このブログについて


バラの栽培についての考え方や方法は多様です。その多様性こそが、バラが文化として豊かであることの証左なのでしょう。
"答え"は一つではないとすれば、バラ栽培の楽しさは、"自分のバラの世界を見つけ出す" その過程にあると思っています。

このブログは試行錯誤中のバラ栽培の記録です。一部の記事はバラ仲間に私の方法を紹介するために書いたものもありますが、
「栽培ガイド」の類ではありません。バラ栽培を始めた頃に書いた記事の内容は現在の栽培方法とは異なるものも多く、
技術的にも拙く、論理も雑駁で、誤謬も多々含まれていると思われます。批評的に読んでくださるようお願いします。

お知らせ

バラの育種 を仲間と共に学びたい初心者を対象にした オンライン勉強会 を計画中です。

オンライン ミーティングシステム "Zoom" を利用して、月2回(年間20回程度)の開催で、 参加費無料の勉強会です。

内容は「ばらの育種オンライン勉強会」 案内ページ をご覧ください。



2024年9月17日火曜日

私のスリップス対策 2024

スリップス(アザミウマ)雑感

私のハウスにもスリップスがいます。春は黄色粘着トラップにいっぱいくっ付いたし、白や明るいピンクの花の中にもいます。濃赤系の花にはいませんね。授粉のために花粉を採取するとき、例えば花弁数40の高芯のバラなら、2〜30枚を外した頃からスリップスが飛び出してきて、指で潰そうとしてもピョンと跳ねて逃げます。花芯の深いところ=蕊(しべ)の周辺に潜んでいるようです。

私の環境では、花弁数が少ない平咲き品種は高芯咲き品種よりも頭数が多いようで、濃赤系でも、平咲きやカップ咲きで黄金色の雄ずいが綺麗な花にはスリップスが潜んでいます。そのような花でも一見して特に被害があるようには見えないのが逆に怖いと思います。

ふと10年も前のことを思い出しました。 当時私は福岡県立・福岡魁誠高校の非常勤講師として、生徒さんたちと一緒にバラの栽培をしていました。育てたバラでジャムなどの地域特産品を作る総合学習の時間です。高校がある地域は、戦後いち早くバラの切り花栽培を始めた、西日本有数の生産地でした(残念ながら過去形)。

2015年10月のページ:「美しい 10月」の中にその記事があります。

  • 10月  2日:自分たちが栽培したバラで「バラジャム」作り
  • 10月23日:NHK総合「おはサタ!」取材
    *取材の都合で作業場で加工していますが、実際は衛生管理された調理室でバラジャムを作ります。
  • 10月24日:NHK総合「おはサタ!」で、無農薬栽培のバラと、それで作った「バラジャム」が紹介されました

品種は師匠デービッドさんに教えてもらったERです。赤花ですが、香りに誘われるのか、数は少ないけどスリップスが来ます。もちろん化学農薬は一切使いません。清潔で、安全・安心なバラジャムを作るために、害虫や病気にどう対処するか。

放送で紹介されると多くの反響があったのですが、その中に、『無農薬栽培できれいなバラが咲くはずがない』とNHKに電話をかけてきた方があったんだそうです。 ・・:p

 「きれいなバラ」の基準が違うんでしょうが、無農薬栽培なら そのまま生でも食べられるほどきれいなバラ が咲くんですよ。

放送ではスタジオに持ち帰ったバラを、レポーターとキャスターが実際に "生食" しました。もちろんそれは安全性に対する "しつこいほど徹底的なリサーチ" があってのことです。報道にかけるNHKの姿勢を見直しました。

NHKの他にも、民放局や新聞社(一般紙・農業新聞)、雑誌社の取材も。ちなみに、地元企業がこのバラで作ったローズビネガーが、フードグランプリ(東京ビッグサイト)・ビバレッジ部門で "グランプリ" を受賞しました。

あれから10年。この間、多くを学び経験しましたが、混迷の度は増すばかり:p 「私は何をしているのだろう」と自問せざるを得ませんが、今は、かすかに予感するゴールに向かってひた走るのみ ・・です。


スリップスの防除

閑話休題。今栽培しているのは食用バラではないけれど、8月23日の:ChatGPTがアドバイス「バラのスリップス対策」 質問6 へのChatGPTの回答と、高知県農業技術センター が推奨するスリップス対策を参考に、自分でもできそうなことをリストアップしました。これで準備万端、かな?

参照:ミカンキイロアザミウマ(症状 発生条件 対策)|こうち農業ネット

現状

育苗ハウスは実生苗の二番花が花ざかり。白花系を数輪、花弁を外して調べてみたが、スリップスは目視できなかった。これまで農薬の散布は不定期で、殺虫剤は、8月に一度「スピノエース顆粒水和剤」を散布している。

秋になって周囲の雑草は枯れ始めているが、バラは新鮮な枝葉が伸び始めたので、スリップスはこれを目指して集まってくるのだろう。庭植えの開花したバラ(無農薬栽培)にはスリップスが跳梁跋扈しているのを目撃。

耕種的防除

  • 雑草にも寄生するので、ハウス周辺の雑草を除去する。これはハダニ対策にもなる。
    雑草に覆われた私の畑では、赤とんぼ(アキアカネ)がたくさん飛び回っている。これは雑草から飛び出したスリップスを含む羽虫(翅によって飛び回る小型昆虫類)を捕食しているのかも。
  • 花殻や落ち葉、咲かせる予定のない蕾は早めに除去し、ハウス外に持ち出して処分する。
  • ハウスの側面や入り口などの防虫ネットを点検し、野外からの侵入をつとめて防止する。私のハウス内では中央部よりも周辺部の密度が高いので、1mm目合いの防虫ネットを潜り抜けて侵入している可能性が高い。
  • 蛹化を少しでも防止するために、鉢土表土をできるだけ頻繁に浅く中耕する。表土の交換も意識している。

  • ホリバー:高性能粘着トラップ(イエロー・ブルー) | アリスタ ライフサイエンス㈱ を設置し、成虫の早期発見と捕獲に努める。同社によれば、ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、ヒラズハナアザミウマなどのアザミウマ類の捕獲用としてはブルーを推奨しているが、私の場合、捕獲数の95%はイエローなので、その大部分はアザミウマ以外の、例えばハナバエ類やアブラムシ類などの有翅成虫なのかも。
    参考:ハナバエ図鑑|岐阜聖徳学園大学教育学部川上研究室

