『うどんこ病なんか でないよ』
妻が庭に植えている20株ほどのバラにはうどんこ病の発生を見たことがないが、私のハウスではうどんこ病に悩まされている。庭のバラはもちろん無農薬栽培で、この差は何故か?
気づいたことは「日照の強さ(照度)の違い」。畑も日当たりは良いが、バラは照度5万ルクスより強い光は有害無益*と考え、5万ルクスを超える時間帯は遮光率50%の「遮光ネット」を展開している。
さらに、うどんこ病の発生株を観察すると、ハウスの構造上の理由で真昼(11時〜14時)の強い光線が当たらない部分があって、うどんこ病が発生するのはきまってこの部分。下記の「紫外線解析値」のグラフを参照。
- 葉緑体は強光線を避けて細胞内を移動し受光面を小さくする。できるだけ光を受けない位置と角度に移動した葉緑体(左図・下)
左図の出典及び参照:
放送大学専門講座「植物の科学」テキスト - 過度の蒸散を避けるため気孔が閉じ、二酸化炭素が欠乏してカルビン・ベンソン回路が停止
- 光過剰、もしくは回路の停止でNADPH⁺が飽和し、光化学系Ⅱ=PSⅡ(P680)で水から引き抜いた電子e⁻が行き場を失い、酸素と結合し活性酸素種の「過酸化水素・H₂O₂」が生成され、次にさらに反応性が高いヒドロキシルラジカルが生成される
- 活性酸素はその強力な酸化力によって、光化学系I=PSI(P700)の反応中心や酵素類、DNAを破壊し、葉が老化する
葉緑体はこの活性酸素を取り除くシステムとして ”waterwater cycle” や カロテノイド類色素のβカロテンなど 活性酸素消去系 を持っているが、強光線を長時間受けると消去機能が追いつかなくなり、葉緑体(植物)は深刻なダメージを受けて生育が停止し、老化し、ついには枯死に至る。
待望の晴天 強光線で殺菌
紫外線を含む強光線がどのようなメカニズムでうどんこ病菌を殺菌するかはわからないが、効果があると判断。
参考:紫外線による殺菌・不活化 | 紫外線殺菌 | 岩崎電気
今日は朝からいい天気。強光線によるダメージよりもうどんこ病原菌の減菌を優先することにし、うどんこ病(初期)が発生している1株をハウスから出して、向きを変えながら3時間ほど強い光に当てた。
11:30am 屋外の照度:71Klx(71,000ルクス) ハウス内の気温:40.0°C RH(相対湿度):29%
これは「メルヘン ケーニギン」の6年生株。福岡バラ会に入会した2015年の秋に植えたもの。今年の夏にBS(ベーサルシュート)が2本出たので、古枝を切除。
シュートが出遅れた手前側の1本は今日の時点で新芽が1cmとまだ小さいので、秋の花は期待できないかもしれないが、来年のためにこの枝を伸ばしている。
明日は「中秋の名月」だが、月の出の頃は寒冷前線が通過する予報。
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