第3回芽接ぎ勉強会のときに、私のバラ園予定地の草取り作業をしていただきました。それを契機に、準備作業(土作り=大量の牛糞堆肥と籾殻燻炭を投入して天地返し)を進めています。りんかちゃん、みなさん、ありがとう。そこに植える予定のバラ(1~3年生)の株元を調べながらバーバラが『接ぎ木苗よりも挿し木苗の方が健全に育っているみたい』とつぶやいています。
それらのバラは、バラサークルに入会してからのこの3年の間に、挿し木と接ぎ木で作ったおよそ50株です。少し思うところがあっていずれも放任(無肥料・無農薬)栽培です。
『無肥料・無農薬で育たないやつはおれのところに植えられる資格はない』などと無茶苦茶な屁理屈を捏ねて自分の怠慢をごまかしていたのですが、最近はバラの方が『ちゃんと面倒を見れないやつにバラを栽培する資格はない』などと口応えをするようになりました。3年生になって、誰かさんみたいに生意気になりました(笑)
与太話はさておき、このような状況ですから語る資格はないのですが、なぜか人気がない挿し木(自根)のバラも捨てたもんじゃないと思っています。
広島バラ園の田頭先生の『バラの寿命は10年程度』というお話が気になって、サークルの先輩方の経験を聞いているのですが、『もしかしたらそれは接ぎ木したバラゆえかも?』と(さしたる根拠もなく)思ったりもしています。
岐阜大学 応用生物科学部 園芸学研究室 福井博一教授の「種苗生産学(Nursery Plant Production)の講義内容」から一部引用:
2)2)接ぎ木繁殖 ⑦花芽分化の促進
通常接ぎ木をすると、台木と穂木との間の接ぎ木部位の維管束の結合が必ずしも順調にいくとは限らず、養分の移行が不良となることが多い。その結果、光合成産物が地下部に移行しにくくなり、接ぎ木上部に炭水化物が蓄積されるようになる。
たぶんそれだと思うのですが、株元が(特にスタンダード仕立ての接いだ部分が)異様に膨れ上がったものがあちこちにありますよね。果樹などではこれは歓迎されることなんでしょうね。バラも花数が増えたり大きな花が咲いたりするのかもしれませんが、寿命という点ではどうなんでしょう?
以前にも紹介したことのあるPaul Zimmermanさんの
"The Difference Between Own Root and Grafted Roses" (YouTube)
このビデオでは接ぎ木と自根の違いの説明した後に自根バラの利点を述べていますが、HTや切り花品種,展示会に出すバラを除く、ガーデンローズ(シュラブやクライマーやランブラーなどを含む)には自根バラを薦めています。その理由は、自根だから次々に新しい cane (茎 シュート)が出てみごとなブッシュを作ることと、寒さに強いことを挙げています。
備考:Paulさんの前歴はスタンダップ・コメディアン(日本風に言えば「お笑い芸人」?)だったんですね。どうりでしゃべりが上手でおもしろいはずです。
「ブッシュ」と言えば;
グリーンパーク・バラ園を訪問したときの2枚目の写真で、小林さんの背後にあるバラ、特に右手の下方向にあるバラの株元を見て驚くのですが、たくさんの茎が出ています。これは自根ではなく接ぎ木でしょうが、バラのブッシュの理想的な形のひとつと思います。株元には自然な陰ができ、風が吹けば枝や花がそよぐという、そんな風情です。栽培方法は異なるにしても、私もこんなバラのブッシュを作ってみたいです。
Paulさんに戻って、誤訳混じりの超意訳;
接ぎ木の方が初期生育が早い』というが必ずしもそうではない。なぜならば、接ぎ木苗は購入する時点で既に2歳半なんだ。台木の育成に半年、接ぎ木後に2年の育成期間。挿し木の2歳半と較べたら一目瞭然。
なぜか笑ってしまうほど強引な比較ですが、妙に納得するところがありますね。
"Own Root First Season" では、"less" をキーワードに自根バラ1年目の育て方を説明して、『最大で最も重要なことは patience(我慢・忍耐)』と言っています。
私のこのでかい手のひらも赤ん坊のときは小さかった。赤ん坊のバラが育っていく、その過程を見守ることをエンジョイしてください。
0 件のコメント:
コメントを投稿