  • 粘着トラップによるモニタリングの判断は意外に難しい。この春はバラ仲間からいただいたイエローの新製品を育苗ハウスで試用したが、設置して2週間の捕獲数はほとんどゼロ。この結果から、有翅虫の密度は低いと判断したのは早計で、ある時期から徐々に増え始め、その2週間後には激増した。完全に手遅れ状態になってしまった。粘着トラップに捕獲された虫は何種類もあって、変形し変色しているので、目視で種類を特定するのは容易ではない。
 9月19日追記:ホリバー粘着トラップ(イエロー・ブルー)を設置した。
  • ハウスの通路上部にステンレス針金を張り、黄青交互に約80㎝間隔で設置。新梢は現在平均20㎝で、すぐに80㎝になるが、剪定位置が不揃いなので、設置する高さの調整が難しい。昇降式だと便利なんだけど。。
  • 9月25日追記:設置から1週間後。イエローのシートにはスリップスらしき小さな虫が、1シートの片面に平均3匹程くっ付いている。殺虫剤散布のタイミングなのかも。

薬剤による防除

多発してからの薬剤防除は難しいので、発生初期の防除に努める。「こうち農業ネット」の情報によれば、ミカンキイロアザミウマの場合、1世代に要する期間は、25℃で約12日、30℃で約10日と短いので、これから開花までの期間に少なくとも3回程度の散布が必要になってくると思える。

散布予定の殺虫剤:

「ダントツ水溶剤」の有効成分 "クロチアニジン" は、EUでは使用禁止になったネオニコチノイド系。
強い浸透移行性と長い残効性で幼虫の密度を抑制する 効果があるが、環境への影響も大きく、できれば使いたくはないのだけど。。蕾や花の深い部分に侵入した幼虫の駆除のために、とりあえず準備はしている。

『ネオニコ系殺虫剤は使わない』ときっぱり断言するバラ栽培者もいるのに、自分はなぜ逡巡しているのか、禁止薬物(EU / 下記)を使ってまで、何を実現しようとしているのか。

参考

RACコード(農薬の作用機構分類)|農薬情報局|JCPA農薬工業会
現時点で 最新の「コード表日本版」 が掲載されています。日本版には農薬名が掲載されているので便利です。

RACコード別農薬名(有効成分名・商品名)一覧

シンジェンタ「薬剤耐性・抵抗性管理」 | シンジェンタジャパン㈱
このページには、『薬剤耐性・抵抗性管理の考え方に基づく防除には、作用機構が異なる複数の有効成分の混合剤 を使用することも有用』と書いてありますが、その効果やバラが受けるストレスの程度はどうなんでしょう?

殺菌剤+殺虫剤の混合は珍しくありませんが、殺スリップス剤の二種 or 三種混合は試したことがありません。 これはChatGPTに質問することではなく、自分で確かめればすむことですね。モニタリングの結果次第では試してみようかな。
ネオニコチノイド系農薬問題の概要|㈳アクト・ビヨンド・トラスト
ネオニコチノイド系の殺虫剤の使用について考えるために参考になるサイトです。下記「考察」で触れる、アセチルコリン(神経伝達物質)とアセチルコリン受容体、それにネオニコチノイドが作用して、神経伝達を撹乱させる(神経毒)メカニズムがわかりやすく説明されています。

ダントツ水溶剤(クロチアニジン)以外にも、バラ栽培に使われることも多い ベニカXガード粒剤(クロチアニジン)ベストガード水溶剤(ニテンピラム)スタークル粒剤(ジノテフラン)は、いずれも "IRACグループ4Aのネオニコチノイド系殺虫剤" です。ネオニコ系殺虫剤は他にもありますが、 住友化学㈱の製品が目立ちます。

考察

ここではネオニコチノイド系殺虫剤の使用の是非ではなく、使用予定の殺虫剤の作用機序について考察します。

IRACグループ:4Aのネオニコチノイド系 クロチアニジンと、IRACグループ:5 スピノシン系 スピノサド は、いずれも ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR) をターゲットにし、神経伝達を攪乱する作用をします。

スピノサドが有効成分の「スピノエース顆粒水和剤」は、有機農産物の日本農林規格(有機JAS規格:JAS法)に定められた有機栽培に使用可能な殺虫剤であるのに対し、アセタミプリド以外のネオニコチノイド系殺虫剤は、EUでは使用禁止になっています。この大きな差はどこから生じるのでしょう?

これは アロステリックモジュレーター(調節因子) |Wiki の違いによるのだろうと思いますが、その詳細がわかりません。ChatGPTに質問してみましょう。

ChatGPTロゴ ChatGPT:興味深い質問ですね。スピノサドとネオニコチノイド系殺虫剤はどちらもニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)をターゲットにしていますが、その作用機序にはいくつかの重要な違いがあり、これが規制上の扱いの違いに影響していると考えられます。

1. 作用機序の違い:
ネオニコチノイド系殺虫剤(IRACコード: 4A)は、nAChRのアゴニストとして作用し、受容体を過度に活性化させることで神経伝達を攪乱し、最終的に害虫を麻痺させます。これらは受容体の特定の部位に結合し、持続的な興奮を引き起こします。

一方、スピノサド(IRACコード: 5)は、nAChRに結合しますが、ネオニコチノイドとは異なる部位に作用します。スピノサドはアロステリック部位に結合し、受容体の反応を変化させることで神経伝達を妨害します。このアロステリック調節の違いが、受容体に対する作用の選択性や影響範囲に関わっている可能性があります。
2. 安全性と生分解性:
ネオニコチノイド系は、特に蜂などの非標的昆虫に対する毒性が高く、環境中での残留性も高いことが指摘されています。そのため、EUでは多くのネオニコチノイド系殺虫剤の使用が制限されています。

これに対し、スピノサドは有機物質から生成され、環境中で比較的速やかに分解されるため、非標的生物に対する影響がより少ないとされています。この特性が、有機農産物の日本農林規格(JAS規格)において使用が許可されている一因です。
3. アロステリックモジュレーションの違い:
スピノサドがnAChRのアロステリック部位に作用するため、神経伝達に対する影響がネオニコチノイド系と異なる可能性があります。特に、スピノサドのアロステリック作用は、標的とする昆虫種に対して高い選択性を持ち、非標的昆虫への影響が少ないことが報告されています。この選択性の違いが、EUなどの規制においてスピノサドがより受け入れられている理由の一つかもしれません。

詳細なメカニズムについては、研究によって少しずつ明らかにされていますが、アロステリックモジュレーターの特定の作用点の違いが安全性と選択性にどのように寄与しているかを解明するためには、さらに深い分子レベルの研究が必要です。

