているかもしれない付け根付近の小さな芽を使った。
- 接いだ位置は、本来の剪定で残すであろう芽の付近(昨年伸びた枝の基部から20cm前後)。
- この試みは "Stepmom接木" をとりあえず試してみるという程度の安直なもの。boketanさんのように「接いだ品種の開花後に、株を元の状態に戻す」予定はなく、stepmom から発生するシュートは掻き取って伸ばさないつもりだが、先のことは今はわからない。
背景
今回接木する「あけぼの」は好きな品種のひとつで、これは今後も栽培を続けたい。栽培が難しい品種なんだそうで、私も昨年の花は良くなかった。現在6株を栽培中だが、花だけでなく株そのものの生育も悪く、まともなシュートは少しだけ。その原因はわかっていないが「仕切り直し」が必要かもと考え、この stepmom接木 による9芽とは別に、普通の台木を使ったデービッド接ぎで9本を既に接いでいて、現在、元気の良い芽が2〜3cmほど伸びている。
私の「あけぼの」のオリジンは福島康宏先生が自ら切ってくださった枝。でも栽培を始めた最初の数年間はケバいだけの花だった。捨てようかと思っていたら、5年目にこの花が咲いた。
2020年10月24日 福岡バラ会 第137回 秋のばら展
コンテスト部門 HT3部一花 天賞
「あけぼの」を気品あふれる花として咲かせたい。
2020年12月20日「バラの気品を探して」
台木に見立てる「メルヘンケーニギン」と「クリスチャン・ディオール」は、私の環境では「あけぼの」よりも素直に元気よく育っている品種。それを stepmom にして「あけぼの」を育ててみる。
もちろん遺伝子レベルではstepmomの影響は受けないと思うが、実栽培でどのような違いが出るか出ないのか、それが楽しみ。
内容
1 デービッド接ぎ 枝残しバージョン stepmom =「メルヘンケーニギン」
この方法はやはりテーピングが面倒だと思う。デービッド接ぎと出会った頃はそんなに感じなかったんだけど、今は指先が動かず細かい作業が苦手になってきている。今回は接ぎ穂の先端にはテープを巻かないで「カルスメイト」を塗布した。
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