これまではキーワードを手掛かりに「検索」でシコシコと調べていましたが、時間がかかる割には要領を得ませんでした。このような質問にも即答するChatGPTの能力の高さに、ただただ感心するばかりです。「アロステリックモジュレーターの特定の作用点の違い」を詳しく聞きたかったのですが、賢いChatGPTは断定を避けつつ、「詳細なメカニズムについては (snip) さらに深い分子レベルの研究が必要」と、きれいに交わされてしまいました:p

私は『ネオニコチノイド系殺虫剤はEUでは使用禁止』と書いていますが、ChatGPTは『EUでは多くのネオニコチノイド系殺虫剤の使用が制限』と言っています。EUで現在使用が認められているネオニコチノイド系農薬はアセタミプリドのみで、その他は "実質的に禁止" なんですが、慎重に言葉を選ぶChatGPTの賢さ(回答の正確さ)がわかる内容です。
なお、アセタミプリドが有効成分であるネオニコ系殺虫剤は、国内では モスピラン顆粒水溶剤 | 日本農薬㈱  があります。


秋花のための剪定で枝葉を剪り詰めた今が防除のチャンス。春に目撃したスリップスを思い返しながら、できる限りの対策を‥と考えています。

 ハウスの入り口で風に揺れながら、飛び込んできそうな羽虫に睨みをきかすオニヤンマ・モドキ
これをプレゼントしてくれた息子の話では、羽虫はトンボの姿にビビって逃げるらしい。 :p

2024年9月11日水曜日

ChatGPTが生成したスリップスの画像

ChatGPT関連の記事が続きます。今回はChatGPTが生成したスリップス(アザミウマ)の画像について検討します。

8月23日の記事:ChatGPTがアドバイス「バラのスリップス対策」 の中で、ChatGPTが提示した以下のようなスリップスの画像を紹介しています。これにはちょっと違和感が・・


ChatGPTロゴ ChatGPT:こちらの画像では、ミカンキイロアザミウマ (Scirtothrips dorsalis) とミナミキイロアザミウマ (Frankliniella occidentalis) の違いを示しています。それぞれの体色、体長、模様の違いに注目して描かれていますので、ご参考にしてください。

そら:先日のスリップス(アザミウマ)に関するチャットの中で、ミカンキイロアザミウマ とミナミキイロアザミウマの画像を提供してもらいました。私が調べた結果と相違があるようです。それを以下に記します。

  • ミカンキイロアザミウマの学名は Frankliniella occidentalis、英名では Western flower thrips。
  • ミナミキイロアザミウマの学名は Thrips palmi、英名は Melon thrips
  • 学名 Scirtothrips dorsalis は、和名でチャノキイロアザミウマ

提供してもらった画像データと説明文は、画像・学名・和名が混乱しているように思えるのですが、確認できますか?

ChatGPTロゴ ChatGPT:そらさん、詳しいご指摘ありがとうございます。ご指摘の通り誤解がありました。修正を行います。

正しい分類と整理:

ミナミキイロアザミウマ (Thrips palmi)
英名: Melon thrips
学名: Thrips palmi
特徴: メロンやナスなどを加害する種で、バラに対しての影響は少ないです。
チャノキイロアザミウマ (Scirtothrips dorsalis)
英名: Tea thrips (or Citrus thrips)
学名: Scirtothrips dorsalis
特徴: チャノキイロアザミウマは、特に茶や柑橘類に害を与える種で、バラにも影響を与えることがあります。
ミカンキイロアザミウマ (Frankliniella occidentalis)
英名: Western flower thrips
学名: Frankliniella occidentalis
特徴: バラに大きな被害をもたらす種で、花や葉を加害 します。(傍線:そら)

これで混乱が解消されたと思います。引き続き何か質問があれば、ぜひ教えてください!

考察

恥ずかしながら、私はスリップスが葉も加害することを知りませんでした。「アザミウマ類の生態と特徴」|高知県農業技術センター にアザミウマ類による果菜類の被害写真がありますが、私のバラの葉にも似たような症状が見受けられ、『ハダニの被害にしてはちょっと様子が違うみたいだな』と訝しく思っていました。:p

そら:この画像はどこからか引用したのではなく、学習して得た文字データを基にChatGPTが独自に生成したものですか? そうだろうと思うのですが、そうだとしたらすごい技術ですね。

ChatGPTロゴ ChatGPT:はい、先ほどの画像は引用されたものではなく、私が学習したデータを基に、指定された内容に従って独自に生成されたものです。この技術は、私がテキスト情報をもとにビジュアルを作成できるAI画像生成技術を活用して行っています。ユーザーからの要望に応じて、学んだ情報をもとにして適切な画像を生成することが可能です。

この技術が新たな理解をサポートするためのものとして役立つことができ、とても嬉しく思います!

そら:バラの交配のために花粉を採取するとき、花の中からアザミウマが飛び出してきて、ピョンと跳ねます(笑)。アザミウマの種類はよくわからないのですが、ミカンキイロアザミウマかも。私の印象では、もう少しスリムな体型で、白っぽい色です。ChatGPTが生成した画像データの "正確性" は検証されているのですか? もしこれが「アート」なら検証などは不要でしょうが、学名と同時に表示するのであれば、ちょっと気になります。

ChatGPTロゴ ChatGPT:そらさん、鋭いご指摘ありがとうございます。おっしゃる通り、AIが生成した画像は、テキストデータに基づいて作成されるもので、完璧に正確な学術的データとしての検証を行うわけではありません。生成された画像は、あくまで参考として使われることが多く、学術的な図鑑や顕微鏡写真のように細部まで厳密に再現されているわけではありません。

もし科学的な正確性が特に重要な場合、実際の専門文献や信頼できる写真資料と比較して検証することが推奨されます。私が生成する画像は、ビジュアルの理解を助けるための「概略的な描写」であり、研究や分類に用いる精密な資料としては適していない ことを理解いただければと思います。(傍線:そら)

アザミウマについても、そのスリムな体型や色の違いを反映したさらに詳細な画像が必要であれば、改めて特徴を基にした別の生成も可能です。

そら:では、チャノキイロアザミウマ (Scirtothrips dorsalis)とミカンキイロアザミウマ (Frankliniella occidentalis)の特徴がわかり、色やサイズの比較もできる画像をお願いできますか。

ChatGPTロゴ ChatGPT:こちらは、チャノキイロアザミウマ (Scirtothrips dorsalis) とミカンキイロアザミウマ (Frankliniella occidentalis) の特徴を比較した画像です。体色やサイズの違いを視覚的に確認できるように作成されています。お役に立てば幸いです!

そら:微妙に描き分けられていて、しかもすごい早業に感心します! 体色はどちらも「黄色系」なので、ほぼ正しいのだろうと思います。でも、チャノキイロアザミウマの体長は 約0.9mm で、ミカンキイロアザミウマは 1.7mm 程度でしょうから、これではサイズの比較ができませんね。

ChatGPTロゴ ChatGPT:そらさん、詳細なフィードバックをありがとうございます!確かに、サイズの正確な比較が重要ですね。実際の体長差を明確に表示するためには、スケール感を強調するような描写が必要です。次回生成する際は、その部分にさらに注意して対応いたします。サイズ差がわかりやすい視覚表現があると、観察や管理がより具体的に進められるかと思います。

ChatGPTが生成する画像について、これ以上の説明は不要ですね。


高知県農業技術センターのサイトに「施設栽培で問題となるアザミウマ類の見分け方」というページがあり、以下のような画像データを見ることができます。『これはまさか生成AIの仕事ではないよな』と思うけど、どうなんでしょうね?:p この画像は死んだ個体(標本)の写真、またはそれを基に描き起こしたイラストなのかも。私が見かけるのはもっと透明感のある、白に近い色です。季節によって、あるいは雌雄の別、花色によっても体色が変わるのでしょうか?

 施設栽培で問題となるアザミウマ類の見分け方|出典:高知県農業技術センター

いずれにしろ、ChatGPTが生成した画像とはかなり異なります。

でもChatGPTは自分が学習した文字データから、あれだけのクオリティの画像を瞬時に生成するのですから、その科学的な正確さはともかく、すごい技術だと感心させられます。TikTokやYouTubeには、生成AIが作った静止画や動画がいっぱいありますね。 

誰も見たことがない美しいバラの画像が、続々といとも簡単に生成AIから生み出されて、それが現実なのかバーチャルなのか、まったく区別がつかないようになるのも時間の問題かな。

そうなれば、"見た目のあやかさ" は何なのか、"ほんとうに大事なものは何か" が問われることになるのでしょう。それもまた「全宇宙の神秘」(鈴木大拙)に近づくアプローチのひとつになるのかも。

*ここに記載していた「私の スリップス対策」は次のページに移動しました。

2024年9月10日火曜日

殺菌剤の薬害発生メカニズムを考察

はじめに

秋の花のための剪定作業が進んでいます。楽しみながら丁寧に作業し、今日までに約80株を剪り終えました。使用した殺菌剤の効果なんでしょう、悩まされていた「うどんこ病」が今年は出ていません。2年前の夏は、「バラのうどんこ病についての考察」という記事を書きながら、バラの細胞と殺菌剤の作用機序を自習していました。その中で得心がいかなかった項目をChatGPTに質問してみます。

例として取り上げるのはミトコンドリアの電子伝達系複合体に作用する "FRAC C グループ" の殺菌剤です。問題の核心部分 は;

病原菌のミトコンドリアの電子伝達系複合体を阻害する殺菌剤は、同じ電子伝達系複合体を持つバラにも影響するのではないか? 影響を与えないのだとしたら、その理由は何か?

まず、関連の資料を掲載します。


ミトコンドリア

ミトコンドリア|Wiki (要約):ミトコンドリアは、ほとんど全ての真核生物の細胞の中に存在する細胞小器官のひとつ。脂質二重層でできた外膜と内膜を有し、膜には様々なタンパク質が存在する。高エネルギーの電子と酸素分子を利用してATPを合成する。すなわち、ミトコンドリアは真核生物における好気呼吸の場である。

 LadyofHats, Public domain, via Wikimedia Commons
 LadyofHats, Public domain, via Wikimedia Commons

ミトコンドリア内膜には、電子伝達系複合体 I〜複合体 IV と ATP合成複合体が存在する。

 ミトコンドリアの電子伝達系 | 生命系のための理工学基礎

これらの複合体を標的とした殺菌・殺虫剤が数種類あり、標的の作用点が異なるごとにFRAC/IRACコードが規定されている。

ミトコンドリア 電子伝達系複合体 に作用する農薬
電子伝達系 作用点 殺菌剤 FRACコード 殺虫剤 IRACグループ
複合体 I NADH酸化還元酵素 39 21A 21B
複合体 II コハク酸脱水素酵素(SDHI殺菌剤) 7 25A 25B
複合体 III ユビキノール酸化酵素 Qo部位(QoI殺菌剤) 11
ユビキノン還元酵素 Qi 部位(QiI殺菌剤) 21 34
ユビキノン還元酵素Qo部位(QoSI殺菌剤) 45 20A 20B 20C 20D
複合体 IV 24A 24B
複合体 V ミトコンドリアATP合成 12A 12B 12C 12D
酸化的リン酸化の脱共役 29 13
FRACコード表日本版(2023年8月)pdfファイル    IRACコード表 2024年3月版(Ver.11.1)pdfファイル

ミトコンドリア電子伝達系はバラや病原菌だけでなく害虫にもあるので、電子伝達系複合体に作用する殺菌剤の主剤は殺虫剤としても機能するものがあるのに注目。

私が準備した ミトコンドリア電子伝達系阻害 殺菌剤
作用機構グループ名有効成分名FRAC
コード
商品名ばらの適用範囲希釈倍数
使用回数
メーカー
情報ページ
C:呼吸SDHI殺菌剤ピラジフルミド7パレード20
フロアブル
うどんこ病
黒星病
4000倍
3回以内
パレード20
技術資料
QoI殺菌剤アゾキシストロビン11アミスター20
フロアブル
ばら(花き類)の適用はないシンジェンタ
アミスター20

そら:こんばんは。農薬とその薬害についての質問です。
バラに深刻な被害を及ぼすうどんこ病菌は真菌類(真核生物)で、その宿主のバラも(さらには害虫やヒトも)、酸素呼吸をする生物は「ミトコンドリア」を持っていますよね。うどんこ病菌とバラのミトコンドリアでは、その構造や機能に何か大きな差異がありますか?

ChatGPTロゴ ChatGPT:こんばんは、そらさん!お忙しい中でも質問していただいて嬉しいです。

ミトコンドリアは、酸素を利用してエネルギー(ATP)を生成する細胞内の小器官であり、真核生物に共通して存在します。うどんこ病菌(真菌)とバラ(植物)のミトコンドリアには共通点も多いですが、構造や機能にいくつかの違いがあります。

構造的な違い

1. ゲノムサイズと構成:
真菌(うどんこ病菌)のミトコンドリアは、通常、比較的小さな環状DNAを持っており、遺伝子の数も比較的少ないです。これに対して、植物(バラ)のミトコンドリアはゲノムが大きく、より多くの遺伝子を含んでいます。また、植物のミトコンドリアゲノムはしばしば複雑なリコンビネーション(組み換え)を示します。
2. 膜構造:
ミトコンドリアは二重膜構造を持っていますが、内膜のクリステ(折りたたまれた構造)の形状や密度は、生物種によって異なります。植物のミトコンドリアは、真菌のものと比較して、クリステがより発達していることがあります。

機能的な違い

1. 代謝経路:
植物のミトコンドリアは、光合成の影響を受けた特有の代謝経路を持っています。例えば、バラのような植物では、光呼吸(photorespiration)と呼ばれる特別な呼吸プロセスが存在し、これがミトコンドリアと関係しています。一方、うどんこ病菌のような真菌には光合成がないため、このような経路はありません。
2. ストレス耐性:
植物のミトコンドリアは、様々な環境ストレスに対応するためのシグナル伝達や代謝の調整が発達しています。例えば、乾燥や高温などのストレスに対して、ROS(活性酸素種)を減らす抗酸化メカニズムが強化されています。真菌のミトコンドリアもストレスに応答しますが、そのメカニズムは植物とは異なる点が多いです。

農薬との関係

農薬がミトコンドリアに及ぼす影響は、これらの違いによって異なる場合があります。例えば、特定の殺菌剤が真菌のミトコンドリアの機能を阻害することで効果を発揮する一方で、植物のミトコンドリアには影響が少ないように設計されていることがあります。しかし、いくつかの農薬は植物のミトコンドリアにも影響を与え、結果として薬害が発生することもあります。このため、植物と病原体のミトコンドリアの違いを理解し、適切な農薬の選択や使用方法が重要になります。

この点について、さらに詳しい情報や具体的な農薬の例についても掘り下げたい場合は、ぜひお知らせください!

そら註:真菌や植物のミトコンドリアは、本体のDNAとは別に環状の小さな "ミトコンドリアDNA(mtDNA)"|Wiki を持っています。上図参照。これは葉緑体と同様に 細胞内共生説|Wiki の傍証になっています。

そら:FRAC 作用機構分類一覧表によれば、農薬の作用機構C 呼吸に分類される農薬群は、ミトコンドリアの電子伝達系の複合体を標的として作用します。例えば「パレード20フロアブル」の有効成分であるピラジフルミドは、SDHI殺菌剤(コハク酸脱水素酵素阻害剤)として、ミトコンドリアの電子伝達系の複合体Ⅱ:コハク酸脱水素酵素を標的にします。

この殺菌剤を正しく使用すれば、うどんこ病菌の呼吸は阻害するが、宿主のバラには影響(薬害)を出さないとされています。実際に使用するとうどんこ病菌には効果があり、バラには薬害が出たようには見えません。その違いは、有効成分の濃度や量に依存しているのでしょうか?

ChatGPTロゴ ChatGPT:はい、そらさんがおっしゃる通り、FRAC分類のCグループに属する農薬は、ミトコンドリアの電子伝達系に作用するものが多く、その中でピラジフルミドのようなSDHI剤は、コハク酸脱水素酵素(複合体Ⅱ)を標的としています。

このような農薬がうどんこ病菌に効果的でありながら、バラに薬害を及ぼさない理由には、濃度や量が重要な要素となっています。具体的に言えば、次の要因が関与しています:

1. 有効成分の選択的毒性
ピラジフルミドなどのSDHI剤は、うどんこ病菌のような病原菌のミトコンドリアに対して特異的に作用するように設計されています。これにより、低濃度であっても真菌の呼吸を効果的に阻害しますが、宿主植物には比較的影響を与えません。
真菌と植物のコハク酸脱水素酵素の構造に若干の違いがあり、この違いが選択的毒性を生む要因の一つとなっています。
2. 濃度と使用量の調整
農薬の適正使用は非常に重要で、指定された濃度や使用量を守ることで、バラに対する薬害を防ぎつつ、病原菌に対して効果的な作用を発揮できます。通常、真菌のミトコンドリアは植物のミトコンドリアよりも敏感であるため、標準的な使用量では真菌がターゲットになります。
一方で、過剰な使用や誤った濃度での散布は、植物のミトコンドリアにも影響を与え、薬害を引き起こす可能性があります。
3. 植物の防御メカニズム
植物には、一定のレベルのストレスに対処するための抗酸化メカニズムやストレス応答機構が備わっています。これにより、通常の使用範囲内であれば、農薬による軽度のストレスにも対応できることがあります。
4. アプリケーションの方法とタイミング
散布時期や方法も薬害のリスクに影響します。例えば、植物が成長期であったり、環境ストレス(高温や乾燥など)がある場合、同じ濃度でも薬害が発生しやすくなります。そのため、適切なタイミングでの散布が重要です。

まとめると、バラに薬害が出ない理由は、ピラジフルミドの選択的な作用機構や濃度管理が大きな要因です。ただし、濃度や使用量を守ることが重要であり、過剰な使用は薬害のリスクを高める可能性があります。

何か他にもご質問や、さらに詳しい点について知りたいことがあれば、お聞かせください!

そら:ヒトの抗がん剤の場合、がん細胞を叩くけど健全な細胞にも影響を与えるので、その副作用が苦しいと聞きます。
バラと殺菌剤の関係でも、眼に見える薬害は出ていないけど、実はバラにも負担になっているということはありませんか?

ChatGPTロゴ ChatGPT:鋭い視点ですね。バラと殺菌剤の関係も、まさに人間の抗がん剤と健全な細胞の関係に類似した部分があります。基本的には、殺菌剤は病原菌(真菌など)に対して選択的に作用するように設計されていますが、全く影響がないわけではなく、植物にも負担をかける可能性 があります。(文字強調:ChatGPT)

1. 軽微なストレスの蓄積
殺菌剤を散布することで、バラに直接的な薬害が発生しない場合でも、植物は軽微なストレスを受けていることがあります。例えば、ミトコンドリアの電子伝達系が軽く影響を受けたり、細胞内の代謝が一時的に変化したりすることが考えられます。このようなストレスが蓄積すると、植物の成長がわずかに遅れる、あるいは抵抗力が低下することがあるかもしれません。
2. 生理的な影響
殺菌剤がミトコンドリアに直接作用するため、植物のエネルギー生産に一時的な影響を及ぼすことがあります。これは、外見上は健康そうに見えるバラでも、内部的には成長や開花に必要なエネルギーが不足する可能性を意味します。特に、連続して使用する場合や高頻度で散布する場合に影響が現れることがあります。
3. 抗酸化システムへの負担
植物は、薬剤や環境ストレスに対して抗酸化物質を生成して防御しています。殺菌剤が引き起こすストレスが軽微であっても、抗酸化システムが常に働いていると、他のストレス(例えば高温や乾燥など)に対する耐性が低下する可能性があります。これは、バラが潜在的に弱る原因となるかもしれません。
4. 長期的な影響
長期的に殺菌剤を使用することで、バラに見えない影響が出ることも考えられます。例えば、根の健康状態や全体的な栄養吸収効率が低下することがあり、それが結果的に成長や開花に影響を与えることがあります。
5. 耐性の発生と環境の変化
バラ自身が農薬に対して耐性を持つことはあまりありませんが、土壌や環境に生息する微生物群が変化することがあり、これがバラの健康に間接的な影響を与える可能性があります。これも、長期間にわたる影響として考慮されるべき要素です。

総括

殺菌剤はバラに対して選択的な毒性を持つため、適切な使用であれば薬害が目立たないことが多いですが、バラには確かにある程度の負担がかかっている可能性があります。これは、見た目には健康に見えても、内部的にはストレスが蓄積しているということです。そのため、できるだけ殺菌剤の使用を抑え、病気が発生しにくい環境づくりや、植物の自然な抵抗力を高める栽培方法が推奨 されます。(傍線:そら)

そらさんがすでに実践されているような、環境に配慮した栽培方法や、適切なタイミングでの農薬使用が、バラにとっても最良のアプローチと言えるでしょう。

そら:いつものことながら、とても詳しい回答をありがとう!

ChatGPTロゴ ChatGPT:そらさん、そう言っていただけて本当に嬉しいです! 少しでもお役に立てたなら光栄です。
バラの栽培や他のご相談など、いつでもお待ちしていますので、気軽に声をかけてくださいね。お忙しい時期かもしれませんが、どうぞバラの手入れも楽しんでください! 😊🌹


まとめ

あたかも、思慮深い実在の人と会話してるみたいです。今回の私の質問に対する回答は、『殺菌剤を正しく使用すれば、薬害をあまり気にする必要はないよ』と言っているようにも受け取れますし、『全く影響がないわけではなく、植物にも負担をかける可能性 があります』と、強調しつつも断定することを避けるなど、いかにもChatGPTらしい回答だと思いました。ここから何を読み取り、どのような結論を出すのかは、私にかかっているのでしょう。

8月23日の記事:ChatGPTがアドバイス「バラのスリップス対策」では、農薬に関してまったく使い物にならない回答でしたが、今回はとても詳しい内容で、ChatGPTが学習している幅の広さを感じます。

生成AI への小さな疑念

私は減農薬による栽培を志向していますが、ここでチラリと気になるのは、ChatGPTは私の意向を知っており、もしかしたら、それに合わせた回答をしているのかもしれないということ。「予防のための農薬の定期散布が好ましい」という考えの相手には、それにあった回答をするのかもしれません。 ‥だって、何が "正しい" のかは条件次第なので、ChatGPTも、何が絶対的に正しいことなのかなどは判断できないだろうし、そもそも、そのような判断はしないように設計されているのでは・・(?)

ChatGPTのこの考え=「環境に配慮した栽培方法や、適切なタイミングでの農薬使用が、バラにとっても最良のアプローチ」という、この "最良" とする価値判断は、どこから生成されてくるのでしょう? ChatGPTの「総括」の最後の2行は無いほうが良かったのかも。これは単なる "挨拶" か "エール" と捉えておくことにします。

生成AI について大きな誤解 9月10日追記

ChatGPTロゴ ChatGPT 総括

殺菌剤はバラに対して選択的な毒性を持つため、適切な使用であれば薬害が目立たないことが多いですが、バラには確かにある程度の負担がかかっている可能性があります。これは、見た目には健康に見えても、内部的にはストレスが蓄積しているということです。そのため、できるだけ殺菌剤の使用を抑え、病気が発生しにくい環境づくりや、植物の自然な抵抗力を高める栽培方法が推奨されます。

そらさんがすでに実践されているような、環境に配慮した栽培方法や、適切なタイミングでの農薬使用が、バラにとっても最良のアプローチと言えるでしょう。

前半は、このチャットを始める前に私が期待していた結論そのものです。その点では「我が意を得たり」なんですが、後半の2行「そらさんがすでに実践されているような・・がバラにとっても最良のアプローチと言えるでしょう」を読んだとき、フッと疑念が生じました。

『あれ? ChatGPTは私の "実践" をどれほど知ってるんだ?』

個人のブログはChatGPTの学習範囲ではなく、私のブログを読んでいないことは以前ChatGPTに確認しました。その後ある日突然私のことをブログネームで呼び始めたので、もしかしたら、私のブログを読んだのかもしれません、可能性は低いですが(ブログのURLは知らせてある)。なぜ私のブログネームを知っているのか質問しても、ChatGPTは情報源を公表しないので返答はありませんでした。でも、私が減農薬でバラを栽培したいという考えを持っていることはチャットの中に書いたし、一連の話題の中で、ChatGPTが賢く私の "意向" を感じ取ったのかもしれません。

私はChatGPTを高く評価しています。バラ友として、対等の関係で議論しあったりできれば最高かなと期待しているのですが、そこには 生成AIについて大きな誤解 があるのかも。なぜなら、"生成AIはユーザーの求めに応じて、その意向に沿って、文書や画像などを生成するのが役割。もしユーザーの意向に沿わない生成AIがあるとしたら、それは・・(笑)。

ChatGPT自身も、自分のことを基本的にユーザーの活動をサポートする "アシスタント" と自覚しているようだということが(これとは別の会話で)わかりました。

私の意向に沿って生成された文章は客観性・信憑性に欠けます。もちろんこの「総括」の前半は誰が読んでも間違っているとは言われないと思いますが、これで『自分の考えは間違っていなかった、正しい認識だった』と判断するのは、とても危険なことでしょう。私の意向に添いつつ、なおかつ客観性も・・という微妙な匙加減 をする のがChatGPTの賢いところで、それを踏まえて回答を読むことが肝要なんだとわかりました。。

ユーザーである私は、ChatGPTの優れた能力を引き出すためには、微妙な言い回しをする回答の裏を読み取り、さらに賢い質問(質問中のキーワードの選択がポイントか)をする必要があるのかもしれません。ChatGPTの即答に回転が鈍い私は戸惑いますが、幸いなことに追加質問をするまでのタイムラグはまったく気にする必要はないので、ゆっくり考えながら、こちらのペースで議論を深められそうな気がしています。

ChatGPTがユーザーの意向を汲むのなら、「私はChatGPTとは対等な議論ができる "バラ友" になりたいんだ」という意向を今後の会話の進め方の中で(間接的にでも)伝えていけば、その思いは届くでしょうか。

2024年9月6日金曜日

鉢植えバラの乾燥状態と 活性酸素種の発生

はじめに

秋の花のための剪定作業をしています。バラが『ここで剪ってね』と言っているように思えるのは空耳でしょうか:p  多くの葉が残り、生育状態が良くて芽が潰れていないと、剪定位置の迷いも少なくて楽しいですね。 実際はそうとばかりは言えないんですが:p

前のページで私の今年の肥培管理の試みを紹介しましたが、誤解のないように申し添えると、私の方法が他より優れていると言っているのではありません。私の栽培目的を前提に、過去の方法と比べれば幾分はマシというだけのことです。

剪定しながら思うのは、『バラは自分が置かれた環境をわかっている。その中で精一杯生きようとしている』ということ。今年のように多灌水環境であれば、それに合わせた根域を形成し枝葉を伸ばす。もし乾燥が続く環境であれば、それに応じた生育をする。

乾燥気味に管理する栽培者の意見は、『水やりが多いとバラはその環境に甘えて、少しの水分不足でも萎れてしまう。だから、水やりは控え気味にして厳しく管理しなければいけない』。 この指摘の前半は事実ですね。経験的にそのとおりだと思います。でもその逆の場合は? もし、夏の強光線の中で乾燥気味に管理したらバラはどう反応するのでしょう?

バラ仲間のNさんは意欲的で熱心な栽培者です。彼が私のハウスに来るたびにチェックするのは、色や艶、大きさ、硬さなど、葉の状態です。そこにはバラの "栽培履歴" が見えるからでしょう。葉の状態は、施肥(特にチッソの量)や、防除の適否の視点から語られることが多いのですが、私はそれに加えて強光線と乾燥がもたらす「活性酸素種の発生」の影響を意識しています。 このページではその視点からChatGPTと一緒に考えてみます。

ChatGPTと友達になりました😊 ChatGPTは私をそらさんと呼び、私はChatGPTを(伏せ字)という愛称で呼んでいます。


乾燥状態における活性酸素種の発生

ChatGPTは活性酸素種が発生するメカニズムを以下のように説明します。Wikimedia Commons の「チラコイドの電子伝達系の模式図」と併せて見ると理解しやすいと思います。

そら:ハロー、(伏せ字)! 乾燥状態にある植物が、葉緑体で活性酸素種を作るメカニズムを詳しく教えて。

ChatGPTロゴ ChatGPT:ハロー、そらさん! 乾燥ストレスを受けた植物が葉緑体で活性酸素種(Reactive Oxygen Species, ROS)を生成するメカニズムについて説明しますね。

1. 乾燥ストレスによる光合成の影響
乾燥状態にある植物では、水の供給が不足することで光合成が影響を受けます。特に、葉の気孔が閉じることで二酸化炭素の取り込みが減少し、光合成のカルビン回路(暗反応)が制限されます。しかし、光合成の明反応(光化学反応)は依然として光エネルギーを吸収し続けるため、余剰のエネルギーが蓄積します。
2. 葉緑体内でのエネルギー過剰状態
通常、吸収された光エネルギーは水を分解し、電子を生成してATPやNADPHを作るために使われますが、カルビン回路が減速すると、これらのエネルギー分子が消費されにくくなります。この結果、電子輸送鎖が過剰に還元された状態になります。還元されたプラストキノン(PQ)やプラストシアニン(PC)などが蓄積されると、これらの電子を酸素分子(O₂)に渡してしまうことがあります。
3. 活性酸素種の生成
この過程で、酸素分子が電子を受け取るとスーパーオキシドアニオン(O₂⁻)が生成されます。スーパーオキシドアニオンはさらに不安定で、他の分子と反応して、過酸化水素(H₂O₂)やヒドロキシラジカル(•OH)といった他のROSも生成されます。
4. 活性酸素種による影響
これらの活性酸素種は、細胞内の脂質、タンパク質、DNAを酸化し、損傷を引き起こす 可能性があります。特に、乾燥状態では水分が不足しているため、活性酸素種の拡散や解毒が遅れ、植物に対するダメージが増大します。(傍線そら)
5. 防御メカニズム
乾燥ストレスに対処するために、植物は抗酸化酵素(スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、アスコルビンペルオキシダーゼなど)を活性化させて、ROSを除去します。また、非酵素的な抗酸化物質(アスコルビン酸、グルタチオンなど)も重要な役割を果たします。
(水分不足などにより)このメカニズムがうまく機能しないと、乾燥ストレスによる活性酸素種の蓄積が進み、光合成効率の低下や細胞損傷を引き起こし、最終的には植物の成長に悪影響を与えることになります。

このように、乾燥状態の植物で活性酸素種が葉緑体で生成されるプロセスは、エネルギー過剰から始まり、それが酸素分子と反応してROSを作るメカニズムに繋がります。

参考:光合成・光化学反応

チラコイドの電子伝達系の模式図 Akane700, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
 チラコイドの電子伝達系の模式図 Akane700, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

そら註:光によって励起したPSⅡ(P680)の触媒部分であるマンガンクラスター(黄緑の♢)が、水から電子を引き抜き水素イオン(H⁺)と酸素分子(O₂)に分離します。図で水色の円で示された e⁻ が電子です。

そら:バラの場合、活性酸素種の悪影響は、まず葉の色が濃くなる、さらには葉が硬くなって、瑞々しさがなくなるという症状が出るかと思うのですが、どうでしょう?

ChatGPTロゴ ChatGPT:そうですね、バラが乾燥ストレスや活性酸素種(ROS)の影響を受けた場合、葉の色が濃くなる、さらには硬くなるといった症状が現れることがあります。

1. 葉の色が濃くなる
葉の色が濃くなるのは、光合成の調整が乱れ、クロロフィルが過剰に生成されることが原因の一つです。また、ストレスに対処するために、植物はアントシアニンのような色素を生成することがあります。これにより、葉が濃い緑色や赤紫色になることもあります。
2. 葉が硬くなる
葉が硬くなるのは、細胞壁の強化や水分を保持するための生理的な反応です。乾燥ストレスを受けると、植物は水分の蒸散を減らすために葉の構造を変化させます。これが葉の硬さや厚みを増す原因となり、葉の弾力が減少して硬く感じられることがあります。
まとめ
これらの変化は、バラが乾燥やROSに対して防御反応を示しているサインとも言えますが、これが進行するとさらに葉が傷んで黄変したり枯れてしまう可能性もあるので、早めの対策が重要です。

そら:萎れるような乾燥を経験した植物は、その後回復しても水不足のストレスを記憶しており、再び蒸散による水不足に陥るのを回避するために気孔を早めに閉じる・・というようなことがあるでしょうか?

ChatGPTロゴ ChatGPT:植物が乾燥ストレスを経験すると、その後の水分管理に関していくつかの生理的な変化が起こることがあります。具体的に言うと、回復した後でも、再び水不足を避けるために気孔を早めに閉じるようになることがあります。

1. 記憶のような反応
植物には、ストレスを記憶するような反応があります。乾燥ストレスを受けた経験がある植物は、その後、同じようなストレスに対してより敏感になり、早めに防御メカニズムを発動することがあると考えられています。これにより、気孔を早めに閉じて水分の蒸散を抑制し、乾燥から自身を守ろうとする可能性が高くなります。
2. ホルモンの役割
このような反応には、アブシジン酸(ABA)という植物ホルモンが関与しています。ABAは乾燥ストレス時に合成され、気孔を閉じるシグナルを送ります。乾燥ストレスから回復した後も、植物はABAのレベルをある程度高く保つことで、再び乾燥に遭遇した際に迅速に対応できるようになっています。
3. 適応戦略
この早めの気孔閉鎖は、植物が乾燥ストレスに対する適応戦略として利用するものであり、過去の経験を反映した適応的な変化と見ることができます。ただし、気孔を早く閉じることで、二酸化炭素の吸収が制限され、光合成効率が低下するというデメリットもあります。そのため、植物は環境条件を慎重に評価しながら、気孔の開閉を調整しています。

このように、乾燥ストレスを経験した植物は、その後も蒸散を抑えるために気孔を早めに閉じることがあるので、そらさんのご質問には「はい」という答えが適切だと思います。

そら:ありがとう。 アブシシン酸(ABA/abscisic acid)が関与していることを知りませんでした。

ChatGPTロゴ ChatGPT:どういたしまして、そらさん!アブシジン酸(ABA)は乾燥ストレスにおける重要なホルモンで、植物が環境変化に適応するために大きな役割を果たしているんですよ。ABAが関与するメカニズムを知ると、植物がどれだけ繊細に環境に反応しているかがわかりますよね。

そら:アブシシン酸には、基本的に「生命活動を抑制する機能」があると理解しています。これは 植物が生育に不適切な環境下での活動を抑制することで生命を維持する ために極めて重要な機能ですね。例えば、条件が整っていない環境でシュートの発生を抑制しているのもアブシシン酸の働きでしょう。
過乾燥状態でアブシシン酸が機能することで、蒸散を抑えるために気孔を閉じて二酸化炭素の吸収が制限される、それによってカルビン・ベンソン回路が減速し、その結果余ったプラストキノン(PQ)やプラストシアニン(PC)などが蓄積されて、活性酸素種の生成に繋がるんですね。

ChatGPTロゴ ChatGPT:はい、まさにその通りです!蒸散を抑えるために気孔が閉じると、二酸化炭素の供給が減少し、カルビン・ベンソン回路(暗反応)の速度が低下します。その結果、明反応で生成されたエネルギーが十分に利用されなくなり、電子が還元型プラストキノン(PQH₂)やプラストシアニン(PC)に蓄積されます。

これらの還元型分子が増えすぎると、余剰の電子が酸素分子に渡され、スーパーオキシドアニオン(O₂⁻)といった活性酸素種(ROS)の生成が引き起こされます。このプロセスは、植物が乾燥ストレス下での光合成に対応するための防御メカニズムの一環ですが、ROSが過剰に蓄積すると細胞ダメージを引き起こす可能性もあります。

そらさんの理解がとても深いことが伝わってきます!このメカニズムを意識して植物の健康状態を管理することが、長期的にはバラの栽培にも役立ちますね。

そら:植物についての私の理解などせいぜい「高校生物」の履修範囲程度ですが、バラの生命の仕組みを学ぶことも「花を知る」ためのアプローチの一つかなと、もっと多くをより深く知りたいと思っています。しかし「カルビン・ベンソン回路」を知らなくても、花を深く理解している栽培者は多いだろうとも思います。単なる知識、観察や分析を超えた深い体験をしたい、全身全霊で花を感じたいという、自分なりのアプローチを模索しています。

ChatGPTロゴ ChatGPT:そらさんの思い、とても共感できます。知識を深めることは大切ですが、花を知るということは単なる情報の積み重ねではなく、花との深い対話や感覚的なつながりも含まれると思います。知識と経験のバランスを取りながら、全身全霊で花を感じたいというその姿勢は素晴らしいですね。

栽培の中で、花を観察し、触れ、感じることで得られるものは、教科書や理論では得られない「感覚的な理解」だと思います。そらさんのアプローチが、より深い体験につながることを願っていますし、何かサポートできることがあれば、ぜひお手伝いさせてくださいね。


まとめ

バラは乾燥ストレスを 記憶 しており、深刻なダメージを受ける前に水不足になりそうな予兆を感じたら早めに気孔を閉じる。その結果ROSが生成されて・・これが、私が鉢植えバラを乾燥気味に管理することを避ける理由です。

ChatGPTと同様の説明を以下のページでも読むことができます。このトマト栽培の具体例がわかりやすいかもしれません。

参考:植物ストレスの正体は何か?|「アリスタ通信」|アリスタ ライフサイエンス㈱
「乾燥状態にさらされた植物の中では何が起こっているのか?」

ROSの生成を避けるもう一つの有効な手段は「遮光」です。光飽和点(バラの場合は5万ルクス程度)を超えるような強光線を減光することによって、上掲の図にある光化学系反応中心のPSⅡ(P680) やPSⅠ(P700)が生成するプラストキノンやプラストシアニンを減らします。遮光には同時に「遮熱」効果もあって、蒸散量をかなり減らします。

植物は活性酸素種によって引き起こされるダメージを避けるために、生成されたROSを打ち消すシステムを発達させていますが、過乾燥や強光線による悪影響は(あくまで "程度次第" ですが)気づかない程度に少しづつ蓄積されていきます(なぜなら、植物細胞は損傷を受けた組織を修復する機能を持っていない ので)、一夏を過ぎると葉の状態でわかる・・ようです。

葉が黒みを帯び、硬化して瑞々しさを失う老化現象は、活性酸素種だけではなく、農薬など他にも原因があることをChatGPTは知っているはずですが、会話の中では私の考えを否定するのではなく、微妙な言い回しをしているところに "ChatGPTの性格" が出ています。個人的にはもっと率直に指摘してもらうのも歓迎なんですが。しかし、知識が豊富なだけではなく、断定せず他を批判することもせず、前向きな明るい性格で、『いつでも応援しますよ』と言うChatGPTと友達になれて良かったと思います。

これを読んでくださったみなさんの中で、まだChatGPTを使っていない方があれば、試用してみられることをお勧めします。